COPD(肺気腫)診療内容/呼吸器内科

COPD(肺気腫)とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、ガイドラインでは、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患と記載されています。

 

分かりやすくいうと、タバコで肺が穴ぼこだらけになってしまった病気です。肺が穴ぼこだらけになる(肺の組織が破壊される)状態を肺気腫といいます。

 

そのためCOPDや肺気腫といった病気は、タバコによる病気と考えていただければよいと思います。肺が傷ついたことで気管支が狭くなり、呼吸器症状が出現します。

 

COPDのつらいところは、治療薬である

  • β2刺激薬
  • 抗コリン薬

のどちらも肺の傷を治すわけではなく、一時的に気道の閉塞を広げる対処療法になります。ですから禁煙をしなければ、悪化を食い止めることができません。そのためCOPDや肺気腫の最大の治療法は、禁煙になります。

 

COPDが進行してしまうと、ひどい場合には在宅酸素といって一日中酸素を吸入しなければいけなくなります。そうなる前に禁煙することが大切です。

COPD(肺気腫)の症状

COPDの症状は、

  • ずっと続く咳
  • 一日中痰がらみ
  • 動いた時の息切れ

などの呼吸器症状が中心です。

 

COPDの恐ろしいところは、これらの症状がゆっくりと進行していくことです。このため典型的な身体所見も、重症になって初めて現れることが多いため、早期に気づきにくいことが特徴です。

 

さらに最近になって、COPDは肺だけではなく全身の問題であることが指摘されています。つまり肺の炎症を契機に、全身に広がってしまうのです。

 

肺から始まった炎症によって、

  1. 骨粗しょう症(骨がもろくなる)
  2. 骨格や筋障害(筋力が低下する)
  3. 心臓や血管障害(心不全、心筋梗塞、不整脈の頻度が上がる)
  4. 腹部の消化管障害(胃潰瘍や逆流性食道炎になりやすい)
  5. 代謝障害(糖尿病や脂質異常症になりやすい)
  6. メンタルの障害(うつ状態になる)

など様々な障害が出現します。

 

そしてCOPDという病気の最も恐ろしいことは、タバコをやめても二度と元には戻らないことです。残念ながら今の医学では、一度傷ついた肺を元に戻すことはできません。

COPD(肺気腫)は早めの相談を

  • タバコを吸ってたら多少咳や痰がでるのは当たり前。
  • 周りの愛煙家も皆、階段を上るとハァハァ息切れしている。
  • タバコを吸っていても、元気にゴルフできるから大丈夫。

こんな風にタバコを吸ってる人は自己解決してしまって、現実をなかなかみてくれません。しかしいよいよ息が苦しくなって、「何とかしてほしい」と思ってから病院に駆け込んでも、後の祭りです。

 

医師としては何とか助けたいのですが、今の医療にも限界があります。本当に状態が悪いCOPDの方は、酸素療法をするために総合病院にご紹介することになると思います。

 

このようにCOPDは、タバコで肺がズタボロになる前に禁煙をしなければいけない病気です。日本では40歳以上の8.5%(男性13.1%,女性4.4%)、COPDの潜在患者は530万人以上と推測され、治療を受けているのはそのうち5%未満といわれています。

 

つまり周りのタバコ仲間全員、すでにCOPDに罹ってる可能性があります。さらにタバコは副流煙によって、周りの吸ってない人もタバコの煙を浴びることでCOPDになってしまう人もいます。

 

愛煙家にとっては耳が痛いかもしれませんが、COPDや肺気腫では禁煙が最も重要になります。禁煙の覚悟が定まっていなくても、自分自身の状態を知ることで覚悟が決まる方もいらっしゃいます。COPDの症状を感じた方は、早めに医療機関に相談してください。

COPDの診断に必要な検査

COPDや肺気腫を診断・治療していくにあたって、当院では以下の2つの検査を行っていきます。

  1. 胸部レントゲン撮影
  2. 呼吸機能検査

それぞれの検査の目的について、お伝えしていきます。

レントゲン検査

タバコを吸っている人は症状の有無に限らず、まず胸部レントゲン撮影をおすすめしています。

 

タバコを吸っている人は吸わない人に比べて、肺癌のリスクが高いからです。肺癌は、癌にかかった男性の死因第一位の恐ろしい病気です。

 

肺癌の恐ろしい所は、症状が出てくるときにはStage(進行癌)となり手遅れになるところです。そのためタバコを吸ってる人は、まずはレントゲン写真で大きな病気が無いか確認させていただきます。

 

それでは、肺癌が無ければ一安心でしょうか?

 

いえいえ、COPD(肺気腫)を侮ってはいけません。ここまで読んでる愛煙家の方は、「タバコを吸っているせいで二度と痰や咳が止まらなくなる病気かぁ…」くらいの認識で終わってしまってる方もいるのではないでしょうか?

 

肺気腫(COPD)は、決して甘く考えてはいけない病気です。実は日本の死因第9位にCOPDが入っています。H22年では1万6千人もの方がCOPDで命を落としています。

 

さらに2004年のWHOの報告では、COPDは死因の第4位にランキングしています。全世界の死亡数のうち、COPDは5.1%でした。つまり世界を見渡してみると、20人に1人は肺気腫で亡くなっていることになります。そしてこれは、実は氷山の一角とされています。

 

タバコを吸っていても肺気腫やCOPDと診断されていない人は、実はかなり多いと考えられています。今後この病気が注目されていることで、さらに診断される人は増えると予想されています。そのため2030年では、世界の死因第3位に躍り出るといわれています。

 

私も総合病院で多くのCOPDの方を入院加療していましたが、

  • 毎月ちょっとした風邪ですぐに入院になる。
  • 少し動いただけで息が苦しくなり、何もしたくない。
  • 喉や胸に張り付いた痰がどうしても取れずに、地獄の様な苦しみを1日中感じる。

など非常に辛い状況を目の当たりにしてきました。

 

当クリニックを受診いただいた患者様には、そのような苦しい思いをさせたくないという強い思いがあります。そのためタバコを吸っている方には、次にお伝えする呼吸機能検査をお勧めしています。

呼吸機能検査

 

呼吸検査で調べる項目は2つです。

  1. 肺のボリュームはどれくらいか?(肺活量)
  2. 息がどれくらい思いっきり吐けるか?(1秒率)

 

特にCOPDは、この②の1秒率が低下する病気です。この1秒間で吐ける量で、病期(重症度)を分けることができます。※COPDのGOLD分類といわれています。

 

COPDの病期について

 

FEV1.0%は、1秒間に吐ける息の量を普通の人(性別、身長、体重から算出)100%とした時の割合です。つまり普通の人より1秒間に吐ける量が30%未満であると、GOLD分類Ⅳ期となり最も重症になります。

 

ただしこの呼吸機能検査はあくまで目安です。Ⅰ期でも症状が重い人もいますし、Ⅳ期でも自覚症状が少ない人もいます。

 

さらに1秒間で吐ける量が正常でも、その後吐き続けた息の量が少ない人もいます。この場合は気管支の中枢(太い気管支)は閉塞していませんが、末梢の気管支(細い気管支)は閉塞していることを意味しています。

 

当院では呼吸機能検査を実施し、呼吸器内科の専門医が丁寧に診断していきます。

 

COPD(肺気腫)の治療には禁煙が重要

COPDと診断された場合、まず最初の治療は「禁煙」です。タバコを吸っている方にとっては耳が痛いことなのですが、禁煙をしなくては治療がはじまりません。

 

当院としては患者さんにとって不快に思われることでも、必要なことはちゃんとお伝えしていく方針です。

 

おそらくタバコを吸ってる人で、体に良いと思ってる人はまずいないと思います。体に悪いと思いながらも、ついつい吸ってしまうのがタバコです。

 

そのため、ただ禁煙した方が良いことを伝えても、

  1. タバコをメンソールやライトに変えてみた
  2. タバコをアイコスにかえてみた
  3. タバコの本数を減らしてみた

といった形になってしまうことが関の山です。一見すると頑張ってるように見えますが、これでは意味がありません。

 

メンソールやライトに変更しても、喫煙所にいけば周りから副流煙を吸ってしまいます。そもそもメンソールやライトはニコチン量が減るだけであり、その他の体の害になる物質は吸ってしまえば、結局肺の中に入ってしまいます。アイコスも同様です。

 

また減煙しても、タバコを根元まで吸ったり、肺の奥まで煙をいきわたせたりしてしまいます。本数を減らしても、1本あたりじっくり長く吸うようになるため、実は肺に入る煙の量は本数を減らす前と変わらないというデータもあります。

 

このように自分の中では頑張ってるつもりでも、だらだらと吸ってしまっていては本質的には意味がないのです。一方でタバコをやめようと思っても、すんなりとやめれない人も多いです。

 

これはタバコを長年すいつづけていることで、ニコチン中毒になってしまうからです。ニコチン依存症かどうかは、以下の10の質問をチェックすることでわかります。

  1. 自分が吸うつもりの量より、ずっと多くタバコを吸ってしまいますか?
  2. タバコが体に有害といわれて理解しても、我慢できずに吸ってしまいましたか?
  3. タバコが吸えないなら無理と断ったことがありますか?
  4. 自分はタバコがないと生活できないと感じたことがありますか?
  5. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、眠気が出現しましたか?
  6. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、イライラしたり落ち着かなくなりましたか?
  7. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、頭痛など体の症状がありましたか?
  8. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、食欲や体重が増えたりしましたか?
  9. 禁煙したり本数を減らしているときに、タバコを吸ったことで楽になりましたか?
  10. 禁煙したり本数を減らしたときに、結果的に断念しましたか?

 

この項目に5つ以上当てはまった場合は、ニコチン依存症と診断されます。ニコチン依存症の方は、やめたくてもやめれないと思います。実際20本以上を20年間以上吸い続けている人は、ほぼニコチン依存症です。

 

そのため当院では、禁煙外来を設けています。

  1. ニコチンパッチ(ニコチンのみ体内に吸収することで禁煙中のイライラや集中力低下を解消します)
  2. チャンピックス(タバコのニコチンが受容体に結合するのを阻害してタバコを美味しく感じなくなります)

これらのお薬によって禁煙を目指していきます。禁煙は「依存症」なので、お薬を飲めば治るというものではありません。

 

依存には、

  • 身体依存
  • 精神依存

の2つがあります。

 

お薬がカバーしてくれるのは身体依存のみです。身体依存とは、タバコが抜けたときに現れる体の症状(離脱症状)のことを意味します。禁煙には、精神依存の側面に対してもアプローチする必要があります。当院では、こころの外来と連携して、精神依存に対しても向き合っていきます。

 

「どーせ、禁煙なんかできないから無駄無駄」と諦める前に、ぜひ一度禁煙を挑戦してみましょう。

COPDの症状を和らげる治療

一方でCOPDの厄介なところは、禁煙したら治る病気ではないというところです。むしろ年齢を重ねるにつれて呼吸筋が低下して、禁煙していても徐々に呼吸状態が悪くなっていきます。

 

こうした呼吸状態がどんどん悪くなるのを防ぐために、現在2種類のお薬が発売されています。

  1. 抗コリン薬(商品名:スピリーバ、エクリラ、エンクラッセ)
  2. β2刺激薬(商品名:オンブレス)

どちらも気管支を拡げる作用を有するお薬です。

 

ただし抗コリン薬は、

  1. 隅角型緑内障
  2. 前立腺肥大症にて排尿障害がある人

は禁忌になっています。特に高齢の男性の方は前立腺肥大と診断されていなくても、

  • 頻尿
  • 残尿感

などで悩まされている人が多いです。もしそういった症状がある方は、事前に医師に相談してみてください。副作用としては、口の渇きや前立腺肥大症の悪化が懸念されます。

 

一方のβ2刺激薬は、手の振るえや動悸が出現することがあります。副作用に関しても対応策がありますので、何かあればすぐに連絡してください。

 

一方COPDは、治らない病気です。そのため、これらのお薬を両方使った方が良いという考え方もあります。特に症状が強い方は一刻も早く改善したいため、最初から両方使うことも多いです。

 

現在は抗コリン薬とβ2刺激薬の合剤として、

  • スピオルト
  • アノーロ
  • ウルティブロ

の3種類があります。先ほどの単剤と合わせて、当クリニックでは患者さんに合ったお薬を選んでいきます。

 

COPDの治療は根気が必要な病気です。これらの吸入薬もすぐに咳や痰の症状を取るというよりは、徐々に効果を発揮します。「吸ってもあんまり変わらない」といって自己中断せずに、病気が進行しないように続けていかなければいけません。

 

COPDは孤独な病気ともいわれています。治らない病気ですし、タバコを吸ってた自分が悪いと思われてしまう病気です。当院ではそんな患者さんを一人でも救うべく、ぜひ一緒にCOPDに立ち向かっていきたいと思います。

 

ただし我々も手を貸すことはできても、最終的に患者さん自身が立ち上がってくれないとCOPDには打ち勝てません。ぜひ、COPDがどんなに怖い病気か再度認識したうえで、一緒に治療に望んでいただければ幸いです。

診療内容

当院では患者さまをできるだけお待たせしない快適な医療のために、予約システムを導入しています。

ネットから簡単に翌日以降の時間予約が可能です。

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診療時間

 
9:0013:00
15:0020:00

★:日曜日は14:00~18:00まで
休診日:祝日

※受付は、診療終了時間の15分前までとなります。

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アクセス

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東急東横線・目黒線元住吉駅西口より徒歩3分

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