レクサプロ診療内容/心療内科

レクサプロ(エスシタロプラム)とは?

レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤になります。

 

セロトニンの働きを高める作用のあるお薬で、

  • セロトニン:不安や落ち込み

といった精神症状の改善に効果が期待できます。

 

ですからうつ状態だけでなく、不安の病気にも幅広く使われています。抗うつ剤の中でもジェイゾロフトと並んで、効果と副作用のバランスがよいことで定評があるお薬になります。

 

現在の日本では4剤のSNRIが発売されています。

  • ルボックス/デプロメール(一般名:フルボキサミン):1999年発売
  • パキシル(一般名:パロキセチン):2000年発売
  • ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン):2006年発売
  • レクサプロ(一般名:エスシタロプラム):2011年発売

日本では4つ目のSSRIとなります。

 

日本では発売されていませんが、シタロプラムというお薬の有効成分だけを取り出したお薬として、2001年から海外では広く使われていました。

 

日本では新しいお薬なので、レクサプロではジェネリックは発売されていません。現在は先発品のみとなりますが、ジェネリックとしてエスシタロプラム錠の発売が想定されます。

レクサプロの効果が期待できる病気

レクサプロはどのような効果が期待できるのでしょうか。

 

レクサプロは、セロトニンだけに絞って増加させるお薬になります。それ以外の作用を抑えることで、副作用を軽減させています。

 

セロトニンは落ち込みや不安に効果を発揮するため、

  • うつ病・うつ状態
  • 様々な不安障害
  • 強迫性障害
  • 外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 月経前不快気分障害(PMDD)

に効果が期待できます。

 

うつ状態の方では、気分の落ち込みや不安が目立つ方に使われることが多いです。副作用がマイルドで中止もしやすいことから、使いやすい抗うつ剤になります。

 

レクサプロは、パニック障害や社交不安障害といった様々な不安障害にも使われます。強迫性障害や外傷後ストレス障害(PTSD)にも使われます。

 

そして生理前に不安定になり、イライラして衝動的な気持ちを抑えられなくなってしまう月経前気分不快障害(PMDD)にも、気分の安定に効果が期待できます。

 

その軽度のものは月経前緊張症(PMS)になりますが、悩まれている方は少なくないです。ですからレクサプロは、女性に相性がよい抗うつ剤ともいえます。

レクサプロの適応が正式に認められている病気

日本でレクサプロの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。

  • うつ病・うつ状態(2011年)
  • 社交不安障害(2015年)

 

社交不安障害の正式な適応が認められたことから、不安の病気にも使いやすくなりました。

海外での適応からみるレクサプロの効果

海外では、日本よりも幅広くレクサプロの適応が認められています。

 

はじめにレクサプロが承認されたスウェーデンが含まれるEUでは、

  • 大うつ病性障害
  • パニック障害
  • 社会不安障害
  • 全般性不安障害
  • 強迫性障害
  • 月経前気分不快症

となっています。

 

アメリカでは、

  • 大うつ病性障害
  • 全般性不安障害

となっています。アメリカでは12歳~17歳の青少年でも適応が認められているのが特徴です。

 

このためレクサプロは、

  • うつ
  • 不安
  • 強迫
  • 生理の不安定さ

に効果を期待して使われるお薬であることがお分かりいただけると思います。

 

お薬としての適応はありませんが、外傷後ストレス障害(PTSD)にも効果は期待できます。

 

ストレスによって下痢や便秘、腹痛が起きてしまう過敏性腸症候群(IBS)の治療に使われることもあります。日本のIBSガイドラインでは、三環系抗うつ薬とSSRIが有効であるとされており、レクサプロは使いやすいお薬のひとつです。

レクサプロの特徴

  <メリット>

  • 効果と副作用のバランスが良い
  • 1日1回の服用で効果が期待できる
  • 有効用量まで増量しやすい
  • 離脱症状が比較的少ない

  <デメリット>

  • 胃腸障害が多い
  • 心電図異常(QT延長症候群)の注意喚起がなされている

 

それではレクサプロの特徴を、

  1. 効果
  2. 副作用
  3. 剤形と薬価

に分けてみていきましょう。レクサプロ以外の抗うつ剤との比較も行っていきます。

レクサプロの効果

レクサプロは、セロトニンを増加させる作用にしぼったお薬になります。

 

このため、

  • 落ち込み
  • 不安

に対する効果が期待できます。不安に対しては、とくに発作的な不安(急性不安)には効果が期待しやすいです。

 

レクサプロの特徴としては、効果と副作用のバランスが良いことがあげられます。MANGA studyと呼ばれる抗うつ剤を比較した有名な研究では、ジェイゾロフトと並んでバランスの良いお薬と評価されています。

 

それではレクサプロは、抗うつ剤の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。レクサプロの作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の効果をまとめ、比較できるようにしました。

 

レクサプロなどのSSRIは、

  • セロトニンにしぼって効果が期待できる
  • 三環系や四環系に比べて、その他の物質への影響は少ない

ということがお分かりいただけるかと思います。

 

同じSSRIの中でレクサプロは、

  • 他のお薬との相互作用が少ない
  • もっとも純粋にセロトニンだけを増加させる

という特徴があります。

レクサプロの副作用

レクサプロの副作用は、他の抗うつ剤と比べるとマイルドになります。

 

昔の抗うつ剤と比べると明らかに副作用は少なく、使いやすいお薬になります。レクサプロの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の副作用を一覧にして比較しました。

 

レクサプロの副作用として中心になるのは、セロトニンを刺激してしまうことでの副作用です。

  • 嘔吐や下痢といった胃腸障害
  • 睡眠が浅くなる不眠
  • 性機能障害

といった症状が目立ちます。特に胃腸障害が目立ちます。

 

お薬承認時のレクサプロの副作用頻度は、

  • 傾眠(22.6%)
  • 悪心(20.7%)
  • 浮動性めまい(8.5%)
  • 頭痛(8.2%)
  • 口渇(6.3%)

このようになっています。

 

またレクサプロは、QT延長症候群という心電図異常のリスクが指摘されています。QT延長症候群は危険な心室性不整脈に発展する可能性があるため、注意喚起がされています。

 

どのお薬でも大なり小なりQT延長は認められ、とくにレクサプロで多いわけではありませんが、注意喚起されている以上は気をつける必要があります。このため、心電図を確認する必要があります。

 

またレクサプロは、離脱症状は比較的少ないです。とはいえ、長い間服用していた方は少しずつ減量していく必要があります。

レクサプロの剤形と薬価

レクサプロのお薬としての特徴についてみていきましょう。

 

レクサプロにはジェネリックは発売されておらず、先発品のみとなります。現在レクサプロは、

  • 10mg錠

のみとなります。

 

薬価は、

  • 10mg錠:216.4円


    ※2018年1月現在になります。

 

これに自己負担割合(1~3割)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。

 

レクサプロは副作用が少ないため、治療に必要な量まで早く増量できるという特徴があります。そして少ない錠数でも効果がしっかりと出やすいお薬です。

レクサプロの用法と効果のみられ方

レクサプロは、以下のようなお薬になります。

  • 開始用量:10mg(5mg~のことも多い)
  • 用法:1日1回(夕食後が多い)
  • 最高用量:20mg
  • 剤形:錠(10mg)

 

レクサプロは1日1回服用を続けることで、少しずつ効果が期待できるお薬です。効果が実感できるようになるまでには、およそ2週間~1か月ほどかかることが多いです。

 

1日1回服用すればいつでも良いのですが、一般的には夕食後とすることが多いです。レクサプロは食事の影響は少ないお薬ですので、寝る前などに服用を変更することもあります。

 

レクサプロはCYP2C19という肝臓の酵素で分解されますが、日本人にはこの酵素が働きにくい方が20%ほどいるといわれています。このためなかなか分解されず、効果が強く出てしまうことがあります。

 

ですからレクサプロを使っていく場合は、用法の半分の5mgから始めていくことが多いです。副作用が問題なければ、すぐに10mgに増量していきます。レクサプロを開始すると、2週間ごとを目安に効果を判定していきます。効果が不十分な場合は、5mg~10mgずつ増量をしていきます。

 

最高用量の20mgまで使っても効果が不十分な場合は、

  • 他の抗うつ剤を追加
  • 抗精神病薬や気分安定薬を追加(増強療法)
  • 他の抗うつ剤に変更
  • 薬物療法のアプローチの変更(診断の見直し)

を検討していきます。

【参考】レクサプロの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

  • 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間

が重要になってきます。

 

レクサプロは、

  • 半減期(T1/2):24.6~27.7時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):4時間

となっています。

 

レクサプロは4時間ほどでピークになり、そこから24.6~27.7時間で半分の量になるということになります。ですから1日1回の服用が可能なのです。

 

そしてお薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定していきます。およそ半減期の4~5倍の時間で安定するといわれていて、このようになると定常状態と呼ばれます。

 

ですからレクサプロの血中濃度は、安定するまでに5日~1週間ほどかかります。

服用時期でみたレクサプロの副作用

レクサプロの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

 

抗うつ剤の服用時期と副作用をまとめました。

 

レクサプロの飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群(アクチベーション シンドローム)があげられます。

 

中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚して躁転してしまったり、不安や焦りが高まって衝動的に、自殺企図をしてしまうことがあります。こういった異様な精神状態が認められた場合は、すぐに中止してください。

 

そして飲み始めには、セロトニンを刺激してしまうことによる副作用が認められることが多いです。レクサプロの副作用として最も多いのは、下痢や吐き気といった胃腸障害です。その他にも様々な副作用が生じることがありますが、多少であれば服用を続けるうちになれることが多いです。

 

そしてレクサプロは、お薬を減量していく際には離脱症状が認められることがあります。レクサプロは他の抗うつ剤に比べるとマシですが、身体にお薬が慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまうことがあります。少しずつ減量していくことが必要です。

 

抗うつ剤の副作用の症状を簡潔にまとめました。

レクサプロの副作用の対処法

レクサプロの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

レクサプロの副作用が認められた場合、

  • 何とかなるなら様子を見る(経過観察)

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、落ちついてくることが多いためです。

 

生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。

 

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

 

レクサプロの副作用で多くの方が気にされるのが、

  • 眠気
  • 太る
  • 胃腸障害
  • 頭痛
  • 性機能障害

の5点です。対処法も含めてみていきましょう。

レクサプロと眠気・不眠

レクサプロの承認時の副作用頻度では、

  • 不眠:1.5%
  • 睡眠障害:0.7%
  • 眠気(傾眠):23.5%

となっています。

 

レクサプロは理論的には、「眠気」よりも「不眠」になりやすいお薬になります。

 

しかしながらレクサプロを実際につかってみると、眠気の副作用が生じる患者さんも少なくありません。その原因は残念ながら、よくわかりません。

  • わずかにある抗ヒスタミン作用や抗α1作用での直接的な眠気
  • 夜間の睡眠の質が落ちて、日中の眠気が強まる
  • 理屈では説明できない眠気

こういったことが考えられます。

 

レクサプロは、セロトニン2A受容体を刺激します。これによって深い睡眠が妨げられてしまって、睡眠が浅くなってしまいます。これが不眠として報告されることは考えられます。

 

レクサプロで眠気が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(就寝前)
  • 服用を2回にわける
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

 

反対に不眠が認められている場合の対処法は、

  • 慣れるまで待つ
  • 睡眠の質の改善を図る
  • 服用のタイミングを変える(朝食後)
  • レスリンなどの鎮静系抗うつ剤を追加する
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

レクサプロと体重(太る?痩せる?)

レクサプロと体重について心配される方も少なくありません。

 

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。

 

レクサプロは、お薬の特徴としては体重増加しにくい抗うつ剤ではあります。

  • 抗ヒスタミン作用や抗5HT2c作用での直接的な食欲増加
  • セロトニンによる代謝抑制

こういった体重に関係する要因を複合的に考えると、レクサプロは太りやすいお薬とは言えません。SSRIの中ではパキシルが体重増加の報告が多いですが、レクサプロはそこまでありません。

 

レクサプロの分類されるSSRIは、飲み始めの数カ月は痩せる方向に行くことが多く、その後は太りやすい傾向にあることが報告されています。もともと太っていた場合は、やせる傾向にあることも報告されています。

 

飲み始めの体重減少に関しては、胃腸障害によって食欲が落ちる影響が大きいかと思います。長期に使って体重増加していくのは、精神症状が改善していくためかと思います。元気になって食欲が増加していくということと考えています。

 

レクサプロで太ってしまった場合の対処法としては、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

レクサプロと胃腸障害

レクサプロの副作用で最も多いのは、胃腸症状になります。承認時の臨床試験では、

  • 悪心:23.8%
  • 嘔吐:3.3%
  • 下痢:6.2%
  • 便秘:4.5%

このようになっています。実際に市販後の報告でも、悪心が4.8%と最も多くなっています。

 

このような胃腸症状が認められるのは、レクサプロによるセロトニン刺激作用が原因になります。セロトニンは脳だけでなく、胃腸にも作用してしまいます。

 

胃腸が動いてしまうことが多く、吐き気が認められるときは下痢も認められることが多いです。その一方で、便秘になることもあります。

 

レクサプロによる胃腸症状は飲み始めがピークで、徐々に慣れていくことが多いです。

 

このためレクサプロで胃腸症状が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬を少しずつ増量する
  • 胃腸症状を和らげるガスモチンなどを併用する
  • 服用を2回にわける
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

レクサプロと頭痛

レクサプロは、頭痛の副作用が認められることがあります。

 

お薬の承認時の副作用の頻度でも、

  • 頭痛:8.2%

となっています。

 

レクサプロで頭痛が生じるタイミングは、大きく2つあります。

  • お薬の飲み始め
  • お薬を減量・中止するとき(離脱症状)

 

レクサプロが頭痛を生じる理由はよくわかっていませんが、セロトニンが関係していると考えられます。

 

セロトニンは脳血管が収縮する作用がありますが、セロトニンが分解されると反動で、脳血管が急激に拡張します。周りを取り巻いている三叉神経から痛み物質が作られ、頭痛につながると考えられます。

 

その一方でレクサプロをはじめとした抗うつ剤は、片頭痛の予防効果もしられています。セロトニンが安定することで脳血管の拡張を予防でき、さらにはセロトニンには痛みの抑制効果があること知られています。

 

ですからレクサプロで頭痛が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(就寝前)
  • 痛み止めを使う
  • 増量のペースをゆるめる
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

レクサプロと性機能障害(性欲低下・勃起不全)

レクサプロの副作用として、数字にあらわれている以上に多いのが性機能障害です。

 

なかなか相談しにくい副作用であるがゆえに、困っていても表に出てこない副作用です。SSRIのジェイゾロフトやパキシルは性機能障害が多いですが、レクサプロは比較的少ないと報告されています。

 

そうはいっても、4割ほどで認められるといわれています。性機能障害のうちでもレクサプロで多いのは、

  • オーガニズム低下や射精障害

といわれています。パートナーとの関係性にも影響するため、軽視できない副作用です。

 

レクサプロによって性機能障害が生じる理由としては、セロトニン2A受容体作用や抗α1作用が関係しているといわれています。

 

レクサプロで性機能低下が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬の量を減らす
  • レスリンなどを追加(持続性勃起障害という副作用を転用)
  • ED治療薬を使う(勃起不全に対して)
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

レクサプロの離脱症状と減薬方法

レクサプロを減量していく場合には、離脱症状に注意する必要があります。

 

レクサプロでは離脱症状が多くはありませんが、長期間服用しているときには注意しなくてはいけません。からだにお薬があることが当たり前になっていくと、急激にお薬を減らしてしまうと、心身に不調が生じてしまうことがあります。

 

  • 身体症状:しびれ・耳鳴り・めまい・頭痛・吐き気・だるさ
  • 精神症状:イライラ・ソワソワ感・不安・不眠
  • 特徴的な症状:シャンピリ感・ビリビリする

これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。

 

こういった離脱症状を防ぐために、レクサプロの減量は少しずつ行っていく必要があります。まずは少しずつ量をへらしていきます。レクサプロは、

  • 20mg→10mg→5mg

といった具合に、5mgずつ少しずつ減量していくことが多いです。

 

離脱症状は、抗不安薬(精神安定剤)を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。5mgまで減量できれば、以下の方法で断薬を試みていきます。

 

レクサプロの運転への影響

海外の研究で、レクサプロはお薬を服用していても自動車運転能力や精神運動能力、認知機能のいずれにも影響がなかったとする報告もされています。

 

ですがレクサプロには、眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性はあります。ですからレクサプロでは、

眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

という表現とされました。

 

「注意は必要だが、禁止ではない」ということになります。このためレクサプロは、運転することもできるということになります。

 

心のお薬は副作用が避けられず、「運転禁止」となっているお薬が非常に多いです。その中でレクサプロをはじめとしたSSRIは、「運転注意」でとまっている数少ないお薬になります。

 

ただし、

  • はじめて使ったとき
  • 他のお薬からの切り替えをしたとき
  • 量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき

は無理をせず、運転は控えていただいたほうがよいです。

レクサプロの妊娠・授乳への影響

レクサプロの妊娠への影響から見ていきましょう。レクサプロのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。

 

もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらレクサプロを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

 

レクサプロは、心臓の奇形(心室中隔欠損症)のリスクがわずかに上がるという報告がありましたが、否定的な意見もあります。このため、明らかなレクサプロが奇形を引き起こす明かな報告はありません。

 

レクサプロが影響するのは、むしろ産まれた後の赤ちゃんになります。胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。これによって、新生児離脱症状が生じることがあります。

 

早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 

次に、レクサプロの授乳への影響をみていきましょう。レクサプロのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。

このように記載されています。

 

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。

 

母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、レクサプロを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

 

母乳を通して赤ちゃんにレクサプロの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

  • 妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準

    A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    B:ヒトでの危険性の証拠はない
    C:危険性を否定することができない
    D:危険性を示す確かな証拠がある
    ×:妊娠中は禁忌

  • 授乳への影響:Hale授乳危険度分類

    L1:最も安全
    L2:比較的安全
    L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    L4:おそらく危険
    L5:危険

抗うつ剤の妊娠・授乳への影響について、お薬ごとに一覧にしてまとめました。

 

レクサプロは、FDA基準で「C」、Hale分類で「L2」となっています。

レクサプロ錠のジェネリック医薬品

レクサプロは、2011年に発売されたお薬になります。

 

お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。(先発品)

 

レクサプロのジェネリックは、この特許が切れた後に発売されます。(後発品)

 

ジェネリック医薬品の名称は、近年は薬の一般名がつけられます。レクサプロ錠であれば、エスシタロプラム錠になるかと思います。

 

ジェネリック医薬品になると、様々な製薬会社が製造を行います。これらのお薬は有効成分は同じですが、それぞれが微妙に異なります。というのも、お薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。

 

ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。

 

レクサプロは即効性を期待するお薬ではないため、ジェネリック医薬品が発売されれば、変更しても効果に大きな差はないと推定されます。理屈ではそうですが、心配になってしまう方もいらっしゃいます。その場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。

【参考】レクサプロの作用機序

最後に、レクサプロの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

 

レクサプロは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。

 

モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。レクサプロなどの抗うつ剤は、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

 

おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。

  • セロトニン(不安や落ち込み)
  • ノルアドレナリン(意欲や気力の低下)
  • ドーパミン(興味や楽しみの減退)

これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています。

 

抗うつ剤の神経伝達物質と症状の関係についてグラフでまとめました。

 

レクサプロはこれらの物質のうち、

  • セロトニン

の働きを強めます。レクサプロは、再取り込み阻害という方法をとります。

 

セロトニンなどのモノアミンは、役目を果たすと不要になるため、再取り込みという形で回収されていきます。レクサプロはこの働きの邪魔をして、セロトニンの働きを強めます。

 

これらの物質が直接的に効果があるのならば、すぐにでも抗うつ効果が認められるはずです。しかしながら実際には、2週間くらいかけて効果が認められます。タイムラグがあることは、レクサプロなどの抗うつ剤の作用が単純ではないということを意味しています。

【参考】アロステリック作用

レクサプロは、SERT(セロトニントランスポーター)という部分に作用することで再取り込み阻害していきます。

 

レクサプロはこのSERTに、ただ作用するだけではありません。SERTの構造を変化させて、レクサプロを離れにくくする作用があります。

 

この作用をアロステリック作用と言いますが、これによってレクサプロの効果葉より安定します。

 

このため、お薬の成分の血中濃度は1日もすれば半分くらいになってしまいますが、効果自体の半減期(SERT占有率の半減期)はおよそ130時間ともいわれています。

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