HAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)診療内容/当院の検査・超音波検査

HAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)とは?

HAM-Dとは、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating ScaleHDRS)が正式名称となります。HamiltonのHAMとうつ病の英語であるDepressionから、HAM-Dと呼ばれています。

 

1960年に英国のMax Hamiltonによって開発されました。改訂を重ねられ、現在でも臨床現場でよく使われているうつ病の心理検査になります。

 

検査項目の特徴として、睡眠の評価に重点が置かれています。睡眠状態が改善すれば高評価になりやすいという特徴があります。

 

HAM-Dは自己評価式の心理検査ではなく、うつ病の症状に特徴的な項目について、医師などの専門家が項目ごとに評価をしていく心理検査になります。それぞれの項目ごとに最も患者さんに近いと思われる点数に〇をつけ、合計点からうつ症状の程度を割り出します。

 

こういった心理検査のため、研究目的で使われることが多いです。実際の診療では時間的制約もあるので、有用ではあるものの行われることは少ないです。スクリーニング検査としても、あまり向いていません。

 

当院では、治療経過の評価を行っていく場合には、患者さんご自身に記入していただくCES-Dを使っています。HAM-Dは、研究目的の場合のみに実施しています。

HAM-Dの目的

HAM-Dの目的は、うつ病の状態を専門家によって客観的に数値化するために用いられる検査です。

 

診断にあたって重症度を評価するためだけでなく、うつ病からの回復の度合いを知るためにも広く用いられる検査になります。

 

また自己評価式ではなく、検査を担当する人が面接をする形式で点数化し採点する形式になります。

 

HAM-Dを基に面接をしながら症状を判断出来るため、自己記入式のように患者さんの目線で質問から回答を選ぶのではなく、検査を担当する人の目線で患者さんに一番近いと思われるものにしるしをつけるのです。

 

うつ病の診断の参考になるだけでなく、重症度を客観的に評価していくことができます。このため、治験や臨床研究などのお薬の効果を評価する際には、よく使われている心理検査になります。

 

専門家に評価をまかせてしまうため、患者さんは検査と身構えずに受けることが出来る利点があります。その一方で専門家が実施する必要があるため、スクリーニング検査には向かない検査になります。

HAM-Dの料金

HAM-Dは、認知機能心理検査として健康保険で請求できる心理テストになります。

 

心理検査の料金の差は、検査の複雑さによって決まっています。HAM-Dはそこまで時間がかからない簡易な検査になりますので、80点(800円)になります。

 

実際の窓口で支払う際は、自己負担の割合がかけられた金額になります。(3割負担の場合は240円)

 

研究目的で使われることも多いですが、その際はほとんどの場合が患者さんの自己負担はゼロになります。

HAM-Dの検査・採点方法

HAM-Dは成人向けに作成された検査になりますので、対象は成人からになります。専門家との面談で検査を行っていきますので、約10分から20分くらいの時間がかかります。

 

質問は17問あり、うつ症状が出る前、もしくは現在治療中ならばその治療開始から最近一週間の症状を思い出して、質問に答えていきます。

 

質問は以下の17の項目になっています。いずれもうつ症状を患った際に顕著になる症状の程度を確認しています。各質問に対して程度を評価していきますが、それぞれの項目により3~5点まであります。

 

  1. 抑うつ気分(Depressed Mood)
  2. 罪責感(Feelings of Guilt)
  3. 自殺傾向(Suicide)
  4. 入眠障害(Insomnia Early)
  5. 熟眠障害(Insomnia Middle)
  6. 早朝睡眠障害(Insomnia Late)
  7. 仕事と活動(Work and Activities)
  8. 精神運動抑制(Retardation:Psychomotor)
    (思考や会話が遅くなる、集中力が落ちる、自発的運動の現象)
  9.  焦燥(Agitation)
  10.  精神的不安(Anxiety Psychological)
  11.  身体的不安(Anxiety Somatic)
    (胃腸症状や動悸、頭痛、過呼吸など不安に伴う身体症状)
  12.  消化器系身体症状((Gastrointestinal))
  13.  一般的な身体症状(Somatic Symptoms General)
  14.  生殖器症状(Genital Symptoms)
    (性欲の低下、生理不順など)
  15.  心気症(Hypochondriasis)
  16.  体重減少(Loss of Weight)
  17.  病識(Insight)

 

HAM-Dのうつの重症度を判断するための基準は明確にはなっていませんが、目安としては以下の点数のようになります。

  • 0点~7正常(Normal)
  • 8点~13点:軽症(Mild Depression)
  • 14点~18中等症(Moderate Depression)
  • 19点~22重症(Severe Depression)
  • 23点以上最重症(Very Severe Depression)

    ※うつ病の重症度の評価を、厳しめ(高くないとうつ病としない)にすることもあります。

【参考】HAM-Dの採点基準について

HAM-Dに関しては、総合的な重症度に関しての境界性は未だにあいまいな点も多いのが実情です。

 

HAM-Dは質問項目が17・21・25など様々なものがありますが、ここでは最も一般的に使用されている17における判定基準についてご紹介していきます。

 

HAM-Dでは睡眠の項目に重点が置かれているため、睡眠の関連に問題がある場合は高得点になってしまいますが、うつ病で重大な症状である希死念慮についての項目は少ないという特徴があります。

 

HAM-Dは欧米で長くゴールデンスタンダードの心理検査であったため海外でも研究が進んでいましたが、明確に点数の境界を定めているデータは取れていませんでした。

 

そのため1981年に米国のブラウン医科大学で、患者を重症群に割り当てる際のHAMDのカットオフ値を確立することを目的とした研究が行われました。

 

ブラウン医科大学に外来で通院しているうつ病の患者さんを基にHAM-Dの検査をしたところ、軽度うつ病患者ではHAM‐Dスコアが中等度うつ病患者よりも有意に低く、中程度うつ病患者は重度うつ病患者よりも有意に低意という結果になりました。

 

その検査結果を基にデータ化し、感度と特異度の合計を最大にしたHAM‐Dのカットオフスコアは、軽度〜中程度のうつ病のラインは17であり、中度〜重度うつ病のラインでは24という結果になりました。

 

臨床研究や治験では、うつ病と判断するラインは18~20点くらいであることが多いです。少なくとも中等度以上のうつ病の患者さんにおいて、研究を行うことが多いということになります。

 

上でお示した評価は、やや甘めになっています。点数が低くてもうつ病と評価しています。

HAM-Dでわかること

HAM-Dはうつ病の判断をするために作成された検査ですので、うつ病の診断をする際の指針になります。古くからある検査の一つであり、多くの臨床現場で用いられている検査の一つです。

 

HAM‐Dは、専門家が患者さんに直接質問をしながら検査をしていきます。そのため患者さん本人があまり自分がうつ状態に認識がない場合や、エネルギーが低下していて自分自身の状況がわからないときなどに有用です。

 

構造化された検査になるので、専門家が症状の程度を評価するにあたって、客観的にうつ病の程度を判断することができます。

 

ただ、希死念慮よりも不眠に重点を置いている点などもあり、HAM-Dだけで診断をすることはしません。診断については、専門家が問診の中で総合的に判断していきます。あくまでHAM‐Dでは、うつ状態の程度を客観的に評価するものになります。

HAM-Dは治療経過の評価にも有効

うつ病と診断がついたら、治療を開始していきます。

 

薬物療法を行ったり、心理療法を行ったり、またうつ病の原因になっている環境の相談をしたりしながら、少しずつ症状の改善と負担の軽減を図っていきます。

 

目に見えて心身の状態が良くなる場合もありますし、残念ながらあまり効果が見えてこない場合もあります。ある程度はよくなっていたとしても、患者さん本人に自覚がもてないこともあります。

 

こういったときに症状を客観的に評価して時間経過の中で比較をすれば、治療効果の患者さんへのフィードバックになります。そういった意味で、治療経過の評価にも有効です。

 

このため様々な研究で、治療効果の評価に使われてもいるのです。しかしながら実際の臨床現場では、診察時間に制約もあります。このため、通常の診察時に評価をしていくことは少ないです。

診療内容

当院では患者さまをできるだけお待たせしない快適な医療のために、予約システムを導入しています。

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