トレドミン(ミルナシプラン)診療内容/心療内科

トレドミン(ミルナシプラン)とは?

トレドミン(一般名:ミルナシプラン)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤になります。

 

セロトニンとノルアドレナリンの働きを高める作用があるお薬で、

  • セロトニン:不安や落ち込み
  • ノルアドレナリン:意欲や気力の低下

といった精神症状の改善に効果が期待できます。

 

しかしながら抗うつ剤としての効果はマイルドで、トレドミンが使われることは少なくなってきています。トレドミンは慢性的な痛みにも有効であるため、身体の治療薬として使われることも多いです。

 

現在の日本では3剤のSNRIが発売されています。

  • トレドミン(一般名:ミルナシプラン):2000年発売
  • サインバルタ(一般名:デュロキセチン):2010年発売
  • イフェクサー(一般名:ベンラファキシン):2015年発売

日本ではじめて発売されたSNRIになります。サインバルタやイフェクサーと比べるとマイルドなお薬なため、抗うつ剤として使われることは少なくなってきました。

 

トレドミン錠は2010年にジェネリック医薬品が発売となりました。ジェネリックは、ミルナシプラン錠として発売されています。

トレドミンの効果が期待できる病気

トレドミンはどのような効果が期待できるのでしょうか。

 

トレドミンは、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増加させるお薬になります。ノルアドレナリン優位に増加させるお薬ですが、全体的に抗うつ剤としての効果はマイルドになります。

 

ですからサインバルタは、ノルアドレナリンの働きを強めたいときに使われることの多い抗うつ剤になります。

 

そしてトレドミンには、痛みを抑制する効果が期待できます。うつ状態では、身体症状として痛み(頭痛や腰痛)が認められることが少なくありません。こういった場合には、トレドミンは効果が期待できます。

 

このためサインバルタは、

  • うつ病・うつ状態
  • 慢性疼痛がある病気全般

に効果が期待できます。

 

うつ状態の方では、ノルアドレナリンによる意欲・気力の改善を期待して使われることが多いです。しかしながら効果はマイルドなため、比較的症状が軽めの方や、例えばSSRIの効果の増強のために併用されることがあります。

 

そしてトレドミンは、痛みの抑制効果を期待して様々な慢性疼痛で使われることがあります。鎮痛剤を漫然と使うよりも、トレドミンなどの抗うつ剤を使っていくほうが安全性が高いのです。うつ病の患者さんでも、腰痛や頭痛などの慢性的な痛みが続くこともあります。

トレドミンの適応が正式に認められている病気

トレドミンの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。

  • うつ病・うつ状態(2000年)

 

トレドミンは、うつ病やうつ状態に効果が期待できるお薬として発売されました。

 

日本では正式には認められていませんが、慢性的な痛みにも適応外で使われることがあります。

海外での適応からみるトレドミンの効果

海外では、トレドミンはおもにうつ病・うつ状態への適応が認められています。

 

アメリカでは、

  • 線維筋痛症(2009年)

という慢性的な痛みのある病気のみ適応となっています。

 

このことからも、トレドミンは抗うつ効果がマイルドであることがわかると思います。抗うつ効果よりも、鎮痛効果を期待して使われることがメインのため、アメリカでは2009年に適応が認められています。

 

このためトレドミンは、

  • うつ
  • 不安
  • 痛み

に効果を期待して使われるお薬といえます。さまざまな抗うつ剤が発売されている現在では、痛みに対する効果を期待して使われることが増えてきています。

トレドミンの特徴

  <メリット>

  • 意欲や気力を高める効果が期待できる
  • 痛みに効果が期待できる
  • 比較的に副作用が少ない
  • 肝臓への負担が少なく、相互作用が少ない
  • 先発品でも後発品でも、薬価がリーズナブル

  <デメリット>

  • 効果がマイルド
  • 1日に複数回の内服が必要
  • とくに男性では尿閉に注意が必要

 

それではトレドミンの特徴を、

  1. 効果
  2. 副作用
  3. 剤形と薬価

に分けてみていきましょう。トレドミン以外の抗うつ剤との比較も行っていきます。

トレドミンの効果

トレドミンは、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増加させる作用のある抗うつ剤になります。

 

ノルアドレナリンの効果があるため、

  • 意欲や気力の回復
  • 痛み

に効果が期待できます。

 

しかしながら両方への作用がマイルドなため、抗うつ効果としては強いとは言えません。むしろ痛みに対する効果を期待して使われることが多くなっています。

 

それではトレドミンは、抗うつ剤の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。トレドミンの作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の効果をまとめ、比較できるようにしました。

 

トレドミンなどのSNRIは、

  • セロトニンとノルアドレナリンに効果が期待できる
  • 三環系や四環系に比べて、その他の物質への影響は少ない

ということがお分かりいただけるかと思います。

 

同じSNRIの中で比較してみましょう。作用の特徴は、以下の表のようになります。

 

SNRIのKi値を比較し、効果と副作用の特徴の違いを理解しましょう。

※数値は、Ki値になります。数値が少ないほど強力に作用することを意味しています。

 

同じSNRIでは、

  • トレドミン:ノルアドレナリン優位
  • サインバルタ・イフェクサー:セロトニン優位

となっています。

トレドミンの副作用

ノルアドレナリンを増加させることでのデメリットからみていきましょう。

 

多くはありませんが注意する必要があるのは、賦活症候群のリスクが高まることです。ノルアドレナリンを増加させるお薬を使うと、

  • 気分を高揚させて躁転させてしまう
  • 不安や焦燥感が急激に強まって自殺衝動を高めてしまう

ことがあります。ですから気分に波がある方や若者では、慎重に使っていく必要があります。

 

またノルアドレナリンによって、

  • 血圧上昇(高血圧)
  • 頻脈(動悸)
  • 口渇
  • 便秘
  • 排尿困難(尿閉)

などが認められることもあります。

 

とくに尿閉は、男性高齢者には気をつける必要があります。前立腺肥大をしていることが多く、トレドミンでとどめを刺されてしまうことがあります。

 

高血圧の治療をされている方も、トレドミンの影響も念頭に置いておく必要があります。

 

トレドミンには、セロトニンを刺激してしまうことでの副作用も認められます。

  • 嘔吐や下痢といった胃腸障害
  • 睡眠が浅くなる不眠
  • 性機能障害

といった症状があります。頻度としては、胃腸障害が最も多いです。

 

トレドミンの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の副作用を一覧にして比較しました。

 

トレドミンは比較的に副作用は少なく、安全性は高いお薬です。トレドミンという名前は、「Tolerance is dominant(安全性が優れている)」からつけられているくらいです。

 

トレドミンの特徴として、他のお薬への影響が少なく、肝臓への負担も少ないことがあげられます。薬を分解する肝臓の酵素CYPに影響しないため、他のお薬との飲み合わせは問題ありません。

 

そしてトレドミンは、長期にわたって服用をすると離脱症状が生じることがあります。減量する際には、計画的に行っていく必要があります。

トレドミンの剤形と薬価

トレドミンのお薬としての特徴についてみていきましょう。

 

トレドミンは発売からしばらく時間がたっており、ジェネリック医薬品も発売されています。ミルナシプラン錠という名称で発売されています。

 

トレドミンの剤形としては、

  • 12.5mg錠
  • 15mg錠
  • 25mg錠
  • 50mg錠

の4剤形になります。

 

トレドミンは細かな単位で剤形が発売されているため、細かな調整ができます。

 

トレドミンにはジェネリック医薬品も発売されていますが、発売されたから時間もたっているため、先発品と後発品の薬価がそこまで大きく変わりません。

 

トレドミンの薬価は

  • 12.5mg錠:15.9円(ジェネリック:10.5円)
  • 15mg錠:18.8円(ジェネリック:11.4円)
  • 25mg錠:27.0円(ジェネリック:16.4円)
  • 50mg錠:45.6円(ジェネリック:26.6円)

    ※2018年1月現在

になりますので、これに自己負担割合をかけた金額になります。

トレドミンの用法と効果のみられ方

トレドミンは、以下のようなお薬になります。

  • 開始用量:25mg
  • 用法:1日2~3回食後
  • 最高用量:100mg(高齢者は60mgまで)
  • 剤形:錠(12.5mg・15mg・25mg・50mg)

 

トレドミンは、かつては50mg(高齢者は30mg)が開始用量となっていました。しかしながら25mgで開始した患者さんの方が副作用が少なかったことから、2008年より初期用量が25mgと改訂されました。

 

それに伴い、12.5mg錠が発売となったという経緯があります。このような経緯で剤形の幅が広がり、細かな調整ができるお薬になります。

 

トレドミンは作用時間が短く、1日2~3回の服用を続けることが必要です。飲み続けることによって、少しずつ効果が期待できるお薬です。およそ2週間~1か月ほどして効果が実感できるようになることが多いです。

 

トレドミンは食後の方が少しだけ吸収されやすくなります。ですから用法は、食後となっています。しかしながら空腹時でもそこまでの差はなく、飲み忘れてしまった場合は空腹時でも服用頂いたほうが良いです。

 

トレドミンを開始すると、2週間ごとに効果を判定していきます。効果が不十分な場合は、12.5mg~25mgずつ増量していくことが多いです。最高用量の100mg(60mg)まで使っても効果が不十分な場合は、

  • 他の抗うつ剤を追加
  • 抗精神病薬や気分安定薬を追加(増強療法)
  • 他の抗うつ剤に変更
  • 薬物療法のアプローチの変更(診断の見直し)

を検討していきます。

 

アメリカではトレドミンは、200mgまで使うことができます。アメリカでは慢性疼痛に対して使われることが多いですが、安全性が高いお薬であることがわかるかと思います。

 

またトレドミンは抗うつ効果はマイルドなため、病気によっては抗うつ剤を追加することもあります。

【参考】トレドミンの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

  • 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間

が重要になってきます。

 

トレドミンは、

  • 半減期(T1/2):8.2時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):2~3時間

となっています。

 

トレドミンは2~3時間でピークになり、そこから8.2時間で半分の量になるということになります。つまり、服用してから10時間ほどで半分になってしまいます。

 

そしてお薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定した定常状態となります。そのためには、1日2~3回の服用が必要になります。

服用時期で注意するトレドミンの副作用

トレドミンの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

 

抗うつ剤の服用時期と副作用をまとめました。

 

トレドミンの飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群(アクチベーション シンドローム)があげられます。

 

中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚して躁転してしまったり、不安や焦りが高まって衝動的に、自殺企図をしてしまうことがあります。こういった異様な精神状態が認められた場合は、すぐに中止してください。

 

そして飲み始めには、セロトニンを刺激してしまうことによる副作用が認められることが多いです。トレドミンの副作用として最も多いのは、下痢や吐き気といった胃腸障害です。その他にも様々な副作用が生じることがありますが、多少であれば服用を続けるうちになれることが多いです。

 

そしてトレドミンは、おしっこが出にくくなる排尿障害に注意が必要です。ノルアドレナリンが尿道にあるα1受容体に作用することで、おっしこの通り道が狭くなってしまいます。とくに前立腺が肥大していることが多い高齢男性では注意が必要です。

 

またトレドミンは、お薬を減量していく際には離脱症状にも注意が必要です。トレドミンが身体に慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまいます。少しずつ減量していくことが必要です。

 

抗うつ剤の副作用の症状を簡潔にまとめました。

トレドミンの副作用の対処法

トレドミンの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

トレドミンの副作用が認められた場合、

  • 何とかなるなら様子を見る(経過観察)

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、収まっていくことが多いためです。

 

生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。

 

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

 

トレドミンの副作用で多くの方が気にされるのが、

  • 眠気が強いのか
  • 太るのかどうか

という2点です。

 

また、トレドミンに多い副作用が、

  • 胃腸症状
  • 排尿障害

になります。

 

発売後の調査では、

  • 悪心・嘔吐:5.8%
  • 眠気:2.1%
  • 排尿障害(尿閉・排尿困難):1.9%
  • 便秘:1.8%
  • 頭痛 :1.7%

となっています。

トレドミンと眠気・不眠

トレドミンはノルアドレナリンを増加させるため、アクティブな方向にもっていくお薬です。

 

ですから理論的には、「眠気」よりも「不眠」になりやすいお薬になります。他の抗うつ剤と比較しても、眠気が強いお薬とはいえません。むしろ眠気が少ないお薬といえます。

 

しかしながらトレドミンを実際につかってみると、眠気の副作用が生じる患者さんも少なくありません。実際に市販後調査でも、

  • 不眠:0.82%
  • 傾眠:2.07%

となっています。眠気を感じる方の方が多いという報告になっています。

 

その原因は残念ながら、よくわかりません。

  • わすかにある抗ヒスタミン作用や抗α1作用での直接的な眠気
  • 夜間の睡眠の質が落ちて、日中の眠気が強まる
  • 理屈では説明できない眠気

こういったことが考えられます。ですが直接的な眠気を生じる作用は小さく、睡眠の質の低下だけでは説明がつきません。理屈ぬきに、トレドミンで眠気が生じる方は少なくありません。

 

トレドミンで眠気が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(夕食後や就寝前)
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

 

反対に不眠が認められている場合は、

  • 慣れるまで待つ
  • 睡眠の質の改善を図る
  • 服用のタイミングを変える(朝食後や昼食後)
  • レスリンなどの鎮静系抗うつ剤を追加する
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

トレドミンと体重(太る?痩せる?)

トレドミンと体重について心配される方も少なくありません。

 

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。

 

トレドミンは、お薬の特徴としては体重増加しにくい抗うつ剤ではあります。

  • 抗ヒスタミン作用や抗5HT2c作用での直接的な食欲増加
  • セロトニンによる代謝抑制
  • ノルアドレナリンによる代謝亢進

こういった体重に関係する要因を複合的に考えると、トレドミンは太りやすいお薬とは言えません。抗うつ剤の中で比較すると、太りにくいお薬になるかと思います。

 

しかしながらトレドミンを使っていくと、はじめは体重減少する傾向にあり、次第に体重増加する傾向にあります。

 

体重減少に関しては、胃腸障害によって食欲が落ちる影響が大きいかと思います。長期に使って体重増加していくのは、精神症状が改善していくためかと思います。元気になって食欲が増加していくということと考えています。

 

トレドミンで太ってしまった場合の対処法としては、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

トレドミンと胃腸症状

トレドミンの副作用で最も多いのは、胃腸症状になります。

 

発売後の調査では、

  • 悪心:4.59%
  • 嘔吐:1.27%
  • 便秘:1.83%
  • 下痢:0.29%

このようになっています。

 

この原因は、トレドミンによるセロトニン刺激作用になります。セロトニンは脳だけでなく、胃腸にも作用してしまいます。

 

胃腸が動いてしまうことが多く、吐き気が認められるときは下痢も認められることが多いです。その一方で、便秘になることもあります。

 

トレドミンによる胃腸症状は飲み始めがピークで、数日して徐々に慣れていくことが多いです。

 

このためトレドミンで胃腸症状が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬を減量する
  • 胃腸症状を和らげるガスモチンなどを併用する
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

トレドミンと排尿障害(尿閉・排尿困難)

トレドミンでは、排尿障害に注意が必要です。おっしこが出にくくなってしまい、場合によっては排尿ができなくて膀胱がパンパンになって苦しい思いをすることがあります。

 

これはトレドミンが、ノルアドレナリンを増加させることが関係しています。ノルアドレナリンは交感神経を刺激する物質で、脳だけでなくて身体にも作用してしまいます。

 

緊張しているときなどの交感神経が優位となっている場面をイメージしていただくと、理解しやすいかと思います。このようなときはトイレに行っている場合ではないので、尿を出しにくくします。

 

特に高齢男性では、前立腺は肥大していることが多いです。そこにトレドミンによる尿閉が重なると、とどめとなって排尿障害が出現してしまうことがあります。

 

トレドミンによって排尿障害が認められた場合は、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬を少しずつ増量する
  • 排尿障害を和らげるハルナールなどを併用する
  • 他の抗うつ剤に変更する

これらを考えていきます。

トレドミンの離脱症状と減薬方法

トレドミンを減量していく場合には、離脱症状に注意していく必要があります。

 

トレドミンを長期間服用していると、からだにお薬があることが当たり前になっていきます。その状態で急激にお薬を減らしてしまうと、心身に不調が生じてしまいます。

  • 身体症状:しびれ・耳鳴り・めまい・頭痛・吐き気・だるさ
  • 精神症状:イライラ・ソワソワ感・不安・不眠
  • 特徴的な症状:シャンピリ感・ビリビリする

 

これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。

 

トレドミンは作用時間が短いのですが、作用がマイルドなために離脱症状はそこまで目立ちません。しかしながら離脱症状が認められることもあるため、トレドミンの減量は少しずつ行っていく必要があります。

 

トレドミンは剤形が豊富なため、少しずつ減量を進めていくことができます。離脱症状は、抗不安薬(精神安定剤)を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。以下のような方法で、少しずつ減薬して断薬を試みていきます。

 

抗うつ剤の減量方法をまとめました。

トレドミンの運転への影響

トレドミンはこれまで、運転や高所作業などの危険作業などは禁止とされていたお薬でした。トレドミンに限らず、心の病気の治療薬は多くが運転禁止となっていました。

 

これは、トレドミンに眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。そういったリスクがある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得なかったのです。

 

このことは心の病気の患者さんの社会復帰を妨げるとして、長らく議論されてきました。同じような副作用が認められるSSRIでは、「運転や危険作業は注意すること」にとどまっています。

 

こういったことを踏まえて2016年11月25日に厚労省の通知が出され、以下のように添付文章が改訂されました。

眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者にこれらの症状を自覚した場合は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に 従事しないよう指導すること。

これを受けて、トレドミンでは運転が可能となりました。ただし、

  • はじめて使ったとき
  • 他のお薬からの切り替えをしたとき
  • 量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき

は運転や危険作業を行わないことと注意喚起されています。

トレドミンの妊娠・授乳への影響

トレドミンの妊娠への影響から見ていきましょう。トレドミンのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。

 

もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらトレドミンを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

 

トレドミンは、明かな奇形のリスクの報告はありません。トレドミンが影響するのは、むしろ産まれた後の赤ちゃんになります。胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。これによって、離脱症状が生じることがあります。

 

早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 

次に、トレドミンの授乳への影響をみていきましょう。トレドミンのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。

このように記載されています。乳汁中の濃度は血液中の濃度の3倍ほどになると報告されています。

 

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、トレドミンを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

 

母乳を通して赤ちゃんにトレドミンの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

  • 妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準

    A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    B:ヒトでの危険性の証拠はない
    C:危険性を否定することができない
    D:危険性を示す確かな証拠がある
    ×:妊娠中は禁忌

  • 授乳への影響:Hale授乳危険度分類

    L1:最も安全
    L2:比較的安全
    L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    L4:おそらく危険
    L5:危険

抗うつ剤の妊娠・授乳への影響について、お薬ごとに一覧にしてまとめました。

 

トレドミンは、FDA基準で「C」、Hale分類で「L3」となっています。

トレドミン錠のジェネリック医薬品

トレドミンは、2000年に発売されたお薬になります。お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。(先発品)

 

トレドミンのジェネリックは、この特許が切れた後に発売となりました。ジェネリック医薬品としては、一般名(成分名)のミルナシプラン錠として発売されています。(後発品)

 

ミルナシプラン錠は2010年より発売となりました。先発品も時間がたっているため、薬価はジェネリックと同じ水準まで下がってきています。このためトレドミンのジェネリックは、メリット感があまりありません。

 

ジェネリック医薬品になると、様々な製薬会社が製造を行います。これらのお薬は有効成分は同じですが、それぞれが微妙に異なります。というのも、お薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。

 

ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。

 

トレドミンは即効性を期待するお薬ではないため、ジェネリック医薬品に変更しても効果に大きな差はないと推定されます。理屈ではそうですが、心配になってしまう方もいらっしゃいます。その場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。

【参考】トレドミンの作用機序

最後に、トレドミンの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

 

トレドミンは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。

 

モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。トレドミンなどの抗うつ剤は、

このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

 

おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。

  • セロトニン(不安や落ち込み)
  • ノルアドレナリン(意欲や気力の低下)
  • ドーパミン(興味や楽しみの減退)

これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています。

 

抗うつ剤の神経伝達物質と症状の関係についてグラフでまとめました。

 

トレドミンはこれらの物質のうち、

  • セロトニン
  • ノルアドレナリン

の働きを強めます。

 

トレドミンは、再取り込み阻害という方法をとります。セロトニンやノルアドレナリンといったモノアミンは、役目を果たすと不要になるため、再取り込みという形で回収されていきます。トレドミンはこの働きの邪魔をして、セロトニンやノルアドレナリンの働きを強めます。

 

これらの物質が直接的に効果があるのならば、すぐにでも抗うつ効果が認められるはずです。しかしながら実際には、2週間くらいかけて効果が認められます。タイムラグがあることは、トレドミンなどの抗うつ剤の作用が単純ではないということを意味しています。

【参考】トレドミンの痛みに対する作用機序

トレドミンは、痛みにも効果が期待できます。痛みに対する作用のメカニズムは、うつとは異なります。

 

トレドミンの痛みを抑える効果は、下行疼痛抑制系神経が関係しています。

 

身体が傷つくと、その刺激が脳に届いて「痛み」として感じられます。その刺激は神経が伝えていきますが、脊髄で次の神経にバトンタッチし、脳に伝えられます。

  • 痛み刺激→脊髄→脳

ですが状況によっては、痛みを感じている場合ではないときもあります。例えば敵に襲われて全力で逃げているときは、傷ついても痛みを感じにくくなっています。

 

身体には、痛みを感じにくくする仕組みもあります。それが下行疼痛抑制系神経になります。脳から脊髄にのびていて、痛みのバトンタッチを抑える働きがあります。

 

セロトニンやノルアドレナリンは、この痛みを感じにくくする仕組みの働きを強めます。トレドミンはセロトニンやノルアドレナリンの働きを強めることによって、痛みをコントロールできるようになります。

 

このため、痛みに対する効果は抗うつ効果よりも早く実感できることがあります。

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