インヴェガ診療内容/精神科

インヴェガ(パリペリドン)とは?

インヴェガ(一般名:パリペリドン)は、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)になります。

 

インヴェガは、すでに発売されていたリスパダール(一般名:リスパダール)を改良して作られました。有効成分だけを取り出し、少しずつ吸収させるようにして効果の持続を長くしています。

 

それによって副作用が抑えられ、インヴェガはリスパダールよりも鎮静作用が少ないお薬になります。

 

ドパミンだけでなくセロトニンもブロックすることで、過剰なドパミン遮断を和らげるお薬になります。このため、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)というカテゴリーに分類されています。

 

過剰なドパミンの働きを抑える働きがあるため、

  • 統合失調症

の治療薬として開発されました。

 

幻聴や妄想といった陽性症状にしっかりとした効果が期待でき、陰性症状(意欲減退や感情鈍麻)や認知機能の改善に効果が期待できます。

 

現在日本で発売されているSDAは4剤となります。

  • リスパダール(一般名:リスペリドン):1996年発売
  • ルーラン(一般名:ペロスピロン):2001年発売
  • ロナセン(一般名:ブロナンセリン):2008年発売
  • インヴェガ(一般名:パリペリドン):2011年発売

 

インヴェガではジェネリック医薬品は発売されておらず、先発品のみとなっています。ジェネリックが発売されると、一般名のパリペリドンとして発売されることが予想されます。

リスパダールとインヴェガの違い

インヴェガは、リスパダールを2つの面で改良したお薬になります。

  • リスパダールが代謝されて作られる有効成分のみ取り出した
  • 少しずつお薬が溶け出る錠剤にした

 

リスパダールは体内で代謝され、すぐにパリペリドンに変化します。このパリペリドンが効果の中心であり、これを取り出すことで副作用を軽減したのがインヴェガになります。

 

このためインヴェガは、肝臓で代謝を受ける必要が少なく、おもに腎臓から排泄されるお薬になっています。

 

またインヴェガは、剤形にも工夫がなされています。OROSという特殊な技術で、浸透圧を利用して有効成分が少しずつ溶け出すように作られています。

 

ゆっくりと有効成分が溶け出るため効果の即効性は乏しく、頓服としては向かないお薬になります。ですが血中濃度が安定して副作用が少なくなり、薬の作用が長くなることで効果が安定します。

インヴェガの効果・効能が期待できる病気

インヴェガで期待できる効果・効能についてみていきましょう。

 

インヴェガはドパミンとセロトニンに作用して、その働きをブロックすることで効果を期待します。このためドパミンが過剰となって生じる幻聴や妄想の改善が期待でき、ドパミンを過剰にブロックしてしまうことでの副作用を軽減します。

 

このためインヴェガは、

  • 統合失調症

に効果・効能が期待できます。

 

インヴェガは、幻聴や妄想などの陽性症状に対しての効果が期待できます。もとになったリスパダールに比べると鎮静作用が少なく、眠気やふらつきなどが軽減されているお薬です。

 

このためインヴェガは、あまり興奮などが目立たない統合失調症の患者さんに使われることが多いです。興奮は目立たないものの、幻覚や妄想などの陽性症状が認められる場合に効果が期待できます。

 

また、リスパダールよりも副作用が軽減されており、服用回数も1回で効果が安定します。このため、リスパダールから切り替えていくことが多いです。

インヴェガの適応が正式に認められている病気

インヴェガの適応が正式に認められている病気は、

  • 統合失調症

のみとなっています。

 

インヴェガは他のお薬のように適応外で使われることは少なく、統合失調症で使われることが基本となります。

海外での適応からみるインヴェガの効果

インヴェガは海外では、

  • 統合失調症
  • 統合失調感情障害の精神病症状や躁症状

の適応が認められています。

 

双極性障害での適応は認められておらず、統合失調感情障害での適応がみとめられています。統合失調感情障害とは統合失調症に関連した病気で、気分の変動が重なる病気です。

 

躁症状はドパミン過剰な状態になっているともいわれているため、インヴェガの効果は期待できます。しかしながらインヴェガは鎮静作用が弱いため、効果はそこまで期待できません。

 

このため躁状態に対しては、他のお薬が使われることが多いです。

インヴェガの特徴

  <メリット>

  • 幻覚や妄想などの陽性症状に効果が期待できる
  • 陰性症状や認知機能の改善にも効果がある
  • 眠気やふらつきなどの副作用が軽減されている
  • 肝臓への負担が少ない(おもに腎臓で代謝)
  • 1日1回の服用で効果が安定する
  • 持続性注射剤(ゼプリオン)が発売されている

  <デメリット>

  • ドパミン系の副作用がやや多い(錐体外路症状・高プロラクチン血症)
  • 陰性症状の改善がマイルド
  • 鎮静作用が弱い
  • ジェネリックが発売されていない(薬価が高い)

 

それではインヴェガの特徴を、

  1. 効果
  2. 副作用
  3. 剤形と薬価

に分けてみていきましょう。インヴェガ以外の抗精神病薬との比較も行っていきます。

インヴェガの効果

インヴェガは、

  • 幻聴や妄想を軽減

に効果が期待できます。

 

それではインヴェガは、抗精神病薬の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。インヴェガの作用について、他の抗精神病薬と比較してみましょう。

 

抗精神病薬の作用プロファイルをまとめました。(Ki値での比較)

インヴェガは、

  • ドパミンにしっかりと作用する
  • 抗α1作用が強い

という特徴があります。

 

このため、ドパミン過剰による幻覚や妄想といった陽性症状に対しての効果が期待できます。その一方で、ドパミンをブロックしすぎてしまうことでの副作用(錐体外路症状・高プロラクチン血症)が認められます。

 

また、インヴェガは抗α1作用が強く、これが鎮静作用につながることがあります。しかしながら、リスパダールよりも鎮静作用はマイルドになります。

 

鎮静作用がマイルドなことは、

  • メリット:眠気やふらつきが少ない
  • デメリット:興奮を抑える効果が期待しにくい

こういったことにつながります。

 

また、インヴェガはリスパダールよりも少しずつ作用するため、1日1回の服用でも効果が安定します。

インヴェガの副作用

インヴェガの副作用としては、

  • ドパミン遮断の副作用:錐体外路症状や高プロラクチン血症

が目立ちます。

 

リスパダールよりも抑えられていますが、

  • 抗α1作用による副作用:ふらつき・立ちくらみ・射精障害
  • 代謝系の副作用:体重増加や高血糖(糖尿病)
  • 鎮静による副作用:眠気やふらつき

なども認められます。

 

 

抗精神病薬で副作用を比較すると、以下のようになります。

 

抗精神病薬の副作用を表にして比較しました。

 

またインヴェガは、代謝して排泄するのは主に腎臓になります。多くのお薬が肝臓で代謝されるため、インヴェガは肝臓への負担がかかりにくいお薬になります。

 

インヴェガの承認時の副作用報告では、

  • プロラクチン増加(34.3%)※高プロラクチン血症(3.8%)
  • 統合失調症の悪化(21.8%)
  • 体重増加(14.7%)
  • 錐体外路症状(14.1%)
  • 便秘(9.6%)

このようになっています。

 

便秘に関しては、インヴェガ自体は抗コリン作用が少ないお薬なので、直接的な副作用としては多くはありません。しかしながら副作用止めに抗コリン薬が使われることが多く、この副作用による便秘は多いです。

 

インヴェガの剤形と薬価

インヴェガのお薬としての特徴についてみていきましょう。

 

インヴェガではジェネリックは発売されておらず、先発品のみとなります。

 

インヴェガは、

  • 錠(3mg・6mg・9mg)

の3つの剤形のみとなります。それに加えて、

  • 持続性注射剤(25mg・50mg・75mg・100mg・150mg)

としてゼプリオンという商品名で発売されています。有効成分はインヴェガもゼプリオンも同じになります。

 

それぞれの薬価は、

  • 3mg錠:253.2円
  • 6mg錠:465.7円
  • 9mg錠:590.4円
  • 持続性注射剤ゼプリオン25mg:18420円
  • 持続性注射剤ゼプリオン50mg:29533円
  • 持続性注射剤ゼプリオン75mg:38895円
  • 持続性注射剤ゼプリオン100mg:47214円
  • 持続性注射剤ゼプリオン150mg:62071円

    ※2018年4月現在の薬価になります。

 

これに自己負担割合(1~3割)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。

 

インヴェガはジェネリックが発売されておらず、薬価は高くなってしまいます。ゼプリオンは非常に薬価が高いため、自立支援医療制度を利用していきます。

インヴェガの用法と効果のみられ方

インヴェガ錠は、以下のような用法となっています。

  • 開始用量:3mg
  • 維持量:6mg
  • 用法:1日1回
  • 最高用量:12mg

 

このようにインヴェガは、3mgずつ少しずつ増量していくお薬になります。インヴェガ3mg≒リスパダール2mgと強さが同じというイメージになります。

 

インヴェガは作用時間が長く、1日1回の服用で効果を安定します。効果が安定してくるまでには時間がかかるので、2週間ごとにじっくりと調整していくが多いです。

【参考】インヴェガの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

  • 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間

が重要になってきます。

 

インヴェガは、

  • 半減期(T1/2):19.6~22.9時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):24時間

となっています。

 

このようにインヴェガの作用時間は長く、1日1回の服用でも効果が安定します。

ゼプリオンの効果と副作用

インヴェガは、持続性注射剤のゼプリオンが発売されています。

 

持続性注射剤は、Long Acting Injectionの頭文字をとって、LAIとも呼ばれています。その名の通り、効果が持続する注射剤になります。

 

肩かお尻(腰の下の方)を筋肉注射することで、お薬の有効成分が徐々に血中に溶け出していくことで、効果が1か月ほど持続します。お尻の方が痛みが少ないため、1カ月に1度、左右を入れ替えて筋肉注射することが多いです。

 

<メリット>

  • 服用の手間がなくなる
  • 飲み忘れによる症状悪化を防げる
  • 副作用が軽減する
  • 減薬での身体の負担が少ない

<デメリット>

  • 注射の痛みがある
  • ブルーレター(警告)が出されている
  • 薬価が高い

 

ゼプリオンのメリットは、お薬の服用の手間がなくなり、飲み忘れがなくなることです。統合失調症では、お薬の服用を中断してしまうことが再発の一番のリスクです。これを防ぐことで再発を防ぎます。

 

そして副作用に関しても、血中濃度の変化が小さくなるために軽減されます。飲み薬は腸で吸収されて肝臓で代謝されてから脳に作用しますが、持続性注射剤ではダイレクトに脳に作用します。

 

注射の痛みと、その薬価の高さがネックになるお薬です。ゼプリオンを使う方は、自立支援医療の申請を行って負担を軽減することができます。

 

またゼプリオンでは、ブルーレターという警告が出されて世間を騒がせました。リスパダールの持続性注射剤のリスパダールコンスタと比較し、死亡率が3倍ほど高い(1万例ほどで21例)という報告がなされました。

 

その後の製薬会社の調査で、

  • 高齢者には慎重に使っていくこと
  • なるべくお薬を併用せずにシンプルにすること

これを守ることで、大きな危険性はないことが報告されています。

 

用法・用量を守って使っていけば、ゼプリオンは副作用も軽減されて飲み忘れもなくなり、統合失調症の治療にとても有効です。過度に心配しないでください。

ゼプリオンの用法・用量

インヴェガの持続性注射剤であるゼプリオンについて、その用法と用量をみていきましょう。

 

ゼプリオンを使っていく前に、まずは同じ有効成分のインヴェガやリスパダールで安全性や効果を確認していきます。いきなり持続性注射剤を使ってしまうと、お薬の成分が身体から抜けるまでに時間がかかってしまうからです。

 

どれくらいの量が必要かを錠剤で見定めてから、持続性注射剤に切り替えていきます。およその目安としては、ゼプリオン25mg≒インヴェガ2mgになります。

 

ゼプリオンの用法は、以下のようになります。

  • 適応:統合失調症
  • 開始用量:150mg(1週間後に100mg)
  • 飲み薬と併用しない
  • 維持用量:75mg
  • 25mg~150mgで増減可 ※1回50mgの増量まで
  • 4週間に1回の注射

補足していきましょう。

 

ゼプリオンは内服薬との併用はせず、はじめに一気に注射をして血中濃度を立ち上げてしまいます。まず150mgの注射をして、その1週間後に100mgを注射します。

 

その後は4週間に1回の間隔で、75mgを目安として25mg~150mgで調整していきます。1回の増量は50mgまでで、効果が安定するのには3か月くらいかかります。

 

なお、腎機能が良くない方(50<クレアチニン<80)は用法が異なります。

  • 開始:100mg
  • 1週間後:75mg
  • その後4週間ごと:50mg
  • 25mg~100mgで増減可 ※1回25mgの増量まで

リスパダール・インヴェガの錠剤と持続性注射剤の関係

リスパダールとインヴェガ、それぞれの持続性注射剤(LAI)について整理していきましょう。

  • インヴェガ:リスパダールの代謝産物
  • リスパダールコンスタ:リスパダールの持続性注射剤
  • ゼプリオン:インヴェガの持続性注射剤

このようになります。

 

それぞれの強さの関係は、

  • リスパダール2mg≒インヴェガ3mg
  • リスパダール2mg≒リスパダールコンスタ20mg
  • インヴェガ3mg≒ゼプリオン37.5mg

このようになっています。

 

リスパダールコンスタは2週間に1回の注射ですが、ゼプリオンは4週間に1回の注射となります。このため、リスパダールコンスタからゼプリオンに切り替えるケースもあります。

 

この場合はすでに有効血中濃度に達しているため、リスパダールコンスタを注射するタイミングから、同じ用量に相当するゼプリオンを注射していきます。

 

  • リスパダールコンスタ:ゼプリオン≒20mg:37.5mg

となりますので、およそ1:2の関係になります。このため、

  • リスパダールコンスタ25mg→ゼプリオン50mg
  • リスパダールコンスタ50mg→ゼプリオン100mg

となります。

服用時期でみたインヴェガの副作用

インヴェガの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

 

抗精神病薬SDAでの服用時期での副作用の違いをまとめました。

 

インヴェガの飲み始めに注意すべきなのは、錐体外路症状になります。ドパミンを遮断しすぎてしまうことでの副作用で、

  • アカシジア:ソワソワして落ちつかない
  • ジストニア:異常な筋肉の緊張
  • パーキンソニズム:筋肉のこわばりや振戦(ふるえ)

などの副作用が起こることがあります。

 

それに加えて、インヴェガではリスパダールより少ないですが鎮静作用が認められることもあります。眠気は服用を続けていくうちに少しずつ慣れていきますが、服用中も注意が必要になります。

 

そして服用を続けていく中で問題となるのが、

  • 高プロラクチン血症:乳汁分泌や生理不順(性機能障害)
  • 糖代謝異常:高血糖や糖尿病
  • 肝・腎機能障害:肝機能障害や腎機能障害

になります。

 

ドパミン遮断作用によってプロラクチンが上昇してしまい、出産直後の状態と同じような高プロラクチン血症が認められます。女性では生理不順(生理がこない)、男性では性機能障害が認められます。

 

そして糖代謝に悪影響を与えて高血糖になりやすくなり、糖尿病に進行してしまうこともあります。また、肝臓や腎臓に負担がかかってしまって機能が低下してしまうことがあるため、あわせて定期的に採血して行く必要があります。

 

お薬を減薬していく際には、離脱症状や悪性症候群の可能性があります。インヴェガは離脱症状が認められることがあり、減薬の際に心身の不調が認められることがあります。

 

またお薬の増減によって、悪性症候群が起こることがあります。悪性症候群は発熱や意識障害に加え、錐体外路症状(手足の震えやこわばり、嚥下障害)、自律神経症状、横紋筋融解症(筋肉の痛み)などが認められます。お薬の増減の後に、咳や鼻水などがなくて高熱が認められた場合は、注意が必要です。

 

抗精神病薬SDAの副作用を一覧にしました。

インヴェガの副作用の対処法

インヴェガの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

インヴェガで副作用が認められた場合、

  • 何とかなるなら様子を見る(経過観察)

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、落ちついてくることが多いためです。

 

しかしながらどうしても症状が改善しない場合は、主治医に報告して相談してください。インヴェガを使っていったほうが良い場合は、症状を和らげるお薬を併用してしばらく様子を見ることもあります。

 

生活習慣で改善ができる部分があれば、並行して行っていくことも大切です。

 

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

 

インヴェガの副作用で多くの方が気にされるのが、

  • 眠気
  • 太る

になります。

 

インヴェガで特徴的な副作用は、

  • 錐体外路症状
  • 高プロラクチン血症

になります。

 

これらのインヴェガの副作用について、対処法も含めて詳しくお伝えしていきます。

インヴェガと眠気・不眠

インヴェガ承認時での副作用頻度をみてみましょう。

  • 眠気(傾眠):2.9%
  • 不眠:8.7%

このようにインヴェガは、眠気と不眠のどちらも報告されています。

 

インヴェガは眠気は少ないお薬ではあります。むしろ不眠が多いですが、精神病症状が改善していないことが原因の不眠も含まれているため、お薬の直接的な副作用での不眠は少ないかと思います。

 

インヴェガで眠気が生じる原因としては、

  • 抗ヒスタミン作用や抗α1作用の直接的な眠気
  • セロトニン2A遮断作用による深部睡眠の増加

こういったことが考えられます。

 

インヴェガは抗α1作用が強いのですが、効き方が穏やかなために直接的な眠気は少ないです。セロトニン2A遮断作用によって、深い睡眠が増加する傾向はあります。

 

インヴェガで眠気が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(夕食後や就寝前)
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する
  • 昇圧剤の追加(メトリジンなど)※起立性低血圧の場合

といったことがあります。

インヴェガと体重(太る?痩せる?)

インヴェガでは、体重や血糖について注意が必要です。

 

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため、一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。

 

ですがインヴェガは代謝を悪くしてしまい、食欲も増加させてしまいます。基本的には太る傾向にあるお薬になります。

 

インヴェガ承認時での副作用頻度は、

  • 体重増加:14.7%
  • 体重減少:3.2%

このように報告されています。このようにインヴェガは、太りやすい傾向にあるお薬ではあります。ですが抗精神病薬のMARTAと比べれば、太りにくいです。

 

インヴェガで太る原因は、

  • 抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用の直接的な食欲増加
  • 原因不明だが、非定型抗精神病薬が代謝を低下させるため

が考えられます。

 

抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用は、いずれも食欲を増加させる働きがあります。これらが直接的に食欲増加を生じ、インヴェガの直接的な食欲増加の原因となります。

 

また原因がよくわかっていませんが、昔からある定型抗精神病薬に比べて、非定型抗精神病薬は代謝が低下することが分かっています。

 

これらが合わさり、インヴェガは太る傾向にはあるお薬です。そしてインヴェガで太ってしまった場合の対処法としては、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する

といったことがあります。

リスパダールと錐体外路症状

インヴェガでは、お薬を増量していく過程で錐体外路症状が認められることが少なくありません。

 

錐体外路症状とは、運動調節に関係する神経系の異常による症状のことをいいます。私たちは、特に意識せずにスムーズに体を動かすことができます。その背後には、錐体外路を通っている神経が、筋肉の働きなどを勝手に微調整してくれています。

 

錐体外路の働きにはドパミンが重要な役割をしていて、ドパミンが過剰にブロックされてしまうことで、以下のような症状が認められます。

  • アカシジア:ソワソワして落ちつかない
  • ジストニア:筋肉の異常な緊張(眼球上転・首がつっぱる)
  • パーキンソニズム:筋肉のこわばりや振戦(ふるえ)

服用をはじめて増量するにつれて、副作用のリスクが高まります。いずれもお薬の飲み始めが多いですが、服用を続けて行く中で少しずつ症状が目立ってくることもあります。

 

インヴェガで錐体外路症状が認められた場合の対処法は、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬を併用する(抗不安薬・βブロッカー・抗コリン薬)
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する

といったことがあります。

インヴェガと高プロラクチン血症

インヴェガは、下垂体で必要なドパミンをブロックしてしまうことで、プロラクチンというホルモンの分泌を増加させます。

 

プロラクチンは母乳の分泌を促す作用があるホルモンで、授乳中の女性に分泌されるホルモンになります。ですから授乳中のような状態になってしまいます。

 

このため高プロラクチン血症になってしまうと、

  • 急に母乳がでてくる(乳汁分泌)
  • 生理が遅れてしまう(生理不順)
  • 不妊になってしまう(無排卵・無月経)

といった副作用がみられます。男性では、

  • 胸がふくらんでくる(女性化乳房)
  • 性欲が落ちる(性機能低下)

といった副作用がみられます。

 

採血によってプロラクチンの値を調べれば、高プロラクチン血症かどうかは判明します。インヴェガは脂に溶けにくいため脳に移行しない成分も多く、脳の外にある下垂体に作用しやすいために高プロラクチン血症は多いです。

 

高プロラクチン血症が認められた場合は、

  • お薬を減量する
  • 他の抗精神病薬に変更する

のどちらかになります。減量しては効果が不十分になることも多く、お薬を変更することが多いです。

インヴェガの離脱症状と減薬方法

インヴェガは、そこまで離脱症状は多くありません。ですが長期で服用している場合は、少しずつ減量していく必要があります。

 

インヴェガの離脱症状としては、

  • ドパミン作動性:幻覚や妄想(過感受性精神病)・アカシジア・ジスキネジア
  • コリン作動性:精神症状(不安・イライラ)・身体症状(不眠・頭痛)・自律神経症状(吐き気・下痢・発汗)

この2つの離脱症状が認められることがあります。

 

インヴェガはドパミンをブロックするお薬ですので、ドパミン作動性の離脱症状が起こることがあります。

 

その一方で、インヴェガは直接的なコリン作動性の離脱症状は少ないです。これはインヴェガの抗コリン作用が少ないためですが、むしろ副作用止めに注意が必要です。

 

インヴェガは錐体外路症状が問題となることが多く、抗コリン薬(アキネトンやアーテン)を副作用止めに使うことがあります。インヴェガの離脱症状だけでなく、副作用止めのコリン作動性離脱に注意する必要があります。

 

コリン作動性の離脱症状とは、抑え込まれていたアセチルコリンが急に解放されることで、リバウンドによりアセチルコリンの活動が一気に高まってしまうことでの症状です。

 

アセチルコリンは副交感神経という自律神経の調整をしているので、吐き気や下痢といった胃腸症状などの自律神経症状、不眠や頭痛などの身体症状、不安やイライラなどの精神症状が認められます。

 

これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、まれに月単位で続いてしまうこともあります。

 

こういった離脱症状を防ぐために、インヴェガや副作用止めの減量は少しずつ行っていきます。離脱症状がひどい場合は元のお薬の量に戻し、減量のペースを緩めていきます。減量の方法は、以下の2つの方法があります。

 

インヴェガの運転への影響

心の病気の治療薬は多くが運転や危険作業が禁止となっていました。

 

これは眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。そういったリスクがある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得ませんでした。

 

インヴェガの添付文章でも同様に、

眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

という表現となっています。

 

統合失調症でも、症状がコントロールできていれば運転免許は取得することができます。(医師の診断書が必要)

 

インヴェガのもととなったリスパダールを使っている統合失調症患者さんでは、健康な人と比較して精神運動能力 (視覚・注意力・反応時間・感覚運動能力)の低下が認められたという報告があります。

 

しかしながら、お薬を服用せずに病状が良くない方が運転に悪影響があるかもしれませんし、薬を服用したら運転禁止とするべきかは悩ましいところです。

 

インヴェガだけでなく、ほとんど全てのお薬で運転禁止となっています。運転できないことが、社会復帰の妨げになってしまうこともあります。自己責任にはなりますが、お薬を服用しながら運転されている方もいるのが実情です。

 

ただし、

  • はじめて使ったとき
  • 他のお薬からの切り替えをしたとき
  • 量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき

は無理をせず、運転は控えていただいたほうがよいです。

インヴェガの妊娠・授乳への影響

インヴェガの妊娠への影響から見ていきましょう。インヴェガのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。

 

もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらインヴェガを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

 

統合失調症は、お薬を減量していくと症状が不安定になるリスクが高まります。ですからその場合は、インヴェガの服用を続けることが多いです。

 

インヴェガは、奇形のリスクに関して明かな報告はありません。インヴェガが影響するのは、産まれた後の赤ちゃんになります。離脱症状や錐体外路症状が認められることがあると報告されています。

 

後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 

次に、インヴェガの授乳への影響をみていきましょう。インヴェガのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。

このように記載されています。

 

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、インヴェガを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

 

母乳を通して赤ちゃんにインヴェガの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。血中濃度の0.24倍が母乳に移行するという報告があります。乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

  • 妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準

    A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    B:ヒトでの危険性の証拠はない
    C:危険性を否定することができない
    D:危険性を示す確かな証拠がある
    ×:妊娠中は禁忌

  • 授乳への影響:Hale授乳危険度分類

    L1:最も安全
    L2:比較的安全
    L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    L4:おそらく危険
    L5:危険

抗精神病薬の妊娠・授乳への影響をまとめました。

 

インヴェガは、FDA基準で「C」となっています。

インヴェガ錠のジェネリック

インヴェガ錠は、2011年に発売されたお薬になります。お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。

 

ですからインヴェガ錠のジェネリックは、2018年現在では発売されていません。もう少しすればジェネリック医薬品が発売されますが、その際は一般名のパリペリドン錠として発売になるかと思います。

 

 

先発品はお薬を開発した会社から発売されますが、ジェネリック医薬品は複数の会社から発売されます。パリペリドン錠も、様々な製薬会社から発売されることが予想されます。

 

これらのお薬は有効成分は同じですが、それぞれが微妙に異なります。というのも、お薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。

 

インヴェガ上はOROSという特殊な剤形でできており、これ自体は先発品を発売したヤンセンファーマ社の特許製剤技術になります。異なる製剤で発売になるでしょう。

 

インヴェガは継続して服用することで効果を期待していくことが中心で、頓服として即効性を期待して使うことは少ないお薬になります。ですからジェネリックのパリペリドン錠が発売されれば、大きな違いはないかと思います。

 

とはいえ、お薬が先発品から変化することに心配になってしまう方もいらっしゃいます。そのような場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。

【参考】インヴェガの作用機序

最後に、インヴェガの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

 

インヴェガが効果が発揮するのは、大きく2つの物質が関係しています。

  • ドパミン
  • セロトニン

ドパミンは脳の中で、大きく4つの働きをしています。

 

抗精神病薬の作用とドパミンへの影響について図にしてまとめました。

 

  • 中脳辺縁系―陽性症状の改善(幻聴や妄想)
  • 中脳皮質系―陰性症状の出現(感情鈍麻や意欲減退)
  • 黒質線条体―錐体外路症状の出現(パーキンソン症状やジストニア)
  • 視床下部下垂体系―高プロラクチン血症(生理不順や性機能低下)

 

統合失調症では、中脳辺縁系でのドパミンの分泌・活動の異常によって幻聴や妄想といった陽性症状が認められると考えられています。この中脳辺縁系のドパミンを抑えることで、陽性症状の改善が期待できます。(ドパミンD2受容体遮断作用)

 

しかしながらドパミンを全体的にブロックしてしまうと、他の部分では必要なドパミンの働きが抑えられてしまいます。他の3つの部分ではドパミンの働きが抑えられてしまい、上記のような副作用が生じます。

 

そこで注目されたのが、ドパミンを抑制する働きのあるセロトニンです。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを高める作用が期待できます。

 

ですから、ドパミン(ドパミンD2受容体)とセロトニン(セロトニン2A受容体)を同時にブロックすれば、陽性症状と陰性症状の両方に効果が期待でき、副作用も軽減されます。

 

こういった作用メカニズムがあるお薬を非定型抗精神病薬(第二世代抗精神病薬)といいます。インヴェガはこの2つの作用がメインのため、非定型抗精神病薬のうちSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)に分類されます。

 

インヴェガのドパミンとセロトニンへの働き方について、以下で詳しくお伝えしていきます。

ドパミンに対する作用

インヴェガは、

  • D2受容体遮断薬(アンタゴニスト)

として働きます。

 

インヴェガは、ドパミン受容体にしっかりと結合して、ドパミンの働きを抑えます。

 

このためドパミンをブロックする作用はしっかりとしており、ドパミン過剰が原因と考えられている幻聴や妄想などの陽性症状の改善が期待できます。

セロトニンに対する作用

インヴェガはセロトニンに対して、

  • セロトニン2A受容体:遮断(アンタゴニスト)
  • セロトニン2C受容体:遮断(アンタゴニスト)

の2つの働きがあります。

 

セロトニン2C受容体遮断作用は、食欲増加などの副作用に関係します。インヴェガでは、中程度認められます。

 

セロトニン2A受容体をブロックすることで、中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを間接的に強めます。これがインヴェガでの陰性症状の改善や副作用の軽減につながります。

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