ルーラン(ペロスピロン)診療内容/精神科

ルーラン(ペロスピロン)とは?

ルーランは、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)になります。

 

ドパミンだけでなくセロトニンもブロックすることで、過剰なドパミン遮断を和らげるお薬になります。このため、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)と呼ばれています。

 

過剰なドパミンの働きを抑える働きがあるため、

  • 統合失調症

の治療薬として開発されました。

 

幻聴や妄想といった陽性症状にしっかりとした効果が期待でき、陰性症状(意欲減退や感情鈍麻)や認知機能の改善に効果が期待できます。

 

そしてルーランは穏やかな鎮静作用があり、不安や落ち込みといった情動を少しずつ落ち着ける効果が期待できます。このため、うつや不安の病気にも使われることがあります。

 

現在日本で発売されているSDAは4剤となります。

  • リスパダール(一般名:リスペリドン):1996年発売
  • ルーラン(一般名:ペロスピロン):2001年発売
  • ロナセン(一般名:ブロナンセリン):2008年発売
  • インヴェガ(一般名:パリペリドン):2011年発売

 

ルーランは発売から年月がたっているため、ジェネリック医薬品が2011年より発売されています。一般名(成分名)のペロスピロン錠として発売されています。

ルーランの効果・効能が期待できる病気

ルーランには、どのような効果・効能が期待できるのでしょうか。

 

ルーランはドパミンとセロトニンに作用して、その働きをブロックすることで効果を期待します。このためドパミンが過剰となって生じる幻聴や妄想の改善が期待でき、ドパミンを過剰にブロックしてしまうことでの副作用を軽減します。

 

それだけでなくルーランは、穏やかに気持ちを落ちつける作用があります。感情を落ち着けて、不安や衝動性を和らげる効果が期待できます。

 

このためルーランは、

  • 統合失調症
  • 不安や落ち込み
  • 衝動がコントロールできない状態(認知症や青少年の行動障害など)

などに効果・効能が期待できます。

 

ルーランは、幻聴や妄想などの陽性症状に対しては効果が不十分となってしまうことが少なくありません。ですが陰性症状や認知機能障害の改善や、感情を安定させる効果が期待できます。

 

うつや不安を改善させて情動を安定させる効果が期待でき、うつ病や強迫性障害などに対して、抗うつ剤の効果増強(augmentation)のために使われることもあります。

 

副作用も全体的に少ないため、高齢者にも優しいお薬となっています。認知症の患者さんの感情の乱れに対しても使われることがあります。それ以外にもパーソナリティ障害など、情動が不安定なりがちな病気でも効果が期待できます。

ルーランの適応が正式に認められている病気

ルーランの適応が正式に認められている病気は、

  • 統合失調症

のみとなっています。

 

このように統合失調症のみの適応ではありますが、

  • 副作用の少なさ
  • 穏やかな鎮静作用

を期待して、様々な病気で適応外として使われています。

 

またルーランは、日本で開発された抗精神病薬になります。海外では販売されていないという珍しいお薬になります。

ルーランの特徴

  <メリット>

  • 陰性症状や認知機能の改善にも効果がある
  • うつや不安に効果が期待できる
  • ある程度の鎮静作用がある
  • 副作用が全体的に少ない
  • ジェネリックが発売されている(薬価がリーズナブル)

  <デメリット>

  • 幻覚や妄想などの陽性症状をコントロールできないことが多い
  • 1日に3回の服用が必要
  • 食後に服用する必要がある

 

それではルーランの特徴を、

  1. 効果
  2. 副作用
  3. 剤形と薬価

に分けてみていきましょう。ルーラン以外の抗精神病薬との比較も行っていきます。

ルーランの効果

ルーランは、

  • 幻聴や妄想を軽減
  • うつや不安の改善
  • 衝動性のコントロール

に効果が期待できます。

 

それではルーランは、抗精神病薬の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。ルーランの作用について、他の抗精神病薬と比較してみましょう。

 

抗精神病薬の作用プロファイルをまとめました。(Ki値での比較)

ルーランは、

  • ドパミンにしっかりと作用するが、すぐに受容体から離れる
  • 全体的に他の受容体への影響が少ない

という特徴があります。

 

このため、ドパミン過剰による幻覚や妄想といった陽性症状に対しての効果が期待できますが、すぐに受容体から離れてしまい、効果が安定しないことも多いです。

 

その一方で、ドパミンをブロックしすぎてしまうことでの副作用(錐体外路症状・高プロラクチン血症)は抑えられています。陰性症状や認知機能障害の改善も期待できます。

 

ルーランは全体的に他の受容体への作用が少ないですが、抗α1作用や抗ヒスタミン作用などによって、穏やかな鎮静作用が認められます。このため、落ち込みや不安、衝動性を落ちつけるのに効果が期待できます。

ルーランの副作用

ルーランは全体的に副作用が少ないお薬になります。

 

これはルーランの作用が、ルーズであることにあります。受容体には強力にくっつくのですが、すぐに離れてしまいます。

 

ルーランで認められることがある副作用としては、

  • ドパミン遮断の副作用:錐体外路症状や高プロラクチン血症
  • 鎮静による副作用:眠気やふらつき

があげられます。とはいっても、他のお薬と比較して多くはありません。

 

それだけでなく、

  • 代謝系の副作用:体重増加や高血糖(糖尿病)
  • 抗α1作用による副作用:ふらつき・立ちくらみ・射精障害

などが認められることもあります。

 

抗精神病薬で副作用を比較すると、以下のようになります。

 

抗精神病薬の副作用を表にして比較しました。

 

ルーラン承認時の副作用報告では、

  • プロラクチン増加(27.5%)
  • アカシジア(25.6%)
  • 不眠(22.8%)
  • 振戦(15.2%)
  • 筋強剛(12.1%)
  • 構音障害などの錐体外路障害(10.5%)
  • 眠気(14.5%)

となっています。治験では十分な量を使っていくことが多いため、このような副作用頻度となったのかと推察されます。

 

実際に市販後の調査では、

  • アカシジア(2.5%)
  • 眠気(2.2%)
  • 不眠(1.8%)

となります。臨床での実際の副作用は、こちらの方がイメージが近いです。

ルーランの剤形と薬価

ルーランのお薬としての特徴についてみていきましょう。

 

ルーランはジェネリックも発売されており、ペロスピロン錠という名称で発売されています。

 

ルーランは、

  • 錠(4mg・8mg・16mg)

の3剤形になります。

 

ルーランの剤形ごとの薬価をご紹介します。

  • 4mg錠:16.3円(ジェネリック:9.0円)
  • 8mg錠:30.6円(ジェネリック:16.8円)
  • 16mg錠:56.0円(ジェネリックのみ:30.3円)

    ※2018年4月現在の薬価になります。

 

これに自己負担割合(1~3割)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これにお薬の管理料などが加えられて請求されています。

 

ルーランはジェネリックが発売されているため、薬価はリーズナブルになっています。

ルーランの用法と効果のみられ方

ルーラン錠は、以下のような用法となっています。

  • 開始用量:12mg
  • 維持量:12~48mg
  • 用法:1日3回食後
  • 最高用量:48mg

 

ルーランの用量はこのようになっていますが、患者さんによっては4~8mgから開始することもあります。

 

ルーランは作用時間が短いお薬のため、効果を1日安定させたいときは1日3回の服用が必要になります。ルーランは食事の影響が大きく、食後に服用することが重要になります。

【参考】ルーランの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

  • 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間

が重要になってきます。

 

ルーランは、

  • 半減期(T1/2):2.3時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):1.5時間

となっています。このため1日3回の服用で、1日効果が安定するお薬となっています。

 

そしてルーランは、食事の影響を強く受けます。食後にルーランを服用することで、最高血中濃度が高くなり、最高血中濃度到達時間も延びます。

  • 最高血中濃度:1.6倍
  • 最高血中濃度到達時間:1.4倍

となります。

服用時期でみたルーランの副作用

ルーランの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

 

抗精神病薬SDAでの服用時期での副作用の違いをまとめました。

 

ルーランの飲み始めに注意すべきなのは、錐体外路症状になります。ドパミンを遮断しすぎてしまうことでの副作用で、

  • アカシジア:ソワソワして落ちつかない
  • ジストニア:異常な筋肉の緊張
  • パーキンソニズム:筋肉のこわばりや振戦(ふるえ)

などの副作用が起こることがあります。

 

それに加えて鎮静作用により、眠気やふらつきが認められることもあります。眠気は服用を続けていくうちに少しずつ慣れていきますが、服用中も注意が必要になります。

 

そして服用を続けていく中で認められるのが、

  • 高プロラクチン血症:乳汁分泌や生理不順(性機能障害)
  • 糖代謝異常:高血糖や糖尿病
  • 肝・腎機能障害:肝機能障害や腎機能障害

になります。

 

ドパミン遮断作用によってプロラクチンが上昇してしまい、出産直後の状態と同じような高プロラクチン血症が認められます。女性では生理不順(生理がこない)、男性では性機能障害が認められます。

 

そして糖代謝に悪影響を与えて高血糖になりやすくなり、糖尿病に進行してしまうこともあります。また、肝臓や腎臓に負担がかかってしまって機能が低下してしまうことがあるため、あわせて定期的に採血して行く必要があります。

 

お薬を減薬していく際には、離脱症状や悪性症候群の可能性があります。ルーランは離脱症状は少ないですが、減薬の際に心身の不調が認められることがあります。

 

またお薬の増減によって、悪性症候群が起こることがあります。悪性症候群は発熱や意識障害に加え、錐体外路症状(手足の震えやこわばり、嚥下障害)、自律神経症状、横紋筋融解症(筋肉の痛み)などが認められます。お薬の増減の後に、咳や鼻水などがなくて高熱が認められた場合は、注意が必要です。

 

抗精神病薬SDAの副作用を一覧にしました。

ルーランの副作用の対処法

ルーランで副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

ルーランで副作用が認められた場合、

  • 何とかなるなら様子を見る(経過観察)

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、落ちついてくることが多いためです。

 

しかしながらどうしても症状が改善しない場合は、主治医に報告して相談してください。ルーランを使っていったほうが良い場合は、症状を和らげるお薬を併用してしばらく様子を見ることもあります。

 

生活習慣で改善ができる部分があれば、並行して行っていくことも大切です。

 

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

 

ルーランの副作用で多くの方が気にされるのが、

  • 眠気
  • 太る

になります。

 

ルーランの副作用について、対処法も含めて詳しくお伝えしていきます。

ルーランと眠気・不眠

ルーランの承認時の副作用報告をみてみましょう。

  • 眠気(傾眠):14.5%
  • 不眠:22.8%

このようにルーランは、眠気と不眠のどちらも認められます。

 

ですがルーランは、眠気が認められやすいお薬になります。承認時調査では不眠が多いですが、精神病症状が改善していないことが原因の不眠も含まれているため、お薬の直接的な副作用での不眠は少ないかと思います。

 

ルーランで眠気が生じる原因としては、

  • 抗ヒスタミン作用や抗α1作用の直接的な眠気
  • セロトニン2A遮断作用による深部睡眠の増加

こういったことが考えられます。

 

ルーランは抗ヒスタミン作用や抗α1作用が認められますが、そこまで強いとはいえません。ですから直接的な眠気は、そこまで強くありません。

 

またセロトニン2A遮断作用によって、深い睡眠が増加する傾向にはあります。このためルーランは、どちらかというと眠気の副作用が生じるお薬です。

 

ルーランで眠気が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(夕食後や就寝前)
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する

といったことがあります。

ルーランと体重(太る?痩せる?)

ルーランは他の抗精神病薬に比べると、代謝への影響は少ないお薬になります。

 

とはいえルーランも、どちらかというと代謝を悪化させる方向に働くお薬ではあります。このため、体重や血糖について注意していく必要はあります。

 

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため、一概にお薬の影響だけではありません。ですから、食生活と合わせてお薬の影響の程度を考えていきます。

 

ルーラン承認時での副作用頻度は、

  • 体重増加:2.33%
  • 体重減少:0.47%

このように報告されています。

 

ルーランで太る原因は、

  • 抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用の直接的な食欲増加
  • 原因不明だが、非定型抗精神病薬が代謝を低下させるため

が考えられます。

 

抗ヒスタミン作用や抗セロトニン2C作用は、いずれも食欲を増加させる働きがあります。これらが直接的に食欲増加を生じ、ルーランの直接的な食欲増加の原因となります。

 

また原因がよくわかっていませんが、昔からある定型抗精神病薬に比べて、非定型抗精神病薬は代謝が低下することが分かっています。

 

ルーランは非定型抗精神病薬の中ではマシですが、太る傾向にはあるお薬になります。

 

そしてルーランで太ってしまった場合の対処法としては、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する

といったことがあります。

ルーランの離脱症状と減薬方法

ルーランは作用が穏やかなため、そこまで離脱症状は多くありません。ですが長期で服用している場合は、少しずつ減量していく必要があります。

 

ルーランの離脱症状としては、

  • ドパミン作動性:幻覚や妄想(過感受性精神病)・アカシジア・ジスキネジア
  • コリン作動性:精神症状(不安・イライラ)・身体症状(不眠・頭痛)・自律神経症状(吐き気・下痢・発汗)

この2つの離脱症状が認められることがあります。

 

ルーランはドパミンをブロックするお薬ですが、ルーズですぐにドパミン受容体からはずれてしまいます。このため、ドパミン作動性の離脱症状は少ないです。

 

ルーランは抗コリン作用もわずかなため、直接的なコリン作動性の離脱症状は少ないです。ですが、錐体外路症状の副作用止めを使っている場合には、その減量に注意が必要です。

 

錐体外路症状を和らげるために、抗コリン薬(アキネトンやアーテン)を副作用止めに使うことがあります。急に減量してしまうと、コリン作動性離脱症状が認められることがあります。

 

これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、まれに月単位で続いてしまうこともあります。

 

こういった離脱症状を防ぐために、ルーランや副作用止めは少しずつ減量していきます。離脱症状がひどい場合は元のお薬の量に戻し、減量のペースを緩めていきます。減量の方法は以下の2つの方法がありますが、漸減法を行っていくことが一般的です。

 

ルーランの運転への影響

心の病気の治療薬は多くが運転や危険作業が禁止となっていました。

 

これは眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。そういったリスクがある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得ませんでした。

 

ルーランの添付文章でも同様に、

眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

という表現となっています。

 

統合失調症でも、症状がコントロールできていれば運転免許は取得することができます。(医師の診断書が必要)

 

お薬を服用せずに病状が良くない方が運転に悪影響があるかもしれませんし、薬を服用したら運転禁止とするべきかは悩ましいところです。

 

ルーランだけでなく、ほとんど全ての統合失調症治療薬で運転禁止となっています。運転できないことが、社会復帰の妨げになってしまうこともあります。自己責任にはなりますが、お薬を服用しながら運転されている方もいるのが実情です。

 

ただし、

  • はじめて使ったとき
  • 他のお薬からの切り替えをしたとき
  • 量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき

は無理をせず、運転は控えていただいたほうがよいです。

ルーランの妊娠・授乳への影響

ルーランの妊娠への影響から見ていきましょう。ルーランのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。

 

もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらルーランを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

 

統合失調症は、お薬を減量していくと症状が不安定になるリスクが高まります。ですからその場合は、ルーランの服用を続けることが多いです。

 

ルーランは、奇形のリスクに関して明かな報告はありません。むしろルーランが影響するのは、産まれた後の赤ちゃんになります。離脱症状や錐体外路症状が認められることがあると報告されています。

 

後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 

次に、ルーランの授乳への影響をみていきましょう。ルーランのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。

このように記載されています。

 

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、ルーランを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

 

母乳を通して赤ちゃんにルーランの成分が伝わってしまうことは、動物実験で確認されています。乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

  • 妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準

    A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    B:ヒトでの危険性の証拠はない
    C:危険性を否定することができない
    D:危険性を示す確かな証拠がある
    ×:妊娠中は禁忌

  • 授乳への影響:Hale授乳危険度分類

    L1:最も安全
    L2:比較的安全
    L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    L4:おそらく危険
    L5:危険

抗精神病薬の妊娠・授乳への影響をまとめました。

 

ルーランは海外では使われておらず、妊娠や授乳に関する基準もありません。

ルーラン錠のジェネリック(ペロスピロン錠)

ルーラン錠は、2001年に発売されたお薬になります。お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。

 

ルーラン錠のジェネリックは、この特許が切れた2011年にペロスピロン錠として発売となりました。薬価も先発品の半分以下となっているので、リーズナブルになっています。

 

先発品とジェネリックは、どちらも有効成分は同じになります。しかしながら、お薬の製造方法や製剤工夫は会社によって異なります。このため、全く同一ではありません。

 

ですがジェネリック医薬品は、先発品と同じように効果を示すための試験をクリアしていて、血中濃度の変化がほぼ同等になるように作られています。

 

ルーランは継続して服用することで効果を期待していくことが多く、ジェネリックのペロスピロン錠でも大きな違いはないかと思います。

 

しかしながらルーランは、落ち込みや不安については即効性を期待してつかうこともあります。そういった場合は、効果の実感の違いを感じる方もいます。それだけでなく、お薬が先発品から変化することに心配になってしまう方もいらっしゃいます。そのような場合はもちろん、先発品のまま使っていくことも可能です。

【参考】ルーランの作用機序

最後に、ルーランの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

 

ルーランが効果が発揮するのは、大きく2つの物質が関係しています。

  • ドパミン
  • セロトニン

ドパミンは脳の中で、大きく4つの働きをしています。

 

抗精神病薬の作用とドパミンへの影響について図にしてまとめました。

 

  • 中脳辺縁系―陽性症状の改善(幻聴や妄想)
  • 中脳皮質系―陰性症状の出現(感情鈍麻や意欲減退)
  • 黒質線条体―錐体外路症状の出現(パーキンソン症状やジストニア)
  • 視床下部下垂体系―高プロラクチン血症(生理不順や性機能低下)

 

統合失調症では、中脳辺縁系でのドパミンの分泌・活動の異常によって幻聴や妄想といった陽性症状が認められると考えられています。この中脳辺縁系のドパミンを抑えることで、陽性症状の改善が期待できます。(ドパミンD2受容体遮断作用)

 

しかしながらドパミンを全体的にブロックしてしまうと、他の部分では必要なドパミンの働きが抑えられてしまいます。他の3つの部分ではドパミンの働きが抑えられてしまい、上記のような副作用が生じます。

 

そこで注目されたのが、ドパミンを抑制する働きのあるセロトニンです。このセロトニンをブロックすると、中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを高める作用が期待できます。

 

ですから、ドパミン(ドパミンD2受容体)とセロトニン(セロトニン2A受容体)を同時にブロックすれば、陽性症状と陰性症状の両方に効果が期待でき、副作用も軽減されます。

 

こういった作用メカニズムがあるお薬を非定型抗精神病薬(第二世代抗精神病薬)といいます。ルーランはこの2つの作用がメインのため、非定型抗精神病薬のうちSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)に分類されます。

 

ルーランのドパミンとセロトニンへの働き方について、以下で詳しくお伝えしていきます。

ドパミンに対する作用

ルーランは、

  • D2受容体遮断薬(アンタゴニスト)

として働きます。

 

ルーランはドパミン受容体にしっかりと結合しますが、すぐに離れてしまいます。このため、過剰にドパミンの働きを抑えずにすみます。

 

ですからルーランはドパミンD2受容体をブロックしますが、幻聴や妄想など陽性症状の改善が期待できる一方で、ドパミンを遮断しすぎることでの副作用は少ないです。

 

ですがすぐにお薬が受容体から離れてしまうため、陽性症状のコントロールは甘くなってしまいます。

セロトニンに対する作用

ルーランはセロトニンに対して、

  • セロトニン1A受容体:部分作動(パーシャルアゴニスト)
  • セロトニン2A受容体:遮断(アンタゴニスト)
  • セロトニン2C受容体:遮断(アンタゴニスト)

の3つの働きがあります。セロトニン2C受容体遮断作用は、食欲増加などの副作用に関係します。

 

セロトニン2A受容体をブロックすることで、中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを間接的に強めます。これがルーランでの陰性症状の改善や副作用の軽減につながります。

 

セロトニン1A受容体に対しては、部分作動薬として働きます。セロトニン1A受容体は、抗うつ剤が作用するポイントです。ルーランは1A受容体の働きを強めることで、感情障害に対しても効果が期待できます。

 

抗精神病薬のセロトニン1A受容体に対する作用の比較をしました。

 

ルーランは体内で代謝されることで、ID-15036という物質になります。ID-15036はドパミンには影響しませんが、セロトニン遮断作用はペロスピロンの1/8ほどあります。

 

ID-15036はペロスピロンの6倍の量があるため、セロトニン遮断作用を増強しています。このためルーランは、陰性症状や認知機能改善に効果が期待でき、錐体外路症状や高プロラクチン血症といった副作用の軽減につながります。

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