イフェクサー診療内容/心療内科

イフェクサー(ベンラファキシン)とは?

イフェクサー(一般名:ベンラファキシン)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤になります。

 

セロトニンとノルアドレナリンの働きを高める作用があるお薬で、

  • セロトニン:不安や落ち込み
  • ノルアドレナリン:意欲や気力の低下

といった精神症状の改善に効果が期待できます。

 

現在の日本では3剤のSNRIが発売されています。

  • トレドミン(一般名:ミルナシプラン):2000年発売
  • サインバルタ(一般名:デュロキセチン):2010年発売
  • イフェクサー(一般名:ベンラファキシン):2015年発売

日本では最も新しいSNRIになりますが、海外では1993年に発売となった古くからあるお薬になります。

 

イフェクサーはジェネリックは発売されていないため、現在は先発品のみとなります。ジェネリックが発売されるのはしばらく先ですが、その時にはベンラファキシンとして発売が想定されます。

イフェクサーの効果が期待できる病気

イフェクサーはどのような効果が期待できるのでしょうか。

 

イフェクサーは、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増加させるお薬になります。ノルアドレナリンの働きを強調されることが多いのですが、その作用の割合は30:1ほどといわれています。

 

ですからイフェクサーは、セロトニンを中心にしてノルアドレナリンの効果も期待できるお薬といえます。低用量ではセロトニン作用がメインですが、増量していくとノルアドレナリンの作用が強まっていきます。

 

このためイフェクサーは、

  • うつ病・うつ状態
  • さまざまな不安障害

に効果が期待できます。

 

うつ状態の方では、不安や落ち込みが強く、意欲低下も伴っているときに使われることが多いです。

 

またセロトニンに対する作用が中心であるため、様々な不安障害にも使われることがあります。不安障害にはSSRIから使われることが多いですが、症状を総合的に判断してイフェクサーが使われることもあります。

 

これ以外にも、痛みや注意欠陥障害(ADHD)の治療に有効であるという報告もあります。

イフェクサーの適応が正式に認められている病気

イフェクサーの適応が正式に認められている病気は、以下のようになります。

  • うつ病・うつ状態(2015年)

 

このようにイフェクサーは日本では、うつ病やうつ状態のみの適応となっています。

海外での適応からみるイフェクサーの効果

古くから使われている海外では、日本よりも幅広くイフェクサーの適応が認められています。

 

アメリカでは、

  • うつ病・うつ状態
  • 全般性不安障害
  • 社会不安障害
  • パニック障害

このような適応となっています。

 

日本との違いは、不安障害に対しての適応になります。イフェクサーの作用から考えても、不安障害に対する効果は期待できます。

 

どうして適応が異なるかというと、日本人で効果があることを科学的に実証するために、製薬会社が治験を行う必要があるからです。イフェクサーではうつ病でのみ、治験によって適応が承認されました。

 

このためイフェクサーは、

  • うつ
  • 不安

に効果を期待して使われるお薬であることがお分かりいただけると思います。

イフェクサーの特徴

  <メリット>

  • 意欲や気力を高める効果が期待できる
  • 痛みにも効果が多少期待できる
  • 効果が少し早めに認められる
  • 徐放剤で副作用が少ない
  • 1日1回の服用で効果が期待できる
  • 海外と同じ用量で使える
  • リフレックス/レメロン(一般名:ミルタザピン)と相性が良い

  <デメリット>

  • 賦活症候群によって躁転のリスクに注意が必要
  • 離脱症状がやや多い
  • カプセル錠しかない
  • 先発品しか発売されていない(薬価が高い)

 

それではイフェクサーの特徴を、

  1. 効果
  2. 副作用
  3. 剤形と薬価

に分けてみていきましょう。

イフェクサーの効果

イフェクサーは、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増加させる作用のある抗うつ剤になります。

 

少しではありますがノルアドレナリンの効果があるため、

  • 意欲や気力の回復
  • 痛み

に効果が期待できます。イフェクサーは効果が認められるのがやや早いといわれています。

 

治療の中で他のお薬と併用することがありますが、イフェクサーとNaSSA(リフレックス/レメロン)は相性が良いといわれていて、カルフォルニアロケット療法ともいわれています。(海外ではサインバルタよりイフェクサーが先に発売されて、相性の良さが知られていました)

 

それではイフェクサーは、抗うつ剤の中でどういった効果の位置づけなのでしょうか。イフェクサーの作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の効果をまとめ、比較できるようにしました。

 

イフェクサーなどのSNRIは、

  • セロトニンとノルアドレナリンに効果が期待できる
  • 三環系や四環系に比べて、その他の物質への影響は少ない

ということがお分かりいただけるかと思います。

 

同じSNRIの中で比較してみましょう。作用の特徴は、以下の表のようになります。

 

SNRIのKi値を比較し、効果と副作用の特徴の違いを理解しましょう。

 

※数値は、Ki値になります。数値が少ないほど強力に作用することを意味しています。

 

同じSNRIでイフェクサーを比較すると、

  • トレドミン:イフェクサーよりノルアドレナリン優位
  • サインバルタ:イフェクサーよりノルアドレナリン優位

となっています。

 

このようにイフェクサーは、SNRIの中でもセロトニン有意なお薬になります。SSRIよりのSNRIというイメージになります。

 

イフェクサーは初期用量はセロトニンが中心で、増量するにつれてノルアドレナリンの作用が強まっていきます。

イフェクサーの副作用

ノルアドレナリンを増加させることでのデメリットもあります。

 

一番懸念されるのは、賦活症候群のリスクが高まることです。ノルアドレナリンを増加させるお薬を使うと、

  • 気分を高揚させて躁転させてしまう
  • 不安や焦燥感が急激に強まって自殺衝動を高めてしまう

ことがあります。ですから気分に波がある方や若者では、慎重に使っていく必要があります。

 

またノルアドレナリンによって、

  • 血圧上昇(高血圧)
  • 頻脈(動悸)
  • 排尿困難(尿閉)

などが認められることもあります。

 

イフェクサーはノルアドレナリン作用は少ないため、多くはないですがイフェクサーの副作用になります。高血圧の治療をされている方は、イフェクサーの影響も念頭に置いておく必要があります。

 

とはいえ昔の抗うつ剤に比べると副作用は少なく、安全性は高いお薬です。ですが長期にわたって服用をすると、イフェクサーは離脱症状が生じやすいです。減量する際には、計画的に行っていく必要があります。

 

イフェクサーの副作用について、他の抗うつ剤と比較してみましょう。

 

抗うつ剤の副作用を一覧にして比較しました。

 

イフェクサーの副作用として中心になるのは、セロトニンを刺激してしまうことでの副作用です。

  • 嘔吐や下痢といった胃腸障害
  • 睡眠が浅くなる不眠
  • 性機能障害

といった症状が目立ちます。

イフェクサーの剤形と薬価

イフェクサーのお薬としての特徴についてみていきましょう。

 

まずイフェクサーは、先発品のみの発売となっているお薬です。このため剤形の選択肢が少ないです。

 

現在イフェクサーで発売されているのは、

  • 37.5mgカプセル
  • 75mgカプセル

の2剤形になります。

 

SRカプセルは徐放製剤(Sustained Release)の略になります。カプセルからゆっくりと有効成分が放出されて、からだに吸収されるようにできています。

 

これによって、1日1回の内服でも効果が持続するようになっています。さらには血中濃度を安定させて、副作用が出にくくなっています。

 

ですから、カプセルを取り除く(脱カプセル)ことでのお薬の安定性は検証されていません。

 

カプセルになりますので、サインバルタは細かな用量調節ができないというデメリットがあります。

 

そして先発品のみになりますので、薬価が高くはなってしまいます。

  • 37.5mgカプセル:157.9円
  • 75mgカプセル:265.9円

    ※2018年1月現在の薬価になります。

になりますので、これに自己負担割合をかけた金額になります。

イフェクサーの用法と効果のみられ方

イフェクサーは、以下のようなお薬になります。

  • 開始用量:37.5mg
  • 用法:1日1回朝食後
  • 最高用量:225mg
  • 剤形:カプセル(37.5mg・75mg)

剤形がカプセルのみしかないので、37.5mgより少ない量から開始することはできません。

 

イフェクサーは1日1回服用を続けることで、少しずつ効果が期待できるお薬です。ほかの新しいタイプの抗うつ剤よりも早くから効果が認められることもありますが、およそ2週間~1か月ほどして効果の実感がみられることが多いです。

 

イフェクサーを開始すると、副作用の問題がなければ75mgまで増量します。その後は2週間ごとに効果を判定していきます。効果が不十分な場合は、75mgずつ増量をしていくことが多いです。最高用量の225mgまで使っても効果が不十分な場合は、

  • 他の抗うつ剤を追加
  • 抗精神病薬や気分安定薬を追加(増強療法)
  • 他の抗うつ剤に変更
  • 薬物療法のアプローチの変更(診断の見直し)

を検討していきます。

 

イフェクサーは海外と同じ用量まで使えるという特徴があります。抗うつ剤を追加する場合、NaSSA(リフレックス/レメロン)との相性が良いといわれていて、カルフォルニアロケット療法ともいわれています。

 

イフェクサーは、

  • 75~150mg:セロトニンが中心
  • 150~225mg:ノルアドレナリンの作用が増加

となります。このため気力や意欲が低下している方は、高用量までしっかりと使うことが必要になることがあります。

【参考】イフェクサーの半減期

お薬の効き方を見ていくにあたっては、

  • 半減期:血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間:血中濃度がピークになるまでの時間

が重要になってきます。

 

イフェクサーは、

  • 半減期(T1/2):9.3時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):6時間

となっています。イフェクサーは6時間でピークになり、そこから9.3時間で半分の量になるということになります。つまり、服用してから15~16時間ほどで半分になってしまいます。

 

ですがイフェクサーは、体の中で分解されてデスベンラファキシンという活性代謝産物になります。こちらは、

 

  • 半減期(T1/2):11~12時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):8~10時間

となりますので、効果は1日持続します。

 

デスベンラファキシンは、海外ではプリスティークとして発売されています。

 

お薬の血中濃度は、飲み続けていくことで安定していきます。およそ半減期の4~5倍の時間で安定するといわれていて、このようになると定常状態と呼ばれます。

 

ですからイフェクサーの血中濃度は、安定するまでに3~4日ほどかかります。

服用時期で注意するイフェクサーの副作用

イフェクサーの副作用について、服用時期ごとにみていきましょう。

 

抗うつ剤の服用時期と副作用をまとめました。

 

イフェクサーの飲み始めに注意すべきこととして、賦活症候群(アクチベーション シンドローム)があげられます。

 

中枢神経系を刺激してしまうことで、気分が高揚して躁転してしまったり、不安や焦りが高まって衝動的に、自殺企図をしてしまうことがあります。こういった異様な精神状態が認められた場合は、すぐに中止してください。

 

そして飲み始めには、セロトニンを刺激してしまうことによる副作用が認められることが多いです。イフェクサーの副作用として最も多いのは、下痢や吐き気といった胃腸障害です。その他にも様々な副作用が生じることがありますが、多少であれば服用を続けるうちになれることが多いです。

 

そしてイフェクサーは、お薬を減量していく際には離脱症状に注意が必要です。イフェクサーが身体に慣れてしまい、急激に減量すると心身の不調が生じてしまいます。少しずつ減量していくことが必要です。

 

抗うつ剤の副作用の症状を簡潔にまとめました。

イフェクサーの副作用の対処法

イフェクサーの副作用が認められた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

イフェクサーの副作用が認められた場合、

  • 何とかなるなら様子を見る(経過観察)

が基本的な対処法となります。お薬を飲み続けるうちに身体が少しずつ慣れていき、収まっていくことが多いためです。

 

生活習慣で改善ができる部分もあれば、副作用を和らげるお薬を使っていくこともあります。

 

抗うつ剤の副作用への対処法をまとめました。

 

イフェクサーの副作用で多くの方が気にされるのが、

  • 眠気が強いのか
  • 太るのかどうか

という2点です。

 

また、イフェクサーに多い副作用が、

  • 胃腸症状
  • 頭痛

になります。

 

お薬の承認時の副作用報告をみると、

  • 悪心:33.5%
  • 腹部不快感(腹痛、膨満、便秘等):27.2%
  • 傾眠:26.9%
  • 浮動性めまい:24.4%
  • 口内乾燥:24.3%
  • 頭痛:19.3%

となっています。

イフェクサーと眠気・不眠

イフェクサーは、ノルアドレナリンを増加させるため、どちらかというとアクティブな方向にもっていくお薬になります。

 

ですから理論的には、「眠気」よりも「不眠」になりやすいお薬になります。他の抗うつ剤と比較しても、眠気が強いお薬とはいえません。むしろ眠気が少ないお薬といえます。

 

しかしながらイフェクサーを実際につかってみると、眠気の副作用が生じる患者さんも少なくありません。実際に承認時の副作用報告では、

  • 不眠:16.0%
  • 傾眠:26.9%

となっています。

 

むしろ眠気の報告の方が多いという結果になっています。その原因は残念ながら、よくわかりません。

  • わすかにある抗ヒスタミン作用や抗α1作用での直接的な眠気
  • 夜間の睡眠の質が落ちて、日中の眠気が強まる
  • 理屈では説明できない眠気

こういったことが考えられます。ですが直接的な眠気を生じる作用は小さく、睡眠の質の低下だけでは説明がつきません。理屈ぬきに、イフェクサーで眠気が生じる方は少なくありません。

 

イフェクサーで眠気が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(夕食後や就寝前)
  • 服用を2回にわける
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

 

反対に不眠が認められている場合は、

  • 慣れるまで待つ
  • 睡眠の質の改善を図る
  • 服用のタイミングを変える(朝食後)
  • レスリンなどの鎮静系抗うつ剤を追加する
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

イフェクサーと体重(太る?痩せる?)

イフェクサーと体重について心配される方も少なくありません。

 

食欲や代謝などは様々な影響があり、お薬だけでなく病状も関係してきます。このため一概にお薬の影響だけを評価していくことは難しいです。

 

イフェクサーは、お薬の特徴としては体重増加しにくい抗うつ剤ではあります。

  • 抗ヒスタミン作用や抗5HT2c作用での直接的な食欲増加
  • セロトニンによる代謝抑制
  • ノルアドレナリンによる代謝亢進

こういった体重に関係する要因を複合的に考えると、イフェクサーは太りやすいお薬とは言えません。抗うつ剤の中で比較すると、太りにくいお薬になるかと思います。

 

イフェクサー承認時の副作用報告では、

  • 体重増加:2.1%
  • 体重減少:5.3%

となっています。

 

しかしながらイフェクサーを使っていくと、はじめは体重減少する傾向にあり、次第に体重増加する傾向にあると報告されています。

 

使い始めの体重減少に関しては、胃腸障害によって食欲が落ちる影響が大きいかと思います。長期に使って体重増加していくのは、精神症状が改善していくためかと思います。元気になって食欲が増加していくということと考えています。

 

イフェクサーで太ってしまった場合の対処法としては、

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

イフェクサーと胃腸症状

イフェクサーの副作用で最も多いのは、胃腸症状になります。承認時の臨床試験では、

  • 悪心:33.5%
  • 腹部不快感:27.2%
  • 下痢:5.3%

このようになっています。

 

この原因は、イフェクサーによるセロトニン刺激作用になります。セロトニンは脳だけでなく、胃腸にも作用してしまいます。

 

胃腸が動いてしまうことが多く、吐き気が認められるときは下痢も認められることが多いです。その一方で、便秘になることもあります。

 

イフェクサーはSRカプセルという剤形の工夫によって、少しずつお薬の成分が溶け出すようにできています。これによって胃腸症状は軽減されているものの、少なくない副作用になります。

 

胃腸症状は飲み始めがピークで、数日して徐々に慣れていくことが多いです。

 

このためイフェクサーで胃腸症状が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • お薬を少しずつ増量する
  • 服用を2回にわける
  • 胃腸症状を和らげるガスモチンなどを併用する
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

イフェクサーと頭痛

イフェクサーでは、頭痛の副作用が認められることがあります。

 

うつ病でのサインバルタ承認時の副作用の頻度では、

  • 頭痛:19.3%

となっています。

 

イフェクサーで頭痛が生じるタイミングは、大きく2つあります。

  • お薬の飲み始め
  • お薬を減量・中止するとき(離脱症状)

 

イフェクサーで頭痛を生じる理由はよくわかっていませんが、セロトニンが関係していると考えられます。

 

セロトニンは脳血管が収縮する作用がありますが、セロトニンが分解されると反動で、脳血管が急激に拡張します。周りを取り巻いている三叉神経から痛み物質が作られ、頭痛につながると考えられます。

 

その一方でイフェクサーをはじめとした抗うつ剤は、片頭痛の予防効果もしられています。セロトニンが安定することで脳血管の拡張を予防でき、さらにはセロトニンやノルアドレナリンには痛みの抑制効果があること知られています。

 

ですからイフェクサーで頭痛が認められた場合の対処法としては、

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングをかえる(就寝前)
  • 痛み止めを使う
  • 増量のペースをゆるめる
  • 他の抗うつ剤に変更する

といったことがあります。

イフェクサーの離脱症状と減薬方法

イフェクサーを減量していく場合には、離脱症状に注意が必要です。

 

イフェクサーを長期間服用していると、からだにお薬があることが当たり前になっていきます。その状態で急激にお薬を減らしてしまうと、心身に不調が生じてしまいます。

  • 身体症状:しびれ・耳鳴り・めまい・頭痛・吐き気・だるさ
  • 精神症状:イライラ・ソワソワ感・不安・不眠
  • 特徴的な症状:シャンピリ感・ビリビリする

 

これらの離脱症状は、薬が減って1~3日ほどして認められます。2週間ほどで収まっていくことが多いですが、月単位で続いてしまう方もいらっしゃいます。

 

こういった離脱症状を防ぐために、イフェクサーの減量は少しずつ行っていく必要があります。まずは少しずつ量をへらしていきます。イフェクサーはカプセル錠しかありませんので、37.5~75mgずつ減量していきます。

 

離脱症状は、抗不安薬(精神安定剤)を使うと症状が緩和することがあるため、必要に応じて頓服や併用を行っていきます。37.5mgまで減量できれば、以下の方法で断薬を試みていきます。

 

抗うつ剤の減量方法をまとめました。

イフェクサーの運転への影響

イフェクサーはこれまで、運転や高所作業などの危険作業などは禁止とされていたお薬でした。イフェクサーに限らず、心の病気の治療薬は多くが運転禁止となっていました。

 

これは、イフェクサーに眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。そういったリスクがある以上は、製薬会社も「運転禁止」とせざるを得なかったのです。

 

このことは心の病気の患者さんの社会復帰を妨げるとして、長らく議論されてきました。同じような副作用が認められるSSRIでは、「運転や危険作業は注意すること」にとどまっています。

 

こういったことを踏まえて2016年11月25日に厚労省の通知が出され、以下のように添付文章が改訂されました。

眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者にこれらの症状を自覚した場合は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に 従事しないよう指導すること。

これを受けて、イフェクサーでは運転が可能となりました。

 

ただし、

  • はじめて使ったとき
  • 他のお薬からの切り替えをしたとき
  • 量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき

は運転や危険作業を行わないことと注意喚起されています。

イフェクサーの妊娠・授乳への影響

イフェクサーの妊娠への影響から見ていきましょう。イフェクサーのお薬の添付文章には、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。

このように記載されています。

 

もちろん妊娠中は、お薬を避けるに越したことはありません。しかしながらイフェクサーを中止したら病状が不安定になってしまう場合は、お薬を最小限にしながら続けていくことが多いです。

 

イフェクサーは、明かな奇形のリスクの報告はありません。イフェクサーが影響するのは、むしろ産まれた後の赤ちゃんになります。胎盤を通してお薬が赤ちゃんにも伝わっていたものが、急に身体からなくなります。これによって、離脱症状が生じることがあります。

 

早めに見つけて症状を和らげる治療をおこなっていけば、問題ないことがほとんどです。後遺症が残るたぐいのものではないので、産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 

次に、イフェクサーの授乳への影響をみていきましょう。イフェクサーのお薬の添付文章には、

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。

このように記載されています。母乳で育てない選択肢もとれることから、このような記載になっています。

 

しかしながら授乳についても、明らかなネガティブな報告はありません。母乳で育てることは、赤ちゃんにも非常に良い影響があるといわれています。ご自身での判断にはなりますが、イフェクサーを服用していても授乳を続ける方がメリットが大きいようにも思います。

 

母乳を通して赤ちゃんにイフェクサーの成分が伝わってしまうことは、動物実験だけでなく人間でも確認されています。血中濃度の2.5~2.7倍になるという報告があります。

 

それでも副作用や成長への影響はないという報告がありますが、乳児検診で体重が増えていかないといったことがあれば、医師と相談したほうが良いでしょう。

海外の妊娠と授乳に関する基準

海外の妊娠と授乳に関する基準をご紹介します。

  • 妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準

    A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    B:ヒトでの危険性の証拠はない
    C:危険性を否定することができない
    D:危険性を示す確かな証拠がある
    ×:妊娠中は禁忌

  • 授乳への影響:Hale授乳危険度分類

    L1:最も安全
    L2:比較的安全
    L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    L4:おそらく危険
    L5:危険

抗うつ剤の妊娠・授乳への影響について、お薬ごとに一覧にしてまとめました。

 

イフェクサーは、FDA基準で「C」となっています。

イフェクサーSRカプセルのジェネリック医薬品

イフェクサーは、海外では古くから発売されているお薬です。ですからジェネリックも発売され、さらに改良されたデスベンラファキシンも発売されていますが、日本では2015年に発売されたお薬になります。

 

実のところ日本でも、10年ほど前から治験がすすめられていました。しかしながら有効性をうまく示せず、発売まで時間がかかりました。

 

 

お薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から10年ほどは成分特許が製薬会社に認められて、独占的に販売できるようになります。(先発品)

 

イフェクサーのジェネリックは、この特許が切れた後に発売されます。(後発品)ですからイフェクサーのジェネリックは、しばらく先の発売になるかと思います。

 

ジェネリック医薬品の名称は、近年は薬の一般名がつけられます。イフェクサーであれば、ベンラファキシンになります。

【参考】サインバルタの作用機序

最後に、イフェクサーの作用の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

 

イフェクサーは、どのようにして効果が認められるのでしょうか。分かっていないことも多いのですが、モノアミン仮説がもっとも理解しやすく一般的です。

 

モノアミンとは、脳内の神経伝達物質になります。神経細胞と神経細胞の間を橋渡しをする物質で、情報を伝える働きがあります。イフェクサーなどの抗うつ剤は、

このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

 

おもな神経伝達物質として、以下の3つがあげられます。

  • セロトニン(不安や落ち込み)
  • ノルアドレナリン(意欲や気力の低下)
  • ドーパミン(興味や楽しみの減退)

これらの物質と症状の関係をもう少し細かくみていくと、以下の図のようになるといわれています。

 

抗うつ剤の神経伝達物質と症状の関係についてグラフでまとめました。

 

イフェクサーはこれらの物質のうち、

  • セロトニン
  • ノルアドレナリン

の働きを強めます。イフェクサーは、再取り込み阻害という方法をとります。

 

セロトニンやノルアドレナリンといったモノアミンは、役目を果たすと不要になるため、再取り込みという形で回収されていきます。イフェクサーはこの働きの邪魔をして、セロトニンやノルアドレナリンの働きを強めます。

 

これらの物質が直接的に効果があるのならば、すぐにでも抗うつ効果が認められるはずです。しかしながら実際には、2週間くらいかけて効果が認められます。タイムラグがあることは、イフェクサーなどの抗うつ剤の作用が単純ではないということを意味しています。

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