不正出血を放置しないで!(不正性器出血)
「生理じゃないのに出血しているなあ。」
「そもそも生理不順だから、この出血が生理なのか不正出血なのかわからない。」
このようなことで悩んでいる女性はたくさんいらっしゃいます。
ちょっとしたストレスが原因となり、生理がいつもと違う状態になることはよくあります。
通常では、不正出血は様子を見ていると治まることがほとんどです。
ただ、不正出血の裏に悪い病気が隠れていることがあるので要注意です。
不正出血は放置せず、早めに婦人科で相談することをおすすめします。
この記事では不正性器出血について解説します。
原因
不正性器出血を引き起こす原因は多数あります。
代表的なものとしては以下の通りです。
- 妊娠
- 子宮頸部異形成/子宮頸がん
- 子宮内膜増殖症/子宮体がん
- 子宮筋腫/腺筋症
- 子宮内膜ポリープ
- 萎縮性腟炎
- 排卵障害
- 凝固異常
- 薬剤
症状
月経とは違うタイミングで赤い性器出血が起こります。
帯下(おりもの)に血が混じることもあります。
出血量が多くない場合には、茶色い帯下が見られることもよくあります。
出血量が多くない場合や茶色い場合においても、できれば婦人科での診察を受けることをおすすめします。
診断
妊娠している可能性がある場合には、必ず医師に教えてください。
尿や血液検査によって妊娠の有無を判断します。
まずは、命に関わる病気である、がん(悪性腫瘍)の有無を判断することが大切です。
具体的には、子宮頸がんや子宮体がんではないかを慎重に判断していきます。
内診台に上がって頂き、子宮頸がんや子宮体がんの検査、経腟超音波検査を行います。
経腟超音波検査では、子宮筋腫/腺筋症、子宮内膜肥厚、子宮内膜ポリープの有無、卵巣/卵管が腫れていないかどうか、骨盤内に腹水が溜まっていないかどうかがわかります。
出血量が多い場合には、血液検査を行い、貧血が進行していないかどうかを判断します。
血が固まりにくいというエピソードがある場合には凝固系の検査も行います。
凝固系というのは、血液中にある成分で血を固めるために働いているタンパク質のことを言います。
生理の出血量が多いことをきっかけとして、血液の病気がみつかることもあります。
内服中の薬が原因となって、不正性器出血が起こることもあります。
ピルやホルモン補充療法をされている方、ミレーナを挿入している方は医師にお伝えください。
また血をサラサラにする薬を飲んでいると、子宮や腟から出血することがあります。
飲んでいる薬の名前を医師に伝えてください。
治療
出血の原因となるような明らかな病気が見つかったときには、その病気に対する治療を行います。
原因がはっきりしない場合には慎重に経過を見ていきます。
ストレスや睡眠不足によって生理の周期が乱れ、不正性器出血が見られることがよくあります。
生理不順は疲れているというサインですから、少しお休みしましょう。
更年期を迎えた方においては、女性ホルモンの分泌が不安定となって、生理の周期が乱れやすくなります。
生理不順なのか不正性器出血なのかわからないということは、多くの女性が経験されています。
生理不順だと思っていたら、裏に子宮体がんが隠れていたということもあります。
不規則な出血がある場合、月経の量が増えている場合には早めに婦人科を受診するようにしましょう。
まとめ
不正出血は多くの女性が経験したことがあるものです。
現代では、社会で活躍している女性が多く、ストレスを抱えることで生理不順や不正出血が起こりやすくなっています。
更年期になると、ホルモンバランスが不安定となり出血しやすくなります。
不正出血の裏に、子宮体がん・頸がんが隠れていたということもあります。
がんは早期発見できると、手術で完全に治すことが可能です。
手遅れになると命にかかわります。早く見つけることが大切なのです。
不正出血は、あなたの体からの重大なアラートです。
放置せずに早めに婦人科で相談することをおすすめします。
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カテゴリー:よくある婦人科の症状 投稿日:2025-05-16
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