糖尿病で足にでる症状は?しびれ・痛み・壊疽などについて解説
糖尿病は進行すると、足に症状が出てくることがあります。
それはどのような症状なのでしょうか?
本記事では、糖尿病でみられる足の指のしびれるような痛み、足のつり、足の裏のひび割れ、足の壊疽、足のむくみ、爪の変化について解説します。
これを読めば、糖尿病で足に出る症状の概要が分かります。
糖尿病の治療をする際に、役立ててみてください。
糖尿病で足の指がしびれるように痛いのはどんなとき?
糖尿病の方が手足の指にしびれるような痛みを感じる場合、糖尿病性神経障害による症状が考えられます。
両側性に足の指、足の裏のしびれ、痛み、異常な感覚がみられるのが特徴です。
また両側アキレス腱反射の低下あるいは消失、両足の振動覚の低下がみられることがあります。
神経伝導速度検査で伝導速度、振幅、潜時のうち1つ以上の異常を認めることで診断されます。
両手のしびれを伴うこともありますが、両手のみのしびれを起こすことはありません。
糖尿病性神経障害の発症と進行のリスクファクターは、血糖コントロールの不良、糖尿病の罹病期間、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満などです。
糖尿病性神経障害の発症・進行抑制に厳格な血糖コントロールが推奨されます。
軽症例では非ステロイド性消炎鎮痛薬、中等症以上では三環系抗うつ薬、プレガバリンなどで治療します。
糖尿病で足がつる原因
糖尿病の方は、足がつったり、こむら返りになりやすい傾向があります。
はっきりとした原因は解明されていませんが、血行障害や末梢神経障害、脱水や電解質異常によって足がつると考えられています。
予防のために、就寝前にコップ一杯の水分をとり、ストレッチをすると効果的です。
またミネラルが豊富な食材として、乳製品、野菜類、豆類、魚介類の摂取が勧められます。
足がつる場合の原因として、糖尿病以外にも脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、閉塞性動脈硬化症、腎疾患、脳梗塞なども考えられます。
糖尿病になると足の裏にひび割れができますか?
糖尿病の方は、自律神経が障害され汗をかきにくくなり、足の皮膚が乾燥して、ひび割れができやすくなります。
この状態では、皮膚のバリア機能が低下し、白癬(水虫)などの感染や潰瘍が起こりやすくなるのが特徴です。
保湿剤などの外用薬で治療しますが、亀裂が深い場合は皮膚を一部切除することがあります。
糖尿病で足を切断したら余命はどのくらいですか?
末梢動脈疾患による血流低下、神経障害による感覚鈍麻、靴ずれ、足の外傷、低温熱傷などが原因となり、足に潰瘍や壊疽を起こすことがあります。
壊疽の範囲が足首を超えた場合、膝下から足を切断することが必要です。
糖尿病の足壊疽によって足を切断した場合の生存率は、3年で50%、5年で40%との報告があります。
糖尿病の足病変の発症・進行を抑制するために、足の定期的な観察、足に適合した履物の作成、鶏眼、白癬症などの治療といったフットケアが推奨されています。
糖尿病で足のむくみがひどい原因は何ですか?
糖尿病性腎症になると、ネフローゼ症候群や腎不全を起こし、手足や顔にむくみが出ます。
尿中にタンパク質が排泄され、血液中のタンパク質が減少することで、水分が血管外にしみ出してむくみが生じます。
また尿細管障害を起こして、腎機能が低下するため、体内に水分がたまりやすくなって、むくみがなおさら強くなります。
さらにむくみが全身に広がると、息切れ、胸苦しさ、食欲不振、腹満感、腹水などを起こします。
糖尿病性腎症の進行を抑制するには、アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬が有効です。
糖尿病で足の爪に現れるサインは?
糖尿病は高血糖によって血管が細くなり、手足の末端に栄養が届きづらくなり、爪が白く濁ったり、白い線ができたりします。
また巻き爪、陥入爪、爪白癬、爪の肥厚などがみられます。
さらに糖尿病が進行すると、爪に潰瘍を生じたり、爪に段差が生じたりします。
糖尿病による爪の症状を予防するために、足の清潔を保つ、通気性のよい靴下を履く、足の形に合った靴を履くことが大切です。
まとめ
糖尿病の方が手足の指にしびれるような痛みを感じる場合、糖尿病性神経障害による症状が考えられます。
足がつったり、こむら返りになりやすい傾向があります。
自律神経が障害され汗をかきにくくなり、足の皮膚が乾燥して、ひび割れができやすくなります。
末梢動脈疾患による血流低下、神経障害による感覚鈍麻、靴ずれ、足の外傷、低温熱傷などが原因となり、足に潰瘍や壊疽を起こすことがあります。
糖尿病性腎症になると、ネフローゼ症候群や腎不全を起こし、手足や顔にむくみが出ます。
爪の白い濁り、白い線、巻き爪、陥入爪、爪白癬、爪の肥厚などがみられます。
以上、糖尿病で足にみられる症状を解説しました。
糖尿病の治療をする際に役立ててみてください。
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カテゴリー:糖尿病 投稿日:2025-06-14
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