コラムこころみ医学

お薬手帳の必要性~医療者からみたお薬手帳の意義とは~

お薬手帳は必要?

最近は、どこの薬局でもお薬手帳を準備していますが、「いちいち持っていくのは面倒」「他の所で飲んでいるお薬は知られたくない」などの理由で、活用していないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら、お薬手帳は患者さんの安全を守り、医師がより効果的な治療を行う上での助けとなることもあります。

ここでは、医療者の立場から見たお薬手帳の意義をお伝えしていきたいと思います。

医療者から見たお薬手帳の意義

お薬手帳を薬局にもっていくと、服用しているお薬をシールで貼ってくれたり、印字してくれるかと思います。

私たち医療者側にとって、患者さんがどのようなお薬を服用しているのかはとても重要です。現代医学は専門分野が分かれているため、他科で処方されてきたお薬の情報はまったく知ることができません。

そんな時お薬手帳があれば、患者さんの「お薬の歴史」をどの医師も共有できます。そのことにより、

  1. 禁忌薬剤
  2. 相互作用
  3. 重複投与

と3つのリスクを避け、患者さんの安全を守り、よりスムーズな診療を行うことができます。

1.禁忌薬剤

持病や副作用、アレルギー歴や妊娠の有無から判断して、飲むべきではない、飲んではいけない薬もあります。

ご自分の状態や飲んでいるお薬をすべて問診表に書いたり、医師に伝えたりするのは大変ですよね。

お薬手帳には持病等を書き込むページがありますので、そこに書いて持参しておけば、よりスムーズに治療を受けやすくなります。

2.相互作用

現在飲んでいるお薬が分かれば、飲み合わせの悪いお薬の処方を避けたり、相互作用を考えて量を調整することができます。

できるなら、サプリメントなどもご自身で記入しておくと良いでしょう。

3.重複投与

お薬は同じような作用でも多くの種類があり、医師や病院によって、目的は一緒でも処方するお薬が違うということがよくあります。

そんなときにお薬手帳があれば、同作用のお薬が重複してしまうことを防ぐことができます。

お薬手帳の治療上のメリット 

お薬手帳の意義は、お薬の飲み合わせや安全性といった面だけではありません。

医師がお薬手帳を見ることで、その患者さんがどのような治療を受けてきたのかある程度予測することができます。

どのようなお薬を使っていたかはもちろんのこと、お薬が変更された流れを見れば、病状をつかむ参考になることがあります。

お薬手帳を有効に活用していただくために

お薬手帳をより有意義に使っていただくためには、病院や薬局ごとにバラバラにせず、一冊にまとめることが大切です。

そうすれば、患者さんの全体像が医療者側にも伝わりやすくなり、全体的なバランスを見ながら治療をしていく手助けとなってくれます。

表紙の裏には、アレルギーやこれまでかかった疾患を記録するスペースもありますので、記入しておくと、緊急時などにも効力を発揮します。

また、使い切った手帳もその患者さんの治療歴を表す記録です。新しいものに変えた後もしばらくは携帯することをお勧めします。

現在はスマホで管理できる電子お薬手帳もあります。ライフスタイルに合わせた方法でぜひ活用してみてください。

執筆・監修

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こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

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大澤亮太

  • 役職:医療法人社団こころみ理事長/(株)こころみらい代表産業医
  • 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医
  • 学会:日本精神神経学会

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