コラムこころみ医学

口コミが最悪!?クリニックの口コミの実情とは?

  • 更新日:2020年08月21日 00:25
  • 作成日:2020年08月15日 23:08

口コミの影響力

私たちが良いサービスを探すときに、ほかの方が書いた口コミを参考にすることは多いかと思います。

衣食住に限らず、医療機関も口コミサイトなどが多く存在します。そしてグーグルにも口コミ機能があり、検索すると点数がつけられています。

私自身、ユーザーとして口コミを参考にすることは多いのですが、口コミを書かれる側になってはじめて、そのやるせない気持ちを実感するようになりました。同時に不用意に相手のことを考えず、ネガティブな口コミを書いたことが私自身もあったので、反省して修正いたしました。

確かにこちら側の落ち度で、今後の改善につながる貴重な意見をいただくこともあります。その一方で、「あぁ、あの人だ…」とすぐにわかるような、一方的で理不尽な口コミも少なくありません。

そして口コミという形で匿名性をもって無責任に発言される言葉は、極端で暴力的となることも少なくありません。私自身もですが、周囲の医療経営者は多かれ少なかれ、口コミに傷ついているかと思います。

確かに口コミという形で評価されることで、日ごろの診療でのサービス面に対してフィードバックになる側面はあります。ですが医療は、お客さんの都合や希望ばかりに沿えないことも多いです。完全なるサービス業となってしまうと、むしろ医療者としての倫理が疑われます。

ここではクリニックを経営する開業医として、医療機関の口コミの実情についてお伝えしていきたいと思います。

医療サービスへの口コミの特徴

クリニックに対する口コミには大きな特徴があります。それは、

  • 圧倒的にネガティブなことばかりが書き込まれる

ということです。私の知っている人徳のある素晴らしい先生も、口コミに対して無頓着なのか、悲惨な書かれ方をしています。グーグル口コミなどをみると、1~2点台になっていることなどザラにあります。

反対にビジネスライクな診療をしている医療機関では、考えられないほどの口コミ数と高評価を得ています。100件以上の口コミがあって、平均が4点を超えているところなど、明らかにおかしいです(笑)

それは医療というサービスの特性があると思われます。

  • なおって当たり前
  • 関係性が薄い
  • 比較する人は少ない

飲食などでは「おいしい」といった感動が生まれやすいですが、医療では「なおって当たり前」が基本にあります。診察の中で感動がうまれることもなく、診療に満足することは当たり前のことという認識です。多くの方が満足していても、良い口コミとして形になりません。

また時間をとって関係性を築くこともできないので、1回のネガティブな体験がクレーム化しやすいです。※メンタルは関係性は深まりますが、周囲に知られたくないというマインドが働いてしまいます。

さらには比較できるほど医療機関を受診する方も少なく、良い部分を感じてもらいにくいです。むしろドクターショッピングしている方は、なにかと医療サービスに不満を抱かれている方が多いです。

このような医療サービスの特性から、何もしないでいるとネガティブなことばかりが書かれてしまうのだと思います。

あくまで私の感覚で恐縮ですが、かかりつけ患者さんの7~8割の方は☆4~5位の評価をしてくださっていると感じています。少なくとも、悪くないと思って通院くださっているはずです。ですがあるがままに任せていると、4:1くらいでしょうか、☆1~2のほうが多くなると思います。

クリニックの口コミサイト

クリニックの口コミには大きく2種類があります。

  • 口コミサイト
  • グーグル口コミ

グーグル口コミについては、ユーザーの口コミであれば明らかに反していない限り、口コミとして掲載されます。匿名性があるため、悪意のある言葉も向けられてしまいます。上述したような医療サービスへの口コミの特徴が、露骨に表れているように思います。

その一方で、最近は数多くの口コミサイトが存在します。口コミサイトでは、医療機関を登録して検索し、比較検討できるように工夫しています。その多くが無料でも登録はできますが、有料の場合は上位で表示されたり、内容が充実したりする特典がついています。

それではそういった口コミサイトがやらせかというと、そんなことはありません。多くの口コミサイトの特徴として、

  • いい口コミを数件かかないと、悪い口コミが登録できないなどのルールがある
  • スタッフがチェックして、偏った表現は修正する
  • 口コミを集めるキャンペーンを行って潜在的な良い口コミを増やす

などの工夫をしています。むしろこれくらいのほうが、正しい口コミが反映されるかと思います。

当院も2社のサイトに有料登録していますが、そちらの口コミで低く書かれてしまったことは、こちら側の改善につながることも多く、貴重な意見をいただけました。悪い口コミを登録する労力がかかることで、衝動的な感情任せの口コミが少なくなるのだと思います。

グーグル口コミの悪評に対して

グーグルで悪い口コミをかかれてしまっても、残念ながら対策は非常に限られています。

口コミの星のところの横にある?マークをクリックすると、以下のようなオンライン削除申請フォームがでてきます。

グーグル口コミの悪評対策

当院では、実名でスタッフに対し誹謗中傷がなされたため、申請をしたことがあります。ですがシステム上でねられてしまい、何度か行いましたが難しかったです。

時間をかけて手続きを行う必要がありますが、

  • 裁判所に名誉棄損を理由として削除申請
  • 発信者情報開示仮処分の手続きでIPアドレスの開示

などを行うこともできます。多くの場合はそこまで行う費用対効果があわず、気持ちをぐっと抑えるしかありません。

結局のところ、

  • 大人な返信をかえす
  • 信頼関係のできている患者さんに口コミ記載をお願いする

くらいが現実的な対策となります。サクラを使っても、グーグルは位置情報や属性などの情報収集能力は高まっています。サクラのような不正な口コミは、中長期的にみてマイナスになる可能性もあります。

口コミへの返信

いろいろと口コミへの返信対応をかえてみましたが、行き着いた結論としては、

  • 丁寧に当たり障りのない返信をかえる

という形です。

返信せずに無視をするとアカウントを変えて投稿されたケースがありました。(メンタルの患者さんですが・・・)

その一方で、口コミを見ている人のことも考え、こちらの言い分を書いたこともあります。結果として返信に対してコメントされ、炎上しかけてしまいました。ケンカ両成敗ではないですが、こちら側まで大人げなくみえてしまいます。

ですから結論としては、大人に返信するのが一番無難だと考えています。

良い口コミを発掘

良い口コミが増えれば、悪い口コミは薄まっていきます。

当院は内科と心療内科の診療を行っています。心療内科の患者さんでは、長年通院いただいている方も少なくなく、その中で治療関係が築けてきています。

ただ心療内科の患者さんは周囲に知られたくない方が多いので、あまり書いてくださらないことが多いです。

何かの会話のきっかけで、口コミについて触れたり、転院のタイミングなどでお願いしたり、院内掲示や受付から案内を配ったりして、口コミ登録をお願いし、良い口コミも書いてくださるようになりました。

口コミが最悪でも患者さんで溢れているクリニックはたくさん

医療機関の口コミでは見えてこないことは、口コミが最悪な医療機関の待合を見ていただけるとわかるかと思います。患者さんで溢れかえっているところも少なくありません。

むしろいい医療を行っているから患者さんが増えていき、サービス面ではじめてきた患者さんなどが不満を感じ、そのネガティブな感情に任せて悪い口コミを投稿するという形もあります。

そしてその医療機関の先生は、患者さんが多いので口コミなど気にせず、放置となっていることが多いのかもしれません。

私も多くの医師と仕事をしてきましたので、たしかに倫理観が外れている医師がいるのも事実です。ですが多くの医師は目の前の患者さんのことを考え、クリニックのスタッフのことを考え、日々の診療に励んでいます。人の生死に触れることがある仕事ですから、その最低限の倫理観と医師としてのプライドをもっている医師がほとんどです。

ぜひ受診されたクリニックが、かりに口コミが最悪だったとしても、あなたが満足しているならば主治医を信頼してください。無責任なインターネット上の声に惑わされないでください。そして願わくば、診察に感動はなくとも満足しているならば、良い口コミを書いていただけると嬉しいです。

私たちもうれしいですし、診療の励みになります。ぜひ口コミは、感謝を伝えるありがとうの手段になってほしい、そう願っています。

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