お薬を牛乳で服用するとどうなる?お薬と牛乳の飲み合わせ
- 更新日:2019年11月08日 19:36
- 作成日:2019年12月04日 22:00
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牛乳でお薬を飲んでいる方へ
お薬を飲むとき、皆さんは何で服用されていますでしょうか?
通常はお水で服用されるかと思います。お薬を製造する過程では、水で服用したときのデータをもとに用法用量が決められています。ですから、水で服用するのが理想です。
ですが、朝食後などのお薬は牛乳で飲んでいるという方もいらっしゃると思います。
牛乳でお薬を飲んだとき、お薬の吸収や効果にはどんな影響があるのでしょうか?
牛乳とお薬の飲み合わせ
牛乳には、以下のような4つの特徴があります。
- カルシウム・鉄が豊富
- 脂肪が豊富
- 胃のPH(6.4~6.8)をあげる
- 胃腸の内面に膜を作る
これらの特徴が、お薬にさまざまな影響を与えます。順番にみていきましょう。
1.カルシウム・鉄が豊富
カルシウムや鉄といったミネラルには、「キレート作用」という作用があります。
キレート作用とは、お薬の成分とくっついて化合物をつくり出す作用のことで、これによってお薬の吸収効率が変わってしまいます。
その影響はお薬の成分によって違いますが、一部の抗菌薬や骨粗鬆症治療薬では注意が必要です。
2.脂肪が豊富
牛乳がお薬に与える影響で一番大きいのが「脂肪」です。
通常の牛乳には脂肪分も豊富ですよね。お薬の成分は、
- 脂に溶けやすい脂溶性
- 水に溶けやすい水溶性
と、特徴が異なりますが、脂肪豊富な牛乳で飲めば脂溶性のお薬は吸収がよくなります。
精神科で使うお薬は脂溶性のものが多く、とくに向精神病薬のロナセンやルーランは、食後と空腹時では吸収に大きな違いがあることがわかっています。
そのようなお薬では、「食事をとれないときは牛乳を飲んでから服用する」というのも、お薬の効果を保つ一つの工夫になります。
3.胃のPH(6.4~6.8)をあげる
牛乳を飲むと、胃の中の酸‐アルカリのバランスが変わります。アルカリ性(塩基性)に傾くことで、本来はアルカリ性の腸で溶けるようにできているお薬(プロドラッグ)が胃の中で溶けてしまい、せっかくの特徴が生かされない可能性があります。
プロドラッグの代表は胃薬のタケプロンなどがあげられます。
4.胃腸の内面に膜を作る
物理的な影響としては、牛乳が胃腸の内面に膜をつくってしまいお薬の吸収を妨げてしまう恐れがあります。
精神科のお薬の中では、コントミンやレボトミンといったフェノチアジン系向精神病薬、フェニトインなどが影響を受けやすいので注意が必要です。
まとめ
牛乳とお薬を一緒に飲むことで、体に害を与えるということはありませんが、中には吸収が妨げられるお薬もあります。
牛乳は脂肪が豊富なので、脂溶性のお薬は吸収がよくなります。精神科で使われるお薬は脂溶性のものが多く、そのようなお薬では、食事をとれないときは牛乳を飲むと吸収効率の低下を防ぐことができるかもしれません。
いずれにしても、お薬の種類によって影響が違いますので、医師や薬剤師に確認するようにしましょう。
執筆・監修
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こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

大澤亮太
- 役職:医療法人社団こころみ理事長/(株)こころみらい代表産業医
- 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医
- 学会:日本精神神経学会