効き目の速い漢方薬もあります。
漢方薬は効果が穏やかなイメージが強いですが、すべての漢方薬がそうというわけではありません。
漢方薬の中には、急性疾患に使われるものもあるのです。
効果発現が速い漢方薬とは?
効果発現が速い漢方薬の例として、みなさんお馴染みの『葛根湯』があります。「風邪のひきはじめには葛根湯」と、常備薬にとして置いている方も多いのではないでしょうか。
葛根湯は、体温を一気に上げて、身体の免疫を高めます。十分な体温になったら汗が出てくるので、それを目安に使っていきます。
また、小規模の研究ではありますが、インフルエンザの治療薬タミフルと、漢方の風邪薬である『麻黄湯』を比較したところ、発熱症状が改善するまで時間差は無かったとの報告もされています。
ただし、漢方薬は体質や状態など「証」に合ったものを飲むことが大切です。証に合った漢方薬を選べばしっかりと効果が認められます。しかしその一方で、合わない場合はかえって負担になることもあるため、注意が必要です。
※「証」について知りたい方は『漢方の「証」について』をお読みください。
漢方薬と慢性疾患への効果
即効性の漢方もある一方で、慢性疾患に漢方薬を使う場合、効果の判定には時間がかかります。慢性疾患は病気の発現までに長い時間を要しています。じわじわと崩れたバランスの乱れを整えるためには、どうしても期間がかかってしまうのです。
効果があるかどうかは2週間くらいで感じられることもありますが、通常は1~2か月かけてじっくりと変化がみられるため、焦らずに使い続けていくことが大切です。
まとめ
葛根湯など、漢方薬にも急性疾患に使える効果の速いものもあります。
一方で、体質やバランスの乱れを根本から正していく場合には、時間がかかります。それぞれの特徴をふまえて上手に活用しましょう。
執筆・監修
こちらの記事は、上記の精神科医が直接執筆しております。

大澤亮太
- 役職:医療法人社団こころみ理事長/武蔵小杉こころみクリニック院長/産業医グループこころみ副代表
- 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医
- 学会:日本精神神経学会