漢方薬の副作用について

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漢方薬にも副作用があります

「漢方薬は安全性が高い」

そう思われている方は多いかと思います。それは否定しませんが、漢方薬に副作用がないわけではありません。

現在は、一般的な西洋医学の病院やクリニックの健康保険内で処方することができ、漢方薬が身近なものとなりました。しかしその分、体質に合わない漢方薬でかえって調子を崩してしまうケースもあるため、注意が必要です。

漢方薬の副作用とはどのようなものでしょうか?

漢方薬と副作用

漢方薬は、何種類かの生薬を合わせて作られています。生薬は自然界にある天然のものが由来のため、「漢方薬は副作用がなくて安心」と誤解されていることが多いようです。

たしかに、漢方薬には副作用が少ない傾向があります。しかしながら、自然の植物や食べ物にもアレルギーがあるように、体質に合わない場合は体の負担となる可能性があるのです。

漢方薬の副作用としては、大きくわけて3つのものがあります。

  • 誤治
  • アレルギー反応
  • 生薬ごとの副作用

誤治

漢方薬の副作用としてもっとも多いのが「誤治」と呼ばれるケースです。漢方では、患者さんそれぞれの体質や状態に対して処方を行います。ですから、状態を見誤って合わない薬を処方してしまうと、かえって調子が悪くなってしまったり、思うような効果が得られないことがあります。

誤治では、不眠、胃腸障害、ほてりなど様々な症状が認められます。

正治 誤治
気分 不快
睡眠 良眠 不眠
食欲 増加 減少
消化器症状 快便・健胃 便秘・下痢・吐き気
排尿 快尿 頻尿・乏尿・残尿感
生理 順調 不順
自律神経 良好 冷え・ふらつき・ほてり

これらは、「この漢方薬だから、この副作用がおきる」というわけではなく、体質に合わない漢方薬を飲んでいることが原因で、どのような症状が出るかには個人差があります。

誤治の状態のまま飲み続けていると、バランスの崩れた悪い体質に変わってしまうこともあります。これを壊病といいます。

誤治を避けるためには、漢方独自の「証(体質・抵抗力・バランスの乱れ方など)」を見極めて処方することが大切です。

「証」について知りたい方は、『漢方の証とは?』をお読みください。

アレルギー反応・生薬の副作用

食べ物にもアレルギーがあるように、生薬にもアレルギーがあります。アレルギーは、どんな生薬にでも起こりえるもので、体質との相性の問題です。

症状としては、

  • 鼻炎や咳
  • 薬疹、口内炎などの皮膚症状
  • 下痢などの消化器症状

等が認められることがあります。

また、作用の強い生薬の場合、

  • 高血圧
  • むくみ、
  • 動悸
  • 吐き気

などの副作用がおこることがあります。

さらに、ごくまれではありますが、「黄今」が原因と考えられる重大な副作用として、間質性肺炎が知られています。

生薬ごとの副作用について詳しくは、『漢方薬は安全?生薬による副作用とは』をお読みください。

まとめ

漢方薬は安全性が高いとされてはいますが、体質に合わない場合や、作用の強い生薬による副作用がみられることがあります。飲んでいて気になる変化があったときには、医師や薬剤師さんに相談してください。

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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:漢方について  投稿日:2020年3月13日

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