妊娠・授乳についてこころみ医学

アルコール(お酒)の妊娠・授乳への影響とは?

  • 更新日:2020年09月21日 14:12
  • 作成日:2019年09月10日 22:00

お酒の好きな女性の方へ

女性でもお酒を好きな方は多いかと思います。自宅で夕食時の飲酒を楽しんだり、友人や職場仲間、パートナーと飲みに行くのが大切な息抜きだという方もいらっしゃるでしょう。

女性は男性よりもお酒に弱い方が多いので注意は必要ですが、適量を守っていれば問題はありません。

しかしながら、女性には妊娠や授乳の可能性があります。アルコールは、妊娠や授乳に対しての影響が少なくありません

アルコールの妊娠・授乳への影響を正しく理解し、その間のお酒との付き合い方を考えていきましょう。

妊娠したらお酒は止めるべき?アルコールの妊娠への影響

  • 妊娠が分かったら、原則としてお酒は止めるべきです。
  • お腹の赤ちゃんに影響し、種々の奇形・成長障害・中枢神経障害などを生じる可能性があります。

お酒好きな方には酷かもしれませんが、妊娠の可能性があるとわかった段階から、禁酒するようにしましょう

妊娠中にお酒を飲んでしまうと、アルコールの作用が胎児・乳児の脳や体の発育に影響を及ぼすことが明らかになっています。

アルコールが赤ちゃんにどのような影響があるのか、みていきましょう。

流産や死産のリスクが高まる

妊娠中にアルコールを摂取することで、流産や死産のリスクが高まってしまいます。

奇形が生じやすくなる

アルコールの影響は、妊娠の時期によっても違いがあります。

妊娠初期は赤ちゃんの器官形成期にあたり、重要な臓器が作られていきます。

このときにアルコールが作用すると、

  • 小頭症
  • 特異顔貌
  • 心奇形
  • 関節異常

など、各種の奇形(生まれつきの異常)リスクが高まると言われています。

成長障害・中枢神経障害がおこりやすくなる

妊娠中後期になると、お腹の赤ちゃんはだんだん成長していきます。

この時期のアルコールの影響では、

  • 子宮内胎児発育遅延
  • 低体重・低身長

などの成長障害や、

  • 精神遅滞
  • 多動症

などの中枢障害が発生しやすくなると報告されています。

なぜアルコールは赤ちゃんに影響してしまうのか?

上でお伝えしたアルコールの影響による、赤ちゃんの奇形・成長障害・中枢障害などの症状を有する典型的なものは、『胎児性アルコール症候群』と呼ばれています。

なぜそのような影響がおこってしまうかというと、エタノール(お酒の主になるアルコール)および、その代謝副産物であるアルデヒドが関与しています。

それらの物質が胎盤を通過し、胎児の細胞増殖や発達を障害すると考えられています。

飲酒量と赤ちゃんへの影響の関係

「妊娠中でもビール350mlを1本程度(アルコール15g=0.75合)までならば、影響はほとんどない」という報告もあります。しかしながら、実際のところどの量だと安全なのかは、はっきりとわかっていませんし、アルコールの影響は個人差もあります。やはり妊娠中は禁酒した方が望ましいでしょう。

飲酒量の増加にともない、奇形などのリスクも大きくなります。ビール350mlを6本以上では明らかに奇形率が高くなり、8本以上では、胎児アルコール症候群の発症率は30~50%と報告されています。

授乳中のお酒は?アルコールの授乳への影響

  • 飲酒後3時間以上はあけて授乳した方がいいため、授乳回数が多いうちは飲酒を控えましょう。

無事出産を終え、禁酒していた方は「さぁ、これで解禁」としたくなるかもしれませんが、今度は授乳への影響の問題があります。

お母さんがお酒を飲むと、胃や小腸から吸収されて血中に取り込まれ、門脈という血管から肝臓に入り、一部は代謝されていきます。しかしながら残ったアルコールは、血管をつたって全身にめぐり、乳腺にも達します。

アルコールを摂取すると血液の循環がよくなり、母乳がたくさん作られるようになるのですが、アルコールは脂肪に親和性が強く、母乳に多く移行してしまいます。

つまり、赤ちゃんはアルコール入りの母乳を飲むことになってしまうのです。

赤ちゃんは大人と違い、臓器が未熟で肝臓の働きも強くありません。アルコールをうまく代謝することができず、妊娠後期での影響と同じような成長障害や中枢障害が生じるリスクが高まります。

アルコールの母乳への移行は、アルコールを摂取して数分から1時間以内とされていますが、体内での分解時間は一般的に2~3時間です。

アルコールの分解速度には個人差もありますので、少なくとも飲酒後3時間以上はあけてから、授乳するようにしましょう。もちろん、飲酒量は、ほどほどにしてください。

まとめ

アルコールはお腹の赤ちゃんに影響し、種々の奇形、成長障害や中枢神経障害などを生じる可能性や、流産・死産のリスクを高めます。

お薬の妊娠・授乳への影響を心配される方も多いと思うのですが、実はアルコールの方が飲む量が多くなる分、お薬以上に赤ちゃんへ影響するリスクが高くなってしまいます。

お酒好きな方には酷かもしれませんが、妊娠が分かったらお酒は控え、授乳中も、授乳間隔があくまでは控えましょう。授乳間隔が開いてきたら、飲酒後3時間以上はあけてから授乳するようにしましょう。

※お薬の妊娠・授乳への影響を知りたい方は、妊娠へのお薬の影響とは?よくある7つの疑問お薬は授乳へどう影響するのかをお読みください。

 

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