授乳中に解熱鎮痛剤を使っても大丈夫?
- 更新日:2020年08月29日 18:09
- 作成日:2020年08月23日 00:43
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お母さんの健康はお子さんの健康
出産という一大イベントを終えて、息つく暇もなく「お母さん」という仕事が始まります。お子さんが小さいうちは夜泣きもひどいので、24時間労働といっても過言ではありません。環境も激変しますし、出産で受けたダメージに加えて、ホルモンも落ち着かないので身体のダメージも残っていますね。
そんな中で、風邪をひいたりケガをしたりと体調が悪くなってしまうと、お母さんがもたなくなってしまいます。ですから、薬を使うことは無理をしないでください。お母さんはお子さんにとって一番の存在です。お母さんの健康はお子さんの健康にもつながります。
もちろん授乳中に避けた方がよい薬はあります。ですが、ほとんどの薬は母乳にはごくわずかしか移行しません。さらにいうならば、生後2か月をすぎると、比較的リスクが高いといわれている薬を使っても、問題になることはほとんどありません。
薬の説明書の中には、「授乳中に飲んではいけない」と書いてあるものもあります。特にお子さんに悪い影響が報告されていなくても、薬が母乳に移行してしまうだけでこのようにかかざるを得ないのです。過度な心配はしなくて大丈夫ですので、ご自身の体調を大事にしましょう。
授乳中に安全性の高い解熱鎮痛剤とは?
ほとんどの解熱鎮痛剤は、ごくわずかしか母乳中には移行しません。ですから、母乳から赤ちゃんにいってしまう薬の量は限られています。お子さんが風邪をひいたときには、小児科で解熱鎮痛剤は出されることもありますね。ですから、心配することはないのです。
安全性が高い解熱鎮痛剤としては、
- アセトアミノフェン(商品名:カロナール・ピリナジン・アンヒバ)
- イブプロフェン(商品名:ブルフェン・ユニプロン)
の2つがあげられています。イブプロフェンは、抗炎症作用がしっかりとしているので痛みや腫れを抑える効果が強く、母乳にもわずかしか出ないので使いやすいです。アセトアミノフェンも安全性が高いですが、効果がマイルドです。
その他の解熱鎮痛剤として、アスピリン(バファリン)やメフェナム酸(ポンタール)やロキソプロフェン(ロキソニン)なども問題はないといわれています。鎮痛作用が一番強いジクロフェナク(ボルタレン)に関しては、ほとんど母乳に出ていかないので問題ないとは思われますが、薬の説明書には「禁忌=絶対ダメ」と書いてあるので使えない状況です。
基本的に解熱鎮痛剤は問題なく使えるのですが、赤ちゃんへの影響は極力避けた方がよいです。このためには、授乳のタイミングを大事にしましょう。お薬を飲んでから3~4時間あけると、影響がかなり減ります。お薬は授乳直後に飲むようにしましょう。
注意を要するのはインフルエンザの時です。これは授乳中に限らないのですが、インフルエンザの時に解熱鎮痛剤を使うとインフルエンザ脳症がおこることがあります。インフルエンザの時の解熱鎮痛剤は、アセトアミノフェン(カロナールなど)だけにしてください。
授乳中に湿布は大丈夫?
湿布の中には、解熱鎮痛成分が入っているものもあります。塗り薬やスプレーなどもありますね。これらは果たして大丈夫なのでしょうか?
結論からお伝えするのであれば、通常の使用量であれば問題ありまえん。例えば、湿布に貼った場合、皮膚から血液の中に薬が移行するのは、同じ量を内服するのと比較して1%程度です。ごく微量には血液にまわってしまいますが、ほとんど無視できる程度です。ですから、母乳にも影響はないので授乳は問題ありません。
いわゆる外用薬といわれる、目薬や吸入薬、湿布や塗り薬などは通常通り使うことができます。できれば少ないことに越したことはありませんので、できるだけ少なく使う意識はもっておきましょう。
市販薬は大丈夫?
市販薬はどれも病院のお薬よりも優しいです。ですから病院の薬で問題がないものは、市販薬でも問題はありません。市販の解熱鎮痛剤では、ボルタレンを含んでいるものはありません。強い解熱鎮痛剤なので、病院でしか処方することができないようになっています。ですから基本的には、市販の解熱鎮痛剤は使っていただいて問題ありません。
薬の説明書を読むと、「授乳中は避けること」といった文言が書いてあることが多いと思います。もしも知らずに薬を飲みながら授乳してしまっても、心配しないでください。市販薬では、ほとんど影響はないと思われます。
まとめ
生後2か月をすぎると、まず問題になることはありません。お母さんの健康はお子さんの健康につながります。
アセトアミノフェンやイブプロフェンで安全性が高いといわれています。
授乳中に湿布などの外用薬は、通常の使用であれば問題ありません。
市販薬はほとんど影響ありませんので、過度な心配はしないでください。
執筆・監修
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こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

大澤亮太
- 役職:医療法人社団こころみ理事長/(株)こころみらい代表産業医
- 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医
- 学会:日本精神神経学会