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妊娠中にも使える風邪薬とは?

  • 更新日:2020年08月29日 17:27
  • 作成日:2020年08月22日 22:58

妊娠中にかぜ薬は大丈夫?

妊娠していても風邪をひくことだってあります。冬にはインフルエンザも怖いです。妊婦さんでも使える風邪薬にはどのようなものがあるでしょうか?

風邪薬としては、

  • かぜ薬(総合感冒薬や漢方)
  • 抗生物質
  • 吐き気止め
  • 咳止め
  • 解熱鎮痛剤

などが使われるかと思います。ここでは風邪薬の、妊娠中での安全性を見ていきたいと思います。

かぜ薬

かぜをひいてしまったときに、

  • 総合感冒薬
  • 漢方薬

などは、全体的な効果を期待して使われます。病院でよく処方されるお薬や市販薬なども含めて、妊娠中での影響をみていきましょう。

総合感冒薬

かぜ薬として病院でよく使われるのは、PL顆粒という白い粉薬です。ピーエイ錠という錠剤もあります。

昔から使われている総合感冒薬で、解熱鎮痛剤の「アセトアミノフェン」と「サリチルアミド」、抗ヒスタミン薬の「プロメタジン」、「無水カフェイン」の4種類の成分が合わさったものです。

はじめの2つの解熱鎮痛剤はそのままですね。抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を抑えることで、くしゃみや鼻水を抑えます。

ですが、副作用として眠気が強く出てしまいます。無水カフェインは、この眠気を和らげる目的と、脳の血管を収縮させて頭痛を和らげる働きがあります。あわせて、発熱・頭痛・その他の痛み・鼻炎症状に効果があります。

この4つの成分はそれぞれ、妊娠中に使っても比較的安全と考えられています。

長い歴史の中でも、通常量での使用によって奇形が増加したという報告はありません。何とかなるのでしたら薬を飲まないに越したことはありませんが、苦しい時は無理してはいけません。症状を落ち着けて、水分補給をしっかりして休みましょう。

漢方薬

漢方は生薬だから安心というのは大きな間違いです。漢方の生薬の中でも、たとえば麻黄・大黄は妊婦にはよくありません。それぞれ発汗・下痢作用があり、水分が失われていきます。また、どちらも子宮収縮作用があります。

よく風邪の漢方薬として飲まれている葛根湯や麻黄湯、どちらも麻黄が主成分です。汗をだしてしまい、身体から悪いものを出してしまおうという漢方薬です。妊婦さんには向いていません。

鼻炎でよく使われる小青竜湯も同じように麻黄が含まれているので、あまり適さないかと思います。

だからといって、知らずに飲んでしまっても大きな問題はまず起きないので、心配しないでください。

それでは、どのような漢方ならばよいのでしょうか?

何となく風邪っぽい・・・風のひきはじめの方には、桂枝湯を使います。気持ち悪さがある時は香蘇散などが使われます。咳や鼻水が出てきて体調が悪くなってきたら参蘇飲などでしょうか。体力もつけてくれる漢方なので、病み上がりにもよいです。

のどが痛いときは桔梗湯を使いましょう。この漢方は扁桃腺の炎症を直接抑えてくれます。

渇いた咳が続くときは麦門冬湯を使います。熱が高くて苦しい時は、小柴胡湯や柴胡桂枝湯などの柴胡が入っているものを使われます。

市販薬のかぜ薬

市販薬の総合感冒薬もいろいろなものが発売されています。基本的には、病院のお薬よりも効果が弱いです。ですから、知らずに市販薬を飲んでしまったとしても心配しないでください。

市販薬を選ぶ時には、解熱鎮痛剤の成分に注意しましょう。鎮痛成分がアセトアミノフェンのものを選ぶようにしてください。

抗生物質

通常の風邪では、抗生物質は必要ありません。多くの場合がウイルス性の風邪なので、抗生物質を使っても効果がないからです。もしも細菌が原因だとはっきりすれば、抗生物質を使っていきます。

採血などをすれば、白血球の上がり方などで細菌かウイルスのどちらが原因か、推察がつきます。症状としては、鼻水や淡が黄色~緑色であったり、膿のようなものがあるときは、細菌が原因である可能性が高まります。一般的に、咽頭炎・気管支炎・膀胱炎などに処方されることが多いです。

抗生物質の中で妊娠時に比較的安全に使用できるものとしては、ペニシリン系やセフェム系、マクロライド系があげられます。よく使われている抗菌薬としては、サワシリンなどのペニシリン系、メイアクトやフロモックスなどのセフェム系があげられます。

マイコプラズマやクラミジアなどの特殊な場合は、ジスロマックなどのマクロライド系が使われます。(クラリスは動物実験で大量に使えば奇形リスクの報告ありますが、通常用量では問題となる報告は認められません)

吐き気止め

妊娠中の女性では、吐き気止めとして一般的に使われるプリンペランの安全性が確認されています。プリンペランは、ドパミンを抑制することで嘔吐中枢を抑え込む薬です。高齢者でパーキンソン症状などの副作用がみられることがありますが、健康な方では安全に使えるお薬です。

3万人近くの妊婦さんを調べた研究では、奇形の発生や流産などの妊娠中のトラブルは、プリンペランとは関係がないことが報告されています。

咳止め

妊娠中の女性で激しい咳が続いてしまうと、それが刺激になってしまい子宮収縮を起こしてしまうことがあります。これが切迫早産の原因にもなりかねません。

咳止めのうち、メジコン・アストミン・フラベリック・トクレスなどで安全性が報告されています。特に、メジコンは昔から使われている薬ですのでよく使われます。

また、痰のキレを良くするお薬として、ビソルボン・ムコソルバン・ムコダインなどがあります。これらはどれも妊娠中でも比較的安全といわれています。

解熱鎮痛剤

解熱鎮痛剤はいろいろな種類があります。解熱鎮痛剤による明らかな奇形は報告されていませんが、特に妊娠後期になってくると、胎児の動脈管が閉じてしまう可能性があります。

その中では、アセトアミノフェンのカロナールやピリナジンは安全性が高いです。市販薬を使う場合でも、有効成分がアセトアミノフェンのものを使いましょう。

詳しく知りたい方は、妊娠中にも使える鎮痛剤とは?をお読みください。

予防が何より大事!

これまで妊娠中でも使える薬についてみてきましたが、できれば薬は使いたくありません。安全性が高いといっても、妊娠への影響は完全にはわかっていません。ですから、風邪にかからないように気を付けましょう。

基本は、手洗い・うがいです。これに勝る風邪の予防法はありません。

さて、妊婦さんに特別気をつけていただきたいのは、イソジンを繰り返し使わないことです。イソジンにはヨードが含まれています。1回うがいしたくらいでは問題ありませんが、毎日イソジンでうがいをしていると、ヨードが過剰に身体に入ってきてしまう可能性があります。

ヨードは吸収されて胎盤を通過し、胎児に伝わります。すると胎児の甲状腺に蓄積されてしまい、甲状腺機能低下症などになってしまうことがあります。ヨードよりも水でうがいする方が、予防効果は高いともいわれています。水でしっかりとうがいをしましょう。

まとめ

妊娠中に使われるかぜ薬をまとめました。

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