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【精神科医が解説】むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)の症状・診断・治療

  • 更新日:2019年08月24日 18:38
  • 作成日:2019年09月02日 22:00

レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)とは?

  • 「寝ようとすると足がムズムズして寝付けない」
  • 「会議中にソワソワし、じっとしていられない」
  • 「映画館でじっと座っていると、落ち着かない」
  • 「透析中にふくらはぎがムズムズする」

このような状態の原因は、実はむずむず脚症候群かもしれません。レストレスレッグ症候群(下肢静止不能症候群)などとも呼ばれますが、その名の通りで脚を中心に異様な感覚に襲われる病気です。

「ムズムズする」「ピリピリする」「ほてる」「虫が這っているよう」など、不快な感覚のあらわれかたは人それぞれです。いずれにしても安静にしているときに不快感に襲われるため、睡眠が妨げられてしまうことも少なくなく、不眠で悩まれて受診される方が多いです。

現在、有病率は約4%と言われており、実は25人に1人は、こういった症状に悩まされていることになります。決して稀な病気ではなく、ありふれているものです。特に女性では男性の1.5倍から2倍、罹りやすいといわれています。10~20代で発症することが多く、大人になって診断された方も、振り返れば症状を経験していることが少なくありません。

ここでは、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)について詳しくみていきましょう。

レストレスレッグ症候群の症状

むずむず「脚」症候群という名前の通り、脚を中心に不快感が認められることが多いです。しかしながら脚だけではなく、腕や体に症状が現れる事もあります。

不快感の感じ方は人それぞれで、脚の表面というよりは深いところに違和感を感じることが多いです。両脚のことが多いですが、片脚だけのこともあります。

この不快感は、安静にして脚を動かさずにいると強まり、脚を動かすと不快感は消えていきます。「動かしていないときに動かしたくなる」という特徴があります。

またこの症状は夕方~夜間にかけて出現することが多く、睡眠が妨げられ、重度のレストレスレッグ症候群では、一晩あたりの睡眠時間が5時間未満となってしまいます。 そのため、熟眠感のなさや日中の眠気の原因となったりします。

レストレスレッグス症候群(RLS)は睡眠関連運動障害に分類され、下肢の異常感覚を伴い、動かしたいという強い欲求により不眠の原因となり、入眠困難や中途覚醒、日中の眠気の原因となることがあります。

また、下肢のピクツキ運動である周期性四肢運動障害(PLMD)を80~90%合併し、その密接な関連が示唆されています。PLMも夜間に発生することが多いため、さらに不眠の原因が増強されてしまいます。

むずむず脚症候群の症状を整理すると、

  • 安静にしていると強まり、動かすと楽になる
  • 夕方から夜にかけて症状が強まる
  • 睡眠障害につながりやすい

となります。

むずむず脚症候群の原因

むずむず脚症候群の原因はわかっていませんが、なんらかの影響で脳内のドパミン神経の障害されていると考えられています。

鉄はドパミン代謝に必要で、鉄不足によってもむずむず脚症候群の症状が認められることがあります。脳内の鉄輸送に問題があるとされており、それによるドパミンの機能障害が生じてしまうと考えられています。 脚なのに脳?そう思われるかもしれませんが、脚の筋肉の神経への指令は、脳から出ています。

少し専門的にいうと、脳血管内皮細胞の鉄輸送障害による鉄不足、そして鉄はドパミン代謝に影響するため、神経活動に異常をきたすことになります。ドパミン神経系による筋肉の交感神経抑制がはずれ、筋肉内の交感神経の興奮が増大することで、異常感覚をきたすと考えられています。

しかしパーキンソン病などの変性疾患とは異なり、そのまま坂道を下るように萎縮が進むわけではなく、発症して2年後に調査すると、無治療でも改善していた人が約半数もみられたという研究結果もあります。症状がひどい時には薬物治療を受け、しばらくしたら、止めて様子をみるのもよいかもしれません。

家族内発生が多いことから、遺伝の影響もあるようです。

二次性のむずむず脚症候群

むずむず脚症候群は、妊娠や腎障害(とくに透析中)などによって、二次的に引き起こさ起こされることがあります。様々な神経疾患(パーキンソンなど)や内分泌疾患(糖尿病)でも認められることがあります。

妊娠中は胎児への栄養で鉄分が不足することにより症状が出現または悪化する事があり、妊婦の1割から2割にみられるといいます。

人工透析治療を受ける方の約2割に、ムズムズの新規発生がみられるといいます。透析の時刻や種類を変更することでマシになることもあります。

むずむず脚症候群の検査・診断

まずは診断基準をご紹介しましょう。

  1. 脚を動かしたいという強い欲求が存在し、また通常その感覚が、不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
  2. 静かに横になったり座っている状態で出現、増悪する
  3. 歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
  4. 日中より夕方・夜間に増強する

こちらの4つが診断の必須項目になります。そして補助項目として、

  • 家族歴
  • ドパミン作動薬による効果
  • 睡眠時の周期性四肢運動障害が優位に出現

上記の必須四項目+補助項目でほとんど診断がつきますが、厳密な診断にはポリソムノグラフィー検査といった入院検査が必要です。

また、鉄の欠乏によっても症状が認められることがあるため、血液検査によって血算(Hb)、鉄と貯蔵鉄であるフェリチン量を測定していきます。。

間違われやすい病気

  1. 周期性四肢運動障害:先ほど上述した、足の規則的なピクつきが睡眠中にみられるものです。RLSに合併する事も多いですが、単独でみられることもあり、高齢者ではしばしば見られる現象です。
  2. ADHD:落ち着かない子供と捉えられてしまうと、ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されることがあります。
  3. 脊髄症、神経根障害、末梢神経障害:もっともよく間違われるのがこれです。脊椎や椎間板の傷害で、脚にしびれや痛みがみられます。これらは脚を動かしている最中でも症状が続くのが異なります。
  4. 体位性不快症状:横になり脚をまっすぐにすると下肢に違和感がでるなど、神経や血管の圧迫で同じような症状がみられる。
  5. こむら返り:筋肉の神経自体が異常に興奮し、ピクついたり不快症状がみられるもので、脳の病気であるRLSとは病態が異なります。
  6. その他:下肢静脈瘤、かゆみ、不安、薬による副作用、児童では成長痛も、下肢症状の原因となります。

むずむず脚症候群の治療

むずむず脚症候群の治療に当たっては、まずは原因がないかを把握することが大切です。原因疾患が疑われる二次性のむずむず脚症候群の場合、原疾患の治療が大切です。例えば鉄欠乏性貧血では、鉄欠乏を改善すれば、症状が改善していきます。

基本的には薬物療法を行っていきますが、生活習慣を整えていくことも大切です。

アルコールやたばこ、カフェインは、いずれも症状を悪化させることが知られていますし、睡眠の質を低下させてしまいます。できるだけ避けることが望ましいです。また規則正しい生活を意識し、3食をきっちりととることも大切です。

鉄不足が疑われる方は、サプリメントを摂る事も良いでしょう。鉄は1日の吸収量がきまっています。鉄不足にならないためには、こまめに肉類(ヘム鉄)をとることが大切です。

むずむず脚症候群の薬物療法

ムズムズ脚には、通常の睡眠薬は無効です。。たとえ睡眠状態に入れたとしても、脚の違和感は寝ている間も続き、睡眠の質は悪いままとなります。

効果が期待できるのは、ドパミン系薬剤と非ドパミン系薬剤(抗てんかん薬・抗不安薬)があります。

ドパミン系薬剤

ドパミン前駆体であるレボドパと、ドパミン受容体アゴニストがあります。

レボドパは、即効性で効果が強い薬ですが、使い続けるとリバウンド現象や症状促進現象(オーグメンテーション)がおきることがあり、また短時間しか効果が持続しないため、むずむず脚症候群ではほとんど使われません。

ドパミン受容体アゴニストは、作用時間が長く副作用は比較的少ないですが、効果がみられるまでに1~2時間必要であり、即効性はありません。

会議前など、予定がわかっている時にはその1,2時間前に服用するとよいでしょう。麦角系と非麦角系がありますが、麦角系の方が効果が強いですが、心臓弁や肺などに繊維性変化が起こる事があるため注意が必要です。

むずむず脚症候群では、非麦角系のドパミン作動薬が使われることが多いです。

適応が認められているのは以下の2剤で、いずれも中等度~高度のレストレスレッグ症候群に対してになります。

  • ビ・シフロール(プラミペキソール)
  • ニュープロパッチ(ロチゴチン)

非ドパミン系薬剤

むずむず脚症候群に対する治療薬として、

  • 抗てんかん薬
  • 抗不安薬

が使われることがあります。

抗てんかん薬としては、神経細胞の興奮を鎮静する作用があります。ガバペンを改良したレグナイト(ガバペンチンエナカビル)が適応を認められています。不快感に痛みが伴う場合や、ドパミン系で治療抵抗性の際には有効です。

不眠症状が主体の場合は、リボトリール・ランドセン(クロナゼパム)が効果が期待できます。これらは、半減期が長く、日中に眠気が持ちこすことがあり注意が必要です。

また適応外ですが、特殊な鎮痛薬であるトラムセットも効果があるとされ、これも痛みの伴うものや治療抵抗性の場合に効果が期待できるといわれています。

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