月経前症候群(PMS)こころみ医学

【医師が解説】月経前不快気分障害(PMDD)の症状・診断・治療

  • 更新日:2019年11月01日 19:37
  • 作成日:2019年11月20日 22:00

生理前の精神不安定がとても辛い…

『月経前不快気分障害(PMDD)』という病気をご存知ですか?

生理2週間前ごろから心身が不安定になって辛い状態を『月経前症候群(PMS)』といいますが、その中でも精神の不安定さが際立って強くでてしまう重症例は『月経前不快気分障害(PMDD)』と区別されています。

生理前になるとイライラ、抑うつ、衝動的な言動などをおさえられず、人間関係や学校・仕事・家庭でトラブルになってしまう…。不眠や過食になってしまう…。ときに、死にたくなるようなこともある。

もし、そのように悩んでいるのなら、『月経前不快気分障害(PMDD)』かもしれません。その症状、受診・診断方法、治療、セルフケア、原因などを詳しくご紹介していきます。

月経前不快気分障害(PMDD)の症状

生理が始まる710日くらいの間、心身にさまざまな不快症状がおこる状態を『月経前症候群(PMS)』といいます。

『月経前不快気分障害(PMDD)』も『月経前症候群(PMS)』の1種ですので、基本の症状としては同じです。

しかしPMDDの症状では、

  • 精神の不安定さが際立って強い

のが特徴で、本人が苦しいのはもちろんですが、人間関係や、学校・仕事・家庭生活などに大きな支障をおよぼすことが多いのです。

『月経前症候群(PMS)』について詳しくは、月経前症候群(PMS)の症状・診断・治療をお読みください。

月経前不快気分障害(PMDD)』の「こころ」の症状

  • 感情の起伏がとても激しくなる
  • イライラがひどくなる
  • ちょっとしたことで涙もろくなる
  • 何もやる気がしなくなる
  • 不安感がつきまとう
  • 自己否定感や孤独感が強くなる
  • ときに「死んでしまいたい」と感じることがある
  • 衝動的な言動が止められなくなる
  • 周囲の人にあたってしまい、関係が悪くなっている
  • 学校、仕事、家庭生活などでトラブルになってしまう
  • 不眠、過眠など睡眠に障害がでる
  • 過食、拒食など食行動が不安定になる
  • 普段とは人が変わったようになってしまう

など

月経前不快気分障害(PMDD)』の「からだ」の症状

  • 胸やお腹が張る
  • 下痢や便秘になる
  • 片頭痛がする
  • 腰痛がひどくなる
  • 疲労感が強くだるくなる
  • 身体がとても重く感じる
  • むくむ

など

症状がおこる期間と特徴

『月経前不快気分障害(PMDD)』の症状は、

  • 生理が始まる7~10日前ごろ(長ければ14日前)の期間

におこり、

  • 生理終了とともに軽減していく

のが基本です。

普段から気分の不安定さや片頭痛などを持っている方の場合でも、

  • 生理周期と症状の強弱があきらかに連動している

のが特徴です。また、

  • 基本的に生理周期は正常

であることも特徴の1つですが、人によっては、生理の不安定さもみられることがあります。

『月経前不快気分障害(PMDD)』では何科を受診する?

「自分はPMDDかもしれない…」。そう思ったときは何科を受診すればいいのでしょうか?

選択肢は

  • 婦人科
  • 心療内科
  • 精神科

の3つです。PMDDの治療は基本的に

  • 心療内科
  • 精神科

で行うのですが、婦人科でも診断はできますので、まずは婦人科で相談されても大丈夫です。

とくに、

  • 月経周期が不安定
  • 月経の出血が多い、少ない、痛みをともなう
  • 精神症状以外に気になることがある

などの場合には、婦人科でホルモンの状態や他の婦人科系疾患の可能性なども調べてもらう方がいいかもしれません。そこでPMDDと診断がつけば、患者さんの希望に応じ、心療内科や精神科での治療に移行していくことも可能ですし、心身の両面からアプローチしていくことも可能です。

婦人科だけでも治療を行っていないわけではないのですが、精神の症状が強いPMDDには婦人科のピル(低用量ホルモン剤)療法では改善が難しいケースが多く、

  • 抗うつ剤
  • 抗不安薬
  • 精神療法

などを使った治療が主になるのです。また、

  • うつ病
  • パニック障害
  • 気分変調性障害
  • パーソナリティ障害

などが合併している可能性もあるため、PMDDと診断されて精神症状が重い場合は、

  • 心療内科
  • 精神科

で治療を受けることが望ましいと思います。

最初から心療内科や精神科を受診する場合には、

  • 生理周期と症状が連動していること
  • PMDDではないかと自分で疑いを持っていること

をしっかりと伝えておきましょう。いずれにしても診断には、

  • 2カ月間の生理周期と症状の変動の記録

が必要になります。

月経前不快気分障害(PMDD)の診断と診断基準

上でもお伝えした通り、PMDDの確定診断には

  • 2カ月間の生理周期と症状の変動を記録すること

が必要になります。

人間の記憶はあいまいですので、実際に記録をつけてみると、実は月経周期とは関係なく症状が出ていた…ということもあるのです。

2カ月の間、月経の始まり~終わりと、気分や体調の変化をご自身でつけていただき、それをみて本当にPMDDか、他の要因によるものかを判断していきます。

月経前不快気分障害(PMDD)の診断基準

PMDDの診断基準は、2013年にアメリカの精神医学会によってつくられた新しいものです。

それによると、以下のように診断基準が決まってはいますが、これは「かならず」というわけではありません。

これを参考にしながら、医師が患者さんそれぞれの状態をみて診断をつけていきます。

《PMDDの公的な診断基準》

次の①~⑥に該当すること

  1. ほとんどの月経周期で月経開始1週間前に5つ以上の症状が出現し、症状は月経開始後数日以内に軽減、月経終了後はほぼ消失する
  2. 症状は(カテゴリーA)から1つ以上、(カテゴリーB)から1つ以上が存在し、合計5つ以上が確認される
    (カテゴリーA)
    ・感情が著しく不安定
    ・激しいイライラや怒りの感情
    ・ひどい落ち込み、絶望感、自責感の高まり
    ・異様な不安、緊張、興奮、いらだち感
    (カテゴリーB
    ・仕事・学業・交友・趣味など日常活動への意欲低下
    ・集中力低下
    ・倦怠感、疲れやすさ、気力の欠如
    ・過食、甘いものが異常に欲しくなるなど食欲の変化
    ・過眠または不眠
    ・自分を抑えることができないという感覚
    ・胸の腫れや痛み、関節痛、筋肉痛、体重の増加、むくみなどの身体症状
  3. 症状には明らかな苦痛が認められ、対人、仕事、学校などの日常生活に大きな支障をおよぼしている
  4. うつ病、気分変調性障害、パニック障害、パーソナリティ障害の増悪によってだけおこっているわけではない(合併の可能性はある)
  5. 月経2周期以上にわたる症状の記録で連動が確認される
  6. 症状は、薬物やアルコール、他の病気の影響によるものではない

月経前不快気分障害(PMDD)の治療

月経前不快気分障害(PMDD)の治療では、症状に応じ、

  • 薬物療法(お薬の服用)
  • 精神療法(カウンセリング・認知行動療法など)
  • 漢方

などを組み合わせていきますが、中心となるのは症状に合わせた薬物療法(お薬の服用)です。

月経前不快気分障害(PMDD)の薬物療法

PMDDの治療では、主に

  • 抗うつ剤
  • 抗不安薬
  • 向精神病薬

などのお薬を症状に合わせて組み合わせていきます。

中でも、

  • SSRIという抗うつ剤(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

は、アメリカではPMDDの治療薬として認可されています。日本の産婦人科学会のガイドラインでも、PMDDや精神症状が目立つPMSの患者さんに対しては、SSRIの使用を推奨しています。

SSRIは抗うつ剤の1種ですが、脳内のセロトニンという物質を増やすお薬で、

  • 抑うつ
  • 緊張
  • 不安
  • とらわれ

などを緩和し、気持ちを穏やかにする効果が期待されるため、うつ病に限らず、不安障害や疼痛性障害などの治療でも用いられています。

本来、SSRIなどの抗うつ剤は毎日飲み続けることで効果を発揮するお薬になりますが、PMDDに対してはその作用が異なるという説があり、

  • 排卵後から月経終了に限ってSSRIを服用する間欠療法

が行われることもあります。ただし、

  • 月経周期が安定していない
  • 症状が重い
  • うつ病や不安障害の合併が疑われる

などの場合には、毎日継続してSSRIを服用していきます。

SSRIについて詳しくは、抗うつ剤(抗うつ薬)の効果と副作用をお読みください)

その他、不安や緊張が強い方には即効性のある抗不安薬(精神安定剤)を用いることもあります。

SSRIは効果が出るまで通常2~4週間ほどかかるのですが、抗不安薬は飲んですぐに効果を実感できるため、頓服薬(症状がきついときだけ飲むお薬)として使うことができます。

抗不安薬は脳内のGABAというリラックス物質の働きを高め、

  • 不安
  • 緊張
  • 高ぶり

などを速やかにしずめ、気持ちを落ち着けていくお薬です。筋肉の緊張もゆるみ、眠気を誘う作用もあるため、

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 不眠

などの緩和も期待できます。

抗不安薬について詳しくは、抗不安薬(精神安定剤)の効果と副作用をお読みください。)

また、衝動性がかなり強いときには、興奮を抑える作用の強い抗精神病薬を用いるときもあります。

月経前不快気分障害(PMDD)と精神療法

月経前不快気分障害(PMDD)の方は、

  • ストレスを感じやすい
  • 反対に自分のストレスや感情に気づきにくい
  • ストレスへの対応が苦手

などの特徴を持っている場合が多いようです。

症状によって人間関係や社会生活がうまくいかず、自信をなくし、自己否定の強いこともあります。

そのような心理状態は症状をさらに強めてしまいますので、症状の改善には

  • 認知行動療法
  • カウンセリング

などの心理療法が有効な場合もあります。

どちらも本格的には心理療法士さんが担当して健康保険外で受けるものになりますが、医師が日々の診察の中で、患者さんの抱えているストレスを整理し、その付き合い方を一緒に考えていくことはできます。

認知行動療法について詳しくは認知行動療法のページをお読みください

月経前不快気分障害(PMDD)と漢方

軽症の月経前症候群(PMS)の方ですと、漢方薬だけで治療をすることもありますが、PMDDの方は主に他のお薬の補助として使います。

漢方は西洋薬と異なり、体質を根本から改善し、身体や精神の症状をトータルで緩和するお薬です。

ただし、

  • 効果に個人差が大きい
  • 効果がおだやかで時間がかかる
  • 体質に合わせないと逆効果になることがある

という特徴があり、PMDDを漢方だけで改善するのはなかなか難しいかもしれません。

使われる漢方としては、以下のようなものがあります。

  • 抑肝散(よくかんさん)

イライラ、興奮などを落ち着かせてくれる漢方薬です。

  • 加味帰脾湯(かみきひとう)

鎮静作用が強く、イライラや不安が強い方に使います。

身体症状の治療

PMDDでは、多くの場合

  • 頭痛
  • 腰痛
  • 胸や腹部の張り
  • むくみ
  • 便秘

などの身体症状もみられます。

その症状がひどく、生活に支障をきたすようなときは、症状を緩和させる鎮痛剤、下剤、利尿剤などを処方することもあります。

身体の症状に対しては、体のバランスを全体に整えていく漢方薬も有効です。

婦人科でのピル(低用量ホルモン剤)治療

婦人科で行う治療は、主に低用量ピルを使ったホルモン療法です。PMDDも含め、月経前症候群の治療にはある種の低用量ピルが使用されます。

低用量ピルは、月経にかかわる女性ホルモンを一定量飲むことで排卵を抑制し、ホルモンバランスと月経の周期をコントロールしていきます。基本的には避妊薬として使われるお薬です。

月経の不安定さがある方や、月経困難症(月経中に辛い症状がおこる)の方にはピルの有効性が認められていますが、PMSに対しては効果に個人差が大きく、とくにPMDDの精神症状にはあまり効果がみられないことも多いようです。

PMDDの治療のメインが心療内科や精神科になっているのは、そのような理由もあるのです。

月経前不快気分障害(PMDD)のセルフケア

病院での治療は薬物療法が主になるのですが、PMDDの根本改善のためにはセルフケアも欠かせません。

お薬で多くの方は症状が楽になっていくとはいえ、生理前に心身が不安定になってしまうのは、ある程度は避けられないことです。PMDDの悪化には

  • ストレス
  • 生活習慣

の影響も大きいですので、以下のようなことを意識してみましょう。

  1. 日記をつける
  2. 生活リズムを整える
  3. カフェインを控える
  4. 食事のバランスに注意する
  5. 適度な運動をする
  6. 大切な人には伝えておく
  7. 自分で気持ちを落ち着ける方法を身に着ける

①日記をつける

PMDDの方は、診断時に限らず、

  • 月経周期
  • その日の出来事
  • ストレス
  • 気持ちや身体の症状

などの記録をつけ続けていくことをお勧めします。

毎日のことですので、簡単で気楽に続けられる方法でやってみましょう。そのようなアプリもあります。

自分自身でその関連を客観的にみることで、症状にふりまわされにくくなったり、ストレスに気づきやすくなったり、自分の心身との付き合い方が上手になったりします。

②生活リズムを整える

ホルモンのバランスは生活習慣によっても左右されます。

お仕事や学校、活動、人づきあいなどで難しい面もあるかもしれませんが、自分に無理をさせてしまえば症状が悪化しやすくなります。

睡眠・食事のタイミングはできるだけ一定になるように心がけ、無理のない予定を立てるようにしましょう。

とくに生理前の期間には予定を詰めこまず、ゆったりと過ごす時間をつくっていきましょう。

③カフェインを控える

ある説によると、カフェインの摂り過ぎがPMDDを悪化させるとも言われています。

PMDDでは脳が興奮してしまっている状態で、それをしずめようとコーヒーやチョコレートを求める方もいるかもしれません。

しかし、カフェインは反対に脳を活性化させ、緊張、興奮、不安感などを強めてしまいます。

完全に断つのは難しいかもしれませんが、

  • コーヒー
  • 紅茶・ウーロン茶
  • チョコレート
  • カフェイン入り栄養ドリンク

などは控えていくようにしましょう。

④食事のバランスに注意する

女性の方ですと、ダイエットに励んでいることも多いでしょう。

しかしながら、栄養のバランスが崩れれば

  • ホルモンの乱れ
  • イライラ
  • ストレスの増加
  • 反動の過食

などの引き金になってしまい、PMDDの症状も増幅しやすくなります。

ある説では、

  • 大豆イソフラボン
  • カルシウム

の摂取がPMDDの改善に有効とも言われていますが、何事も偏っては意味がありません。

とくに大豆イソフラボンは、体質による個人差が大きいことがわかっています。

大豆自体は良質なたんぱく源で、健康的なダイエットにも効果的ですので、好きな方は、豆乳や大豆製品を食習慣に摂り入れてみてはいかがでしょうか。

カルシウムも不足すればイライラしやすくなります。カルシウムの多い乳製品や小魚などもいいかもしれません。

サプリなどで特定の成分を摂るよりは、日々の食事でバランスよく摂った方が、精神や身体も安定しやすくなります。

できるだけ過度なダイエットはひかえ、3食に分けてバランスよく食べるようにしましょう。

その方がかえって体重は安定し、綺麗な肌や体型が維持しやすくなります。

⑤適度な運動をする

適度に身体を動かすことは、ストレスを軽減し、生理前の痛みやむくみの防止にも効果的です。

PMDDの治療で使用されるSSRIは脳内のセロトニンを増やすお薬ですが、ウォーキングやリズム的な運動もセロトニンを増やすと言われています。

腹式呼吸を意識しながらのストレッチやヨガも気持ちを落ち着けるためには有効です。

運動と言っても、とくべつなことをする必要はありません。体力や生活に合わせ、心地よいと感じるものを取り入れてみましょう。

⑥大切な人には伝えておく

自分自身で症状と付き合っていくことはもちろん大切なのですが、

  • 家族
  • パートナー
  • 親しい友人

など大切な相手には、生理前に心身が不安定になりやすいことを伝えておきましょう。

職場などでも、伝えやすい相手がいれば、冷静なときに打ち明けておくといいかと思います。

それがわかっているだけで、相手の受け取りもだいぶ違いますし、自分自身も「わかってもらえている」という安心感につながります。

そして、症状によってイライラなどをぶつけてしまい、後悔したときには、冷静になってから素直に謝りましょう。

それをくり返していけば、お互いの理解も深まっていくと思います。

⑦自分で気持ちを落ち着ける方法を身に着ける

精神状態は、ある程度自分でコントロールすることもできます。

自分で気持ちを落ち着け、イライラや不安をしずめていく方法には、

  • 腹式呼吸
  • 自律訓練法
  • 漸進的筋弛緩法

などがあります。自律訓練法は病院でさまざまな精神疾患の治療の助けとして取り入れていることもある方法ですが、自宅で取り組んでいくこともできるセルフケアです。

これらの方法について知りたい方は、薬に頼らず不安を解消する4つの方法をご覧ください。

月経前不快気分障害(PMDD)の原因

PMDDの原因については諸説あり、はっきりとしたことは未だ研究中ですが、PMDDの症状がおこる期間は女性ホルモンが変動します。その変動と症状には何らかの関連があると推定されています。

月経は

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

の2種のホルモンの分泌量が周期によって移り変わっていきます。エストロゲンは卵子を育てるホルモン、プロゲステロンは妊娠に備えるホルモンです。

PMDDの症状期間にはプロゲステロンが増加するため、それが様々な不快症状に関わっていると考えられてきたのです。

しかし、最近の研究では、プロゲステロンそのものの影響というよりも、脳が女性ホルモン分泌の指令を出すときに脳内の神経伝達物質と連動することによって、不快な症状を引き起こしているのではないかという説が有力視されています。

とくに、脳内の

  • セロトニン
  • GABA

と女性ホルモンの相互作用が注目されています。どちらも働きが悪くなると、

  • 緊張
  • 不安
  • 高ぶり
  • イライラ
  • 抑うつ

などを引き起こす原因の1つになる物質です。

そのメカニズムがはっきりとわかっているわけではありませんが、セロトニンを増やすSSRIや、GABAの働きを高める抗不安薬が症状の緩和に有効なことが多いことからも、脳と女性ホルモンの連動はPMDDと深い関わりがあるのではないかと考えられています。

それ以外は、

  • ストレス
  • 生活習慣
  • 食生活
  • カフェイン

など、さまざまな要素が複合していると推定されています。

月経前不快気分障害(PMDD)の歴史

女性の月経前に心身が不調になる状態は、かなり昔から感覚的には知られていました。1930年代頃からは、婦人科医療では月経前の不快症状がとくに強くなる患者さんの存在が注目されるようになっていきました。

そして、1980年代、米国で女性が殺人事件を起こし、「月経前になると行動の制御がきかなくなってしまう」と訴え、それが認められたことがきっかけで「月経前の身体と気分の障害」の研究が本格的に進められることとなったのです。

『月経前不快気分障害(PMDD)』という現在の病名は、2001年から正式に用いられるようにはなりましたが、当時は研究の範囲にとどまり、実際の患者さんに対して診断・治療が行われるという状態ではありませんでした。

その後、2013年になってアメリカでやっと診断基準がつくられ、『月経前不快気分障害(PMDD)』は一般にも少しずつ認知されるようになってきました。

しかしながら、日本ではまだまだ認知度が低く、それが病気と認識できないままに、苦しい症状に振り回されてしまっている方も多いのではないかと思われます。

月経前に心身が不安定になるのは、女性としてある程度は自然なことです。けれど、それが生活や対人関係に支障をおよぼすレベルになれば、治療の対象になります。

月経前の精神不安定が辛く悩んでいる方は、ご自身で記録をつけてその関連性をみるとともに、一度病院で相談してみましょう。

こころみ医学 - 内科の症状 - 【医師が解説】月経前不快気分障害(PMDD)の症状・診断・治療