心療内科外来とは?
当院の心療内科外来では、こころの症状が中心となっている心身症の診療を行っています。おもに精神科医が担当させていただきます。
心身症とは、一つの病気を指しているわけではありません。「こころ」と「からだ」が相互に影響しあうことで、身体症状が生じている病気のすべてになります。つまり、「ストレスによって身体症状が目立っている病気すべて」になります。
心身症というとメンタル疾患を思い浮かべがちかもしれませんが、例えば糖尿病なども、心身症としての要素があったりします。
当院では診療理念として、「こころ」と「からだ」をトータルで支える医療を実践していきたいと考えています。内科医と精神科医がそれぞれ専門的な立場から診療し、必要に応じて連携をとることで、心身症の治療をおこなっています。
心身症は「こころ寄り」のこともあれば、「からだ寄り」のこともあります。ですが、まずは心療内科をご受診ください。初診の時間をしっかりと確保し、患者さんの状態を正しく診たてるためです。
「からだ寄り」であれば、精神科医より内科をご紹介させていただきます。
※心療内科は完全予約制になります。初診は予約がとりづらくなっていますこと、ご了承ください。内科での向精神薬の処方は、限られた範囲のみとなります。
心療内科外来で診療している病気
当院の心療内科外来では、こころの症状が中心となっている心身症の診療をおこなっています。具体的には、以下のような病気が対象となります。
- うつ病
- 適応障害
- ストレス性障害
- 睡眠障害
- 自律神経失調症
- 身体表現性障害
- パニック障害
- 社会不安障害(社交不安障害)
- 全般性不安障害
- さまざまな恐怖症
※それぞれの病気について詳しく知りたい方は、『心療内科の診療内容のページ』をご参照ください。
心療内科と精神科の違いとは?
心療内科と精神科の違いについて質問を受けることがよくあります。実情も含めてお伝えしたいと思います。
心療内科と精神科は、どちらも「こころ」が原因として大きい病気をみていきます。ストレスの影響は、心身の両面にあらわれてきます。落ち込みや不安といった精神症状、動悸やめまいといった身体症状など、そのあらわれ方は様々です。
心療内科では、おもに「からだ」に症状があらわれてくる病気を扱います。いわゆる自律神経失調症といわれている病気や、ストレスが原因として大きい高血圧や糖尿病などの病気などになります。
それに対して精神科では、おもに「こころ」に症状があらわれてくる病気を扱います。双極性障害や統合失調症、強迫性障害などがイメージしやすいかと思います。
うつ病や不安障害といった病気は、その中間のような位置づけになります。病状によっても、どちらで扱うべきかが異なります。
このように心療内科と精神科は、症状の重きが「からだ」か「こころ」かどうか、ということになります。ですから本来の定義通りであるならば、
- 心療内科→内科医
- 精神科→精神科医
が診察していただくべきかと思います。しかしながら実際は、明確な線引きがあるわけではありません。
一般的に心療内科の方が精神科よりもライトなイメージがありますので、「心療内科=優しめの心の病気」と認識されている方が多いです。ですから、精神科医の診察を受けたほうがよいことが多いです。
線引きがあいまいなのは病院側も同じで、心療内科と精神科の両方を掲げている病院がとても多いです。標榜科目(看板)の傾向としていえることは、
- 内科・心療内科→内科医が診療
- 心療内科・精神科→精神科医が診療
であることが多いということです。
当院はといいますと、
- 内科・心療内科・精神科
を標榜しています。当院の心療内科では、精神科医が診察させていただいています。
からだの症状が目立つ方は、まずは内科からご案内させていただきます。そのうえで必要に応じて、精神科医の診察をご案内させていだきます。
※詳しく知りたい方は、『精神科と心療内科にはどのような違いがあるのか』をお読みください。
当院の心療内科外来の流れ
当院の心療内科外来の流れをご案内します。
当院の心療内科外来は、完全予約制となります。当日に窓口にお越しいただいても、診療ができませんのでご了承ください。
これには理由がございます。心療内科の診察には、患者さんの生い立ち、家族構成、生活環境、不調にいたった経緯、現在の症状などを把握する必要があります。それを踏まえて方針を立て、患者さんに診たてを伝えて一緒に治療方針を決めていく必要があります。
これらの診察を行うには、初診は30分~40分ほどの時間がかかることが少なくありません。ですから心療内科の外来は、完全予約制とさせていただいています。
再診の場合は、患者さんの状態に合わせて診察時間は異なります。目安としては、再診は5~10分くらい(1時間に8人ほどの予約枠となっています)で診察を重ねていく形になります。
症状を伺いながらお薬を調整したり、日々の生活を伺いながら精神療法的な関りをさせていただきます。
しっかりと時間をとって精神療法を行っていきたい方や、主治医が必要と判断した方は、カウンセリング(自費)をご案内させていただきます。
カウンセリングに関しては、
- 生活カウンセリング:当院の産業カウンセラーによるカウンセリング
をご案内させていただきます。臨床心理士によるカウンセリングが必要と判断した場合は、臨床心理士さんが在籍されているクリニックをおすすめさせていただきます。
初診も再診も完全予約制になりますので、インターネットや電話でご予約ください。再診の方は、お帰りの際に受付で予約をお取りください。変更はぜひ、インターネット予約をご活用ください。
受診される際にお願いしたいこと
当院にご受診される際に、患者様にお願いしたいことがございます。
まず、以下のような患者様につきましては、当院では適切な治療を行えないため、入院可能な医療機関や専門外来でのご受診をお願いしています。
- 切迫した自傷行為
- 暴力や衝動性が高い方
- アルコールを飲用されて受診される方
- 多剤処方となっている方
- 繰り返す入院歴がある方
つぎに、転院をご希望の患者様につきましては、紹介状をお願いすることがございます。担当医の判断により紹介状なしでも治療に入らせていただくこともありますが、治療経過が長い患者様では紹介状をお願いすることが多いです。
これには以下のような理由があります。
- これまでの治療経過を知るため
- 治療構造を明確にするため
- 治療的にみて、前医の治療を続けるべきときがあるため
患者さんの治療経過は、一つの財産になります。そして制度的にも、主治医は固定する必要があります。複数の医師から異なるアドバイスをされると、治療的にみても混乱してしまいます。ですから、治療構造を明確にする必要があります。
また転院を希望する患者様は、前医との折り合いの悪さが原因であることが多いですが、治療の過程でネガティブなことを指摘しないといけないケースもあります。そういった一時的な反応である場合は、前医で治療を続けるべきです。
さいごに、ご事情によって受診ができなくなることはあると思います。その場合は、必ずキャンセルのご連絡をいただければと思います。とくに初診では、30分以上の時間を確保しています。予約をお断りする患者様にも申し訳ないので、どうぞご協力ください。
当日に急に都合がつかなくなってしまった場合も、できるだけ早くキャンセルのご連絡ください。
心療内科外来のお薬に対する考え方
精神に作用するお薬に対して、怖いイメージを持たれている方は少なくありません。
- 一度飲むと抜け出せなくなってしまう
- からだに様々な副作用が残ってしまう
- よけいに変になってしまう
こういったイメージを持たれている方もいらっしゃいます。ときには患者さんから、お薬を使わない治療を望まれることもあります。
ですから敢えて、当院の心療内科外来でのお薬に対する考え方をお伝えしておきたいと思います。
確かに薬には、負の側面もあります。しかしながら現在の精神医療は、薬物療法が中心となっています。日本だけでなく海外のガイドラインでも、お薬による治療はスタンダートです。
これには歴史的な経緯がいろいろとあるのですが、多くの患者さんと専門家が積み重ねてきた結晶が今の医療を築いています。お薬に関しても、その有効性のエビデンスが蓄積されているからこそ、治療に使われます。
薬がすべてでは決してないですが、お薬の有効性を実感することは少なくありません。患者さんの中には、お薬が必要不可欠なこともあります。
ですから当院では、「お薬を使わない治療」を目指しません。「薬だけでない治療選択」も踏まえながらも、患者さんにとって必要な場合はお薬の服用をすすめることもあります。
当院では、専門家としてお薬の役割を説明させていただきます。そして患者さんの希望を踏まえて、一緒に治療方針を決定していきます。診療内容の各疾患で、お薬の役割の項目を作ったのは、そういった考えがあるからです。
そしてお薬を使うにあたっては、
- お薬の目的を理解して服用していただくこと
- 適切な量を使うこと
- 出口を見据えて使うこと
- 効果が不十分な場合は、診断を見直すこと
こういったことを意識していきます。
当院の心療内科外来の特徴
- 内科医との連携
- 複数の医師で土日・夜も診療
- 心理面や社会面からもサポート
ここでは当院の心療内科の体制としての特徴をお伝えしていきますが、どの医師も「患者さんの目線にたった提案」を心がけています。専門家としての意見をお伝えし、患者さんの気持ちを踏まえて、一緒に治療方針を考えていくことを心がけています。
内科医との連携
当院は、内科医と精神科医が2診体制で診察をしています。
ですから、「こころ」か「からだ」のどちらに受診すればよいかわからないという方も、お話を伺ってご案内することができます。
心療内科は完全予約制となっておりますので、予約が先になってしまうこともございます。その点はご了承いただければ幸いです。内科は予約も可能ですが、当日に受診することも可能です。
精神科医の立場からみると、内科に気軽に相談できる環境であることは非常に心強いです。院内で様々な検査も実施できますので、お薬による副作用の確認もきっちり行うことができます。
患者さんの状態によっては、内科と心療内科の両方を受診されることもあります。患者さんの時間的・経済的(わずかですが)負担が軽減します。
複数の医師で土日・夜も診療
当院では、患者さんが通いやすいクリニックを目指しています。このために、仲間の医師で協力して診療体制を組んでいます。
基本的には祝日を除き、土曜・日曜含めて毎日診療しています。そして時間帯としても、9時から20時(土曜日、日曜日は9時から18時)まで診療しています。当院では、初診を担当させていただいた医師が主治医とさせていただきます。
心理面や社会面からもサポート
こころの病気は、お薬の治療だけでは限界があります。当院の特徴としては、心理面や社会面でのサポートも行っていることがあります。
心理面としては、必要な患者様にはカウンセリングをご紹介させていただいております。当院では産業カウンセラーが中心となり、生活カウンセリングを行っています。必要に応じて、臨床心理士のカウンセリングサービスもご紹介させていただきます。
社会面としては、精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)がサポートさせていただきます。患者様にとって有益な制度・施設の活用のお手伝いをさせていただきます。必要に応じて、入院施設への調整も行わせていただきます。
また、産業医やEAPサービスでの経験がある医師・スタッフも多く在籍しており、労働契約や社会保険制度などを踏まえて、現実的なアドバイスを行えることも強みとしています。
当院の心療内科外来の体制と予約状況
当院では、5名の医師が曜日ごとに担当させていただき、
- 月~土:9時~13時 15時~20時
- 日:9時~13時 14時~18時
と原則毎日診療しております。※祝日は休診となります。
お陰様で非常に多くの患者様にお越しいただき、初診予約が大変取りづらくなっております。
- 電話:2週間先まで
- インターネット:1週間先まで
のご予約とさせていただいております。患者様の病状として、2週間を超えることは不適切と考えているためです。
2週間先まで予約がいっぱいでお取りできないこともございますが、ご了承ください。例えば11月15日の時点では、11月28日までの予約を受け付けています。16日になりましたら、29日分の予約を受付いたします。
キャンセルが出ることもありますので、インターネット予約をご覧いただければ、直前でも空きがあることもあります。どうぞご理解のほど、よろしくお願いします。