抗不安薬(精神安定剤)こころみ医学

抗不安薬(精神安定剤)の効果と作用時間の比較

  • 更新日:2019年10月19日 12:46
  • 作成日:2019年10月03日 22:00

過度な不安が辛いときに有効な『抗不安薬』

不安は非常に辛い症状です。心身へのストレスも強く、身体の自律神経のバランスも崩れてしまいます。

抗不安薬(精神安定剤)は、耐えがたい不安で苦しんでいる方には非常に有用なお薬です。

ただし、その特徴を知って上手に使うことが大切で、漫然と使っていると依存がついてしまうことがあります。

現在は数多くの抗不安薬が発売されており、医師は患者さんの状態に合わせ、作用の強さ、時間などを考えて処方していきます。

ここでは抗不安薬の効果と作用時間の比較もしながら、選び方についてもくわしくご説明していきます。ぜひ、ご自身の使っているお薬に関する理解を深めてください。

抗不安薬を選ぶときのポイントとは?

抗不安薬にはさまざまな種類が発売されていますが、現在日本で発売されているのは、ほとんどが『ベンゾジアゼピン系』と呼ばれる系列です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬を選ぶにあたっては、

  1. 作用時間(効果のピーク・半減期)
  2. 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)

この2つのポイントを意識していくことが大切です。

抗不安薬(精神安定剤)の作用の強さと時間の比較

0同じ『ベンゾジアゼピン系抗不安薬』でも、作用の強さや作用時間(お薬の効き目が持続する時間)はそれぞれです。よく使われる抗不安薬の作用の強さと作用時間を一覧表で比較してみました。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

これ以外にも、たくさんの種類が発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思いますので、参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

作用時間の比較

抗不安薬は、作用時間によって

  1. 短時間型
  2. 中間型
  3. 長時間型
  4. 超長時間型

の4つに分類されます。

1.短時間型:効果のピークは1時間未満、作用時間は3~6時間(グランダキシン・リーゼ・デパス)

2.中間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は12~20時間(ワイパックス・ソラナックス/コンスタン・レキソタン)

3.長時間型:効果のピークは1~8時間、作用時間は20~100時間(セルシン/ホリゾン・リボトリール/ランドセン・セパゾン)

4.超長時間型:効果のピークは1~8時間、作用時間は100時間~(メイラックス・レスタス)

作用時間による使い分け

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。

長時間型は即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。

作用時間と副作用

作用時間によって副作用も異なってきます。

  • 短いほど依存しやすい
  • 長いほど身体に薬がたまって眠気やふらつきが出やすい

といえます。

効果の強さの比較

抗不安薬には、

  1. 抗不安
  2. 催眠
  3. 筋弛緩(筋肉をゆるめる)
  4. 抗けいれん

の4つの作用があります。

短時間型の比較:抗不安作用の強さはデパスリーゼグランダキシンです。

デパスは抗不安作用だけでなく、催眠作用が強いため、睡眠薬に分類されることもあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。

中間型の比較:抗不安作用はレキソタンワイパックスソラナックス/コンスタンです。いずれも抗不安作用が強く即効性に優れ、不安発作のとんぷく薬(症状がキツいときの一時的なお薬)にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用も強いです。

長時間型の比較:抗不安作用はランドセン/リボトリールセパゾンセルシン/ホリゾンです。セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬ができない時は、筋肉注射が有効です。

超長時間型の比較:抗不安作用はレスタスメイラックスです。このタイプは非常に作用時間が長いため、副作用が出たときにも薬がなかなか抜けない難点があります。そのリスクを避けるため、副作用の穏やかなメイラックスの方がよく使われています

不安以外の症状に対する効果

不安による身体の緊張が強い時は、筋弛緩作用の強い抗不安薬が向いています。

  • 不安や緊張で手足が震える
  • 声が震える
  • 肩こりや頭痛がひどい

このような時には、筋弛緩作用の強いデパス・レキソタン・リボトリール/ランドセン・セルシン/ホリゾンなどを使います。

不安の程度による抗不安薬(精神安定剤)の選び方

抗不安薬は、できるだけ少なくしたいところです。このため、不安の程度に応じ、3つの段階で精神安定剤を使っていくことが多いです。

  1. 不安が強い時だけ短い薬を頓服(とんぷく)
  2. 長い薬を常用+短い薬を頓服
  3. 短い薬を常用

1.不安が強い時だけ短い薬を頓服(とんぷく)

作用時間が短いお薬は即効性が強いですが、常用してしまうと依存性が高いものが多いです。

ですので、最初は頓服(不安が強いときだけ飲む)から始めます。頓服で使っている場合は、依存になることはありません。

アルコールで考えるならば、飲み会の時だけたくさんお酒を飲んでもアル中にはならないですよね。作用時間が短いお薬は効果がしっかりとしているものが多いので、不安発作みられたときに服用していただくようにします。

2.長い薬を常用+短い薬を頓服

不安が1日を通して強い場合は、作用時間の長い薬から使っていきます。作用時間が長いということは、身体から抜けていくのもゆっくりということを意味します。このため、離脱症状が起こりにくいのです。

作用時間の長いお薬で安定のベースをつくり、発作的な不安に対しては、即効性のある頓服を使っていきます。

3.短い薬を常用

作用時間が長いお薬でもカバーできない場合は、短い作用時間のお薬を常用していきます。薬が身体にたまっていって、より安定した効果が期待できます。

抗不安薬(精神安定剤)を使っても効かない時は?

抗不安薬を十分に使っても不安がしずまらない場合、他の作用機序のお薬(抗うつ剤or抗精神病薬)を併用していきます。

同じ系列の抗不安薬を追加していくというやり方には、あまり意味がないのです。

というのも、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬はすぐに耐性が作られてしまうからです。耐性とは、薬を使い続けることで身体が慣れてしまって効果が薄れることです。

ですから、むやみに同じベンゾジアゼピン系の抗不安薬を増やしても効果は薄く、副作用ばかりが強くなってしまったり、お薬が増えて止められなくなってしまいます。

不安に使われる抗うつ剤

  • 抗うつ剤:SSRI(レクサプロ・ジェイゾロフト・パキシル・デプロメール/ルボックス)・NaSSA(リフレックス/レメロン)

不安に対するとらわれが強い時は、抗うつ剤が向いています。不安に対してもっともよく使われる抗うつ剤はSSRIやNaSSAと呼ばれる種類です。

これらは脳内のセロトニンを増加させ、過敏さを和らげて、不安を薄れさせていく効果があります。抗不安薬と違って即効性はなく2週間以上かかりますが、少しずつ不安になりにくくなっていきます。

不安に使われる抗精神病薬

  • 抗精神病薬:SDA(リスパダール・ルーラン)・MARTA(ジプレキサ・セロクエル)・定型(コントミン・レボトミン/ヒルナミン)

不安の内容が周囲からは理解しづらいものであったり、興奮が強い場合は、抗精神病薬を使っていきます。

抗精神病薬は脳内のドパミンを抑えることで、思考を穏やかにしてくれます

抗精神病薬の中でも気持ちを鎮める効果が強いリスパダールやジプレキサが使われることが多いです。ルーランは抗不安薬のセディールに似ていて、抗不安作用が期待できます。

お薬に頼らない努力もしましょう!

不安の治療方法はお薬だけではありません。

  • カフェインレスにする
  • 生活習慣を整える
  • 呼吸法や自律訓練法、漸減的筋弛緩法などで不安をコントロールする

などの方法も積極的に取り入れていきましょう。

抗不安薬は有用なお薬で、正しく使えばむやみに量が増えてしまったりはしませんが、『常用量依存』には注意が必要です。

『常用量依存』とは、実際には不安が改善しているのに、精神的に抗不安薬が手放せなくなってしまい、一定の量を飲み続けることが止められない状態です。

それを防ぐためには、お薬以外の方法で不安へ対応しながら安定の柱を作り、自信をつけていくことが大切です。

お薬に頼らない不安への対処法を詳しく知りたい方は、薬に頼らずに不安を解消する4つの方法をお読みください。

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