抗うつ剤(抗うつ薬)こころみ医学

抗うつ剤におこりやすい副作用と対策とは?

  • 更新日:2019年10月14日 12:13
  • 作成日:2019年10月11日 22:00

抗うつ剤の副作用が気になる方へ

2000年をすぎてから発売された抗うつ剤は、従来の三環系・四環系抗うつ剤に比べ、明らかに副作用は軽減されています。しかしながら、新しい抗うつ剤ならではの副作用というのもあります。

効果のあるお薬ほど、どうしても副作用が生じてしまいます。抗うつ剤の副作用はなぜおこるのでしょうか?どのように考え、対策していけばいいのでしょうか?

抗うつ剤の副作用と5つの物質の関係

抗うつ剤は、

  • セロトニン
  • ノルアドレナリン

などの脳内物質を増加させることで脳内のバランスを整え、落ち込み、意欲の低下、不安、焦燥感などの辛い症状をやわらげていってくれます。

しかしその反面、その作用が身体に影響を与え、副作用として現れてしまうことがあるのです。

また、セロトニン・ノルアドレナリンに作用しようとすれば、それに関わる他の物質に作用してしまうことも避けられません。

抗うつ剤は、

  • コリン
  • アドレナリン
  • ヒスタミン

という3つの物質に対しては、これらの働きをブロックする性質があります。ですから、抗うつ剤の副作用は、5つの物質との関連に分けて考えていきます

<5つの物質と起こりやすい副作用>

  • セロトニン:嘔吐・下痢・不眠・性機能障害
  • ノルアドレナリン:動悸・尿閉
  • 抗コリン:口渇・便秘・尿閉
  • 抗アドレナリン(α1):眠気・立ちくらみ
  • 抗ヒスタミン:眠気・体重増加

これ以外に、まれではありますが、命に関わる副作用として不整脈があります。

抗うつ剤が心臓の電気活動に影響し、1回の心臓収縮にかかる電気活動時間が延長します。これが心電図のQT時間の延長という形であらわれます。それによって致死的な不整脈が出現しやすくなるので、必要に応じて心電図をチェックしていく必要があります。

抗うつ剤の副作用への対策

  • 身体がお薬に慣れると、副作用は軽減していくことが多いですので、我慢できる範囲ならしばらく様子をみましょう。
  • 生活改善などで対応できることは、積極的に試してみてください。
  • 様子を見ても軽減されず、生活への支障が大きいときはお薬を調整します。
  • 万が一、不整脈など、不安な変化があったときは主治医へ報告してください

多くの副作用は飲み初めに現れ、身体が慣れるにつれて軽減していきます。なんとかなる範囲でしたら、しばらく様子をみてください。

生活改善(便秘なら水分を摂る・軽い運動をしてみる・消化の良いものを食べるなど)で対応できそうなものは積極的に行ってみましょう。

眠気などは服用のタイミングで対応ができることもありますので、主治医に相談してみてください。

その上で、時間が経っても副作用が軽減せず、生活への支障が大きいときは

  1. 減薬する
  2. 他の抗うつ剤に変える
  3. 副作用をやわらげるお薬を使う

の3つのいずれかで改善を目指していきます。

どの方法にするかは、効果と副作用の兼ね合いで考えていきます。基本的には、

  • 効果が十分→減薬
  • 増やしても効果の期待が少ない→変更
  • 副作用があってでもそのお薬を続けるメリットが大きい→副作用対策のお薬を追加

このような対応になります。

生活習慣による副作用対策

様子を見ている間、「生活習慣による副作用対策」は、ぜひ積極的に行ってみてください。

  • 便秘:排便習慣・食物繊維・水分・運動習慣
  • 口渇:唾液腺マッサージ・鼻呼吸
  • ふらつき:朝食をしっかり・ゆっくりと立つ
  • 眠気:睡眠をしっかり・昼寝習慣
  • 体重増加:食事管理・運動習慣
  • 吐き気:食事を控えめに
  • 不眠:睡眠に良い生活習慣・自律訓練法

など

便秘・口の乾き

便秘や口の乾きは、抗コリン作用の強い三環系・四環系抗うつ剤でよくみられます。

便秘はお薬の影響だけでなく、食生活や運動習慣もかかわります。

  • 排便習慣
  • 食物繊維
  • 水分
  • 運動習慣

などを意識してみましょう。

ふらつき

ふらつきの副作用は、抗アドレナリン(α1)作用の影響で三環系・四環系抗うつ剤に多くおこります。

新しいNaSSA(リフレックス/レメロン)では、眠気の副作用にともないふらつきが現れることがあります。

  • 朝食をしっかりとる
  • ゆっくりと立つ

ことを心がけてみてください。慣れるまでは足元の不安定な場所などではとくに注意しましょう。

眠気

眠気も三環系・四環系・NaSSA(リフレックス/レメロン)に多い副作用です。デジレル/レスリンも眠気が強くなる抗うつ剤です。

不眠ぎみの方にはかえっていい作用となるため、服用を夜にするなど飲み方によって対応できる場合も多いです。

日中に眠気が残る場合は、

  • 夜の睡眠改善を考える
  • 短い昼寝習慣をとる

などの対策があります。

詳しくは、抗うつ剤の眠気と7つの対策をお読みください。

体重増加

これも三環系・四環系・NaSSA(リフレックス/レメロン)によくみられます。

  • 食事管理
  • 運動習慣

に注意していきましょう。

詳しくは、『抗うつ剤は太る?体重増加と5つの対策をお読みください。

吐き気・下痢

SSRIでよくみられる副作用です。慣れることが多いですが、それまでは

  • 食事を控えめにする
  • 消化のよいものを食べる

などを心がけてみましょう。

詳しくは、抗うつ剤の吐き気・下痢と5つの対策をお読みください。

不眠

SSRIやSNRIにおこりやすい副作用です。症状や、元々の睡眠の浅さによって不眠がおきていることもあるため、

  • 睡眠に良い生活習慣
  • 自律訓練法

などを取り入れてみてください。

自律訓練法について知りたい方は、自分でできる!自律訓練法の効果をお読みください。

性機能障害

SSRIのパキシルやジェイゾロフトでとくに頻発する副作用で、

  • 性欲低下
  • 勃起障害
  • オーガズム障害

などが7~8割の方におこると言われています。

この副作用は診察でも打ち明けづらいかもしれませんが、飲み方のタイミングや、お薬の種類を変えるなどで改善することがありますので、悩んでいる方は主治医に相談してみてください。

抗うつ剤と性機能障害については、抗うつ剤の性欲低下・性機能障害と5つの対策をお読みください。

副作用をやわらげるお薬

様子を見ても副作用の改善がみられず、それでもそのお薬を継続するメリットが大きいときは、副作用をやわらげるお薬を使います。

  • 便秘:センノサイド・マグミット・大黄甘草湯など
  • 口渇:白虎加人参湯など
  • ふらつき:メトリジン・リズミックなど
  • 吐き気:胃薬・ガスモチン・ナウゼリン・プリンペランなど
  • 下痢:セレキノンなど
  • 不眠:鎮静系の抗うつ薬・睡眠薬など

辛いときは我慢せず、主治医と相談してください。

まとめ

新しい抗うつ剤は、従来のものに比べ副作用が軽減されていますが、それでもやはり何らかの副作用がみられることはあります。

多くの場合は身体が慣れるにつれ軽減していきますので、耐えられる範囲なら様子をみてください。生活習慣で対応できるものは積極的に行ってみましょう。

それでも軽減せず、生活に支障が大きいときには、減薬・変更・副作用をやわらげるお薬の追加などを検討します。

抗うつ剤は、基本的に長期間飲み続けていくことが多いお薬です。副作用が辛いときには主治医とよく相談をしてください。

抗うつ剤ごとに出やすい副作用や、安全性の比較などを知りたい方は、抗うつ剤のよくある副作用と安全性の比較をお読みください。

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