プラセンタ注射

プラセンタ注射

【プラセンタ注射】の概要

【プラセンタ注射の料金】

  • プラセンタ皮下注射1A・・・1,500円(税別)
  • プラセンタ皮下注射2A・・・2,500円(税別)

【プラセンタ注射の内容】

  • プラセンタ皮下注射1A・・・ラエンネック2ml
  • プラセンタ皮下注射2A・・・ラエンネック4ml

日本でよく使われているプラセンタ製剤としては、「ラエンネック」と「メリスモン」があります。当院では、「ラエンネック」を用いています。

※プラセンタは、ヒトの胎盤由来の成分になります。安全性は高いのですが、感染症などのリスクは完全に除外できません。このため、献血などができなくなります。当院では文章でリスクも含めてご説明させていただき、ご同意いただける患者様のみに実施させていただいております。

プラセンタ注射とは?

プラセンタとは、ヒト胎盤から様々な有効成分(細胞増殖因子やサイトカインなど)を抽出した医薬品になります。医療機関では筋肉注射をすることで、効果を期待していきます。

医療用のプラセンタは、肝機能障害や更年期障害の治療に用いられています。プラセンタ注射の多くは美容や健康増進目的で使われることが多いです。2種類の注射剤が発売されていますが、ラエンネックは1974年、メルスモンは1959年に保険で使われるようになっている古くからある医薬品になります。

身体全体の回復力を高める、ホルモンバランスを整える、自律神経を安定させる、肌や髪を美しく保つなど様々な効果を期待して使われています。新生細胞の合成や細胞再生を高めることで、細胞レベルでの若返りと修復を行うなどといわれていますが、明確なエビデンスまではありません。

最近はプラセンタ含有の健康食品やサプリメントが数多く出回ってはいますが、医療用プラセンタと市販のプラセンタは別物です。医療用プラセンタは厚生労働省が認可した医薬品の扱いで、主に注射として使います。

市販のサプリメントのプラセンタは、ヒトではなく動物(ウマやブタ)由来のものが多く、経口摂取によるものになります。傾口では消化酵素に分解されてしまって、アミノ酸などの栄養素になって吸収されるにすぎません。

プラセンタ注射は、肝機能障害・更年期障害・乳汁分泌不全の方には健康保険も適応されます。それ以外は自費になりますが、身体の疲れや免疫力の低下が気になるときや、美容目的など、様々な用途でプラセンタ注射が用いられています。

このように考えると、プラセンタ注射自体も医学的な根拠が定まっていないのですが、肝機能障害や更年期障害に適応が認められて薬として承認されていることからも、当院では希望の方には注射を実施しています。

プラセンタの効果

現在のところ、医療用でプラセンタに明確に認められた効果は

  • 肝機能障害
  • 更年期障害
  • 乳汁分泌不全

です。

これ以外に、

  • 美容(肌や髪を健やかに保つ)
  • ホルモンバランスを整える
  • 身体の自然回復力を向上させる
  • 不眠の改善
  • 冷え性の改善
  • 精神の安定
  • 自律神経失調症の改善

などの効果も期待できると言われています。

プラセンタはお薬と言っても一つの成分というわけではなく、女性が体内で赤ちゃんを育てる「胎盤」という組織から得られたエキスです。胎盤には受精卵を成長させるための豊富な栄養が含まれています。

プラセンタに含まれる栄養や成分については、未だわかっていない部分もあるのですが、細胞の原料となる豊富なアミノ酸や、細胞の成育を助ける成長因子、ビタミン、ミネラルなどの働きで肝細胞の修復が促されたり、ホルモンバランスが整ったりするのではないかと考えられています。

お薬とは違い、身体全体の回復力やバランスを整え、自然の力を引き出すような作用の仕方ですので、効果の確実性には欠ける面がありますが、身体には穏やかに作用し、美容や免疫力の向上など様々な方面への効果が期待されているのです。

一般的にはプラセンタ=女性の美容対策のイメージも強いのですが、肝機能向上や身体の疲れ対策など、男性の方も多く利用されています。

プラセンタの副作用と注意点

現在のところ、医療用プラセンタの使用で重篤な副作用や感染症の発生というのは報告されていません。

しかしながら、理論上の可能性として、クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等の感染症の原因になるリスクがあるとされています。これまでにおこっていないので可能性としては限りなく低いと思われますが、ゼロとは言えないため、その旨を患者さんにも同意していただく必要があります。

また、万が一感染したときのことを考え、プラセンタ注射を受けた方は輸血提供、献血ができなくなります。初回に注射するときは、それらの内容が書かれた同意書にサインをしていただくことになります。医療機関では同意書と注射のロット番号を20年間保管することとなっています。

それ以外の副作用として比較的よく見られるものは、

  • 注射した部位の疼痛、かゆみ、腫れ

などです。これはプラセンタに限らず、効果のある薬剤を注射したときによく見られる副作用で、通常なら一時的なものです。

その他、0.1%~5%未満の副作用として、全身のアレルギー症状、悪寒、悪心、発熱、発疹、男性の女性様乳房、肝機能障害、頭痛などがあります。

プラセンタの種類

現在医薬品として厚生労働省で認可されているプラセンタは2種類あります。

  • メルスモン
    更年期障害・乳汁分泌不全に保険適応
    1959年発売
  • ラエンネック
    慢性肝疾患治療に保険適応
    1974年発売

それぞれ保険適応される病気が異なるため、病気の治療目的で使う場合は病気に合わせて選択します。

他の美容目的や身体全体の回復力向上の目的で使うときは、どちらでも大きな差はありません。この2種の成分自体は同じプラセンタエキスで、肝機能の向上、ホルモンバランスの調整、身体の自然治癒力の向上などの効果は同等程度と考えられています。

当院では、比較すると発売の新しいラエンネックを使っています。

プラセンタの用法・用量

【ラエンネックの用法・用量】

  • 肝機能障害
  • 1日1回2mL(プラセンタ112mg)を皮下又は筋肉内に注射
    ※症状により、1日2~3回まで増やすことができる

【メルスモンの用法・用量】

  • 更年期障害、乳汁分泌不全
  • 1日1回2ml(プラセンタ100mg)を毎日~1日おきに皮下注射

これは一応の目安なので、状態や希望に応じ回数は調整されます。病気治療以外の目的の場合は、用法で決められた範囲を超えなければ、希望に応じて選ぶことができます。

メルスモンは皮下注射のみの使用が決められていますが、ラエンネックは皮下注射、筋肉注射どちらでも使えます。

  • 皮下注射
    皮膚のすぐ下の組織に薬液を注入します。注入できる薬液は少ないですが、体への作用がおだやかで痛みが少ないのが特徴です。多くは肘の少し上をつまんで、そこに注射します。
  • 筋肉注射
    背中・お尻・腹部など広い筋肉の筋層の血管に注射を打ちます。筋層の血管は太く吸収速度も速いので、即効性を求めたいときに向いています。少し針も太くなり深く指すので、皮下注射よりは痛みを感じやすいです。

医療用と市販プラセンタの違い

「プラセンタ」を日本語で言うと「胎盤」です。男性の方にはピンとこないかもしれませんが、女性が子宮内で赤ちゃんを育てるための器官です。人間に限らず、哺乳類の動物の雌全般に存在しますが、最初からあるわけではなく、受精卵が宿ると子宮内で新生されます。

その役割は、受精卵に栄養をおくり、胎児として成長させることです。子宮に着床した受精卵はさい帯(ヘソの緒)で胎盤とつながり、そこから栄養をもらって胎児として育っていくのです。胎盤ではお母さんの血流から栄養を受け取り、胎児の血流に渡す働きをしています。

ですから胎盤には、細胞の成育に必要な様々な栄養や成長因子などが詰まっています。その栄養バランスの比率は素晴らしく、人工的にはつくりだせないとも言われています。

そんな栄養豊富な胎盤も、赤ちゃんが生まれた後には不要となります。赤ちゃんが生まれたとき、包まれている膜のようなものが胎盤です。その栄養成分だけを衛生的に抽出し、安全にエキス化したのがプラセンタと呼ばれているものなのです。

動物の場合はお母さんがすべてなめ取ってしまいますが、それは産後の身体を回復させるためと言われます。人間はそうすることができませんから、せっかくの優れた力を医療の形で活用することにしたわけです。

医療用のプラセンタは、すべて人間の胎盤を原料としています。健康で正常出産をした母体から得られた胎盤のみを使用し、厳密な衛生基準とよってつくられます。お薬としての厳しい検査に合格したものだけに使用が認められます。

一方、市販のプラセンタは豚や馬などの動物の胎盤を原料にしています。衛生基準は厳格な取り決めが無く、各メーカーの裁量に任されています。また経口摂取となり、そもそも経口で摂取することで栄養素以上の効果が期待できるのか、わかっていません。

プラセンタの安全性

原料の胎盤選別の際は、提供する方の血清学的検査でウイルス・細菌感染症の有無を十分に調べます。

また、HBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNAについての核酸増幅検査(NAT)を行い、安全性に適合した方の胎盤のみを使用します。また、製造のときにはウイルス不活化を目的として101℃以上、1時間以上の塩酸加熱処理、121℃、60分間の高圧蒸気滅菌を行います。

そのように医療用プラセンタでは徹底した安全性対策が実施されていますので、安全性としては極めて高くなっています。また、人間の胎盤由来のものだけが使用され、リスクのあるものは製造の過程で除去されるため、アレルギーのリスクも低く、現在のところ重篤な副作用の発現や感染症の発生は報告されていません。

ただし、稀にアレルギーをおこす方がいたり、副作用や感染症のリスクが完全にゼロだと言い切れるわけではありませんので、そのリスクの可能性に同意する同意書が必要になっています。万が一何かの異変を感じた、体質に合わないと感じたときは医師に報告をしましょう。