呼吸機能検査(スパイロメトリー)
当院の呼吸機能検査
私たちは呼吸をしなければ生きていけません。普段私たちは当たり前に呼吸をしていて、意識することはないかと思います。
普段の生活で呼吸の機能を意識するのは、激しい運動をした時くらいでしょうか?当然ですが、マラソン選手と普通の人では呼吸機能に差があります。ですが日常生活を送っている限りでは、同じように生活することができます。
ですが、この呼吸機能が低下してしまう病気があります。当院では、この呼吸機能を測定する検査(スパイロメトリー)を行うことができます。
呼吸機能検査は、
- 喘息
- COPD
が疑われる患者様に、医師が診察した上で検査をおすすめします。
呼吸機能検査の測定方法
呼吸機能検査(スパイロメトリー)を行う場合は、必ずスタッフがサポートいたしますのでご安心ください。
診察室を出て右手の処置室近くでお待ちいただきます。スタッフの準備ができましたら、お声掛けさせていただきます。
呼吸機能検査では、「大きく息を吸って、一気に吐き出す」ということを何度か繰り返します。ですから意外と、体力も必要になります。できれば上半身がしめつけられない服装で、食後はなるべく避けたほうが良いです。
それでは実際の方法をみていきましょう。はじめに検査の流れを整理します。
- 鼻から空気が漏れないようにノーズクリップをつける
- マウスピースの紙の部分をくわえる
- 肺活量を測定する
- 1秒量を測定する
私たちは、鼻からでも口からでも呼吸ができるかと思います。スパイロメトリーでは鼻にノーズクリップを付けて、口からでの呼吸機能をみていきます。
ノーズクリップをつけたら、ディスポーザブルの円筒状の紙でできたマウスピースをくわえていただきます。それができたら準備完了です。肺活量から測定していきます。
まずは普通に口呼吸を数回行っていただき、呼吸を落ち着けます。その後、限界まで息を吐ききっていただきます。そのうえで今度は限界まで息を吸っていただき、もう一度限界まで息を吐ききっていただきます。こうして肺活量が測定できます。
この時の肺活量を「努力性肺活量」といって、最初の1秒で吐き出せた肺活量との割合を測定します。
呼吸機能検査の目的
この呼吸機能検査は、肺の機能をみる検査です。肺の見た目を調べる検査であるレントゲンでは、呼吸機能までは調べることができません。
具体的な内容としては、
- 肺活量・・・ゆっくりと最後まで息を吐ききった後に、息を吸い続けられるところまで吸って肺のボリュームをみる検査です。
- 1秒率・・・息を大きく吸った後、思いっきり吐き続ける検査です。1秒間にどれくらい息が思いっきり吐けるかみる検査です。
この2つの項目を確認します。
この検査をみることで、
- 拘束性障害:肺活量が普通の人と比較して、80%以下の場合
- 閉塞性障害:1秒間に吐ける量が、吐き切った全部の量の70%以下の場合
と診断します。拘束性障害と閉塞性障害両方ある場合は混合障害と言います。
それぞれ代表的な疾患として、
- 拘束性障害:肺が固くなる病気(間質性肺炎)、肺自体のボリュームが少なくなる病気(胸水、肺炎、肺癌)、横隔膜の動きが制限されて肺が膨らみづらい病気(肥満性肺胞低換気、横隔神経麻痺)
- 閉塞性障害:気管支が狭くなる病気(喘息、COPD)
特に当院で呼吸機能検査を施行する場合は、喘息やCOPDといった閉塞性障害があるか確認するために実施することが多いです。この閉塞性障害の度合いで、COPDなどは重症度がわかります。
一方で、喘息とCOPD、どっちか分からないこともあります。その場合は可逆性試験を行います。可逆性試験とは、気道を広げるお薬を吸入してもらい、もう一度呼吸機能検査を行います。そして薬を吸った前後の結果を比較します。
一般的に喘息の場合は吸入薬に反応して気道が拡がり、吸入後の結果が良くなることが多いです。
このように呼吸機能検査を呼吸器内科医が結果を確認し、適切な診断につなげていきます。