新型コロナウイルス抗体検査(ロシュ社)
【新型コロナウイルス抗体検査】の概要
【新型コロナウイルス抗体検査の料金】
- 予定7,700円(税込)
※検査日より2週間さかのぼって発熱していない方・10歳以上の方のみ
新型コロナウイルス抗体検査は、「現在感染しているかどうか」を判断する検査ではありません。現在感染を疑っている方は、実施をお控えいただいています。(感染後14日たたなければ、結果が正確にわかりません)
抗体検査は、「気づかないうちに新型コロナウイルスに感染してしまっていたのか」を推測するために行う検査になります。
当院では、現在もっとも精度が高い検査と思われるロシュ社の抗体検査のみを実施します。新型コロナウイルスの成熟した抗体があるかどうかを判断する検査になります。
採血をして、その結果を当日中に検査会社のラボに送って検査を行います。結果が判明しましたら、お電話にて看護師より、結果のみご連絡させていただきます。
1度の来院のみで結果がわかります。抗体検査の結果については、こちらのページをお読みいただき、正しく理解いただけたらと考えています。
抗体検査の結果の解釈
【抗体検査で陽性となった方】
- 新型コロナウイルス感染症にかかった可能性が高い
といえます。しかしながら注意点として、
- 新型コロナウイルス感染症にかかっていない可能性も否定できない
- 抗体を持っていたとしても再感染しないとは限らない(むしろ再感染で重症化する可能性もある)
- 抗体の持続期間も判明していない
ですから油断することなく、引き続き感染予防には務めてください。
【抗体検査で陰性となった方】
- 新型コロナウイルス感染症にかかっていない可能性が高い
といえます。新型コロナウイルス感染症にかかったことがある可能性も否定できませんが、引き続き感染予防に努めることが大切です。
抗体自体が感染の早期に検出できないことも多く、また当院が行うロシュ社の抗体検査は、成熟した抗体を検出する検査(IgG中心)になります。ですから感染を疑って検査をしても陰性になってしまう可能性が高く、適していません。
ですから新型コロナウイルス抗体検査の意義は、
- 過去の体調不良に対する答え合わせ
- 公衆衛生として行うことで、感染状況を把握できる
といった意味合いになります。将来的にワクチンが開発されて普及すると、抗体検査で陰性の方にはワクチン接種を行うといった使われ方がされるかと思います。(現在の風疹ワクチンなどと同様)
新型コロナウイルス抗体について(IgMとIgG)
新型コロナウイルスの抗体検査について調べていただくと、
- IgM
- IgG
の2つの抗体が出てくるかと思います。当院の検査では、抗体を分けて測定しません。そもそも抗体検査は早期診断には向いていません。インフルエンザの診断のときに、綿棒で鼻の中をこすっている検査を経験された方も少なくないかと思います。こちらの検査は、「抗原検査」になります。もしくはPCR検査によって診断を行っています。※当院では院内感染予防の観点で、どちらの検査も実施していません。
一般的には、新型コロナウイルスに感染すると、まずはIgMが作られて、ほどなくしてIgGが増え、役割を終えたIgMは減少していくといわれています。IgGはしばらく残り続けます。そして免疫が記憶され、再び敵がやってきたらIgGが一気に作られ、ウイルスと戦います。(※IgGがIgMより早く検出されることもあります。)
ですから、
IgG(ー)
IgG(+)
IgM(+)
感染初期
感染早期
IgM(ー)
感染していない
感染後
といった説明がなされます。ですが精度が高めの検査を行っても、感染率が極めて低い状況では疑陽性(本当は抗体がないのに陽性判定)だらけになります。とくにIgM陽性ですと感染初期~早期が疑われますから、混乱をきたしてしまうだけで、当院では測定する意義がないと考えています。
それよりもむしろ、しっかりと成熟したIgGが認められるかを精度高く検出することの方が意味があります。抗体は時間経過で成熟していき、ウイルスを効率的に認識できるようになります。そのうちに中和抗体ができるようになり、ウイルスを効率的に中和して防御することができるようになります。
ロシュ社の抗体検査では、この成熟した抗体(IgG中心)を精度高く検出することができます。
検査の流れ
まずは当院に受診ください。
- 14日前より発熱や倦怠感といった体調不良がない方のみ
実施させていただきます。
受付に新型コロナウイルス抗体検査の希望を伝えてください。その後につきましては、以下のような流れとなります。
- 同意書兼問診票への記入 ※受付に提出
- 待合でお待ちいただき、準備が整いました看護師よりお声掛け
- 処置室で採血実施
- 会計いただき、ご帰宅
- 後日に看護師より電話で結果説明
ロシュ社の抗体検査の精度
当院が実施している新型コロナウイルス抗体検査であるロシュ社の精度をご紹介します。
- 感度:100%(204検体での結果)
- 特異度:99.81%(5272検体での結果)
となっています。きわめて精度の高い検査といえます。
6月上旬の東京での抗体検査の結果は、0.1%の抗体保有率となっていました。それをもとに計算すると、以下のようになります。
つまり検査で陽性だとすると、84%の確率(10/11.881)で抗体を持っているということになります。反対に陰性ですと、100%の確率で抗体を持っていないということになります。
感度について
- 新型コロナウイルス感染の症状が+
- PCR検査で+
となった69人の患者さんからの検体をつかって、ロシュ社の抗体検査を実施。その結果は、以下のようになっています。
PCR検査後の日数
検体数
感度(95%信頼区間)
0~6日
116
65.5%(56.1~74.1%)
7~13日
59
88.1%(77.1~95.1%)
14日以上
29
100%(88.1~100%)
14日以上あけて抗体検査を行ったときに、感度は100%となっています。検体数も少ないため、100%ということは実際ではないかと思われます。95%信頼区間とは、95%の確率でその範囲に収まることを意味しています。
この結果からわかることは、
- 疑わしい症状などがあったとしても14日ほど開けないと正確な検査はできないこと
になります。感度が多少変わっても、抗体保有率が極めて低い状況では、検査結果に影響は少ないです。
特異度について
抗体保有率が少ない場合に、検査結果に大きな影響を与えるのは特異度になります。
新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年12月以前に集められた5272検体にロシュ社の抗体検査を実施。その結果は、以下のようになっています。
集団(コホート)
検体数
陽性
特異度(95%信頼区間)
日常の診断目的
3420
7
99.80%(99.58~99.92)
献血
1772
3
99.83%(99.51~99.97)
通常の風邪
40
0
100%(91.19~100)
旧型のコロナウイルス
40
0
100%(91.19~100)
合計
5272
10
99.81%(99.65~99.91)
このように、特異度は極めて高いことがわかります。検体数も非常に多いので、誤差も少ない範囲となっています。この結果から分かることは、
- 抗体検査で陰性なのに本当は抗体持っているということが少ない
ということです。抗体保有率が極めて低い状況では、特異度が低いと検査結果は信頼性が揺らいでしまいます。例えば特異度が90%となると、以下のように変化してしまいます。検査で陽性だったとしても、本当に抗体を持っている人は10人に1人もいなくなってしまいます
新型コロナウイルス抗体検査を開始する背景
幸い日本では、そこまで多くの感染が確認されていません。このため抗体検査を実施しても疑陽性が多いと判断し、当院では実施せずに見送っておりました。患者様からはご要望いただくことは多かったのですが、余計な混乱を招くだけと判断しました。
従来は中国製を中心とした抗体検査が出回り、その精度は疑問符がつくものが多いのが実情でした。抗体検査も開発がすすみ、ロシュ社の抗体検査が発売され、その高い精度(特異度)に注目していました。
正直に申し上げれば、抗体検査を行う意義は少ないと考えています。あくまで、「答え合わせ」的なことに過ぎません。この検査を行っても、引き続き感染予防に気を付けることは変わらず、行動に影響を及ぼすことはありません。法人での集団検査を検討されている企業などもありますが、新型コロナウイルス抗体検査を行う意義は少ないのです。
専門家や医療機関によっては、新型コロナウイルス抗体検査を積極的に推奨しているケースもあります。本当に抗体検査を積極的に行った方が良ければ、絶対に国が勧奨します。それを行っていないのが、答えになります。
こういった状況を踏まえて、できるだけ正しく理解いただいて抗体検査を行っていただくために、当院でも実施させていただく方針といたしました。
【新型コロナウイルス抗体検査】の概要
【新型コロナウイルス抗体検査の料金】
- 予定7,700円(税込)
※検査日より2週間さかのぼって発熱していない方・10歳以上の方のみ
新型コロナウイルス抗体検査は、「現在感染しているかどうか」を判断する検査ではありません。現在感染を疑っている方は、実施をお控えいただいています。(感染後14日たたなければ、結果が正確にわかりません)
抗体検査は、「気づかないうちに新型コロナウイルスに感染してしまっていたのか」を推測するために行う検査になります。
当院では、現在もっとも精度が高い検査と思われるロシュ社の抗体検査のみを実施します。新型コロナウイルスの成熟した抗体があるかどうかを判断する検査になります。
採血をして、その結果を当日中に検査会社のラボに送って検査を行います。結果が判明しましたら、お電話にて看護師より、結果のみご連絡させていただきます。
1度の来院のみで結果がわかります。抗体検査の結果については、こちらのページをお読みいただき、正しく理解いただけたらと考えています。
抗体検査の結果の解釈
【抗体検査で陽性となった方】
- 新型コロナウイルス感染症にかかった可能性が高い
といえます。しかしながら注意点として、
- 新型コロナウイルス感染症にかかっていない可能性も否定できない
- 抗体を持っていたとしても再感染しないとは限らない(むしろ再感染で重症化する可能性もある)
- 抗体の持続期間も判明していない
ですから油断することなく、引き続き感染予防には務めてください。
【抗体検査で陰性となった方】
- 新型コロナウイルス感染症にかかっていない可能性が高い
といえます。新型コロナウイルス感染症にかかったことがある可能性も否定できませんが、引き続き感染予防に努めることが大切です。
抗体自体が感染の早期に検出できないことも多く、また当院が行うロシュ社の抗体検査は、成熟した抗体を検出する検査(IgG中心)になります。ですから感染を疑って検査をしても陰性になってしまう可能性が高く、適していません。
ですから新型コロナウイルス抗体検査の意義は、
- 過去の体調不良に対する答え合わせ
- 公衆衛生として行うことで、感染状況を把握できる
といった意味合いになります。将来的にワクチンが開発されて普及すると、抗体検査で陰性の方にはワクチン接種を行うといった使われ方がされるかと思います。(現在の風疹ワクチンなどと同様)
新型コロナウイルス抗体について(IgMとIgG)
新型コロナウイルスの抗体検査について調べていただくと、
- IgM
- IgG
の2つの抗体が出てくるかと思います。当院の検査では、抗体を分けて測定しません。そもそも抗体検査は早期診断には向いていません。インフルエンザの診断のときに、綿棒で鼻の中をこすっている検査を経験された方も少なくないかと思います。こちらの検査は、「抗原検査」になります。もしくはPCR検査によって診断を行っています。※当院では院内感染予防の観点で、どちらの検査も実施していません。
一般的には、新型コロナウイルスに感染すると、まずはIgMが作られて、ほどなくしてIgGが増え、役割を終えたIgMは減少していくといわれています。IgGはしばらく残り続けます。そして免疫が記憶され、再び敵がやってきたらIgGが一気に作られ、ウイルスと戦います。(※IgGがIgMより早く検出されることもあります。)
ですから、
IgG(ー) | IgG(+) | |
IgM(+) | 感染初期 | 感染早期 |
IgM(ー) | 感染していない | 感染後 |
といった説明がなされます。ですが精度が高めの検査を行っても、感染率が極めて低い状況では疑陽性(本当は抗体がないのに陽性判定)だらけになります。とくにIgM陽性ですと感染初期~早期が疑われますから、混乱をきたしてしまうだけで、当院では測定する意義がないと考えています。
それよりもむしろ、しっかりと成熟したIgGが認められるかを精度高く検出することの方が意味があります。抗体は時間経過で成熟していき、ウイルスを効率的に認識できるようになります。そのうちに中和抗体ができるようになり、ウイルスを効率的に中和して防御することができるようになります。
ロシュ社の抗体検査では、この成熟した抗体(IgG中心)を精度高く検出することができます。
検査の流れ
まずは当院に受診ください。
- 14日前より発熱や倦怠感といった体調不良がない方のみ
実施させていただきます。
受付に新型コロナウイルス抗体検査の希望を伝えてください。その後につきましては、以下のような流れとなります。
- 同意書兼問診票への記入 ※受付に提出
- 待合でお待ちいただき、準備が整いました看護師よりお声掛け
- 処置室で採血実施
- 会計いただき、ご帰宅
- 後日に看護師より電話で結果説明
ロシュ社の抗体検査の精度
当院が実施している新型コロナウイルス抗体検査であるロシュ社の精度をご紹介します。
- 感度:100%(204検体での結果)
- 特異度:99.81%(5272検体での結果)
となっています。きわめて精度の高い検査といえます。
6月上旬の東京での抗体検査の結果は、0.1%の抗体保有率となっていました。それをもとに計算すると、以下のようになります。
つまり検査で陽性だとすると、84%の確率(10/11.881)で抗体を持っているということになります。反対に陰性ですと、100%の確率で抗体を持っていないということになります。
感度について
- 新型コロナウイルス感染の症状が+
- PCR検査で+
となった69人の患者さんからの検体をつかって、ロシュ社の抗体検査を実施。その結果は、以下のようになっています。
PCR検査後の日数 | 検体数 | 感度(95%信頼区間) |
0~6日 | 116 | 65.5%(56.1~74.1%) |
7~13日 | 59 | 88.1%(77.1~95.1%) |
14日以上 | 29 | 100%(88.1~100%) |
14日以上あけて抗体検査を行ったときに、感度は100%となっています。検体数も少ないため、100%ということは実際ではないかと思われます。95%信頼区間とは、95%の確率でその範囲に収まることを意味しています。
この結果からわかることは、
- 疑わしい症状などがあったとしても14日ほど開けないと正確な検査はできないこと
になります。感度が多少変わっても、抗体保有率が極めて低い状況では、検査結果に影響は少ないです。
特異度について
抗体保有率が少ない場合に、検査結果に大きな影響を与えるのは特異度になります。
新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年12月以前に集められた5272検体にロシュ社の抗体検査を実施。その結果は、以下のようになっています。
集団(コホート) | 検体数 | 陽性 | 特異度(95%信頼区間) |
日常の診断目的 | 3420 | 7 | 99.80%(99.58~99.92) |
献血 | 1772 | 3 | 99.83%(99.51~99.97) |
通常の風邪 | 40 | 0 | 100%(91.19~100) |
旧型のコロナウイルス | 40 | 0 | 100%(91.19~100) |
合計 | 5272 | 10 | 99.81%(99.65~99.91) |
このように、特異度は極めて高いことがわかります。検体数も非常に多いので、誤差も少ない範囲となっています。この結果から分かることは、
- 抗体検査で陰性なのに本当は抗体持っているということが少ない
ということです。抗体保有率が極めて低い状況では、特異度が低いと検査結果は信頼性が揺らいでしまいます。例えば特異度が90%となると、以下のように変化してしまいます。検査で陽性だったとしても、本当に抗体を持っている人は10人に1人もいなくなってしまいます
新型コロナウイルス抗体検査を開始する背景
幸い日本では、そこまで多くの感染が確認されていません。このため抗体検査を実施しても疑陽性が多いと判断し、当院では実施せずに見送っておりました。患者様からはご要望いただくことは多かったのですが、余計な混乱を招くだけと判断しました。
従来は中国製を中心とした抗体検査が出回り、その精度は疑問符がつくものが多いのが実情でした。抗体検査も開発がすすみ、ロシュ社の抗体検査が発売され、その高い精度(特異度)に注目していました。
正直に申し上げれば、抗体検査を行う意義は少ないと考えています。あくまで、「答え合わせ」的なことに過ぎません。この検査を行っても、引き続き感染予防に気を付けることは変わらず、行動に影響を及ぼすことはありません。法人での集団検査を検討されている企業などもありますが、新型コロナウイルス抗体検査を行う意義は少ないのです。
専門家や医療機関によっては、新型コロナウイルス抗体検査を積極的に推奨しているケースもあります。本当に抗体検査を積極的に行った方が良ければ、絶対に国が勧奨します。それを行っていないのが、答えになります。
こういった状況を踏まえて、できるだけ正しく理解いただいて抗体検査を行っていただくために、当院でも実施させていただく方針といたしました。