溶連菌迅速検査
当院の溶連菌迅速検査
当院では、咽頭炎や扁桃腺炎などの原因として多いA群β溶血連鎖球菌(溶連菌)の迅速検査を行うことができます。
A群β溶血連鎖球菌は3~10歳くらいのお子さんに多く、冬から春にかけて流行する感染症です。イチゴ舌といって真っ赤なブツブツがベロにできたり、全身に細かなかゆい発疹が広がったりします。
大人も感染することが少なくなく、大人は特徴的な症状は出てきづらく、のど風邪と区別がつきにくいです。病気の初期には感染力が強く、お子さんから抵抗力の落ちた大人に感染することがあります。
A群β溶血連鎖球菌は、黄色ブドウ球菌と並んで化膿性炎症を起こしやすい細菌の一つです。のどの奥の扁桃腺に白っぽいものがついていれば、細菌による化膿である可能性が高くなります。白苔といったりします。
このような溶連菌感染症の治療は、古くからあるペニシリン系の抗生物質(サワシリンなど)がしっかりと効果を発揮します。しかしながら抗生物質を最低10日以上はしっかりと服用して、溶連菌をやっつけきることが大事な病気です。
というのは、合併症が怖いからです。リウマチ熱といって心臓の筋肉や膜で炎症が起きてしまい、弁膜症などの後遺症を残してしまうことがあります。腎臓に炎症がおよび、慢性化してしまうこともあります。
このような合併症を予防するために、A群β溶血連鎖球菌感染症を迅速に診断し、適切な治療を行うことが重要です。
当クリニックで使用している検査キットは、綿棒で膿の部分をぬぐうだけですぐに検査を行うことができます。
溶連菌迅速検査の流れ
当院での溶連菌迅速検査の流れとしましては、
- 受付で、「内科の問診表」に記載いただきます。
- 医師が順番に診察をします。
- 医師の診察で溶連菌検査が必要か判断します。
- 検査が必要な場合、看護師の準備が整いましたらお声掛けいたします。
このようになっています。
のどの痛みがあって、診察でのどの奥に白っぽいものが認められるときは、溶連菌検査をおすすめします。流行時期がインフルエンザと重なりますが、ときに混合感染していることもあります。医師の診察を踏まえ、検査が必要かどうかをお伝えします。
溶連菌迅速圏は非常に簡単で、細長い綿棒でのどの奥の方を軽くこすります。採取した液体を試薬につけて、それを検査キットに垂らすだけです。
溶連菌迅速検査は、10分ほどで結果がわかります。結果が出ましたら、直ちに医師に報告します。
溶連菌感染症と登校・出勤
溶連菌と診断されたら、学校や仕事に行けるかどうかを心配されることがあります。
学校に登校できるかどうかについては、学校保健法という法律によって規定されています。第三種感染症に分類されていて、「医師が感染がないと認めるまで」とされています。
溶連菌感染症は、抗生物質を開始して24時間以上たつと、その感染力はほとんどなくなることがガイドラインでも示されています。ですから、医療機関受診日とその翌日は登校を控えていただくのが一般的です。
そしてしっかりと抗生物質を服用していただき、治療終了後に効果を判定するために、尿検査をおこないます。短期間に感染を繰り返す場合は、咽頭培養を行って他の原因を探ったり、ご家族の検査をお願いすることもあります。
元気になったからといって抗生剤を中止しないでください。治療終了後の効果判定のために、検尿をします。採血での検査が必要な方もいらっしゃいます。
会社への出勤については、明確な規定があるわけではありません。しかしながら、学校保健法に準じて、医療機関受診日と翌日は出勤を自粛するのが一般的です。あくまで自粛であり、会社で病休などの規定がない場合は有給扱いとなることも多いです。
溶連菌迅速検査について詳しく知りたい方へ
溶連菌検査は、非常に簡便に行うことができる検査です。検査の精度も高く、しっかりと判定ができるようになってきています。
ここでは最後に、溶連菌迅速検査について詳しく知りたい方にむけて、どのようなメカニズムで溶連菌感染症の判定がなされているのかについてお伝えしていきます。
当院のA群β溶血連鎖球菌迅速検査キットのメカニズム
当クリニックで使用しているA群β溶血連鎖球菌迅速キットは、イムノクロマト法の原理に基づきA群β溶血連鎖球菌を検出します。
イムノクロマト法とは毛細管現象を応用した免疫測定法です。
咽頭ぬぐい液試料中に抗原(A群β溶血連鎖球菌)が存在すると、試薬に含まれた抗体と免疫複合体を形成します。
この試料を付属の検査キットに滴下すると、毛細管現象で少しずつ反応層まで浸透していき、判定部に標識された抗体と結合して発色します。
<判定方法>
- 陽性:判定窓にコントロールライン(赤色)とテストライン(青色)が現れた場合、陽性と判定。
- 陰性:判定窓にコントロールライン(赤色)のみが現れた場合、陰性と判定。
- 無効:判定窓にコントロールライン(赤色)が現れない場合や、バックグランドの色が濃くコントロールラインの有無が確認できない場合は無効と判定し、再測定。
当院のA群β溶血連鎖球菌迅速検査の精度
当院で使用している溶連菌迅速検査キットについて、他社との相関性や検査精度をみていきましょう。
<培養検査との相関性>
培養検査を行うことで、溶連菌が存在していたかがわかります。その結果と、当クリニックでの迅速キットとの一致率をみてみましょう。
- 陽性一致率:92.6%(87/94)
- 陰性一致率:92.8%(193/208)
- 全体一致率:92.7%(280/302)
<他製品との相関性>
溶連菌検査キットは数多く発売されていますが、同じイムノクロマト法の他社キットとも比較してみましょう。
- 陽性一致率:96.8%(60/62)
- 陰性一致率:100.0%(70/70)
- 全体一致率:98.5%(130/132)
このように迅速キットは、かなりの精度で診断することができます。