MRワクチン(麻疹・風疹)

MRワクチン(麻疹・風疹)

MRワクチン(麻疹・風疹)とは?

【当院のMRワクチンの料金】

MRワクチンについて、こころみクリニックでのご案内になります。
  • MR混合ワクチン・・・11,000円(税込)
    ※MRワクチン:麻疹と風疹の混合ワクチン

「昔、予防接種を受けたから、子供の頃にかかったはずだから、大丈夫。」そんな風に思われることの多い麻疹(はしか・ましん)と風疹(ふうしん)ですが、近年は成人での流行が増加しています。

昔は今ほど予防接種の制度が確立しておらず、とくに30代以降の方は免疫が不十分な方も多いのです。

現在は、1歳と小学校入学前に2回、麻疹と風疹の2種混合ワクチンを定期接種することが法律で定められていますが、過去の接種が不十分だった成人の方、妊娠を希望する方には、公費助成制度でワクチン接種を推奨している自治体もあります。

ここでは、麻疹・風疹ワクチンの接種による効果や副作用、予防接種の時期や費用などについて詳しくご紹介しています。
麻疹は命に関わることもある怖い感染症。風疹は妊娠中の女性がかかると、お腹の赤ちゃんに障害が出る可能性があります

適切なワクチン接種でしっかりと予防しましょう。

麻疹・風疹はどんな病気?違いは?

麻疹と風疹はどちらもウイルスによる感染症で、

  • 風邪様の症状
  • 全身に現れる発疹
  • 発熱

などが特徴です。

どちらも発疹が現れることから混合されることも多い2つですが、原因となるウイルスの種類が異なるので全く別の病気です。基本的には麻疹ウイルスの方が強力で、症状も重症になります。ですから世間では、麻疹のことを「はしか」と呼びますか、風疹のことは「3日はしか」と呼んだりします。

症状には個人差もあり、他の感染症でも似たような症状が見られることがあります。麻疹や風疹が疑われた場合は、医療機関で医師による検査や診断が必要です。

麻疹や風疹は一度かかったら免疫がつき、その後はかかりづらくなります。けれど、過去にかかった風疹を麻疹と勘違いしていたり、他の感染症を麻疹や風疹だと思い込んでいたり、実は未感染だった…というケースもあるので注意しましょう。

麻疹(ましん)とは?

麻疹ウイルスの感染が原因で、重症化しやすく合併症が怖い感染症です。

発熱・咳・目の充血・鼻水・口の中の白い斑点などの症状に続いて急に熱が上がり、39度以上の高熱とともに全身へ真っ赤な発疹が広がります。

また、麻疹にかかると一時的に身体の免疫力が激しく低下し、他の細菌などへの感染から中耳炎、肺炎、脳炎など他の部位に合併症が起こることも多いのが特徴です。

重症化すると最悪命に危険が及び、麻疹での死亡率は患者さん1,000人に1人と報告されています。また、非常に感染力が強く、空気感染で人から人へ簡単に伝染し、免疫を持っていない人が接触すると90%以上の高確率で発症すると言われています。

風疹(ふうしん)とは?

麻疹に比べると軽症で終わることが多いため、「3日ばしか(麻疹)」とも呼ばれます。

風疹ウイルスの感染が原因で、症状は、耳の後ろや首のリンパ節の腫れと全身の発疹が主です。初期はリンパの腫れや痛みを感じ、そのうちに顔から全身へと小さな発疹が広がっていきますが、麻疹の発疹より色が薄くピンク色をしていることがほとんどです。

熱は半数くらいの方で38度程度の発熱がみられますが、微熱や平熱で終わることもあります。多くの場合、35日ほどで発疹や熱は軽快し、麻疹のような深刻な合併症はごくまれです。

ただし、妊娠中に感染した場合お腹の赤ちゃんにも感染し、先天的な障害の原因になる可能性があるため注意が必要です。また、成人後にかかると重症になって、入院が必要になることもあります。

麻疹・風疹とワクチン予防

現在のところ、麻疹と風疹はワクチンの2回接種が一番有効な予防策とされています。

しかしながら、その制度が日本で確立したのは2006年4月のこと。当時すでに成人となっていた方はワクチン接種が1回のみ、いずれかのワクチンが未接種、ワクチン自体が未接種などの方も多く、近年はその世代(主に30代以降)を中心にした流行が目立っています。

麻疹も風疹も、世界規模で撲滅が目指されている感染症です。法律で定められているワクチンの定期接種は1歳児と就学1年前の幼児が対象ですが、過去に未感染・ワクチン接種が1回以下などリスクの高い方に対しては、成人の方でもワクチン接種での予防が推進されています。

ワクチンは、身体に特定のウイルスへの免疫をつけさせるためのものです。麻疹や風疹は一度かかると身体に抗体がつくられ抵抗力がつきます(再感染しにくくなります)が、それと同じことをワクチンによって安全に行うのです。

2回接種すると、99%の人に免疫が得られると言われています。昔は麻疹や風疹にかかった子供がいると、他の子をわざと接触させて免疫をつけさせたりしたものですが、どちらも発症したときに特効薬はなく、重症化すると厄介です。

とくに麻疹は最悪死に至るケースもあります。風疹は子供の頃であれば軽症で済むことがほとんどですが、妊娠中の女性がかかると、お腹の赤ちゃんに障害が出る可能性があります。被害や感染を広げないためにも、麻疹と風疹はできる限りかかる前に「予防」をしなければいけません。

現在行われている麻疹・風疹2種混合ワクチンの2回接種制度が根付いてから、麻疹や風疹にかかる子供は激減しています。しかしながら、成人での流行は未だにおこっているので注意が必要です。

MRワクチンとは?

ワクチンには、大きく2種類があります。不活化ワクチンと弱毒生ワクチンです。インフルエンザなど多くのワクチンが前者の不活化ワクチンですが、MRワクチンは後者の弱毒生ワクチンになります。

弱毒生ワクチンとは、ウイルスなど病原体の毒性を身体に害のない範囲に弱めたものです。それを体内に注入することで、安全な状態で身体に免疫抗体をつくらせることができるのです。感染する可能性がごくわずかにありますが、不活化ワクチンよりも免疫がしっかりとつきやすいです。

麻疹・風疹は原因となっているウイルスが違うため、ワクチンの種類もそれぞれ別です。現在日本で主に使用されているのは、2種が同時に接種できる『麻疹・風疹2種混合ワクチン(MRワクチン)』です。

MRとは、麻疹=Measles・風疹=Rubellaの頭文字を取っています。また、それぞれの単独ワクチンもあります。過去の接種ワクチンの種類や回数、感染経験が明確なときには不足している方の単独ワクチンを選ぶこともできますが、感染経験やワクチンによる抗体は時とともに減弱するので、確実性を期待するなら2種ワクチンの方が推奨されています。

日本で2種混合のMRワクチンが承認されたのは平成17年(2005年)6月で、これによる定期接種が始まったのは平成18年(2006年)4月からです。

世界ではMRワクチンよりも、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)を含めた新3種混合ワクチン(MMRワクチン)を採用しているところが多くなっています。日本でも昔はMMRワクチンを使っていた時期(昭和63年~平成5年)があるのですが、副作用の無菌性髄膜炎の発症が予想以上におこり、使用が中止されることになりました。

この副作用はおたふく風邪に対するムンプスワクチンが原因とみられたため、それを除いた2種のMRワクチンが代わりに使用されることとなったのです。

現在もMMRワクチンを採用している諸外国では、ワクチンに使用するウイルス株の種類を変えて安全性を確認したものが使用されています。日本でも、ウイルス株の種類を変えたおたふく風邪単独ワクチンが新たに導入はされましたが、そちらは個人の意志に任せる任意接種となっています。

MRワクチンの定期予防接種について

ワクチンを使った予防接種には、「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。

定期接種とは、予防接種法にもとづき接種が義務付けられている予防接種です。年齢・期間・回数・ワクチンの種類が定められており、多くの場合は自治体の助成で無料~一部負担で受けることができます。(川崎市は無料)

麻疹・風疹ワクチンの場合は、1歳児と小学校入学1年前のお子さんが対象です。現在、法律で定められている麻疹・風疹ワクチンの定期接種の概要は以下の通りです。

<ワクチンの種類>

麻疹・風疹2種混合ワクチン(MRワクチン)

<接種時期>

MRワクチンは2回接種が原則です。

  • 第1期:1歳~2歳未満(1歳児の期間)
  • 第2期:小学校入学前の1年間(入学前年の4月1日~入学年の3月31日)

この期間に接種を逃したときは、その後1年間以内(第1期:2歳児の期間、第2期:小学校1年生の期間)なら、自治体負担で任意接種を受けることができます。

ただし、自治体によって対応が違うので、詳しくはお住まいの市町村役所へ問い合わせてみましょう。川崎市では、期間経過後1年は無料で受けることができますが、事前に役所への申請手続きが必要です。

<実施場所>

自治体指定の医療機関になりますが、多くのクリニック・病院が実施機関になっています。(当院では、成人のみ実施できます)お住まいの市区町村内であれば、好きな場所で受けることができます。どこが実施機関になっているかは、役所のホームページでも調べることができますし、各クリニックに直接聞けばわかります。

定期接種の対象者には役所からお知らせと接種券が届くので、それを持って医療機関で直接申し込むことができます。ただし、各機関で1日に準備できるワクチンには限りがあるため、希望日すぐに受けられるとは限りません。事前に希望医療機関で受けられる日を確認しておきましょう。定期接種の対象者以外で公費助成制度を利用したいときは、事前に役所への申請が必要になることがあります。

<追加定期接種>

幼少期での定期接種による免疫が不足している世代に対して、第5期の定期予防接種が期間限定で追加されました。2019年4月1日から2022年3月31日までの3年間に限り、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性に対して、風疹に関わる定期予防接種が行えることになりました。

クーポン券が渡されて、まずは風疹抗体を測定します。抗体が認められない場合には、原則無料でワクチン接種を行うことができます。指定の医療機関で実施することができます。(当院でも実施ができます)

MRワクチンの任意予防接種について

麻疹・風疹のワクチンは、定期接種期間以外も受けることができます。

片方への感染歴や2回の単体ワクチンの接種歴が明確なときは、それぞれの単体ワクチンを選ぶこともできます。 任意接種がとくに勧められるのは、

  • 過去に麻疹・風疹いずれかでワクチン接種を2回受けていない
  • 麻疹・風疹に感染した経験があるかが不明(検査を受けていない)
  • 妊娠を希望する方とそのパートナーの方
  • 妊婦さんのパートナーや同居家族の方
  • 麻疹・風疹の流行している場所へ行く前 ・保育・学校関係者や医療従事者などで免疫が確実でない方

などです。

麻疹は妊娠した女性がかかると早産や流産の原因になることがありますし、風疹はお腹の赤ちゃんに先天性の障害が出る可能性があります。妊娠した後にワクチン接種はできませんので、妊娠を希望する方で免疫を持っていない可能性のある方は予防接種を検討しましょう。

自治体によっては、公費助成で抗体検査や予防接種が受けられるところもあります。また、30代~50代の予防接種制度が不十分だった世代に対しては、公費補助で接種を推進するように厚生労働省が方針を出しています。自治体によっては助成制度を設けて、ワクチン接種を勧奨しています。

任意接種を希望される方は、お住まいの市町村役所や保健所に問い合わせてみましょう。予防効果を高めるために、成人の方も2回接種が勧められています。2回目は1回目から4週間以上間隔を開ければ受けられます。

他の予防接種とは、ワクチンの種類によって接種間隔が異なります。複数のワクチンを同時期に希望するときは、医師に相談してください。

MRワクチンの費用と公費助成制度

麻疹・風疹ワクチンの接種は、健康保険の効かない自費診療です。

普通に接種しようとすると高額になってしまいますが、定期接種のお子さんに対しては、ほとんどの自治体が公費助成を行っています。

また、妊娠を希望される方など、成人の方に対しても公費制度がある自治体があります。公費助成制度は自治体によって内容が違うのですが、ここでは当院の所属する川崎市の制度をご紹介します。

MRワクチンの効果と持続期間

<定期接種>

第1期(1歳児)、2期(小学校入学1年前の幼児)とも、各1回に限り無料。

定期接種の対象期間に受けそこなった場合は、第1期:2歳~3歳未満(2歳児の期間)、第2期:小学校1年生の期間なら任意接種を無料で受けることができますが、事前に川崎市へ申請手続きが必要です。

<妊娠を希望される方への公費助成>

対象者は、

  • 住民票が川崎市にある方
  • 川崎市の助成で風疹抗体検査や予防接種を受けたことのない方
  • 妊娠を希望する女性とパートナーの方
  • 妊婦のパートナー(妊娠中の本人は受けられません)

になります。

この制度は、風疹の流行と「先天性風疹症候群」の発生の予防が目的で、妊娠を希望する方を対象に無料の風疹抗体検査を実施しています。検査で抗体価が不十分だった方は、検査を受けた医療機関に限り、3,200円で麻疹・風疹の2種混合ワクチン接種を受けることができます。

MRワクチンの副作用(副反応)

麻疹・風疹ワクチンの2種混合ワクチンは、2回接種することでの免疫獲得率は99%とされています。ただし、ワクチンの効果は時間とともに少しずつ減弱するため、年齢がいってから感染する可能性が無いというわけではありません。

これは自然感染で免疫を得た場合も同じで、昔に比べると現在の方が麻疹や風疹の免疫は低下しやすい傾向があると言われています。その理由は、予防接種の効果により日本国内での麻疹・風疹ウイルスが激減し、接触する機会が少なくなったからと考えられています。

麻疹などのウイルスに対する免疫は、免疫がある状態で対象のウイルスにたびたび接触していくと免疫情報が維持されていきます。けれど、接触する機会が無い環境で過ごしていると、免疫が低下してしまうことがあります。

とはいえ、免疫をまったく持っていない人に比べると、再感染したときの症状は多くが軽症で済みますし、1回接種より2回接種の方が予防効果は上がります。過去に未感染でワクチンを1回しか接種していない方は、2回目の接種をお勧めします。

MRワクチンの注意点

現在予防接種に使用されている麻疹・風疹2種混合ワクチンは、厚生労働省で認可されている安全性の高いものです。

ただし、ワクチンが体に入ると免疫が反応しますので、「副反応」がおこることがあります。副反応は、麻疹・風疹にかかったときと同じような症状が軽度にみられる状態です。麻疹・風疹ワクチンで可能性のある副反応としては、

  • 発熱
  • 発疹
  • 関節痛
  • 頭痛
  • 倦怠感

などがあります。

これらは接種後7日~10日してからおこることが多いですが、ほとんどの場合は数日で自然治癒するため特別な心配はありません。また、接種した部位が赤く腫れたり、かゆみや軽い痛みがおこることもありますが、こちらもワクチン接種後にはよくみられる反応です。

しかしながら、副反応には個人差があります。めったにおこるものではありませんが、重大なアレルギー反応や合併症などがおこる可能性がゼロとは言えません。接種後に胸や呼吸の苦しさ、急激な血圧低下、顔色の異常など明らかな異変がおきた場合や、副反応が重症のときには病院を受診しましょう。

体調が悪いときの接種は避けましょう

麻疹・風疹ワクチンは、できるだけ体調が安定しているときに受けましょう。

接種予定日に熱があったり体調が優れなかったりするときは医師や看護師に伝えてください。身体の状態によっては接種が向かないことがあります。何かの病気治療中の方は主治医にもワクチン接種について相談をしておきましょう。

妊娠中・可能性のある方は受けることができません

妊婦さんへのワクチン接種によって、お腹の赤ちゃんに影響があったというデータは今のところありませんが、安全のためにワクチン接種は禁止となっています。

また、女性の方が麻疹・風疹2種混合ワクチンまたは風疹単体ワクチンを接種した後は、2か月の避妊が必要です。

アレルギー歴や持病は事前に伝えておきましょう

ワクチンは安全性の高いものですが、体質や身体の状態によってごくまれにアレルギー反応などがおこることがあります。

過去に予防接種や薬、食べ物などで重度のアレルギーをおこした方や持病のある方は、問診票にしっかりと記入しておきましょう。

予防接種後はアルコール・熱い風呂・激しい運動などを控えましょう

予防接種後の夜は入浴していただいてもいいですが、注射した部位をこすらず、熱い風呂や長風呂は避けましょう。

血流を促進させたり過度に体を疲れさせると副反応が強く出ますので、接種日はアルコール、皮膚を刺激すること、激しい運動、マッサージなどは控えましょう

【参考】麻疹・風疹ワクチンの接種制度の歴史

  • 1966年(昭和41年):麻疹ワクチンの任意接種スタート

日本で麻疹ワクチンが承認され、希望者に対する任意接種が始まりましたが、接種率は非常に低かったようです。麻疹の流行が数年おきにあったため、自然感染で免疫を得ていた人が多い時代です。

  • 1977年(昭和52年) 8月:風疹単体ワクチン定期接種(1回) 中学生女子のみが対象

風疹ワクチンの定期接種がスタート。学校で実施する集団接種だったので接種率は高かったものの、対象は中学生女子のみで1回の接種でした。

  • 1978年(昭和53年):麻疹ワクチンの定期接種(1回) 男女とも対象

麻疹ワクチンの定期接種がスタート。男女とも1~7歳半の時期に1回の接種が義務付けられましたが、自分で病院を訪れる形の個人接種だったため、接種を受けていない人も少なくはないようです。

  • 1989年(平成元年):麻疹・風疹・おたふく風邪3種混合ワクチン(MMRワクチン)の定期接種(1回)
  • 1993年(平成5年)~1994年(平成6年):3種混合ワクチン接種の停止

3種混合ワクチン内に使用されていたおたふく風邪ウイルス株による無菌性髄膜炎が多く発生し、3種混合ワクチンの接種が停止。以降はウイルス株を変えた単独ワクチンが使用され、おたふく風邪ワクチンは任意接種に。

麻疹・風疹はそれぞれ単独ワクチンでの定期接種1回が継続されましたが、義務接種ではなく努力接種となりました。ワクチン全般への不信感が広まり、接種を控えた保護者の方も多かったようです。

  • 1995年(平成7年)4月:風疹ワクチンの定期接種(1回) 男女とも幼少期に対象変更

対象は1歳以上~3歳以下(場合によって90か月未満)の男女と変更になりました。また経過措置として、12歳以上~16歳未満の中学生男女も接種の対象になりました。

ですが、学校での集団接種が医療機関を受診して受ける個別接種に変更されたため、とくに中学生の接種率は激減しました。

  • 2001年(平成13年) :日本で麻疹の大流行

麻疹ワクチンの接種が強く推進されるようになって接種率が上がりました。

  • 2006年(平成18年) :麻疹・風疹2種混合ワクチンの2回定期接種が開始

1歳の期間に1回、小学校入学1年前に1回ずつ接種する現在の制度になりました。

  • 2008年(平成20年)~2012年(平成24年):麻疹の追加定期接種の実施

2007年に10~20代を中心とした麻疹の全国流行を受け、過去に1回しか麻疹ワクチンを受けていなかった世代=1990年(平成2年)4月2日生まれ~平成12年(2000年)4月2日生まれに対し、中学1年生あるいは高校3年生相当年齢の時期に2回目のMRワクチンの追加定期接種の機会が設けられました。しかし、追加接種率は低かったようです。

  • 2019年(平成31年)~2022年(令和3年):風疹の追加定期接種の実施

幼少期での定期接種による免疫が不足している30~50歳の男性で風疹が流行したことを受け、第5期の定期予防接種の機会が設けられました。昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性が対象となります。

【参考】世代別での予防接種の回数の目安

このように風疹・麻疹の定期接種は、時代とともに変わってきています。その過渡期にあたる世代では、抗体が不足している方もいらっしゃいます。

年代や性別ごとに、予防接種の回数の目安をまとめてみたいと思います。(※誕生月や状況により異なることがあります)

平成14年(2002年)以降の生まれの人

  • 2種混合ワクチンを2回

現在と同じ制度で、1歳と小学校入学1年前の期間に合わせて2回の定期接種が義務づけられていました。けれど、接種率は100%ではなく、未接種の人や1回しか接種を受けていない人もいるようです。

平成2年(1990年)4月2日~平成13年(2001年)生まれの人

  • 2種混合ワクチンを1回+追加接種1回

この時期は幼少期に定期接種が1回、中学1年生と高校3年生のいずれかのときに追加接種が1回行われ、両方受けていれば2回接種です。ただし、追加接種は接種率が高くはなく、定期接種の方も初期の頃は接種し忘れている人もいるようです。

昭和54年(1979年)4月2日~平成2年(1990年)4月1日生まれの人

この年代の人は、

  • 麻疹単独ワクチンと風疹単独ワクチンの定期接種1回
  • 麻疹・風疹・おたふく風邪の3種混合ワクチンの定期接種1回

などが混合されていた時期です。

いずれにしても接種は1回であり、平成元年~平成5年まで用いられていた3種混合ワクチンの副反応問題があり、ワクチン未接種の人も少なくない世代です。

昭和54年(1979年)4月1日以前生まれの男性

  • 未接種の人が一番多い

この時期は風疹単独ワクチンは女子のみで、麻疹単独ワクチンは昭和53年まで定期接種がなく、いずれのワクチンも未接種の方がかなりいます。この世代の男性が近年の麻疹・風疹の感染者の中心となっています。

昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの女性

  • 風疹単体ワクチンを1

この時期は、中学生女子のみに風疹単独ワクチンの学校集団予防接種が行われていました。しかしながら回数は1回であり、麻疹ワクチンの定期接種はなかった世代です。

昭和37年4月1日以前に生まれの人

ワクチン接種の考え方自体が広まっておらず、自然感染によって免疫を取得している人が多い世代です。