禁煙外来
目次
禁煙外来とは?
※現在、禁煙外来のお薬が出荷停止となっており、禁煙外来は行っておりません。再開の目途が立ちましたらお知らせさせていただきます。
「タバコはいつかやめなければ・・・」
と思いながらも、なかなか踏み出せていない方は少なくないと思います。
近年はタバコ代もどんどんと高くなり、受動喫煙の意識の高まりとともに肩身の狭い思いをされている方も多いと思います。
タバコは身体に悪いということは、ほとんどの方がご存知かと思います。
タバコをやめられないのには、2つの理由があります。
- 身体依存:タバコが体に慣れてしまい、なくなると調子が悪くなる
- 精神依存:ストレス発散などでタバコに心が頼ってしまう
禁煙外来では、お薬によって身体依存をやわらげることができます。禁煙を開始したときに、体調が悪くなることを減らしていきます。 当院では、呼吸器内科医が中心となって禁煙外来を行っています。 私たちと一緒に、禁煙治療を行っていきましょう。
禁煙治療を始めていく中で、必要に応じて心療内科としてもサポートすることができます。
※まずは内科で受診をお願いします。
禁煙をしなければならない理由とは?
タバコは体に有害だと思いますか?
この質問をされて、「有害だと思わない」と答える人はほとんどいないと思います。
喫煙している人の中にもタバコが体に良いと思って吸ってる人はほとんどいないでしょう。
しかし、
- タバコはどのように体に有害ですか?
- タバコはのどや肺以外にも影響があると思いますか?
- タバコをやめたら元に戻ると思いますか?
などとお聞きすると、「タバコが体に悪いのは知ってる。でも具体的には知らない」といった方が少なくないかと思います。
タバコは医学界の中では、「百害あって一利なし」の代表的な危険因子です。
アルコールも有害な嗜好の一つとされていますが、アルコールは少量であれば悪玉コレステロールを減らすなどのメリットもあります。
しかしタバコに関しては健康に関するメリットは一つもなく、害ばかりになります。
危険因子と死亡数の関連が健康日本21の中で取り上げられています。これによれば、
- 喫煙 128.9
- 高血圧 103.9
- 運動不足 52.2
- 糖尿病 34.1
- 塩分の高摂取 33.1
- アルコール摂取 30.6
- ヘリコバクター・ピロリ感染 30.6
- 脂質異常症 23.9※×1000すると、それぞれのリスク因子をもっていて、亡くなった人の数になります。
となります。高血圧や糖尿病といった病気よりも、命に関わるリスクとしては高いのです。
実際に喫煙を行うことで、
- COPD(肺気腫)
- 肺癌や咽頭癌、前立腺癌の各種癌
- 心筋梗塞や脳梗塞
などの多くの病気のリスクが上がります。
特にCOPDは、タバコを吸うことで発症する病気です。
咳や痰などを起因に重症化すると息が苦しくなって生活もままならなくなります。
COPDに関しては、COPD(肺気腫)のページを一読してみてください。
タバコの恐ろしいところは、病気になってからやめても肺は元には戻らないことです。
COPDも一度発症してしまうと、二度ともとには戻りません。
「あの時、タバコをやめておけばよかった」と後悔する前に、ぜひ禁煙を行っていきましょう。
受診される際にお願いしたいこと
当院では禁煙外来として、
- チャンピックス(飲み薬)
- ニコチネルパッチ(貼り薬)
の2種類を用意しています。違いは後述するとして、この治療を行う前にお願いがあります。
これらのお薬は、禁煙する時のつらい症状を和らげる禁煙補助薬にすぎません。
つまり治療を始めたとしても、本人の強い決意が無ければ絶対に禁煙を成功することはできません。
この辛い症状とは何かというと、タバコをやめたことによるニコチン離脱症状です。タバコはWHOでも、
- アヘン
- 大麻
- コカイン
などの麻薬中毒と同列に依存性の強い物質といわれています。
ニコチンは、精神依存と身体依存の両方が形成されて、非常にやめるのが難しい物質なのです。
自分がニコチン依存症かどうか確認するために、当院でも受診時に問診表をお配りしています。
- 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありますか?
- 禁煙や本数を減らそうとしてみてできなかったことはありますか?
- 禁煙したり、本数を減らそうとした時に、タバコがほしくほしくてたまらなくなることがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らした時に以下の症状がありますか?(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しづらい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の振るえ、食欲又は体重増加)
- ④で伺った症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありますか?
- 重い病気にかかった時に、タバコは良くないと分かっているのに吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に健康問題が起きると分かっていても、吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に精神的問題が起きていると分かっても、吸うことがありましたか?
- 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
- タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか?
以上10項目中5項目以上当てはまった方は、ニコチン依存症と診断されます。
このような方は、やめた時に質問の④にあるような、
- イライラ
- 神経質
- 落ち着かない
- 集中しづらい
- ゆううつ
- 頭痛
- 眠気
- 胃のむかつき
- 脈が遅い
- 手の振るえ
- 食欲又は体重増加
などの症状が出現します。
禁煙補助薬は、これらの症状を軽減するために使用するお薬です。
一方で完全に症状をなくすことはありませんので、完全に禁煙するためには本人の強い意志が必要になります。
- 薬さえ飲んでれば楽に禁煙ができるはず。
- とりあえずまずは本数さえ減らせればよい。
- 自分は禁煙する気はあまりないけど、奥さんに言われて仕方なく来た。
などの方は、大部分が禁煙に失敗してしまいます。
さらに禁煙外来は一度受けてしまうと、1年間は他施設も含めて保険診療で治療が受けれなくなります。
そのため、禁煙外来を途中でやめてしまった方は、1年間は自費でしか再チャレンジできなくなるのです。
そのため、まず禁煙しようという強い意志を持ってから禁煙外来を受診するようにしましょう。
当院の禁煙外来受診の流れと必要な検査
当院の禁煙外来の流れは、
- 問診表
- 医師の診察(パンフレットでのご案内)
- 呼気一酸化炭素の測定
- 胸部レントゲン写真撮影
- 呼吸機能検査
- 禁煙宣言書の記入
といった流れになります。
まず問診表です。
- 現在タバコを吸っていますか?
- 1日の平均何本タバコを吸いますか?
- 習慣的にタバコを吸うようになってから何年が経過しますか?
- あなたは喫煙することにどれくらい興味がありますか?
- ニコチン中毒か含めて10の質問に「はい」、「いいえ」で答えてください
- 禁煙治療を受けることに同意しますか?
※⑤のニコチン中毒かどうかの10の質問とは、先ほどの記載した内容になります。こちらの問診表で喫煙状況を確認していきます。
問診表を記載した後は、まずは医師の問診です。
ここでは、一般的な喫煙状況の再確認及び禁煙の意志を確認させていただきます。また、
- 既往歴
- アレルギー歴
- 内服歴
など一般的な項目も、この際に確認していきます。
治療に問題がない方は、禁煙外来の方法についてパンフレットを参考にしながら説明させていただきます。
一通り説明した後は、③呼気一酸化炭素の測定に入ります。
一酸化炭素はタバコの煙に含まれている有害物質の一つです。
実際に呼気にどれくらい含まれているかで喫煙状況を確認していきます。
最初の値がいくつかはさほど問題ではありません。
禁煙をしていくことで徐々にこの呼気一酸化炭素が低下していき、数値でも実感できるようにするために測定していきます。
ここまでは他の医療施設と同じ流れです。ここから当院は、
- 胸部レントゲン写真→肺の見た目
- 呼吸機能検査→肺の機能
の2種類の確認を推奨しています。
まずレントゲン写真では、肺に関係する病気が無いか確認していきます。具体的には、
- 肺癌
- 間質性肺炎
- 肺炎(結核など)
などが挙げられます。特に肺癌は、喫煙が最大のリスクファクターになります。
禁煙治療を始めても、病気が隠れていたらそちらも治療する必要があるため、レントゲン写真で確認した方が良いです。
レントゲン写真で問題がなかった方は、肺の機能を検査します。
タバコを吸ってる人は、特に一秒間に吐く息の量(一秒量)が低下します。
低下する値によっては、肺気腫(COPD)と診断される方もいらっしゃいます。
その場合は禁煙治療とあわせて、肺気腫の治療法についてもご説明いたします。
肺気腫まで病状が進行していなくとも、喫煙者の大部分の方は呼吸機能が低下しています。
この呼吸機能を元に肺年齢が計算されます。
中には実年齢+50歳なんて方もいて、ショックを受ける方もいらっしゃいますが、この肺機能を確認することでより禁煙を頑張らないといけないという気持ちになります。
そのため、呼吸機能検査もぜひ一度受けてもらいたい検査になります。
ご自身の肺の見た目、肺の機能が確認できた方は、最後に禁煙宣言書に名前を記載してみらいます。
宣言書に名前を記載することで、ダラダラ吸い続けてはいけないという気持ちが強くなり、スパッと禁煙ができるようになります。
ここまでが、禁煙外来初診の診察の流れになります。
当院の禁煙外来での治療法について
当院の禁煙外来では、
- チャンピックス(飲み薬)
- ニコチネルパッチ(貼り薬)
の二つを選択できます。それぞれのメリット、デメリットをみていきましょう。
チャンピックス
<メリット>
- 効果が強い
- ニコチンを含まない
- 肌が弱い人でも使用できる
- 妊婦にも使用可能である
<デメリット>
- 嘔気(2割)、不眠(1割)、頭痛(1割)などの副作用が起こり得る
ニコチネルパッチ
<メリット>
- 貼るだけで簡便
- 副作用が不眠(1割)、テープかぶれが主で全体的に少ない
<デメリット>
- 効果がやや落ちる
- 妊婦には使用できない
- 重度の狭心症や不整脈、心筋梗塞後などの心疾患がある方には使用できない
どちらを使っていくべき?
それでは、どちらのお薬を使っていくのでしょうか?一般的には、効果がしっかりとしたチャンピックスが使われることが多いです。
ですが、
- チャンピックスの副作用が怖い
- ほぼ禁煙できているから貼り薬でも成功しそう
などの方は、ニコチネルパッチを選択します。
この辺りは、どちらが正解・不正解といったことはありません。ただし一つ注意が必要です。
禁煙外来受診中は薬の変更ができますが、禁煙外来終了後、保険を使用して再度挑戦するには、1年間待たなければなりません。
「ニコチネルパッチで禁煙できなかったから、次はチャンピックスで挑戦しよう」となっても、1年間待たなければならないのです。
そのためどちらで治療するか悩まれた方は、まずチャンピックスから投与して副作用が出た場合、ニコチネルパッチに変更していく流れが通例です。
禁煙外来のスケジュールと費用
禁煙外来は初診時を含めて5回、3か月間のプログラムが通例です。
- 初診時(次回2週間後)
- 2週間後(次回2週間後)
- 4週間後(次回1か月後)
- 8週間後(次回1か月後)
- 12週間後
そのため初診の次の受診は、2週間後になります。
なお注意点として、一般的に禁煙開始日は受診日から数えて8日目を推奨しております。
8日目あたりから、禁煙補助薬の効果が出始めるためです。
2回目、3回目と副作用がないことを確認しながら、徐々にチャンピックスおよびニコチネルパッチの量をあげていきます。
なお価格ですが、5回トータルで12,000円~20,000円が一般的になっております。
初診時は、3,000円~4,000円のことが多いです。
ただし、検査内容や自己負担額によって幅があるため、金額が前後することをご了承ください。
禁煙外来に通院中にタバコを吸ってしまった方へ
禁煙外来受診されている方の中には、様々な誘惑があります。
- 家族が吸っている
- 仕事がうまくいかなくてイライラする
- 飲み会の席でつい吸いたくなる
これらに打ち勝ってこそ禁煙になるのですが、人生どうしても失敗もつきものです。
- 量が減ったけど、なかなか0まで持っていけない。
- せっかく辞めてたのに、つい手を出してしまった。
- 周りが吸ってる流れで、断れなかった。
こういったことから自己嫌悪に陥り、途中で禁煙治療を中断してしまうことも少なくありません。
しかし禁煙外来の治療をはじめてしまうと、失敗してしまって再開する場合、保険を使うには1年間待たなければなりません。
また一度失敗してしまった人でも、禁煙外来を根気よく通い続けることで、禁煙を達成できた人も大勢います。
ぜひ一人で悩まずに、禁煙外来の中で医師に正直に話してください。
当院の医師は禁煙ができなかったことに対して、決して怒ったりしません。
また禁煙ができている方も、油断は禁物です。
1か月禁煙ができたという理由で禁煙補助薬が必要ないと考えて、途中で受診をやめてしまう方も中にはいます。
しかし5回しっかり通院を続けることが、禁煙を続ける近道です。
実際にファイザーのデータでも、禁煙の成功率は
- 初回でやめてしまった人 6.8%
- 2回目でやめてしまった人 16%
- 4回目でやめてしまった人 25%
- 最後まで続けられた人 49%
と受診回数に応じて上がっていきます。ぜひ最後の5回目の受診まで頑張っていきましょう。
どうしたら禁煙に近づけるかをぜひ一緒に考えていき、禁煙成功につなげられたらと思っています。
そのためにもまず継続して受診していきましょう。
※当院の内科外来の特徴につきましては、「内科外来の特徴と流れ」をお読みください。
禁煙外来をお探しの方へ
当院では、呼吸器内科医を中心に専門外来を行っております。
ニコチン依存として精神的な側面も大きいため、デジタルを活用した心理的なアプローチもとりいれて加療することが可能です。
元住吉・武蔵小杉・日吉などで禁煙にチャレンジされる方は、元住吉駅前こころみクリニックの禁煙外来にご相談ください。
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