ミレーナ（レボノルゲストレル放出システム）を有効活用しよう！

ミレーナとは？

ミレーナの本体は、写真のようなT型の器械です。
大きさは縦・横ともに32㎜程度です。
縦の棒からレボノルゲストレルという黄体ホルモンが放出されます。
黄体ホルモンとは、卵巣から出ている女性ホルモンです。
子宮内膜を厚くする役割を担っています。
ミレーナを挿入するとミレーナから黄体ホルモンが放出され、子宮内膜が分厚くなりにくくなります。
このため月経の量が減ります。
内膜が薄くなるため、受精卵が着床しにくくなります。

1回挿入すると5年間使用することができます。
縦型の棒の下には糸がついています。
糸は子宮頚部から少し出した状態で切ります。
糸を引っ張ると簡単にミレーナを抜き去ることができるという仕組みです。

装着方法

子宮内膜が薄い状態のときに装着するのが望ましいです。
そのため月経が始まった日から数えて４～７日目頃に挿入します。
月経が始まり次第、クリニックに連絡していただきミレーナ挿入の日程を決定します。
通常の婦人科の診察と同様に内診台に上がっていただきます。
超音波検査を行い、子宮の向きや大きさを再度確認します。
挿入可能と判断したら、実際にミレーナを入れていきます。
8㎜程の外枠とともに子宮内に挿入します。
このとき軽い生理痛くらいの痛みを感じます。
できるだけリラックスして力を抜いている方が、痛みが少なくなります。
子宮口が狭く入りにくい場合には、子宮口を広げる処置を先に行うことがあります。
通常の場合には、10分程度で処置は終わります。
ミレーナを装着する前にあらかじめ受けておいた方がよい検査があります。
経腟超音波検査を行い、子宮や卵巣に異常がないかどうかを確認します。
子宮頸がんの検査を受けていない場合には、細胞診の検査を行います。
クラミジアや淋菌などの性感染症に感染している可能性がある場合には、これらの感染症の検査を行います。
可能であれば乳がんの検診を受けていることが望ましいです。

避妊効果

ミレーナは挿入直後より避妊効果があります。
5年間の追跡調査において累積妊娠率は0.71％でした。

月経痛に対する効果

ミレーナ挿入後、次の月経から出血量は減ることが多いです。
装着直後は、軽い下腹部痛と少量の出血が毎日続きます。
時間が経つとこのような副作用は治まっていきます。
臨床試験では、装着後6ヶ月頃より下腹部の痛みは有意に軽減され、この効果は年単位で継続しました。

脱出リスク

ミレーナを挿入後に自然と抜けてしまうことがあります。
頻度は1.5%程度と言われています。
3㎝ほどの器械ですので、抜けた場合には気が付きます。
ミレーナが抜けて出てきたときには、早めにクリニックを受診することをおすすめします。
知らないうちに位置が移動していることもあります。
ミレーナの位置が問題ないかどうかを定期的に検査していきます。
指示通りに定期検診を受けてください。

副作用

副作用で最も多くみられるのは、不正性器出血です。
ミレーナ挿入直後より毎日少量の出血が続きます。
小さなナプキンで対応できるレベルであれば様子を見てください。
タンポンの使用は控えましょう。
夜用ナプキンが必要になるなど出血が多い場合には、早めに受診してください。

挿入後の定期検診

挿入後、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・１年・２年・３年・４年・５年に定期検診を行います。
ミレーナが正しい位置に装着されているかを確認します。
ミレーナの影響で卵巣が一時的に腫れることがありますので、卵巣に問題がないかどうかも同時に確認します。
診察時にはミレーナを使っていて困っていることがあるかどうかを伺います。
トラブルがあれば遠慮なくご相談ください。
５年経過後は新しいミレーナに入れ替えます。

まとめ

この記事ではミレーナについて解説しました。
ミレーナはうまく活用すると日々の生活が快適になる、便利なものです。
ミレーナについて関心を持たれた方は、気軽に婦人科でご相談ください。
お待ちしております。