ドロップスクリーン

ドロップスクリーンとは?新しいアレルギー検査について解説

日本人の約半数の方がアレルギー性疾患を持っており、これに対応するために多様な診断方法が用いられています。
中でも、アレルゲン特異的IgE抗体検査は広く利用されており、「ドロップスクリーン検査」は、その日のうちに結果が得られるため、特に注目されています。
この検査は、41種類のアレルゲンを同時にスクリーニングでき、迅速かつ正確な診断を提供します。
今回の記事では、この「ドロップスクリーン検査」について詳しく解説します。

ドロップスクリーン検査とは

日本では、約2人に1人が何らかのアレルギー性疾患を持っているといわれています。
そのような中、日本では国を挙げてアレルギー性疾患への対策を進めています。
花粉症などのアレルギーの診断には、皮膚テストやアレルゲン特異的IgE抗体検査、ヒスタミン遊離試験などさまざまな種類があります。
その中でも日常臨床の現場では、アレルゲン特異的IgE抗体検査が多く利用されています。

なお、アレルゲン特異的IgE抗体検査は、特定のアレルゲンに対する免疫反応を測定するための血液検査です。
この検査は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定し、アレルギー症状の原因を突き止めるのに役立ちます。

最近、このアレルゲン特異的IgE抗体検査で、いろいろな項目を同時に測定する、いわゆるスクリーニング検査の需要が高まってます。
こうした検査は、さまざまなアレルギーの原因を突き止められるという利点がある一方で、採血した当日には検査結果がわからないという問題点もあります。

そこで、開発されたのが、診察を受けた当日に検査結果がわかる「ドロップスクリーン検査」です。
「ドロップスクリーン」は機械と試薬をまとめた呼び方です。
検査のための機器は「移動式免疫発光測定装置 ドロップスクリーン A-1(以下ドロップスクリーンA-1)」、試薬は「ドロップスクリーン 特異的IgE抗体測定キットST-1(以下ドロップスクリーンST-1)」という名称です。
日本ケミファ株式会社(以下、日本ケミファ)が、臨床検査薬事業で開発を進めてきました。

ドロップスクリーン検査の流れ

ドロップスクリーン検査を受ける場合には、以下のような流れになります。

検査フロー


アレルギースクリーニング検査試薬「ドロップスクリーン 特異的IgE測定キット ST-1」について.生物試料分析.2020;43(3):180-185.

問診

まずは耳鼻科などを受診し、アレルギー性鼻炎や食物アレルギーなどが疑われるかどうかを判断されます。
具体的には、以下のような項目を聞かれます。

  • どのような症状がありますか?(鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみ、耳の痛みなど)
  • 症状はいつ始まりましたか?どのくらいの頻度で、どれくらいの期間続きますか?
  • 家や職場の環境で特に変わったことはありますか?(ペットの有無、喫煙の習慣、家の清掃状態など)
  • 症状は特定の季節に悪化しますか?
  • 特定の食べ物を食べた後に症状が出ることはありますか?
  • 現在、何か薬を服用していますか?
  • 職業が症状に影響している可能性はありますか?

こうした質問から、医師は患者のアレルギー症状の原因やきっかけになることを推定していきます。

採血

採血量はごく少量で、20μLの採血で測定が可能です。
なお、20μLはほんの一滴ほどの量です。
指先に小さい針を刺すだけなので、腕などからよりも採血の際の痛みかかる時間が少ないのがメリットです。
そのため、小さなお子さんや注射器で採血をされることに抵抗を示す方にも検査が受けやすくなっています。

測定

採血が終わったら、とった検体(血液)を機械にセットします。
このドロップスクリーン検査は、病院の中でアレルゲンの測定を行うことができ、30分ほどで結果がでます

検査報告・診断

検査結果が出たら、医師により検査結果報告と診断がなされます。

ドロップスクリーン検査で何がわかるのか

アレルゲン41項目


アレルギースクリーニング検査試薬「ドロップスクリーン 特異的IgE測定キット ST-1」について.生物試料分析.2020;43(3):180-185.

ドロップスクリーン検査では、吸入系のアレルゲンが19項目、食物系のアレルゲンが22項目、計41項目のアレルゲンを調べることができます。
吸入系のアレルゲンには、スギやヒノキ等の花粉や、ネコやイヌなどのペットの皮膚、ダニといったものなどがあります。
食物系アレルゲンには鶏卵、牛乳、小麦などの一般的な食品が含まれます。

ドロップスクリーン検査の費用

ドロップスクリーン検査は、保険適用となります。
実際に患者さんが支払う金額は、それぞれの方が加入している医療保険によっても異なりますが、3割負担の方の場合には約5,000円程度となる場合が多いでしょう。
費用については、事前に医療機関に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、ドロップスクリーン検査について解説しました。
ドロップスクリーン検査は41種類のアレルゲンを迅速に同時スクリーニングすることが可能な診断ツールであり、特にアレルギー性疾患の早期発見と管理に役立ちます。
この検査は簡便な採血後わずか30分で結果が得られるため、患者さんの待ち時間を大幅に削減し、即座に適切な治療が可能となります。
アレルギー対策の新たなスタンダードとして、今後も広く利用されることが期待されます。

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カテゴリー:耳鼻科の検査  投稿日:2024-07-26

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