聴力検査を受けてあなたの耳の健康を守ろう
私たちの耳は日常生活において非常に重要な役割を果たしています。
しかし、聴力が徐々に低下することに気づかないことも多くみられます。
自分では気づきにくい聞こえの悪さを発見してくれるのが、聴力検査です。
この記事では、聴力検査の目的、種類、そしてその重要性について、説明します。
聴力の問題を早期に発見し、適切な対策を講じることができるようになるための一歩を踏み出しましょう。
1. 聴力検査とは?
聴力検査は、耳の聴力の状態を測定する医学的な検査の総称です。
目的などによって、さまざまな検査があります。
聴力検査は、聴力の異常を早期に発見し、適切な治療や対策を立てるために重要です。
聴力検査は、出産後すぐに行われます。
さらに、成長し、健康診断を受ける年齢になってからは、基本的に毎年聴力検査が行われます。
また、健康診断以外でも、聞こえの悪さが気になる場合に耳鼻科などでチェックを受けることもあるでしょう。
2. 聴力検査の種類
それでは、聴力検査の種類について解説していきます。
純音聴力検査(オージオグラム)
最も一般的な聴力検査で、異なる周波数の音を使用して聴力レベルを測定します。
皆さんが聴力検査と聞いてはじめに思い浮かべるのは、この検査のことでしょう。
実際には、ヘッドホンから流れてくる音が聴こえるかどうかを調べるという検査になります。
オージオグラムによって、特定の周波数での聴力低下を詳細に把握することができます。
以下に、年代別の平均オージオグラムのグラフを以下に示します。
引用)難聴について | Hear well Enjoy life. – 快聴で人生を楽しく – | 日本耳鼻咽頭科学会
一般的には、年齢が上がるにつれて高音域、つまり高い音が聞きづらくなる傾向があります。
言語聴力検査
言葉を使って聴力を評価する検査で、日常生活での聴解能力をチェックします。
この検査は、特にコミュニケーションに困難を感じている人に推奨されます。
言語聴覚検査は、先ほど述べたオージオグラムと比べるとやや検査の方法が複雑なのですが、補聴器のフィッティングや使用することによる効果、人工内耳の術前・術後の評価をすることができます。
また、社会生活に不自由を感じているか、などの聴力の「質的な評価」をすることができるので、重要と言えます。
聴性脳幹反応(ABR)検査
脳の反応を測定することで聴力を評価する高度な検査です。
この検査は、小さな子どもや聴力評価が困難な患者に対してよく用いられます。
聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response、ABR)とは、音刺激を与えた際に、頭皮で記録される電位のうち、最初の10ミリ秒の間に認められる電位のことです。
これは、自分の意思などとは無関係に脳幹からみられる反応のことだと考えられています。
睡眠の深さや意識のレベルに関わらず記録することができるので、よく利用されています。
新生児や乳幼児など、また重度の脳神経障害などがあり、通常の聴力検査が難しい場合などに行われます。
一方、ABRは蝸牛(かぎゅう)や蝸牛神経、および脳幹の聴覚の伝導路で音刺激に同期して誘発された電気現象を記録したものです。
そのため、聴力のレベルとは密接に関係があるものの、聴力そのものではありません。
3. 聴力検査の流れ
聴力検査を受ける際は、まず専門の医師による詳細な問診が行われます。
どのような聴力検査でも、検査は通常、静かな環境で実施されます。
検査後は、医師が結果を解説し、必要に応じて治療や対策が提案されます。
4. 聴力検査の重要性
ここでは、聴力検査の重要性について解説します。
早期発見と聴力保護が可能となる
聴力検査による早期発見は、聴力低下を引き起こす潜在的な問題を特定するのに役立ちます。
聴力障害が初期段階で発見されれば、さまざまな治療によって聴力のさらなる損失を防ぐことが可能です。
例えば、耳垢が溜まりすぎていて聴力が低下している場合、単純な耳垢除去が聴力を回復させることもあります。
聴力低下の原因が特定できる
聴力検査は、聴力低下の原因を特定するのにも非常に有効です。
耳の病気、老化、遺伝的要因、または職場や環境における過度の騒音にさらされているなど、聴力障害の原因は多岐にわたります。
これらの原因を正確に把握することで、最も効果的な治療法や予防策を選択することができます。
聴力と認知機能のには関連がある
近年の研究では、聴力低下と認知機能の衰えとの間に関連があることが示されています。
聴力が低下すると、脳が受け取る音の情報が減少し、それが認知負荷を増加させ、最終的には認知機能の低下を招く可能性があります。
聴力検査により聴力低下を早期に発見し、適切な聴覚補助を使用することで、このリスクを管理することができます。
5. よくある質問(FAQ)
聴力検査は痛いですか?
いいえ、聴力検査は非侵襲的で痛みを伴うことはありません。
検査の頻度はどのくらいですか?
通常、特に問題がなければ1年に1回の検査がおすすめです。
定期健康診断の項目に含まれているので、毎年受けている方も多いでしょう。
しかし、あくまで個々の状況によって異なりますので、難聴などがある方については、主治医と相談して検査を受けるようにしましょう。
子供の聴力検査はいつから始めるべきですか?
日本では、新生児期に難聴のスクリーニング検査が行われています。
こちらの検査で問題が見られる場合は、定期的なフォローアップが必要です。
まとめ
聴力は、私たちが世界とコミュニケーションを取るために大切な力です。
定期的な聴力検査によって、聴力の問題を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。
皆さんの耳の健康を守るためにも、聴力検査の重要性を理解し、適切な時期に検査を受けましょう。
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カテゴリー:耳鼻科の検査 投稿日:2024-08-29
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