耳垂れとは?注意すべき原因についても医師が解説
耳垂れとは
「耳垂れ(みみだれ)」とは、耳から分泌物が出る状態を指す言葉です。耳漏(じろう)ともいいます。
耳垂れの治療は原因によって異なりますが、通常は抗生物質や抗真菌薬の使用、場合によっては洗浄などが行われます。耳からの分泌物が見られる場合は、耳鼻咽喉科の専門医に相談することが大切です。
今回の記事では、耳垂れについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
耳垂れの原因
それでは、まずは耳垂れの主な原因を詳しく説明していきます。
外耳炎
水泳後によく見られるこの状態は、「スイマーズイヤー」とも呼ばれ、耳道に水が長時間留まることで、細菌や真菌が繁殖してしまうことが原因となります。
中耳炎
鼓膜の後ろの空間で感染が生じることが原因です。特に小さな子どもに多く見られ、感染によって耳の内部に液体が溜まり、場合によっては鼓膜が破れて液体が外に漏れ出ることがあります。
外傷
耳を強く打ったり、異物が耳道に入ることで傷つけることがあります。
耳垂れの治療法
耳垂れの治療はその原因によって異なりますが、一般的な治療法を以下に挙げます。
抗生物質または抗真菌薬
外耳炎
抗生物質や抗真菌薬が含まれた点耳薬が処方されることが多いです。
感染を引き起こしている細菌や真菌を直接的に殺菌・抑制することができます。
中耳炎
耳の内部に感染が見られる場合、抗生物質を経口で投与することがあります。
液体が耳内に溜まっている場合には、時に耳管通気(耳管に小さな管を挿入して圧力を調整し、液体を排出しやすくする手術)が必要な場合もあります。
耳の洗浄
耳垂れが耳垢の溜まりすぎや異物による場合、専門医が耳の洗浄を行うことで症状が改善されることがあります。
鎮痛薬
耳の痛みが伴う場合、鎮痛薬(例えばアセトアミノフェンやイブプロフェン)が処方されることがあります。
安静とケアの指導
感染が治るまで水泳や耳に水が入ることを避ける、耳を清潔に保つなど、日常生活での注意点が指導されることもあります。
手術
慢性的な中耳炎などが原因の場合、手術が必要なこともあります。
手術では、感染した組織の除去や鼓膜の修復を行っていきます。
耳垂れに対する適切な治療法は、原因や患者さん一人一人の健康状態により異なるため、症状がある場合は耳鼻咽喉科の専門医に相談することが重要です。
耳垂れを防ぐための方法
耳垂れを防ぐためには、耳の感染症や炎症を予防することが重要です。
以下に、耳垂れを予防するための一般的な方法をいくつか挙げます。
耳の清潔を保つ
耳を定期的に清潔に保ち、特に耳道内に異物や過剰な耳垢が溜まらないようにします。
耳の清掃は適切に行う必要があります。しかし、綿棒を耳道の奥深くに入れると耳垢を押し込むことがあるので注意が必要です。
水泳後のケア
水泳後は耳の内部を乾燥させることが重要です。
耳道に水が残らないように、耳を傾けて水を出し、やさしくタオルで拭き取るようにしましょう。
栄養と免疫の強化
健康的な食事を心がけ、ビタミンやミネラルを十分に摂取することで、体の免疫力を高めます。
これにより、感染症に対する抵抗力が向上します。
これらの予防策によって、耳垂れやその他の耳の問題を防ぐことができます。
耳に何か異常を感じた場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
耳垢が湿っているがこれは耳垂れなのか
耳垢が湿っている状態自体は必ずしも耳垂れを意味するわけではありません。
耳垢の質は人によって異なり、一般的には乾燥しているものから湿っているものまでさまざまです。
湿った耳垢は、特に東アジア人や南アジア人に多く見られる特徴です。
耳垢が湿っている状態が耳垂れかどうかを判断するためには、以下のような他の症状があるかどうかを確認することが重要です。
- 耳の痛みや不快感
- 聞こえにくい、耳の詰まった感じ
- 耳からの異常なにおい
- 耳からの黄色や緑色の分泌物
これらの症状が伴う場合は、耳垂れの可能性があり、感染症や炎症が原因であることが考えられます。
ただし、これらの症状がなく、単に耳垢が湿っているだけの場合は、それが正常な範囲内である可能性が高いと考えられます。
もし耳の痛み、聞こえにくさ、異常な分泌物などがある場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
注意すべき耳垂れは?
耳垂れにはいくつかのタイプがあり、特に注意すべき症状がある場合があります。以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
持続する耳垂れ
耳からの分泌物が数日以上続く場合、特に改善しない場合は、感染症などが起こっている可能性があります。
痛みや腫れを伴う耳垂れ
耳垂れが痛み、赤み、腫れを伴う場合は、感染が進行しているか、中耳炎や外耳炎などが原因かもしれません。
異臭を伴う耳垂れ
耳からの分泌物に悪臭がある場合、細菌感染や真菌感染が進行している可能性があります。
聴力の低下
耳垂れが原因で聴力が低下している場合、これは耳の通路が塞がれているか、感染が中耳に影響を与えている可能性があります。
高熱や全身の不調
耳垂れに加えて高熱や体の不調がある場合、感染が広がって全身に影響を及ぼしている可能性があります。これは緊急を要する場合が多いです。
これらの症状のいずれかがある場合は、早急に耳鼻咽喉科の専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。これにより、症状の悪化を防ぎ、適切な治療を早期に受けることができます。
まとめ
今回の記事では、耳垂れの原因や治療法、そして予防法について解説しました。
ここで挙げたような、緊急性を要する耳垂れの症状がある場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
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カテゴリー:よくある耳鼻科の症状 投稿日:2024-08-03
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