鼻茸は自然に治る?鼻茸の原因と治療について解説
鼻茸とは
鼻茸(はなたけ)とは、鼻や副鼻腔の粘膜が慢性的な炎症によりポリープ状、つまりキノコのような形になってしまったもののことです。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が原因で発生することが多く、成人に多くみられる病変です。
鼻茸についての記述は、古くはヒポクラテスの時代にさかのぼるとも言われており、古代から人を悩ませてきた疾患ともいえるでしょう。
今回の記事では、鼻茸の原因や症状、そして治療法について詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
鼻茸の原因
それでは、まずは鼻茸の原因について述べていきます。
まず、鼻茸はキノコのような形をしていますが、どのような構造なのかについて簡単に述べます。
鼻茸の表面は、多列線毛上皮(たれつせんもうじょうひ)という細胞でおおわれています。そして、より深い部分は著しい浮腫、つまりむくんだ部分と一部線維化した部分からなっています。血管の成分はほとんどなく、多数の好中球や好酸球などの細胞が存在しています。また、ポリープの根元の部分である茎部(けいぶ)は線維が密になった構造をしており、線維にそって血管が入り込んでいます。
そして、鼻茸は鼻の奥にある副鼻腔という空洞内部にできる良性のポリープ、つまり腫れものとなります。主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
アレルギー性鼻炎
アレルギー反応によって鼻の粘膜が炎症を起こし、長期間にわたる刺激によって鼻茸が形成されることがあります。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔の炎症が慢性化すると、粘膜が肥厚し、ポリープが形成されることがあります。
アスピリン喘息
アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対するアレルギー反応が関係することがあります。
真菌感染
真菌、つまりカビの感染が原因で副鼻腔炎が起こり、それが鼻茸の形成につながることがあります。
免疫系の異常
免疫系の機能不全が関係している場合もあります。例えば、Cystic fibrosisという病気の患者さんの場合には、身体のいろいろな部分がむくんでしまうのですが、それが鼻の粘膜にも起こり、鼻茸ができる場合があります。
鼻茸の症状
鼻茸の症状には、以下のようなものがあります。
鼻詰まり
鼻茸が鼻の通り道を塞ぐことで、鼻が詰まった感じがします。
鼻水
透明な鼻水が出ることが多いですが、場合によっては黄色や緑色の鼻水が出ることもあります。
嗅覚の低下または喪失
鼻茸が嗅覚を担う部位を圧迫することで、匂いが分かりにくくなったり、全く感じられなくなったりします。
頭痛
鼻茸が副鼻腔を圧迫することで、顔や頭に痛みが生じることがあります。
顔面の圧迫感
鼻茸による圧迫で、顔の一部に重だるさや圧迫感を感じることがあります。
鼻声(はなごえ)
鼻茸が鼻腔を塞ぐことで、声が鼻にかかったように聞こえることがあります。
頻繁にくしゃみが出る
鼻茸が鼻粘膜を刺激することで、くしゃみが増えることがあります。
後鼻漏(こうびろう)
鼻の奥から喉にかけて粘液が流れる感じがすることがあります。
症状の程度は個人差があり、鼻茸の大きさや数、発生している場所によっても異なります。
鼻茸の診断
鼻茸かどうかは、上記のような症状があり、かつ実際に耳鼻科医などが目で見て、その特徴的な見た目から診断されることが多いと考えられます。しかしながら、外見だけでは性状がわからない場合には、生検(せいけん)といって、実際に少し鼻茸の組織を採取し、病理学的に調べる検査が行われる場合もあります。
鼻茸は自然に治るのか
鼻茸の原因が副鼻腔炎などの炎症であれば、感染が治まれば鼻茸が消える可能性もあります。そして、症状も、鼻茸の程度が軽ければ一時的に改善することもあります。
しかし、鼻茸が出来ている根本的な原因が、アレルギーなど解決されない限り再発する可能性が高いと考えられます。そのため、適切な治療が必要となります。
鼻茸の治療
鼻茸の治療には、以下のような方法があります。
薬物療法
抗アレルギー薬やステロイド薬(点鼻薬や内服薬)を使用して炎症を抑えます。
手術療法
薬物療法で改善が見られない場合や、鼻茸が大きい場合には内視鏡を使用した手術(内視鏡的副鼻腔手術)が行われることがあります。
鼻茸が小さく、副鼻腔炎のような所見もなく、また患者さんが特に症状を訴えていない場合には、経過観察のみでよいという考え方もあります。一方、鼻茸による症状があるか、副鼻腔炎所見を伴っている場合には、手術療法の適応となる可能性があります。
アレルゲン免疫療法
アレルギーが原因の場合、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)が効果的な場合もあります。
まとめ
鼻茸は自然に治ることはまれで、放置すると日常生活に支障をきたすことがあります。
鼻づまりなどの症状が続く場合には鼻茸が出来ている可能性もあります。
症状が続く場合には、早めに耳鼻科を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。一度、耳鼻科を受診するようにしましょう。
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カテゴリー:よくある耳鼻科の症状 投稿日:2024-05-31
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