のどの違和感
「のどに何か引っかかっている気がする」「イガイガして落ち着かない」――はっきりした痛みではないけれど、気になる違和感を覚えたことはありませんか?
のどの違和感は、乾燥やちょっとした炎症から、胃酸の逆流やアレルギー、さらには甲状腺の病気まで、さまざまな原因で起こります。
ほとんどは軽い症状ですが、なかには早めの受診が必要なケースもあります。
この記事では、のどの違和感によくある症状や原因、自分でできるケア方法、そして病院で行う検査についてわかりやすく解説します。
安心して毎日を過ごすために、ぜひ参考にしてください。
のどの違和感とは?よくある症状と感じ方
「なんとなくのどがおかしい」
「でも、はっきりとした痛みはない」
など、“のどの違和感”と言っても感じ方は人それぞれです。
のどの違和感として、よくある症状や感じ方には以下のものがあります。
- 「のどに何か詰まっている」ように感じる症状
- 「のどがイガイガ・ヒリヒリする」違和感
- 飲み込みにくいと感じる場合
①:「のどに何か詰まっている」ように感じる症状
“のどの違和感”と言って訴えられることの多い症状に、「つかえ感」があります。
実際には何も詰まっていなくても、
「のど奥に何かが引っかかっているような…」
「ご飯がうまく通らない」
といった表現をされることもあります。
②:「のどがイガイガ・ヒリヒリする」違和感
乾燥した室内や、花粉・ほこりが多い季節に起こりやすいのが、のどの「イガイガ」「ヒリヒリ」とした刺激感です。
他にも、「ベタッとのどが張り付いている」という感じ方もあり、うがいや咳払いをしてもスッキリしないと言われる方もいます。
③:飲み込みにくいと感じる場合
「何かを飲み込むときにのどで止まるような感じがする」「以前より飲み込みづらくなった」と感じたら、それものどの違和感の一種です。
初めは固形物が飲みにくい程度でも、進行すると水分や唾液でも違和感を覚えることがあります。
のどの違和感の原因は?考えられる主な病気・要因
ここでは、のどの違和感を引き起こす主な原因をわかりやすくご紹介します。
- のどの炎症(咽頭炎・扁桃炎など)
- 胃酸逆流(逆流性食道炎)
- アレルギーや鼻炎(後鼻漏(こうびろう))
- 甲状腺の腫れ(甲状腺疾患)
- ストレスの影響(咽喉頭異常感症)
- まれにポリープやがんの可能性も
のどの炎症(咽頭炎・扁桃炎など)
もっとも身近で多い原因が、のどの炎症です。
風邪やウイルス・細菌感染により、咽頭や扁桃に炎症が起こると、のどが赤く腫れたり、ヒリヒリ・チクチクとした痛みを感じたりするようになります。
発熱や咳、鼻水を伴うこともありますが、初期段階では「なんとなくのどが変」という違和感だけの場合もあります。
胃酸逆流(逆流性食道炎)
「のどなのに、胃の問題?」と思うかもしれませんが、近年増えているのがこのケースです。
胃の中の酸が食道を逆流して、のどの粘膜まで到達すると、炎症を起こして違和感や声のかすれを引き起こします。
胸やけやげっぷが多い方、食後にのどがヒリヒリする方は、この逆流性食道炎の可能性もあります。
アレルギーや鼻炎(後鼻漏)
花粉症やハウスダストによるアレルギー、慢性的な鼻炎がある方は、「後鼻漏(こうびろう)」という状態に注意しましょう。
これは、鼻の奥からのどへと粘り気のある鼻水が流れ込む状態で、のどに何かが張りついているような不快感を生みます。
イガイガ感や咳払いをしたくなる感じが続くのも特徴です。
甲状腺の腫れ(甲状腺疾患)
のどの前側にある「甲状腺」が腫れると、のどを内側から圧迫し、飲み込みづらさやつかえ感につながることがあります。
バセドウ病や橋本病など甲状腺の機能異常に加え、良性の腫瘍(結節)や、ごくまれに悪性腫瘍が原因となることもあります。
ストレスの影響(咽喉頭異常感症)
検査をしても原因が見つからない──そのような場合に疑われるのが、ストレスによる「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」です。
通称「ヒステリー球」とも呼ばれ、精神的な緊張や不安が続くと、のどの筋肉がこわばって「何か詰まっているような感覚」が現れます。
まれにポリープやがんの可能性も
頻度は高くありませんが、のどにできるポリープや、咽頭(いんとう)がん・喉頭(こうとう)がんなどの腫瘍が違和感の原因となっている場合もあります。
のどの違和感を調べるときの検査
「のどの違和感が続いているけれど、病院ではどんな検査を受けるのだろう?」
初めて受診する方にとって、検査への不安は大きいものです。
ここでは耳鼻咽喉科を中心に、よく行われる検査についてご紹介します。
耳鼻咽喉科で行う内視鏡検査
耳鼻咽喉科で最も一般的なのが、カメラの検査「内視鏡検査(ファイバースコープ)」です。
細いカメラを鼻や口から入れ、のどの奥の粘膜を直接観察することができるので、腫れや炎症の有無、ポリープや腫瘍の有無などを詳しく確認することができます。
数分で終わり、痛みはほとんどありません。
血液検査や画像検査(レントゲン・CT・超音波)
内視鏡で確認しても原因がはっきりしない場合や、より詳しい評価が必要な場合には、血液検査や画像検査が行われます。
- 血液検査:炎症やアレルギー、甲状腺機能の異常などをチェックします。
- レントゲン・CT:副鼻腔炎やのど周辺の腫れを確認するときに有効です。
- 超音波検査(エコー):甲状腺の腫れやしこりを確認するために使われます。
これらの検査は体への負担が少なく、比較的短時間で結果が得られるのも特徴です。
必要に応じて紹介される専門科での検査
耳鼻咽喉科で「胃酸逆流が疑われる」と判断された場合には、消化器内科での胃カメラ検査が勧められることがあります。
(耳鼻咽喉科で行うカメラ検査では、胃の手前までしか見ることができないため)
また、甲状腺の異常が見つかった場合には内分泌科、声のかすれやがんが疑われる場合は専門のがん診療科と連携することもあります。
のどの違和感を和らげるには?自分でできる対処法
のどの違和感があっても、すぐに病院へ行くべきか迷う方も多いかと思います。
そんなときは、まず生活の中でできるケアから始めてみましょう。
のどを潤し守る基本ケア
のどの粘膜はとてもデリケート。
乾燥や刺激にさらされると、すぐに不快感が出てしまいます。
まずは「潤す・守る・保つ」の3つを意識してみましょう。
- こまめな水分補給:常温の水やぬるま湯を少しずつ飲むことで、のどの粘膜を潤すことができます。
特に暖房・冷房の効いた室内では、意識して水分をとることが大切です。
- のど飴を活用する:飴をなめると唾液の分泌が促され、のどが自然と潤います。
ただし、糖分の多い飴やメントールの強すぎるものは刺激となることもあるので、自分に合ったものを選びましょう。
- うがいの習慣化:外出後や就寝前のうがいは、のどについたウイルス・ホコリを洗い流すだけでなく、潤いを与える効果もあります。
- マスクで湿度をキープ:マスクを着けると自分の息でのどまわりの湿度が保たれ、乾燥や外気の刺激から守ってくれます。
- 部屋の加湿と換気:加湿器や濡れタオルを活用して、室内の湿度を50〜60%に保つのが理想です。
適度な換気で空気の循環も忘れずに。
声の出し過ぎを避けのどを休める
特に声を出す仕事をしている方や、乾燥した環境に長時間いる方は注意が必要です。
声を出すことでのどの筋肉や声帯に負担がかかり、違和感が悪化することがあるからです。
のどに違和感があるときは「できるだけ使わずに休ませること」がいちばんの薬になります。
大きな声や長時間の会話はできるだけ控えて、必要なときだけ小さめの声で話すように意識しましょう。
また、寝不足やストレスものどの回復を妨げます。
しっかり睡眠をとり、リラックスした環境で過ごすことで、のどの調子も整いやすくなります。
まとめ:のどの違和感は我慢せず、安心のためにも早めの相談を
のどの違和感は、軽い乾燥や炎症から、生活習慣、ストレス、まれに病気が関わっていることもあります。
「のどに違和感があるけど、そのうち治るかも…」そう思って放置してしまう方は少なくありません。
しかし、のどの違和感は体からのサインであることも。
以下のような状態が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 違和感が2週間以上続いている
- 飲み込みにくさや声のかすれが強くなってきた
- 発熱や咳など、他の症状も出てきた
- 喫煙歴があり、中高年で、違和感とともに声の異常がある
「何科を受診したらいいかわからない」という方は、のどの診療を専門とする「耳鼻咽喉科」を受診しましょう。
専門の機器(内視鏡など)でのどの状態をくわしく確認してもらえるため、原因がはっきりしない違和感も適切に判断してもらえます。
日々のケアで楽になることもあれば、医師の診察を受けることで早く安心できることもあります。
違和感を抱えたまま過ごすより、専門家の助けを借りて心も体もスッキリと整えていきましょう。