カロナール(一般名:アセトアミノフェン)

カロナール(一般名:アセトアミノフェン)の効果と副作用

カロナールとは?

カロナールは、熱を下げたり痛みをおさえたりするお薬です。
カロナールには以下のような特徴があります。

  • 子供から大人まで使用できる
  • 胃腸への負担が少ない解熱鎮痛薬
  • シロップや粉薬など剤形の選択肢が多い

カロナールと同じ有効成分を含むお薬は、複数のメーカーから販売されています。

商品名

  • アセトアミノフェン
  • アルピニー
  • アンヒバ

どれも有効成分は同じですが、商品名やお薬の含有量、剤形が異なります。

カロナールの適応

添付文書によると、小児に対するカロナールの適応症は以下の通りです。

  • 小児科領域における解熱・鎮痛

発熱のほか、のどの痛みなどにも用いられます。

カロナールの効果

カロナールの正確な作用機序は分かっていません。
以下の仕組みで効果を発揮すると考えられています。

  • 解熱作用
    体温調節中枢に作用して体温を下げる
  • 鎮痛作用
    熱や痛みの原因物質が作られないようにする

カロナール細粒20%の「作用発現時間」と「持続時間」については以下の報告があります。
(カロナールのインタビューフォーム参照)

  • 投与30分後から3時間後まで体温は下がりつづける
  • 約2時間解熱状態を維持できる
  • 投与5時間を過ぎると徐々に体温が上昇する

カロナール細粒20%は、服用30分後から5時間後まで、体温を下げる効果が持続するようです。

カロナール坐剤では、効果発現時間について以下の記載があります。

  • 投与1時間後に平均1.07±0.16 ℃ 体温低下
  • 投与3時間後に平均1.74±0.25 ℃ 体温低下

カロナール坐剤は、投与1時間後には体温を1℃程度低下させ、3時間後も効果が持続するようです。

なお、カロナールシロップの作用発現時間と持続時間に関するデータはありません。

カロナールの用法用量

カロナールの用法用量は以下の通りです。

  • 乳児、幼児及び小児
    アセトアミノフェンとして体重 1kgあたり1回 10〜15mg
    投与間隔は4〜6時間以上

年齢や症状によって増減が可能ですが、1日あたり60mg/kgを超えないように使用します。使用回数は、1日2〜3回までが目安です。

解熱鎮痛薬は、熱や痛みのような症状を和らげるお薬です。
高熱で寝られないとき、食事がとりづらいときなど、必要に応じて使用しましょう。

カロナールの剤形と特徴

カロナールは、小児では主に以下の剤形で処方されます。

剤形 特徴
原末 お薬の有効成分が100%の粉薬。
お薬の味は感じやすいが、1回の服用量を最小限にできる。
細粒 苦味を少なくするなどの工夫がされた粉薬。
シロップ 甘みがあり飲みやすい。
腐敗しやすいため冷蔵庫での保管が必要。
坐剤 飲み薬より効果の発現が早い。
子どもにお薬を飲ませる必要がなく、夜間でも使いやすい。
溶けやすいため冷蔵庫での保管が必要。

このほか、カロナールには錠剤も販売されています。
錠剤が飲めるようになる年齢には個人差があるため、気になる方は医師や薬剤師に相談しましょう。

カロナール細粒を飲みやすくする工夫

カロナール細粒はオレンジ味で、はじめは甘みを感じますが後味が苦いお薬です。
粉薬はそのままでは飲みづらいため、水と混ぜてシロップ状やペースト状にする服用方法があります。

お薬の味が苦手で服用しづらいときは、以下のような食品に混ぜて服用しましょう。

  • アイス
  • 牛乳
  • ココア
  • チョコクリーム
  • ハチミツ

チョコクリームやハチミツは、お薬と混ぜたあとにパンやビスケットに塗って食べることもできます。
お薬のざらつきが気になるときにオススメの服用方法です。

カロナールシロップを飲みやすくする工夫

カロナールシロップは、オレンジのような匂いがあり、わずかに甘い味がします。
シロップは、付属の計量カップやスポイトを使った服用方法があります。
比較的飲みやすい味ですが、甘みを嫌がるときは飲み切れる量の水で薄めて服用しましょう。

カロナールの副作用

添付文書には以下の副作用が記載されています。
(カロナール細粒の添付文書を参照)

頻度不明

  • チアノーゼ、血小板減少、血小板機能低下(出血時間の延長)
  • 悪心・嘔吐、食欲不振
  • 過敏症

このほか、インタビューフォームによると、国内でカロナールによる重大な副作用事例がいくつか報告されています。

また、カロナールは重篤な肝障害を起こす可能性があり、添付文書に警告として記載されています。
カロナールを長期間にわたって多めの量で使用すると、肝臓に負担がかかり肝機能の低下を起こすかもしれません。
お薬の使用後は、体がだるい、皮膚や白目が黄色いなど、体調の変化がないか注意しましょう。

ジェネリック医薬品について

カロナールにはジェネリック医薬品があります。
特に、シロップは製薬会社ごとに味が変わることがあるため、気になる方は薬剤師に相談しましょう。

まとめ

カロナールは、熱を下げたり痛みを抑えたりするお薬です。
お薬の使用後は、体のだるさなど気になる症状が出ないか注意しましょう。

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カテゴリー:小児科の薬  投稿日:2024-10-15

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