B型肝炎ワクチン

B型肝炎ワクチンについて

B型肝炎ワクチンについて

B型肝炎はB型肝炎ウイルスによって引き起こされる、肝臓に深刻なダメージを与える感染症です。

ウイルス性肝炎の中でも特に重症で、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクが高いことから、世界的な健康問題とされています。
世界で約20億人が感染しており、2億4千万人以上が慢性の肝疾患を抱えています。
また、毎年60万人がB型肝炎に関連する病気で亡くなっています。

B型肝炎は感染力が非常に強く、日本でもおよそ110〜120万人が感染していると推定されます。
B型肝炎はワクチン接種により防げる病気です。
忘れずに予防接種を受けましょう。

名称 B型肝炎ワクチン(HBV)
定期 / 任意 定期接種
ワクチンの種類 不活化ワクチン
接種方法 皮下注射
接種開始時期 生後2ヶ月から可能
費用 定期接種:無料
任意接種の場合は1回あたり5〜8千円(施設による)

B型肝炎の主な感染経路

肝臓

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。
以下のようなケースが主な感染経路です。

  • 母子感染:出産時に母親から赤ちゃんへ感染
  • 小児早期の感染:感染者と非感染者の間で直接的な接触を通じてウイルスが伝播
  • 血液感染:輸血や針刺し事故、出血に伴う処置など
  • 性的接触:B型肝炎に感染しているパートナーとの性交渉

日本では、妊婦健診で必ずB型肝炎ウイルスの検査が行われます。
もし母親がウイルスを持っている場合は、生まれた赤ちゃんにすぐワクチンが接種されます。

B型肝炎ウイルスは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と同じく血液や体液を介して感染しますが、感染力はHIVの50〜100倍と非常に強力です。

急性・慢性肝炎とキャリアについて

B型肝炎は「急性肝炎」「キャリア」「慢性肝炎」の状態に分けられます。

急性B型肝炎 B型肝炎ウイルスキャリア 慢性B型肝炎
症状 全身の倦怠感、食欲不振、悪寒、嘔吐、褐色尿、眼球結膜の黄疸 多くの場合、無症状で日常生活に支障がない 倦怠感、疲労感、食欲不振。進行すると黄疸、むくみ、腹水、右脇腹の痛みなど。
症状の持続期間 通常、数週間から数ヶ月で症状が改善 ウイルスが体内に存在するが無症状 症状が長期間(6ヶ月以上)継続
ウイルスの排除 多くの場合、ウイルスは体内から排除される ウイルスが持続的に体内に残る ウイルスは体内に残存し、完全な排除は困難
合併症リスク 長期的な肝臓への影響は少ないが、重症化すると劇症肝炎を引き起こすことがある 約10%が慢性肝炎を発症 将来的に肝硬変や肝がんのリスクが高まる
治療アプローチ 対症療法が中心 定期的な経過観察が推奨される 抗ウイルス薬による長期的な治療が必要となることが多い

成人期(思春期以降)にB型肝炎に感染しても多くの場合は無症状であり、急性症状が現れても自然に回復することが一般的です。

しかし免疫機能が未成熟な時期(出産時から幼少期)の感染は、慢性化のリスクが非常に高くなります。

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、異常があっても症状が出にくいため、気付いた時には治療が遅れることも少なくありません。
そのため、感染が疑われる場合には定期的に検査を受けることが重要です。

B型肝炎ワクチンの接種スケジュール

予防接種

日本では2016年10月からB型肝炎ワクチンが定期接種となり、生後2か月からの接種が推奨されています。標準的な接種スケジュールは以下の通りです。

  • 1回目:生後2か月から
  • 2回目:初回接種から27日以上間隔をあけて行う
  • 3回目:生後7〜8ヵ月の間に行う

1歳になる前に3回の接種を完了させましょう。

同居の家族にB型肝炎キャリアの方がいる場合は、生後2ヶ月より早い段階で接種することができます。

ワクチンの副反応について

ワクチン接種に際して気になるのが副反応ですが、B型肝炎ワクチンは比較的安全性が高いとされています。
主な副反応には、注射部位の腫れや痛み、発熱がありますが、いずれも軽度で、通常は数日以内に治まります。

まれに重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることもありますが、そのリスクは非常に低く、医療機関で適切な処置が行われるため、過度に心配する必要はありません。

海外でのB型肝炎ワクチン接種の状況

子どもと予防接種

ヨーロッパの多くの国では、B型肝炎ワクチンが5種混合ワクチンに追加され、6種混合ワクチンとして提供されています。

混合ワクチンを導入することで接種回数が減り、保護者の負担が軽減されるだけでなく、接種漏れのリスクも下がります。
日本では現在、B型肝炎ワクチンを別途接種する必要がありますが、国際的な動向を踏まえると、将来的には6種混合ワクチンへの移行が日本でも進む可能性が高いと考えられます。

まとめ:ワクチン接種で健康を守ろう

B型肝炎は感染力が強く、肝硬変や肝がんなどの重篤な病気に進行する可能性があるため、予防が重要です。

B型肝炎はワクチン接種により防げる病気です。
日本では、生後2か月から定期接種としてB型肝炎ワクチンが導入されていますので、スケジュールに従ってしっかりと接種しましょう。また、ワクチンに関する不安や疑問がある場合は、かかりつけの小児科医に相談して、安心して接種を進めていくことが大切です。

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カテゴリー:こどものワクチン  投稿日:2024-11-23

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