酸化マグネシウム
酸化マグネシウムとは?
酸化マグネシウムは、腸内の水分量をふやして便秘を改善するお薬です。
浸透圧性下剤に分類され、小児ではよく使用されている便秘薬です。
酸化マグネシウムには以下のような特徴があります。
- 穏やかな作用のためお腹がいたくなりにくい
- 服用量によって便のかたさを調節しやすい
また、有効成分の同じお薬が複数のメーカーから販売されています。
製薬メーカーごとに商品名やお薬の含有量、剤形が異なります。
酸化マグネシウムの適応
酸化マグネシウムは、以下の疾患に適応があります。
- 胃・十二指腸潰瘍、胃炎
- 上部消化管機能異常
- 便秘症
- 尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防
疾患によって、服用するお薬の量が変わります。
小児に多い便秘症には、比較的多めの量で処方されるお薬です。
酸化マグネシウムの効果
酸化マグネシウムは、大きく分けて3つの作用を持ちます。
- 胃酸を中和する作用
- 便を柔らかくする作用
- 尿路結石の発生を予防する作用
小児に対しては、便秘薬として使われることが多いお薬です。
酸化マグネシウムは、大腸に水分を引き込むことで、便を柔らかくする効果をもちます。
水分を含んで膨張した便が大腸の動きを活発にし、排便を促します。
服用後、排便するまでの時間には個人差があるため、臨床試験のデータがありません。
はじめてお薬を服用するときは、お休み前日の夜に服用するなど、急な便意に対応できるようにしましょう。
すぐに効果が見られないときも、続けて服用することで効果が出る可能性があるため、何日か様子を見ましょう。
酸化マグネシウムの用法
添付文書には、小児に対する用量が記載されていません。
小児では、成人量をもとに計算された以下の量を目安に服用します。
|
新生児 |
6ヶ月 |
1歳 |
3歳 |
7.5歳 |
12歳 |
1日量 |
0.2g |
0.4g |
0.5g |
0.67g |
1g |
1.33g |
※1日量とは酸化マグネシウム原末の量です。
※症状によって服用量が増減する場合があります。
お薬は1日1〜3回、医師に指示されたタイミングに服用します。
酸化マグネシウムは、多めの水とともに服用すると効果が出やすいお薬です。
便が出にくいときは、お薬を服用するときの水分が足りていない可能性があります。
コップ1杯程度の水で服用しましょう。
酸化マグネシウムの剤形と特徴
小児に対しては、以下のような剤形で処方されます。
剤形 |
特徴 |
原末 |
お薬の有効成分のみでできた粉薬。
1回の服用量を最小限にできる。 |
細粒 |
原末に添加物を加えて飲みやすくした粉薬。
原末より1回量が多くなるが、苦味が少ないメリットがある。 |
酸化マグネシウムの錠剤も販売されていますが、比較的大きな錠剤のため、小児ではのどに詰まるおそれがあります。
錠剤を飲み慣れるまでは粉薬の処方が中心です。
酸化マグネシウムを飲みやすくする工夫
酸化マグネシウムは苦味のつよいお薬ではありませんが、子どもは味覚が敏感なためお薬を飲みたがらないことがあります。
なお、酸化マグネシウムは水に溶けにくいお薬です。
一般的な粉薬のように、水と混ぜてシロップ状にしたり、ペースト状に練ったりするのは難しいため飲ませ方に注意が必要です。
酸化マグネシウムの服用をいやがるときは、食品に混ぜて服用しましょう。
お薬と相性の悪い食べ物はありません。
バナナやヨーグルトなど、甘味のある食品に混ぜると好まれやすいようです。
ざらざらとした食感が気になるときは、ハチミツやジャムに混ぜてビスケットに挟んだり、パンに塗ったりする方法がおすすめです。
※ヨーグルトとの飲み合わせについて
「大量の牛乳」は酸化マグネシウムの併用注意にあたりますが、食事で食べる程度のヨーグルトであれば体調に影響はないと考えられています。
酸化マグネシウムの副作用
添付文書には、以下のような副作用が記載されています。
(酸化マグネシウム細粒83%「ヨシダ」添付文書参照)
酸化マグネシウムは便に水分を含ませる効果があるため、下痢の副作用に注意しましょう。
下痢になったときは、お薬の服用をスキップすることがあります。
便の状態や回数を確認しながら服用し、お薬の調節について気になるときは医師や薬剤師に相談しましょう。
また、重大な副作用として以下が記載されています。
副作用頻度の詳細なデータはありませんが、「気分が悪い」「のどが渇く」などの症状に注意しながら服用しましょう。
ジェネリック医薬品について
酸化マグネシウムのジェネリック医薬品が販売されています。
製薬メーカーによって飲み心地や風味が変わるため、気になる方は薬剤師に相談しましょう。
まとめ
酸化マグネシウムは、便を柔らかくして便秘を改善するお薬です。
腹痛の副作用が少ないというメリットがあります。
はじめてお薬を服用するときは、いつでもトイレに行けるようお休みの前日に服用しましょう。