ムコダイン(一般名:L-カルボシステイン)の効果と副作用
ムコダインとは?
ムコダインは痰の排出を促すお薬で、中耳炎や副鼻腔炎の改善作用もあります。
このお薬には以下の特徴があります。
- 副作用の頻度が比較的少ない
- シロップ、ドライシロップには甘みがあるため飲みやすい
ムコダインは、小児の風邪症状によく処方されます。
主成分のL-カルボシステインは、わずかな酸味がありますが苦味はないため、ムコダインは飲みやすいお薬です。
ムコダインの適応症
添付文書によると、小児に対する適応症は以下のとおりです。
(ムコダインの添付文書参照)
- 下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核 - 慢性副鼻腔炎の排膿
- 滲出性中耳炎の排液
ムコダインは、呼吸器や耳鼻科疾患に使用されます。
ムコダインの効果
ムコダインは、痰の粘り気を低減させるお薬です。
鼻腔から肺までは、「気道粘液」という物質で覆われています。
ウイルスや細菌が体内に入ると気道に炎症が起こり、気道粘液の構成成分のうち粘性が高い成分が多く作られてネバネバになります。
この粘性の高い気道粘液に、ホコリやウイルス、細菌のような異物が絡んだものが痰です。
痰は粘り気が強く飲み込めないため、体は咳を起こして排出しようとします。
ムコダインは、この気道粘液を元のサラサラの状態となるよう正常化するお薬です。
痰が出しやすくなったり、咳を改善したりする効果があります。
副鼻腔と中耳でも同様に、鼻や耳に溜まった液体の粘り気が抑えられ、外に排出されやすくなります。
なお、血中濃度が最高になる時間は以下のとおりです。
- ムコダインドライシロップ:約1.8時間後
- ムコダインシロップ:約1.5時間後
どちらの剤形も、比較的早くお薬の効果が現れるようです。
ムコダインの用法
添付文書によると、ムコダインの用法は以下のとおりです。
(ムコダインドライシロップ/シロップの添付文書参照)
- ムコダインドライシロップ
体重1kgあたり1回0.02g 1日3回 - ムコダインシロップ
体重1kg当たり0.2mL 1日3回
基本的には1日3回服用するお薬ですが、昼間に薬を飲めないときは1日2回処方となることもあります。
飲み忘れたときは
気がついたときに1回分を服用します。
次に飲むタイミングまで4 時間以上あけましょう。
ムコダインの剤形と特徴
ムコダインには、小児向けに「ドライシロップ」と「シロップ」の剤形があり、それぞれ以下の特徴をもちます。
ムコダインドライシロップの特徴
- 見た目:白色の微粒状
- 味:甘酸っぱい
- におい:ピーチ
ムコダインシロップの特徴
- 見た目:褐色の液
- 味:甘い
- におい:特異な芳香(レモンライム)
ムコダインドライシロップは、粉薬としてもシロップとしても服用できます。
お薬を持ち運びやすいメリットがあり、お子さんを預けるときなどに便利な剤形です。
ムコダインシロップは、甘みが強くお子さんにも飲みやすいお薬です。
シロップは汚染されやすいため、長期保存には向きません。
冷蔵庫で保管し、症状が良くなったら廃棄しましょう。
ムコダインドライシロップを飲みやすくする工夫
ドライシロップの服用方法には、そのまま粉薬として服用したり、溶かしてシロップ状にしたりする方法があります。
飲みづらいときは、食品に混ぜることもできます。
ムコダインドライシロップを飲みやすくする食品
牛乳、アイス、ヨーグルト、リンゴジュース、オレンジジュース、乳酸菌飲料、スポーツドリンク
ただし、ココアやプリンと混ぜると飲みづらくなるため注意が必要です。
また、ムコダインドライシロップをほかのお薬に混ぜると飲みづらくなることがあります。
ほかのお薬に混ぜたい場合は、薬剤師に相談しましょう。
ムコダインシロップを飲みやすくする工夫
シロップの飲ませ方には、スプーンやスポイトを使った方法があります。
甘みがあるためそのままでも飲みやすいお薬ですが、飲みづらいときは以下の方法を試しましょう。
- お薬の味が気になるとき
1回分のお薬を凍らせてシャーベットにする - 甘みが気になるとき
水で2倍程度に薄める
ムコダインの主な副作用
添付文書によると、以下の副作用が報告されています。
(ムコダインの添付文書を参照)
主な副作用(0.1~5%未満)
食欲不振、下痢、腹痛、発疹
副作用の頻度は高くありませんが、おなかの調子が悪いとき、皮膚に赤みが見られたときは医師や薬剤師に相談しましょう。
また、重大な副作用の報告もあります。
はじめてムコダインを服用するときは経過観察をしましょう。
ジェネリック医薬品について
ムコダインのジェネリック医薬品が販売されています。
製薬メーカーによってお薬の味や色が異なることがあるため、気になる方は薬剤師に相談しましょう。
まとめ
ムコダインは痰を出しやすくしたり、中耳炎や副鼻腔炎の症状を改善するお薬です。
副作用の頻度は高くありませんが、服用後は皮膚の赤みや下痢などに注意しましょう。
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カテゴリー:小児科の薬 投稿日:2024-10-15
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