蕁麻疹(じんましん)の分類や特徴
蕁麻疹とは
蕁麻疹(じんましん)は皮膚の一部に赤いくっきりと盛り上がる膨疹(ぼうしん)ができ、しばらくすると消える病気です。
かゆみを伴うことが多く、チクチクしたかゆみや焼けるような感じを伴うこともあります。
膨疹の大きさは1~2 mm程度から手足全体を覆うものまで様々です。
膨疹の形状は円形や楕円形、地図状など様々ですが、形状の違いによる医学的意義(重症度や治りにくさなど)はありません。
蕁麻疹は数十分から数時間で消えることが多いですが、時には24時間ほど続きます。
蕁麻疹のメカニズム
皮膚の血管の周囲にはマスト細胞という、多くの顆粒を含む細胞が存在します。
外的な刺激によりマスト細胞が顆粒を放出します。
周囲の血管が顆粒に含まれる作用成分(ヒスタミン)と反応することで発現するものが蕁麻疹です。
ヒスタミンがかゆみ神経を刺激するため、蕁麻疹ではかゆみを伴います。
蕁麻疹の分類と特徴
蕁麻疹の原因は様々で,複数の蕁麻疹のタイプが同時に発生することもあります。
そのため、蕁麻疹の原因や特徴を明確に分類することは難しいです。
これらの中でも、比較的に分類がはっきりしている蕁麻疹は次の通りです。
- 急性蕁麻疹
- 慢性蕁麻疹
- 物理的蕁麻疹
- コリン性蕁麻疹
- アレルギー性蕁麻疹
- イントレランス
- 血管性浮腫
急性蕁麻疹
繰り返し発現する蕁麻疹のうち、発症1か月以内のものです。
お子さまが細菌やウイルスに感染した場合にも、急性蕁麻疹が発現することがあります。
慢性蕁麻疹
繰り返し発現する蕁麻疹のうち、発症1か月以上のものです。
原因を特定できないものが多くあります。
物理的蕁麻疹
擦過(すりむく)、圧迫、寒冷(温熱)、日光などの物理的刺激により発症する蕁麻疹です。
物理的蕁麻疹はお子さまに起こることは少ないと言われています。
コリン性蕁麻疹
入浴や運動による発汗で生じる蕁麻疹です。
一つ一つの膨疹は1~4mmと小さく、お子さまや若年の成人に多いと言われています。
アレルギー性蕁麻疹
食物や薬剤に含まれる物質(アレルゲン)を摂取することで発現する蕁麻疹です。
免疫グロブリンE(IgE)という抗体がアレルゲンと結合することで蕁麻疹が発現すると言われています。
イントレランス
解熱鎮痛剤や画像検査で用いられる造影剤、食品中に含まれるサリチル酸によって起こるものです。
IgE抗体が蕁麻疹の発現に関与しないことが知られています。
血管性浮腫
唇やまぶたが突然腫れあがり、2~3日で消失するものです。
典型的な蕁麻疹とは異なり、痛みやかゆみがありません。
蕁麻疹の検査
蕁麻疹では、特定の原因が疑われる場合に検査を実施します。
検査の種類と特徴は次の通りです。
血液検査
採血でアレルゲンに対する免疫グロブリンE(IgE)の抗体量を調べることでアレルギー性かどうかを判断できます。
皮膚テスト(プリックテスト)
アレルゲンを皮膚に載せて針で突く検査です。蕁麻疹が発現すればアレルギー性蕁麻疹と判断できます。
ただし陽性の場合でも、蕁麻疹の症状がその特定のアレルゲンだけによって引き起こされているとは限らない点に注意が必要です。
誘発テスト
実際に物理的な刺激を加えて蕁麻疹が発現するかを調べる方法です。
物理的蕁麻疹が疑われる場合に行われます。
負荷試験
蕁麻疹が薬剤に起因することが疑われる場合に行われる検査です。
少量の薬剤を投与して蕁麻疹が発現するかを調べます。
アレルギー性蕁麻疹の場合、少量であっても重篤な反応(アナフィラキシーショック)を起こす場合があるため、万全の準備のもと医療機関で実施されます。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹の治療は次の通りです。
- 原因が明らかであればそれらを取り除く(摂取させない)
- 原因を特定できない場合には、症状を抑えるための対症療法
対症療法としては次の薬を投与します。
- 膨疹やかゆみを引き起こすヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤
- マスト細胞からの各種物質の放出を阻害する抗アレルギー剤
症状が強い場合には、ステロイド剤を使用することもあります。
ただしステロイドにより成長障害が起こる危険性があるため、お子さまへの継続的な使用は推奨されていません。
抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の副作用として「眠気」がありますが、眠気の少ない薬剤も開発されています。
蕁麻疹を予防するためにご家庭でできること
蕁麻疹のあるお子さまがいる場合、ご家庭では次のような配慮が必要です。
- アレルギー性の場合、原因の食品・薬剤を避ける
- 学校や幼稚園・保育園の先生と情報を共有する
また、過度な疲労やストレスが蕁麻疹を悪化させることがあります。
十分な睡眠を確保させるようにしてあげましょう。
蕁麻疹に悩むお子さまへの注意点
次の症状がある場合には、蕁麻疹以外の病気である可能性があり注意が必要です。
- 一度出現した皮疹が何日も治らない
- 皮疹が治った後に茶色が残る
- 皮膚表面がガサガサ、ポロポロする
上記の症状があれば、小児科や皮膚科を受診させてあげましょう。
蕁麻疹(じんましん)に関するまとめ
この記事では次のことを解説しました。
- 蕁麻疹とは
- 蕁麻疹のメカニズム
- 蕁麻疹の分類と特徴
- 蕁麻疹の検査
- 蕁麻疹の治療
- 蕁麻疹を予防するためにご家庭でできること
- 蕁麻疹に悩むお子さまへの注意点
蕁麻疹とは皮膚の一部に膨疹ができる病気で、かゆみを伴います。
膨疹の形状や大きさは様々です。
数十分から数時間で消えることが多いですが、時には24時間ほど続きます。
蕁麻疹のメカニズムは次の通りです。
- 外的な刺激により皮膚の周囲にあるマスト細胞が顆粒を放出する
- 周囲の血管が顆粒に含まれる作用成分(ヒスタミン)と反応することで蕁麻疹が発現する
様々な原因により発現する蕁麻疹の中でも、比較的分類がはっきりしているものは次の通りです。
- 急性蕁麻疹
- 慢性蕁麻疹
- 物理的蕁麻疹
- コリン性蕁麻疹
- アレルギー性蕁麻疹
- イントレランス
- 血管性浮腫
蕁麻疹では、特定の原因が疑われる場合に検査を実施します。
具体的には次のような検査があります。
- 血液検査
- 皮膚テスト(プリックテスト)
- 誘発テスト
- 負荷試験
蕁麻疹の治療は次の通りです。
- 原因を取り除く(摂取させない)
- 対症療法
対症療法としては次の薬を投与します。
- 膨疹やかゆみを引き起こすヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤
- マスト細胞からの各種物質の放出を阻害する抗アレルギー剤
症状が強い場合には、ステロイド剤を使用することもありますが、継続的な使用は推奨されません。
蕁麻疹のあるお子さまがいる場合、原因の食品・薬剤を避け、学校や幼稚園・保育園の先生と情報を共有することがお子さまを守ることにつながります。
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カテゴリー:通年の子供の病気 投稿日:2024-07-26
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