下痢のときによくあるQ&A
Q1:【下痢】どんな症状があると受診するべきですか?
下痢があっても、元気があって食事が取れているようであれば、様子を見ていても良いでしょう。
ただし、次のような症状が見られる場合は、脱水を引き起こしている可能性が考えられます。
【脱水のサイン】
程度 |
主な症状 |
説明 |
軽度 |
・のどや口の渇き ・尿量が減少 |
水分がやや不足。 元気があり、こまめな水分補給で改善できることが多い。 |
中等度 |
・倦怠感(元気がない、動きたがらない、ぐったりしている、おとなしい) ・涙が出ない ・目がくぼむ |
水分不足が進み、体力低下や倦怠感が出る。早めの受診が必要。 |
重度 |
・意識がもうろうとしている ・呼吸が速く浅い ・脈が速い ・顔色が悪く、手足が冷たい ・尿が全く出ない(12〜24時間以上) |
命に関わる危険な状態。救急対応が必要。 |
脱水は体格の小さい子どもほど進行が早く、重症化しやすい傾向があります。
特に下痢の他にも、嘔吐や発熱があるときは脱水に注意が必要です。
Q2:【下痢】下痢の主な原因は何ですか?
子どもの下痢の原因には、以下のものが考えられます。
- 感染性胃腸炎:
ウイルスや細菌など病原体によって引き起こされる胃腸炎
- 食事・飲み物の影響(消化不良):
冷たいもの、脂っこいもの、ジュース・牛乳などの飲み過ぎ
- 薬剤性:
抗生剤などによる腸内細菌バランスの乱れが原因。服用中または数日後に発症することがある
- ストレス・自律神経の乱れ:
学校・環境変化などの精神的要因
発熱・嘔吐・ぐったりしている・水のような下痢が続く場合、感染症のことがあるため、受診を検討するとよいでしょう。
元気があって食欲もあり、便が少しゆるいだけなどの場合は、非感染性のことが多いのでしばらく様子を見てもよいでしょう。
症状が続く場合は医師へ相談を。
Q3:【下痢】家ではどのように対処したら良いですか?
元気があって食欲もあり、便だけ少しゆるいといった場合は、様子を見ながらいつも通り過ごしても大丈夫です。
ただし、嘔吐や発熱を伴うような感染性の下痢の場合は、以下のことに気をつけながら過ごしましょう。
- 水分補給
- 安静
- 消化の良い食事
- 下痢止めの使用を避ける
- 感染を広げないようにする(感染防止対策)
①水分補給
体から水分が失われ脱水になりやすい状態です。
一気に水分摂取すると、お腹の動きを刺激して下痢を誘発することもあるので、少量ずつ頻回に飲むとよいでしょう。
子どもの年齢によっては、自分から「のどが渇いた」と訴えにくい場合もあります。
保護者の方が、様子を見ながら少しずつ水分を取るように声かけをしてあげましょう。
脱水が進むと、ぐったりして食事も水分もとれなくなり、入院が必要になることもあります。
②安静
下痢が続いているときは、水分だけでなく「栄養」「電解質(ナトリウムなど)」も体から失われています。
このような状態で動き回ると、体力を消耗し脱水や体のだるさを悪化させてしまいます。
安静にして体力を温存させてあげましょう。
③消化の良い食事
下痢のときは、腸が弱っていて本来の消化・吸収の機能が落ちている状態です。
しかし、腸が弱っていても、回復には水分や栄養が必要です。
脂っこいもの・繊維の多いものは、消化に時間がかかり腸に負担がかかるので、消化の良い食事で効率よく栄養を吸収できるようにしてあげましょう。
具体的な食事はQ5を参照してください。
④下痢止めの使用を避ける
そもそも下痢は、ウイルスや細菌、またはこれらが出した毒素など「いらないもの」を体の外に出すための反応です。
そのため、下痢止めで無理に止めてしまうと、炎症や症状の回復が遅れることがあります。
医師が処方する場合は、原因や体調を見て適切な薬を選んでいます。
市販薬を自己判断で使うのは避けましょう。
⑤感染を広げないようにする(感染防止対策)
ノロウイルスやロタウイルスなどによるウイルス性胃腸炎では、便や嘔吐物の中に大量にウイルスが含まれています。
家庭内感染で、特に高齢者や持病のある方が感染すると、脱水が重症化しやすく、命に関わることもあります。
具体的な対策方法はQ9を参照してください。
Q4:【下痢】何日続いたら病院を受診したほうが良いなどの目安はありますか?
“下痢が◯日続いたら受診”といった目安はありません。
具体的な日数ではなく、下痢に加えてQ1の【脱水のサイン】のような症状が見られる場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
Q5:【下痢】どんな食事を与えればよいですか?また、避けるべき食べ物はありますか?
まずは水分補給が最優先で、食べられないときは無理に与えなくても大丈夫です。
”下痢が落ち着いてきた””食欲が少し戻ってきた”ら、消化の良い食事を少量からゆっくり与えましょう。
【消化の良い食事】
- おかゆや軟らかいご飯、よく煮たうどん
- 白身魚、鶏むね肉、温めたお豆腐
- 野菜スープ、ポタージュ
- リンゴのすりおろし、バナナ
【避けるべき食べ物】
- 脂っこいもの、油を多く使う料理
- 食物繊維が多いもの(きのこ類、ごぼうなど、ひじき、海藻など)
- 刺激物(香辛料、柑橘系の果物など)
- 冷たいもの、炭酸飲料、乳製品
Q6:【下痢】脱水になっていないか心配です。水分補給には何をどれくらい飲ませれば良いですか?
下痢が続き脱水が疑われる場合には、以下の飲み物で水分補給をしましょう。
一度にたくさん飲ませるのではなく、こまめに少しずつ飲ませるのがポイントです。
【おすすめの飲み物】
- 経口補水液(OS-1など)
- 麦茶・白湯・薄めたリンゴジュース
※ちなみに、下痢による脱水の時にスポーツドリンクはあまり適していません。
一見水分補給に良さそうと思われがちですが、糖分が多く下痢を悪化、または、治りを遅くさせてしまう可能性があるからです。
スポーツドリンクよりも、OS-1などの経口補水液での水分補給がおすすめです。
Q7:【下痢】保育園や学校に行かせていいのか迷います。どんな場合に休ませるべきですか?
以下のような場合は、感染の可能性や体調が十分でないことが考えられるため、登園・登校を控えた方が良いでしょう。
- 発熱がある
- 嘔吐が続いている
- 水のような下痢便が何度もある
- 医師から登園・登校の許可が出ていない
- ぐったりして元気がない、食事が取れない
「1日数回下痢はあるが、熱や嘔吐もなく元気である」ならば登園できると考えても良いでしょう。
感染性の下痢の場合、出席停止が義務付けられているものや、保育園や幼稚園で独自の基準を定めている場合もあるので、事前に連絡して相談するのが安心です。
Q8:【下痢】「何回くらい(回数)」「どんな便の状態だったら(性状)」など、病院に行ったほうが良いなどの目安はありますか?
【回数について】
下痢の回数について、受診の目安は特にありません。
大切なのは回数ではなく、お子さんの全身の状態をよく見てあげることです。
Q1に上げたような脱水のサイン
・腹痛
・嘔吐
・発熱
などが見られるようであれば、受診を検討すると良いでしょう。
【性状について】
注意が必要な便の性状については以下のようなものがあります。
-
◯激しい水様性の下痢
水のように、ほとんど形のない便が大量に出る場合です。
このような下痢は脱水症状を非常に起こしやすいため、注意が必要です
-
◯血便
便に血が混じっている場合です。
血便は、主に食中毒(腸管出血性大腸菌感染症(O157など)、サルモネラ感染症、カンピロバクター感染症)の際に見られることが多いとされています。
食中毒の場合は、水のような下痢便に血液が混じることがあります。
-
◯白い下痢便
白っぽい・灰色の水のような便です。
白い下痢便は、ロタウイルス感染症などで見られることがあります。
Q9:【下痢】大人や兄弟にもうつるのでしょうか?感染対策を教えて下さい。
下痢で周囲にうつるのは、感染性の場合です。
主に冬に流行する「ロタウイルス」や「ノロウイルス」に感染した際は、白く水っぽい下痢便がみられます。
嘔吐や発熱も伴う場合はこれらの疾患を念頭において対応しましょう。
【感染対策】
- 手洗いの徹底
- 便の適切な処理と消毒
- 感染期間への注意
Q10:【下痢】おむつかぶれを防ぐにはどうしたらいいですか?おしりのケアの方法を教えて下さい。
下痢が続くと、おしりの皮膚がかぶれやすくなります。
その理由は、以下のような要因が重なるからです。
- おむつ内が蒸れると便の水分が皮膚に長く触れ、皮膚がふやけて弱くなる
- 便の成分は皮膚にとって刺激が強く、皮膚をただれさせる
- 頻繁な拭き取りで、皮膚に摩擦のダメージが蓄積される
おむつかぶれを起こさないようにするためには、次のことに気をつけましょう。
①こまめなおむつ交換
- 少量でも便が出たら早めに交換する
- 夜間でも可能な範囲で確認する
②おしりを優しく洗う
- おしりふきでゴシゴシせず、ぬるま湯で洗い流すか、やわらかい布で軽く押さえる
- お湯をペットボトルやウォッシュボトルでかけ流す方法も◎
③しっかり乾かす・通気を良くする
- タオルでポンポンと押さえる、自然乾燥でもOK
- 可能であればおむつを外して、短時間でもお尻を空気にさらしましょう
④皮膚を保護する
- ワセリンや亜鉛華軟膏など、皮膚に膜を作るタイプの保護剤を薄く塗る