腹痛時の疑問|母親に知っておいてほしい知識

子どもの腹痛Q&A

こどもの腹痛のよくある疑問をQ&Aにしたイラストです。

子どもによくある症状の1つの腹痛
今回保護者の方がよく抱く疑問についてQ&A形式で解説しています。
気になる疑問があればぜひ参考にしてみてください。

腹痛時によくある疑問

Q1:子どもが「お腹が痛い」と言っています。病院に行くタイミングや目安はありますか?

A:お腹の痛み以外に、どのような症状があるかによって、受診のタイミングを判断します。
以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • 激しい痛みがある、痛みが徐々に強くなっている
  • お腹を押されるのを嫌がる、お腹が硬く張っている
  • 嘔吐・下痢・発熱(38℃以上)などを伴っている
  • 食事や水分がとれない
  • ぐったりしている、元気がなく顔色が悪い
  • 意識がもうろうとしている、けいれんしている

迷った時は、かかりつけ医や夜間救急相談(#8000)などに電話で相談するのも一つの方法です。

ちなみに、「お腹が痛いと言うのに食欲はある」「お腹が痛いと言っているのに、遊んでいる」「腹痛だけで、発熱はない」などの場合は、基本的に様子を見てもよいケースが多いです。しかし、症状に変化がないか注意しておきましょう。

Q2:夜中にお腹が痛くて泣いて起きたとき、どう対応すればいいですか?

A:まずは落ち着いて、以下の点を確認しましょう。

  • 熱はないか
  • 嘔吐・下痢はあるか
  • お腹を触って痛がる場所があるか
  • 呼吸が荒くなっていないか

これらの症状がない場合は、一時的な腹痛の可能性もあり、少し様子を見てもよいでしょう。
ただし、激しく泣き、泣き止まない・吐く・ぐったりしている場合は、夜間でも医療機関に相談してください。

Q3:腹痛時、自宅でできる対処法はありますか?

A:腹痛の原因や程度によって対応は変わりますが、まずは以下の対処法を行いながら様子を見ましょう。

横になって安静にする

無理に動かさず、楽な姿勢で横になることで痛みが和らぐことがあります。
ひざを軽く曲げる姿勢や、横向きの姿勢が楽な子もいます。

こまめに水分補給をする

お茶や白湯など、胃腸にやさしい飲み物を少しずつ与えてください。
水分をとることで、痛みが強くなる、吐き気が現れる場合は無理する必要はありませんが、その後の体調変化(発熱や嘔吐・下痢)があった際に備えられます。

排便を促してみる

便秘が原因になることも多いので、排便で楽になることがあります。

お腹を温める、優しくお腹をさする

腹巻きや湯たんぽでお腹を温めたりやさしくさすったりすると、筋肉の緊張がほぐれ、血流が良くなることで痛みが和らぐことがあります。
ただし、炎症性の腹痛(虫垂炎など)が疑われるときは温めないようにします(かえって悪化するおそれがあるため)。

観察メモをとる

受診が必要になることも考え、次のような内容をメモしておくと、診察時に役立ちます。

  • 痛みの始まった時間と状況
  • 痛みの場所(おへそまわり、右下など)
  • 食欲や元気の有無
  • 排便・排尿の状況
  • 発熱・嘔吐・下痢などの有無

Q4:子供がお腹を痛がる原因は何ですか?

A:腹痛の原因にはいくつかあります。

  • 頻度の高いもの:便秘、ウイルス性胃腸炎  など
  • 注意が必要なもの:虫垂炎、腸重積  など

それぞれ、症状の特徴は下記になります。

【便秘】
  • おへそのまわりが痛い
  • 便が何日も出ていない
  • お腹が張っている
【ウイルス性胃腸炎】
  • 急な腹痛とともに、嘔吐や下痢
  • 発熱を伴うことも
  • 食欲がなく、ぐったりする
【虫垂炎(盲腸)】
  • 初期はおへその周りが痛むことが多く、時間とともに右下腹部へ移動
  • 歩くと響く・ジャンプを嫌がる・押すと痛がる
  • 発熱、吐き気を伴うことも
  • 早めの受診が大切(手術が必要になるケースも)
【腸重積症】※乳児に多い
  • 腸の一部が他の腸に入り込むことで起こる緊急疾患
  • 周期的に泣き叫び、痛みが落ち着くとケロッとする(波のような痛み)
  • 嘔吐、ぐったりする、血便(いちごジャムのような色)が出ることも
  • 一刻も早く病院へ!

Q5:市販薬(痛み止め・下痢止め・整腸剤など)は使っていい?

A:腹痛の原因がはっきりしないうちは、基本的に自己判断で市販薬を使うのは避けましょう
特に“下痢止め”と“鎮痛剤”には注意が必要です。

◯下痢止めは慎重に!

下痢は、体の中のウイルスや毒素を「外に出そうとする働き」です。
特にウイルス性胃腸炎の場合、下痢止めを使ってしまうと、

・ウイルスを体内に閉じ込めてしまう
・腸の動きが悪くなって回復が遅れる
・発熱や腹痛が悪化する

など、逆効果になることがあります。
医師からの指示がない限り、下痢止めの使用は避けましょう。

◯整腸剤は比較的安全

ビフィズス菌や乳酸菌などを含む整腸剤は、

・便秘気味のとき
・お腹の調子が気になるとき
・軽い下痢が長引いているとき

などに用いられることがありますが、使用にあたっては医師や薬剤師に相談しましょう。
ただし、子どもの年齢や体調によっては使用を控えた方がよい場合もあるため、自己判断ではなく、かかりつけの医療機関で相談するのが安心です。

◯鎮痛剤

「痛みがつらそうだから…」と、市販の解熱鎮痛剤を使いたくなることもあるかもしれませんが、腹痛の原因が分かっていないうちは注意が必要です。
その理由は以下の通りです。

  • 痛みが一時的に消えることで、重大な病気を見逃すおそれがある(例:虫垂炎や腹膜炎など)
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニンなど)は、胃腸を刺激してかえって悪化する可能性がある
  • 腹痛がウイルス性の発熱に伴うものかどうかでも対応が異なる

医師が原因を診断した上で、必要と判断された場合のみ使用します。

子どもの体調は変化しやすく、「少し様子を見ようと思ったら、急に悪化した」ということも少なくありません。
自己判断で市販薬を使うより、“今どんな状態か”を見極めることの方が大切です。
迷った時は、かかりつけ医や#8000(こども医療電話相談)などに相談してみましょう。

Q6:腹膜炎の初期症状は?

A: 腹膜炎の初期症状は以下になります。

【初期にみられることが多い症状】
  • お腹全体の痛み(広い範囲で痛む)
  • 押すと強く痛がる(軽く押すだけでも嫌がる)
  • 動くと響く痛み(じっとして痛がる)
  • お腹がガチガチに固くなる
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 発熱・吐き気・嘔吐を伴うことも

小さい子どもさんの場合は、うまく痛みを説明できないこともあります。
次のような“仕草”や“様子”に注目してください。

  • 急に元気がなくなる
  • 何度もお腹をおさえる
  • 体をまるめてじっとしている
  • 声をかけても反応が弱い

腹膜炎は、腹痛の中でもとくに注意が必要な病気で、お腹の内側をおおっている「腹膜」という膜に炎症が起こる状態です。
虫垂炎(盲腸)が悪化したときや、腸に穴が開いたときなどに起こることがあります。
「ただの腹痛」と決めつけず、お子さんの様子に少しでも違和感があれば、迷わず医療機関に相談しましょう。

Q7:ストレスが原因で腹痛になることはありますか?

A:はい、子どももストレスで腹痛を訴えることがあります。

  • 学校や友達関係、家庭環境の変化などが原因であることも
  • 朝の登校前や、特定の場面で繰り返す腹痛がある
  • 便に異常はないが、痛みを訴える

このような「心因性腹痛」は、まずは安心できる環境づくりが大切です。
症状が続くようなら、小児科や心療内科で相談しましょう。

Q8:便秘が原因なのか、他の病気を見るのかのポイントは?

A: ポイントは「症状の出方」「便の様子」「全身状態」です。

【便秘が原因と思われるサイン】
  • 数日〜1週間以上、排便がない
  • おへその周りが痛いと訴える
  • 食後や朝方に痛みが出やすい
  • 便が硬い、コロコロしている
  • お腹が張っている
  • 排便後に痛みがスッと楽になる

こういった場合、「出れば治る」腹痛であることが多く、比較的安心です。
整腸剤や水分摂取、食物繊維の摂取、軽い運動などで改善することもあります。

【他の病気を疑うべきサイン】

以下のような症状があるときは、便秘以外の病気(胃腸炎・虫垂炎・腸重積など)の可能性があります。

  • 突然の強い腹痛(特定の場所が激しく痛む)
  • 嘔吐や発熱を伴う
  • 便やガスが出ていないのに痛みが続く
  • 排便後も痛みが続く/悪化する
  • 顔色が悪く、元気がない・ぐったりしている
  • 痛みが波のように強くなったりおさまったりする

Q9:食べ物や飲み物で腹痛が起こることはありますか?

A:はい、食べ物や飲み物が腹痛の原因になることもありますし、腹痛時の食事の選び方によって症状が悪化することもあります。

腹痛を引き起こす可能性のある食べ物・飲み物
  • ◯脂っこい料理や揚げ物
    →消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけやすいです。
  • ◯冷たいもの(ジュース・アイス・氷水など)
    →腸を冷やして動きを鈍くするため、便秘や下痢を悪化させることも。
  • ◯炭酸飲料やガム・あめ
    →お腹にガスがたまりやすく、膨満感や痛みにつながることがあります。
  • ◯乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)
    →乳糖不耐症の子どもでは腹痛や下痢の原因になることもあります。

子どもが「食べたくない」と言っているときは、無理に食べさせないことも大切です。
胃腸を休ませることで、かえって回復が早まることもあります。

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カテゴリー:よくある子供の症状  投稿日:2025-08-01

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