水痘

水痘(みずぼうそう)

水痘とは?

水痘(すいとう)は「みずぼうそう」とも呼ばれている発疹性の感染症で、「水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス」の感染が原因です。
水痘ワクチンの定期接種が2014年に始まってから国内での小児の患者数は大きく減少していますが、依然として多くの患者がいます(図1)。

小児科1定点あたりの患者報告数
小児科1定点あたりの患者報告数

国立感染症研究所 感染症発生動向調査年別一覧-定点把握-より作成|単位:人)

水痘帯状疱疹ウイルスは水痘の症状が治ったあとも生涯にわたり神経に潜み続けます
そして加齢や免疫機能の低下などにより再び活発化し、帯状疱疹として症状をあらわすやっかいなウイルスです。

水痘では発熱と発疹が見られます。
発疹は水疱(水ぶくれ)や膿疱(膿みのある水ぶくれ)が特徴的です。

発疹の出る1〜2日前から、発疹の出たあと4〜5日あるいはかさぶたになるまでが、まわりの人に感染させやすい期間です。
水痘の患者1人から8〜10人へ感染させる力があり、麻疹より弱いものの強力な部類に入ります。
ほとんどが9歳以下でかかり、家庭内接触での発症率は90%であるため、年齢の低い兄弟間での感染確率は高いでしょう。
1年の中では12月〜7月に多い傾向があります。

潜伏期間

10〜12日

水痘の症状

38℃位の発熱と同時に発疹が出ます。
発熱は2〜3日続く場合が多いです。
発疹はかゆみが強く、3日位かけて赤い斑点から少し盛り上がった丘疹、そして水疱からかさぶたとなります。

合併症には皮膚の細菌感染や肺炎、脳炎、熱性けいれんなどがあり、入院治療が必要な患者は大人も含め毎年300人以上います。
合併症を起こすリスクは1歳以下と15歳以上で高くなります。

水痘の診断

症状から診断されるのが一般的です。
しかし確実な診断が必要な場合には下記のような検査も実施します。

  • 水疱を擦ったもので特殊な細胞を見つける
  • 血液検査で抗体を調べる
  • PCR検査でウイルス遺伝子を検出する

水痘の治療

水痘は元来健康な子どもであれば自然に治りますが、塗り薬や飲み薬を処方される場合が多いでしょう。
重症化した、あるいは重症化が予測される場合は飲み薬ではなく点滴で投与します。

種類 薬品 効果・特徴
塗り薬 カチリ
(フェノール亜鉛華リニメント)
・かゆみ止め
・水疱を乾燥させる
・白くてドロッとしている
抗生物質 ・細菌にも感染して膿みが出たりとびひを起こしたりした場合
飲み薬 抗ウイルス薬 ・水痘帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える
・発疹や水疱の数を抑える
・発疹が出始めてから48時間以内に飲み始めると有効
・すべての患者に必要ではない
抗生物質 ・細菌にも感染した場合
解熱剤 ・熱が高い場合
点滴 抗ウイルス薬 ・重症、重症化のリスクが高い場合

お子さまの症状により治療内容は違うため、医師の指示にしたがってください。

家庭での対応

部屋を別にして、こまめに換気しましょう。
可能であればお互いにマスクをつけた方がよいでしょう。
お子さまの世話をするのは水痘にかかった経験がある人やワクチンを2回接種した人が望ましく、妊婦は避けた方がよいです。

発疹にはかゆみがあるため、子どもはすぐに掻きむしってしまいます。
その傷に細菌がついてとびひになる場合もあるので、爪は短くしておいてください。

元気であればシャワーをしてもかまいません。
水疱をつぶさないように泡で軽く洗いましょう。
かゆみを抑えて皮膚の清潔も保てます。

水痘の感染経路

水痘は水痘帯状疱疹ウイルスが気道の粘膜から体内に入り込み感染します。
気道の粘膜にたどり着く経路には下記の3つがあります。

  • 飛沫感染:せきやくしゃみによってウイルスが飛び散ったものを吸い込む
  • 空気感染:飛び散ったウイルスが乾燥して小さな粒子となり空気中に漂っているものを吸い込む
    同じ空間にいるだけで感染する
  • 接触感染:水痘および帯状疱疹の水疱の液体に触った手で鼻や口、食べ物を触る

水痘の予防・予防接種

水痘では感染および発症の予防が可能です。以下にてそれぞれ説明します。

感染予防

空気感染する水痘の感染対策には、水痘ワクチンの接種が有効です。
以前は任意接種であった水痘ワクチンが2014年に定期接種となってからは、患者数が激減しています。
現在水痘ワクチンは定期接種(公費負担)で2回実施するスケジュールです。

  • 1回目:生後12ヶ月〜15ヶ月まで
  • 2回目:1回目から6〜12か月の間隔をおいて *3歳になるまでに

ワクチンを1回接種すると92%の人に免疫がつきます。
アメリカの調査では、子どもが水痘になるのを85%予防し、感染しても中等度〜重症の水痘を97%予防できていました。
2回目のワクチン接種もすれば、軽症も含めて水痘になる確率はさらに低くなります。

発症予防

水痘患者、帯状疱疹患者に接触してから72時間以内、できるだけ早く水痘ワクチンを接種すれば、発症の予防や症状の軽症化ができます。
さらに予想発症日の1週間前から抗ウイルス薬を1週間飲めば、症状を抑えて免疫も得られる可能性があります。

登園・登校停止期間

学校保管安全法において、登園・登校停止期間は「すべての発疹が痂皮化する(かさぶたになる)まで」です。

そのほか、同居する家族が水痘患者あるいは感染の疑いがある、住んでいる地域で水痘患者が発生したなどの場合も登園・登校停止になる場合があります。

兄弟児の対応についても医師に確認してください。

水痘が妊婦に感染すると?

水痘は妊婦に感染すると胎児にも感染します。
妊婦自身が重症になるばかりか感染する時期によって流産や先天性水痘症候群(発達遅滞、多発先天奇形など)、出生後すぐの水痘発症による重篤な状態などの影響が出るので注意が必要です。
お母さまが妊婦の場合、お子さまの対応は家族の方にまかせましょう。

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カテゴリー:特殊な子供の病気  投稿日:2024-11-07

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