子宮内膜ポリープとは?
子宮内膜とは、毎月の月経(生理)のときに剥がれて出血する部分のことを言います。
子宮頸管が子宮の出入り口であるのに対して、子宮内膜は子宮の奥の方を指します。
子宮内膜にもポリープができることがよくあります。
無症状であることも多く、超音波検査によって診断することができます。
この記事では子宮内膜ポリープについて解説します。
原因
子宮内膜の一部分が過形成になり、ポリープができます。
子宮内膜は、女性ホルモンの作用で分厚くなったり薄くなったりしています。
女性ホルモンには2種類あります。エストロゲンとプロゲステロンです。
子宮内膜ポリープの発生にはエストロゲンが関与していると言われています。
一方、プロゲステロンには、子宮内膜ポリープが増殖するのを抑える作用があります。
ポリープはひとつだけできることもあれば、複数個同時に発生することもあります。
症状
特に症状が出ないことが多いです。
ポリープによって不正出血を起こすことがあります。
子宮内膜は、受精卵が着床し妊娠が成立する場所です。
ポリープによって受精卵がうまく着床できず、不妊症になってしまうことがあります。
タモキシフェンという乳がん治療薬を内服中の患者さんでは、子宮内膜ポリープができやすくなります。
診断
内診台に上がっていただき、経腟超音波検査を行って子宮を観察します。
月経前は子宮内膜が分厚くなっているため、観察が難しくポリープがうまく映らないことがあります。
このような場合には、月経終了直後の子宮内膜が薄くなっている時期に再度来院していただき、超音波検査を行います。
ソノヒステログラフィーといって、子宮の内腔に少量の生理食塩水を注入した後に超音波検査を行うことで、ポリープをより見やすくすることもできます。
ソノヒステログラフィーは外来で簡易にできる検査で、強い痛みを伴うものではありません。
子宮内膜細胞診/組織診を行い、悪性所見がないかどうかを確認します。
(子宮内膜ポリープの約7割は良性です。がんと診断される割合は0.8%程度と言われています。)
より詳しく検査を行う場合には、子宮鏡を用います。
胃カメラの子宮バージョンのような検査です。
細いカメラを子宮内に挿入し、子宮内膜を直接観察します。
治療
ポリープが単発、サイズが小さい、不正出血を伴わないなど悪性を積極的に疑う所見がない場合には、経過観察を行います。
不正出血がある、サイズが1cmを超える、多発している、不妊症の原因と考えられる、悪性を疑う場合には治療適応となります。
子宮鏡での切除を行います。
ホルモン治療の有用性は明らかになっていません。
まとめ
子宮内膜ポリープがあっても無症状であることが多く、超音波検査で偶発的に見つかることがあります。
基本的には良性のできものですが、子宮内膜に悪性を疑う所見がないかどうかを検査する必要があります。
ポリープによる症状があるとき、悪性を否定できないとき、不妊症の原因となっているときには、子宮鏡での切除をおすすめしています。
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カテゴリー:子宮がん 投稿日:2025-05-16
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