2型糖尿病の予防
糖尿病はさまざまな合併症を起こすため、かかりたくない病気です。
実をいうと、2型糖尿病は発症を予防できる病気です。
この記事では、2型糖尿病の予防で大切なこと、2型糖尿病を予防する運動、食事、薬について解説します。
これを読めば2型糖尿病の発症を予防する方法が分かります。
2型糖尿病が心配な人は役立ててみてください。
2型糖尿病の予防で大切なこと
出生時の体重、成人早期の肥満度、内臓脂肪型肥満が2型糖尿病の発症に影響します。
また、2kgやせることができれば、2型糖尿病の発症を予防できます。
出生時体重が関係する
出生時の体重と2型糖尿病の発症リスクは関係します。
2,500~3,999gで生まれた新生児と比べて、2,500g未満および4,000g以上の新生児は発症リスクが高くなります。
とりわけ2,500g未満の新生児が成人後に肥満になると、リスクが高まります。
成人早期の肥満度が問題
BMI(body mass index)が2型糖尿病の発症リスクと関係します。
日本人ではBMIが23kg/㎡以上あると注意が必要です。
とりわけ成人早期(18~24歳)の肥満がリスクを高めることが明らかになっています。
また、20歳時のBMIと生涯最大BMIの差が大きいと2型糖尿病の発症リスクを高めます。
したがって生涯にわたる体重コントロールが必要です。
内臓脂肪型肥満が危険
BMI以外では、内臓脂肪型肥満と関連する以下の要因があると危険です。
- 腹囲径の増加
- ウエスト/ヒップ比の増加
- メタボリックシンドローム
- 脂肪肝
2㎏やせよう
生活習慣を改善し、2kgやせることができれば、2型糖尿病の発症を予防できます。
ダイエットは2型糖尿病予防の基本といえます。
2型糖尿病を予防する運動
運動量が減ると2型糖尿病の発症リスクは高まり、運動量が増えるとリスクは低下します。
テレビの視聴や座り仕事の時間が長いとリスクが高い
テレビの視聴や座り仕事の時間が増えると、2型糖尿病の発症リスクが高まります。
1日のテレビの視聴時間が2時間増えるごとにリスクが20%高まるという報告もあります。
身体活動量が増えるとリスクが低下する
身体活動量が増えると2型糖尿病の発症リスクが低下することが知られています。
また運動のしすぎによるリスクはありません。
仕事や通勤などで体力を要する人はリスクが低下します。
休日の運動により身体活動量が増加する場合も同様です。
なお運動強度は関係ありません。
有酸素運動および筋力トレーニングが有効
有酸素運動が有効ですが、筋力トレーニングも2型糖尿病の発症リスクを下げる効果があります。
また有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせるとより効果が高まります。
筋肉量・心肺持久力・握力が高まると、2型糖尿病の発症リスクが低下します。
2型糖尿病を予防する食事
食事面では、総エネルギー摂取量を適正化することが重要です。
また、糖尿病を予防するのに役立つ食べ物をご紹介します。
総エネルギー摂取量を適正化する
適正体重に近づけるために総エネルギー摂取量を減らすと、2型糖尿病の発症リスクが低下します。
2型糖尿病を予防する食べ物
炭水化物の制限が2型糖尿病の発症リスクを下げるかどうかは不明瞭です。
動物性タンパク質は発症リスクを高めますが、植物性たんぱく質は女性の場合のみ発症リスクを低下させます。
オリーブ油は欧米人においてリスクを低下させたと報告されています。
全粒穀物・豆類・ナッツ類・食物繊維・食事性マグネシウムの摂取はリスクを低下させます。
乳製品・ヨーグルトの摂取も有効です。
一方、赤身の肉や加工肉の摂取はリスクを上昇させます。
2型糖尿病の予防で食べてよいお菓子
砂糖を含んだお菓子、飲料は2型糖尿病の発症リスクを増加させます。
果物をそのまま食べるとリスクは減りますが、ジュースにすると逆にリスクが高くなると報告されています。
特に砂糖を加えた飲料のリスクは高めです。
一方、コーヒー・お茶の摂取は2型糖尿病の発症リスクを低下させます。
したがってコーヒー・お茶を飲みながら果物を食べるのがおすすめです。
2型糖尿病を予防するサプリメント
「糖尿病サプリ」として複数のサプリメントが販売されています。
自然な糖尿病治療、血糖値を下げる、糖病病性神経障害に伴う痛みを軽減するといった宣伝がみられます。
しかしサプリメントについては科学的根拠が不十分であるため、2型糖尿病の予防の目的で摂取することは推奨されていません。
2型糖尿病の予防薬
2型糖尿病の発症は薬物により予防できるのでしょうか?
経口血糖降下薬、降圧薬、スタチンに関連して解説します。
経口血糖降下薬
ビグアナイド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、基礎インスリン、GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の発症リスクを低下させます。
しかし保険適用がありません。
降圧薬が予防に役立つことがある
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は2型糖尿病の発症リスクを低下させます。
高血圧で服用している場合、糖尿病の予防に役立ちます。
スタチンは服用してよい
高コレステロール血症の治療で使われるスタチンは、2型糖尿病の発症リスクを増加させますが、このデメリットよりも心血管イベントを抑制するというメリットが大きいため、服用してもよい薬です。
まとめ
出生時体重、成人早期の肥満度、内臓脂肪型肥満が2型糖尿病の発症に影響します。
2kgやせることができれば、2型糖尿病の発症を予防できます。
運動量が増えると発症リスクは低下します。
食事面では、総エネルギー摂取量を適正化することが重要です。
この記事では糖尿病を予防する食べ物をご紹介しました。
また、2型糖尿病の発症は薬物により予防できるのですが、保険適応がありません。
運動と食事で2型糖尿病を予防する方法がおすすめです。
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
(医)こころみ採用HP取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:糖尿病 投稿日:2025-08-01
関連記事

糖尿病で痩せるのはなぜ?理由・症状を解説
糖尿病で痩せるのはなぜ?理由・症状を解説 糖尿病で痩せる時には、病気そのものが原因で痩せる場合と、治療のために痩せる場合があります。 両者では痩せる意味が全く異なるため、区別が必要です。 この記事では、まず糖尿病そのもの… 続きを読む 糖尿病で痩せるのはなぜ?理由・症状を解説
カテゴリー:糖尿病 投稿日:
人気記事

【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用
喘息の長期管理薬とは? 喘息は、気道に慢性炎症が起きて狭くなっている状態です。それが引き金となって気道が過敏になり、ちょっとしたきっかけで咳や息苦しさをくり返します。 喘息の治療は、 炎症を抑え、喘息の悪化や発作を予防す… 続きを読む 【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用
カテゴリー:喘息の長期管理薬(吸入ステロイド) 投稿日: