糖尿病の初期症状
メタボの流行に伴って糖尿病が増えています。
糖尿病は大変な病気というイメージがありますが、心配な人も少なくないはずです。
糖尿病を早期発見するためには、どうしたらよいのでしょうか?
この記事では、糖尿病の初期症状はどのようなものか、はじめて糖尿病と分かるきっかけ、糖尿病を早期に発見する方法について解説します。
これを読めば、糖尿病の初期症状のことが分かります。
糖尿病が気になる方は役立ててみてください。
1.糖尿病の初期症状は血糖値が極端に高いときにみられる
糖尿病で血糖値が極端に高くなると、以下のような症状がみられます。
- 尿が多くなる
- のどが渇く
- 疲れやすい
- 食べているのに体重が減る
糖尿病で血糖値が極端に高くなると、腎臓の尿細管というところのグルコース濃度が上昇し、これにつれて水が排せつされるため尿量が増えます(浸透圧利尿)。
その結果、体の中の水分が減り、脱水状態におちいります。
のどが渇き、疲れやすくなり、体重が減ります。
さらに進行すると意識を失うこともあります(高浸透圧高血糖症候群)。
これが糖尿病で極端に血糖値が高くなったとき(600mg/dL以上になることもあります)の症状です。
ただしこのような状態になることはまれです。
2.糖尿病の初期症状はほとんど全くみられない
通常の糖尿病の場合は、ほとんど全く初期症状はみられません。
信じがたい話かもしれませんが、多くの場合初期の糖尿病では全く自覚症状がないのです。
「それじゃあ病気といえない」と思う人もいるかもしれません。
ですから大半の人は糖尿病にかかったとしても、それに気づかず放置してしまいます。
それではどのような時に糖尿病と分かるのでしょうか?
3.はじめて糖尿病と分かるきっかけ
それまで何ともなかった人が、はじめて糖尿病と分かる具体的な事例を示します。
3-1.献血に行ったら糖尿病の疑いがあるといわれた
日本赤十字社で献血をする際に、献血者にお知らせする検査サービスとしてグリコアルブミン値の計測があります。
グリコアルブミンとは、糖尿病の検査の一つです。
その結果、糖尿病が疑われることがあります。
3-2.健診を受けたら血糖値が高いといわれた
都道府県の自治体が行う健康診断の検査項目には、たいてい血糖値が含まれます。
健診の結果、血糖値が高いといわれ、精査のため医療機関を受診し、空腹時血糖値、HbA1cなどの検査を受けて糖尿病と診断されることがあります。
このケースが最も多いかもしれません。
3-3.妊娠したら血糖値が高いといわれた
妊婦健診にも血糖検査が含まれます。
妊娠中の高血糖は母子ともに影響するからです。
妊娠中に初めて発見された糖代謝異常を、妊娠糖尿病とよびます。
たいていの妊娠糖尿病は分娩後に改善します。
ただし妊娠を契機に明らかな糖尿病が発見されることもあります。
3-4.合併症が現れて初めて糖尿病と分かった
知らない間に糖尿病が進行して、合併症が起こり、初めて糖尿病と分かることがあります。
糖尿病の合併症は以下のとおりです。
- 糖尿病ケトアシドーシス:命に関わる緊急事態です
- 高浸透圧高血糖症候群:意識を失うことがあります(1章参照)
3-4-1.糖尿病の急性合併症
- 神経障害:手足のしびれ、運動障害、自律神経障害などを起こします
- 網膜症:視力低下、失明などを起こします
- 腎症:腎機能の低下、透析が必要になることもあります
- 大血管症:脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離などを起こします
- 糖尿病性足病変:壊疽(えそ)を起こして切断を余儀なくされることがあります
3-4-2.糖尿病の慢性合併症
これらの合併症の詳細は省きますが、どれも深刻な病気ばかりです。
ただし合併症の症状は、糖尿病の初期症状というよりは、糖尿病が進行した時の症状です。
症状に気づいたときは、時すでに遅しという状況になりかねません。
4.糖尿病は初期症状がなくても早めの受診が大切
糖尿病の初期症状は血糖が非常に高いときにみられますが、多くの場合糖尿病の初期症状はほとんど全くみられません。
献血・健診・妊婦健診などの際に高血糖を指摘されて初めて糖尿病と分かります。
知らない間に糖尿病が進行して、合併症が現れて初めて糖尿病と分かることもあります。
ただしこの場合はかなり進行した糖尿病です。
糖尿病は合併症を起こす前に治療しなければいけません。
健診などを受けて、早期に糖尿病を発見することが大切です。
糖尿病にかかったとしても、ちゃんと治療すれば高血糖が改善し、たいていは合併症を起こすこともなく、健康に過ごすことができます。
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カテゴリー:糖尿病 投稿日:2025-07-10
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