「片側がズキズキ」これって片頭痛?
単なる「頭痛」と「片頭痛」。その違いはどこにあるのでしょうか?その名の通り、「頭の片側がズキズキ痛む」のが片頭痛の特徴とも言えますが、実は両側が痛むこともあるのです。
片頭痛の症状について詳しくみていきましょう。
片頭痛の症状とは?
典型的な片頭痛の症状としては、
- 頭痛の60分くらい前に目の前がチカチカとする
- 主に頭の片側が強く痛む(両側・後頭部が痛むこともある)
- 心拍に合わせてズキズキ・ガンガンと痛む
- 痛みは長く少なくとも4時間、数日続くこともある
があげられます。
また、
- 光やにおいに痛みが誘発される
- 吐き気をともなう
- 動くと痛みが強くなる
などの特徴もありますが、どれもすべての方に当てはまるわけではありません。片頭痛には様々なタイプがあり、実は、診断がとても難しい頭痛とされているのです。
片頭痛ってどんな頭痛?-その種類
片頭痛ってどんな頭痛?と聞かれてしまうと、医師でも即答するのが実は難しいです。というのも、「この所見があれば絶対に片頭痛」、「これがあったら逆に片頭痛じゃない」というものがないからです。
片頭痛は、「偏頭痛」とも書きます。片側、偏りなどの文字が使われていることから、
- 片側だけ痛みがある
- 左右差の痛みがある
ことが片頭痛の特徴と考えられることが多いですが、実際はこれだけで分類できないことも多いです。片頭痛は大きく分けても、
- 前兆のない片頭痛
- 前兆のある片頭痛
- 小児周期性症候群
- 網膜片頭痛
- 片頭痛合併症
- 片頭痛疑い
と6種類にも分類されます。と言っても、これらがはっきりと分けられないことも多いですし、他の病気と合併したり、移行したりすることも多いです。採血や画像で診断できるものでもないため、診断自体が非常に難しいのです。
片頭痛の典型的な症状
診断の難しい片頭痛ですが、片頭痛かそうでないかによって治療も変わってくるため、慎重に症状を見極めていかなくてはいけません。
典型的な片頭痛の症状としては、
- 頭痛の前兆
- 片側性の強い痛み
- 拍動性(ズキズキとした痛み)
- 痛みが4時間~3日程度持続する
があげられます。順番に詳しくみていきましょう。
1.頭痛の前兆
片頭痛に典型的な症状として、「前兆」がまずあげられます。痛みの60分くらい前に何らかの前ぶれが現れるのです。片頭痛の20~30%の方が前兆を感じるとされています。
具体的には、
- 目の前がチカチカと光り中心部が見えにくくなる(閃輝暗点・せんきあんてん)
- 感覚が鈍くなる、手足がしびれる、手や唇、舌がチクチク痛む(感覚異常)
- 言葉がでにくくなる(失語性言語障害)
- 気分が落ち込む、集中しづらい(抑うつ症状)
- 肩首がこる、あくびがでる(疲労感)
の5つがありますが、中でも片頭痛に特徴的なのが1の「目のチカチカ(閃輝暗点)」です。
閃輝暗点は「せんきあんてん」と読みます。難しい言葉で抵抗を感じるかもしれませんが、症状は単純明快で
- 目の前がまぶしく光ること
です。場合によっては、色とりどりの光が見えることもあります。目の前にまぶしい光が現れることで、
- 中心部が見えづらい
- 片側が見えづらい
- 全体的に視野が狭まる
などの症状がおきます。この閃輝暗点は
- 頭痛の60分前に出現し、20~30分続くことが多い
です。この症状があれば、片頭痛の可能性はとても高くなります。
その他の前兆は、他の病気が原因の頭痛でもおこり得ます。2の感覚異常や3の失語性障害が初めて認められた場合には、脳梗塞などを疑います。
4の抑うつ症状、5の疲労感は、前兆よりさらに前の予兆期にみられることが多いですが、これらは緊張性頭痛や群発頭痛でも確認されますし、単純に疲れやストレスが原因と言い換えることもできます。
2.片側性の強い痛み
「片頭痛」というぐらいなので、「頭の片側が痛む=片頭痛」と考えている方は多いでしょう。
たしかに、
- 片側のこめかみ部分を中心に痛むことが多い
です。医師からしても、片側に痛みがあると「片頭痛」を考えることが多いのも事実です。しかし、最近は医療も進み、片頭痛でも
- 両側や後頭部に痛みがあるケースがある
ことがわかってきたのです。
ですので、他の症状も合わせて、片頭痛かどうか判断する必要があります。
3.拍動性の痛み
片頭痛に特徴的な痛み方として、「拍動性」があります。
- ズキン、ズキン
- ガンガン
- ドクン、ドクン
という表現が多いですが、心臓の鼓動に合わせて痛みが頭を打つような感覚です。
痛みの程度は一般的に強く、中等度から重度の頭痛といわれます。片頭痛の方は日常生活ができないほどの疼痛に苦しめられることが多いのです。
この痛みは、
- 動くと痛みが強くなる
という特徴もあります。そのため、頭痛がすると横になって休みたくなってしまうという場合は、片頭痛の可能性は高くなります。
一方、他の頭痛の痛み方としては、
- ぎゅっと頭全体が締め付けられる→緊張性頭痛
- 頭全体が軽いふわふわした違和感がある→緊張性頭痛
- 眼の奥がえぐられるような鋭利な痛み→群発頭痛
などといわれています。慢性的に頭痛がある人は、自分の頭痛をどのように表現するか考えてみると、良い指標になるかもしれません。
4.痛みが数時間以上~3日間続く
片頭痛は、
- 痛みの持続が長く、数時間~数日続くことが多い
ことも特徴の1つです。一般的には4時間~3日程度といわれていますが、頭痛の時間としてはかなり長いですよね。個人差はありますが、少なくとも1~2時間治る頭痛は、片頭痛でない可能性が高くなります。
その他の片頭痛の症状
片頭痛のその他の症状としては、
- 光や臭いに敏感
- 吐き気・下痢
- 首の後ろの圧痛
などがあります。とくに、
- 光ってるものを見ると頭が痛くなる
- ある臭いを嗅いだ時に頭が痛くなる
といったことがあると、片頭痛を疑うヒントになります。また、痛みに吐き気をともない、実際に吐いてしまうほどの状態のこともあります。
これらの症状があったら、医師にしっかりと伝えましょう。
慢性頭痛=片頭痛ではない
「何かがあるとすぐに頭が痛くなる」「原因はよくわからないけれど、しょっちゅう頭痛がする」。そんな方は多いと思います。
頭痛の原因となる医学的な異常の見当たらない頭痛は「慢性頭痛」と呼ばれますが、それには
- 片頭痛
- 緊張性頭痛
- 群発性頭痛
の3つがあります。
片頭痛は症状の強さからもインパクトが強く、慢性頭痛=片頭痛のイメージもありますが、実は慢性頭痛全体の8%程度とされています。
もっとも多いのは緊張性頭痛で、片頭痛と考えていたら実は違っていた…というケースも多いので注意が必要です。
まとめ
片頭痛は
- 目の前がまぶしくなるなどの前兆
- 主に片側が強く痛む
- 痛みは拍動性
- 数時間以上~3日程度痛みが続く
ことが特徴的な症状と言われていますが、様々なタイプがあって診断の難しい頭痛です。
痛みが辛いからと自己判断で市販の鎮痛剤を常用していると、お薬の影響から片頭痛がひどくなってしまったり、お薬に依存してしまったりすることがあるため注意が必要です(詳しくは、『痛み止めで逆に頭痛?薬物乱用頭痛について』をお読みください)
また、片頭痛と自己判断する前に、頭痛の原因となる病気がないかを調べておくことも大切です。痛みが続くときは、かならず医療機関を受診するようにしましょう。
※片頭痛の原因と対策については、『ズキズキ痛む片頭痛の原因とその対策は?』(リンク準備中)をお読みください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:頭痛 投稿日:2020-01-08
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