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歯周病ケアから禁煙に!?タバコをやめたくなったら歯科受診のすすめ

タバコは体に悪いだけではない

喫煙は体に悪い、それは皆さん聞いたことあるフレーズでしょう。

そして、わかってはいるけど、吸いたくなる方がおられるのも事実。

2018年8月に厚生労働省が発表したのは、たばこの害による総損失(2015年度)は2兆円超であるという報告です。

たばこが原因と考えられる病気(がん、脳卒中、心筋梗塞、認知症)の医療費が約1兆6,900億円、これらの病気で必要な介護費が約2,600億円、寝タバコや消し忘れといったたばこによる火災などでの損失が約1,000億円でした。

日本の喫煙による死者は毎年12~13万人で、国内の調査では20歳よりも前に喫煙し始めると、男性は8年、女性は10年も短命になることが分かっています。

喫煙は自分の寿命を削って、一時の至福感を得ているのです。

35~40歳の方も、今すぐに禁煙へと対策をすれば、余命を取り戻すことができます。

また、50歳で禁煙すると6年、60歳で禁煙すると3年寿命を延ばすともいわれています。

加熱タバコも害

ここ数年、新しいたばこ製品として加熱式たばこが販売されています。

これらは従来のタバコよりも害が少ないとのふれこみ、有名人を使ったイメージ戦略などもあって、2019年の国民健康・栄養調査では喫煙者の3割弱がこの加熱タバコを使っています。

しかし、ニコチンなど目に見える有害物質が少ないとしても、他に含まれる有害物質はとても多いことには変わりません。

そしてまだ発売されてから数年ですので、長期間での影響を報告した研究がありません。

喫煙者も歯科を受診しよう

松田優奈らの報告によると、歯周病と喫煙に関する理解がある人は、ない人よりも定期歯科健診を受診し、昼食後に歯磨きをし、加えて,清掃補助器具(歯間ブラシ、デンタルフロスなど) も使用していました。

このように、お口を綺麗にしようとモチベーションが高いという結果が出ました。

喫煙をしている方も、歯の裏側にヤニがべっとり付いているかと思います。

まずはそのヤニ、そして歯石を除去してもらうように、定期的に歯科医院に通院することからはじめてみましょう。

そして歯磨きのタイミングの見直し、歯ブラシだけではなく、デンタルフロスも使うなども気にするようにしていくと、禁煙に気持ちが向かうかもしれません。

喫煙させないよう教育するためには

増田らはとても興味深い報告をしています。

日本の成人喫煙率は、2003年の27.7%から徐々に減少し、2013年には20%をきって、2018年には 17.8%と減少傾向にあります。

一方で、中学生 2.6%(男子 3.1%、女子 2.1%)、高校生 5.1%(男子 6.9%、女子 3.3%)に喫煙経験があります。

小学生児童の喫煙経験に対しては、受動喫煙が関連していると指摘されています。

その児童の父親にあたる40歳代男性の喫煙率が減少しています。

そのことは児童に喫煙への興味を持たせないようにする方向ですが、問題なのは、その他の喫煙者として最も多かったのは担任を含めた先生でした。

脱たばこ授業を行うことは、小学校児童に対して必要ですが、教える教師の側が禁煙することも必要ということがわかります。

教える側も禁煙するように心がけが必要です。

参考文献

執筆・監修

※2022年4月、田町三田院オープン!
磁気刺激による新たな心の治療、東京横浜TMSクリニック併設!
こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

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大澤亮太

  • 役職:医療法人社団こころみ理事長/(株)こころみらい代表産業医
  • 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医
  • 学会:日本精神神経学会

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