ノロウイルスとは?
まずはじめに、ノロウイルスについてお伝えしておきたいことがあります。
ノロウイルスは非常に苦しい嘔吐や下痢などに襲われます。ですが健康な方は、ウイルスを出し切れば自然によくなっていきます。ウイルスをやっつけるお薬があるわけではなく、あまりに脱水がひどければ点滴をするくらいになります。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、病院で嘔吐や下痢をしてしまうと、周囲に感染が広がってしまいます。基本的には自宅安静で、悪いものを出し切っていただくことが一番の治療になります。当院では院内感染を防ぐために、ひどい嘔吐の方の診療は困難になります。
自宅で安静にしていただくのが一番ですが、受診されるのでしたら、設備のしっかりとした消化器内科をご受診ください。
胃腸炎の症状だけでもともと健康な方は、当院では自宅安静していただくことをお願いします。高齢者やお子さん、免疫低下している方は、普段かかりつけの医療機関に相談ください。
そのようなことを踏まえて、ここではノロウイルスについてお伝えしていきたいと思います。
ノロウイルスはお伝えした通り、感染すると激しい下痢や嘔吐などを引き起こすことのあるウイルスの1種です。冬の感染性胃腸炎の原因としては一番多く、6~7割にもなります。毎年11月~2月頃の冬場に流行し、感染力の強さが特徴です。
生ガキなどの二枚貝が感染源となり、人の手などを介しての感染が多く、給食や飲食店などでの集団食中毒の原因にもなります。保育園や幼稚園、小学校などで集団感染が発生し、感染したお子さんから家族に広がってしまうことも珍しくありません。
体力のある方なら症状は1~2日で自然に回復し、予後は良好です。健康な方にとっては命を脅かすほど危険なウイルスではありませんが、小さなお子さんや高齢の方、体力の弱っている方などでは注意が必要です。下痢や嘔吐による脱水、吐いたものを喉に詰まらせる危険などがあります。
ノロウイルスの症状(下痢・嘔吐・発熱)
ウイルスにも様々な種類がありますが、ノロウイルスは腸で繁殖するウイルスですので、感染すると胃腸炎症状がおこります。
主な症状としては、以下の3つの症状です。
- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
これらの症状は、感染後1~2日で発症します。下痢や嘔吐は、体内に入ったノロウイルスを追い出そうとする体の反応で、通常であれば胃腸症状が1~2日続き、ウイルスを排出した後は自然に回復します。
ですが、
- 高齢の方
- 小さなお子さん
- 持病などで体力の弱っている方
などでは下痢や嘔吐による脱水症状がおこりやすく、吐いたものを喉に詰まらせる事故が起こることがあります。体力の弱っている方に激しい症状がおこったときには、病院での点滴治療などを行っていきます。
また、人によってはそこまで激しい症状がおこらず、軽いかぜと区別がつかない程度の症状や、無症状のこともあります。このような不顕性感染は、1割くらい存在するという報告もあります。
症状が認められないというのは免疫が反応していないだけで、感染自体は長引いていることも多いです。知らず知らずにウイルスをまき散らしてしまうので、とくに家族や周囲で感染者がいた場合には、手洗いをしっかりして注意してください。
ノロウイルスの初期症状と感染期間
ノロウイルスが身体に侵入しても、すぐに症状が認められるわけではありません。ノロウイルスが腸で感染し、からだの免疫が排除しようと戦いが始まると、症状となります。
ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間で、この時期はこれといった症状はありません。ノロウイルス特有の症状というのは特になく、「なんだか調子が悪いなぁ」と思っていたら、急に激しい嘔吐や下痢に襲われます。流行している冬に吐き気に襲われたら、ノロウイルスと考えて対応したほうが良いでしょう。
2006年~2009年に発生した99のノロウイルス食中毒を内閣府研究班が調査し、症状の持続期間や感染期間を報告しています。
それによれば、
- 嘔吐:63.7%
- 下痢:80.8%
- 腹痛:55.2%
- 発熱:57.9%
となっています。
また症状の持続は、
- 嘔吐:1日
- 下痢:4日
- 腹痛:2日
- 発熱:1日
となっています。嘔吐や発熱は1~2日で収まり、下痢だけは4~5日続きます。
このようにノロウイルスの症状は数日で収まります。しかしながらウイルスの排出は続いており、1~2週間はウイルスが便として出ていきます。そういった意味では感染期間は長いため、治ったと思っても周囲に移さないように注意が必要です。
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスの感染はどのようにして広がっていくのでしょうか?感染経路を理解することは、正しい予防を考えていく上で大切になります。
ノロウイルスの感染経路としては、おもに以下の2つになります。
- 経口感染:汚染された食品(牡蠣など)を食べることでの感染
- 接触感染:感染者の嘔吐物や便のウイルスが手をつたって感染
ノロウイルス感染の始まりは、経口感染になります。ノロウイルスに汚染された食品を生で食べたり、十分に加熱しないで食べてしまうことで感染してしまいます。
ノロウイルスに汚染されている食品としては、牡蠣が有名かと思います。その理由は後述しますが、生の貝を扱ってウイルスに汚染された器具や手で調理したりすることで、他の料理が汚染されてしまうこともあります。
そして感染を一気に拡大するのが、接触感染になります。ノロウイルスは非常に強い感染力で、人から人へと一気に広がっていきます。手洗いが不十分で嘔吐物や便が残った手で触れてしまい、それを他人が触れて広がっていきます。
またノロウイルスは、飛沫感染することもあります。ノロウイルスによる嘔吐は突然にくるため、その近くにいた人などには飛び散った飛沫が感染する可能性があります。
ノロウイルスは空気感染するのかという質問を受けることがありますが、ノロウイルスは基本的には空気感染は起こしません。ただしノロウイルスは環境中で生き延びやすいウイルスではあるので、かなりの条件がそろえば空気感染(飛沫核感染・粉塵感染)が疑われるケースもあります。
ノロウイルスの原因と牡蠣
ノロウイルスの原因として、牡蠣は有名かと思います。
ノロウイルスが潜んでいるのは牡蠣だけではなく、二枚貝といわれる貝殻が2つある貝になります。牡蠣がとくにいわれるのが、生で食べられることが多いからです。
それこそ、シジミやホタテの方がノロウイルスの検出率は高いという報告もありますが、シジミは加熱され、ホタテは貝柱を食べることが一般的です。ノロウイルスが潜んでいるのは貝の消化管ですので、牡蠣のように生で丸ごと食べることはないのです。
ノロウイルスは、貝の中で増殖することはありません。牡蠣は食欲旺盛でプランクトンをたくさん食べるために、海水を大量にろ過します。この過程で、中腸線と呼ばれる消化管にノロウイルスが濃縮されて潜むようになります。
ノロウイルスが増殖するのは、人の腸だけになります。他の動物でも増殖はしません。ですから牡蠣がおいしくなって食べられる冬の時期に感染が広がります。
ノロウイルスに感染した人の便が下水として流れ、河口付近の貝が感染。そしてそれを食べた人が感染するというように循環します。
- 下水→河川→貝→人→下水
という循環があるのです。こうしてノロウイルスは、冬場に感染を拡大していきます。
牡蠣などの海産物は、生食用と加熱加工用に分かれているかと思います。その基準は、海水に含まれる大腸菌の量になります。大腸菌は下水に多く含まれるので、それによって水質を評価していきます。
通常の生食用の海産物は100mlに含まれる大腸菌の数が1000個以下とされていますが、牡蠣では厳格な基準となっていて、生食用は70個以下とされています。ですが生食用とされた牡蠣でも12.9%、加熱加工用では24.4%にノロウイルスが検出されています。
ノロウイルスの流行時期
ノロウイルスの流行時期について、東京都感染症情報センターの統計をご紹介します。胃腸炎の症状が認められた場合に、その原因を調べることは少ないため、感染性胃腸炎の統計となっています。
こちらの統計では、
- 細菌性
- ウイルス性
の2つが合わさったものになります。
夏は細菌性、冬はウイルス性が原因となります。ウイルス性の原因の6~7割がノロウイルスですから、冬の統計をみることでノロウイルスの流行時期が分かるかと思います。ですから、
- 45週(11月中旬)から増加
- 12月がピーク
- 6週(2月中旬)くらいで落ちつく
という傾向がお分かりいただけるかと思います。
ノロウイルスの流行時期には、主要な感染原因である牡蠣と関係しています。牡蠣がおいしくなるのは、産卵の前の冬の時期になります。この時期に生牡蠣をはじめ、牡蠣の消費量が増えます。
そして年末年始の忘年会や新年会といったイベントが、ノロウイルス感染の拡大に拍車をかけます。ノロウイルスは非常に感染力が強く、接触感染による二次感染が広がってしまいます。
ノロウイルスにはアルコール消毒が効かない
ノロウイルスは、アルコール消毒が効かないという特徴があります。
アルコール消毒が効かない理由は、ノロウイルスがエンベロープと呼ばれる膜をもたないことにあります。
多くのウイルスは感染した細胞の中で増殖したあと、新たな感染先をみつけて細胞の膜を突き破って出ていきます。その時に脂質にとんだ細胞膜につつまれますが、これがエンベロープになります。
大部分のウイルスがエンベロープを持ちますが、ノロウイルスは持ちません。ノロウイルスだけでなく、冬に流行するロタウイルス、夏に流行するアデノウイルスも同様です。
アルコールは脂質を溶かすことができるので、ウイルスの膜を破壊してやっつけることができるのです。
ノロウイルスを消毒するためには、塩素系の消毒剤を使う必要があります。
- 次亜塩素酸ナトリウム
- 二酸化塩素
一番使われるのが、次亜塩素酸ナトリウムです。希釈して使わなければいけませんが、二酸化塩素は独特の周期もあり費用も高いため、こちらがよく使われます。
塩素系の消毒剤ですから人の手に使うことはできず、また絨毯などに使うと脱色してしまうというデメリットもあります。
ノロウイルスの感染を予防するためには?
ノロウイルスの感染経路や特徴から、感染予防について考えていきましょう。
まずは経口感染を少しでも減らしましょう。そのためには、
- 食品はできるだけ加熱する
ことが大切です。
ノロウイルスは、加熱されると死にます。貝の中心部の温度が85~90度で、少なくとも90秒以上の加熱が必要になります。(90度90秒というと覚えやすいです)とくに貝類はしっかりと加熱しましょう。
調理にも気をつけてください。
- 下痢や嘔吐のときは調理をしない
- 手洗い・うがいをこまめにする
- 調理器具をこまめに洗う
といったことが大切です。
そして接触感染を防ぐためには、
- 手洗いをしっかりと行うこと
- 嘔吐物を正しく処理すること
が大切です。
手洗いに関してはアルコール消毒が効かないため、できれば石鹸のもみあらいで、しっかりと手洗いをしましょう。少なくとも30秒以上かけて手洗いすることが大切です。
またノロウイルスに感染すると、突然の下痢や嘔吐でトイレや周囲を汚すことがあります。家族や職場やお店の方がそれを処理する場合、注意しないと感染してしまいます。嘔吐物の正しい処理方法を理解しましょう。
必要な道具がそろった嘔吐キットなどがありますので、職場やお店では購入をおすすめします。必要な道具が一式そろっていて、手順も記載されています。具体的には以下のように処理していきます。
- 使い捨てマスクと手袋を着用する
- 次亜塩素酸などの塩素系消毒液を希釈して用意
- 凝固剤で固める(ない場合は、ペーパータオルでふき取って袋で密閉)
- 汚れを除去したところに塩素系消毒液でふく
- 消毒後は水拭きをして乾燥させる
高級絨毯などに嘔吐してしまい、どうしても塩素系薬剤が使えない場合もあるかと思います。その場合は、消毒液のかわりにスチームアイロンを2分間行うことで代用することもあります。
ノロウイルスにワクチンはないのか
毎年流行しているノロウイルスですが、ワクチンの予防接種という話を耳にされることはないかと思います。
ノロウイルスでは、ワクチンの研究開発はすすめられていますが、まだまだ実用のレベルには達していません。
ノロウイルスには様々な遺伝子グループがあり、人に感染しやすいグループⅠでは9種類以上、グループⅡでは22種類にも及びます。
グループⅠのタイプ1(GⅠ.1)とグループⅡのタイプ4(GⅡ.4)の2つが流行しやすく、これに対するワクチン開発がすすめられてはいます。
しかしながらノロウイルスは、健康な方で死に至ることはまずないため、ワクチンの開発は切迫したものではありません。
その中でノロウイルスワクチンが作られている目的は、
- 免疫が低下している人の重症化予防
- 感染したら拡大しかねない方の予防
になります。
発展途上国では、今でも毎年多くの乳幼児が、感染性胃腸炎でなくなります。免疫が低下している方で水分の摂取が困難な状況では、死にいたることもあるのです。
先進国でも、免疫が低下している方では重症化し、亡くなってしまう方もいらっしゃいます。こういった方のために、そして医療従事者など感染したら広めかねない立場の方のために、ノロウイルスワクチンの開発はすすめられています。
【参考】ノロウイルスの免疫の特徴
ノロウイルスに対する免疫は、粘膜免疫が中心になります。
からだの外と接している鼻腔や気道、消化管には、細菌やウイルスが侵入してこないように粘膜に局所免疫機構があります。
分泌型IgAと呼ばれる抗体が作られていて、この抗体が病原体にとりついて中和してしまいます。このように、ノロウイルスだけにターゲットを絞っているわけではないのですが、からだへの侵入を阻止しています。
ノロウイルスが体内に侵入してきてしまうと、全身の免疫反応が生じます。IgGをはじめとした免疫細胞が活性化し、増殖しようとするノロウイルスと戦います。その結果として、発熱・下痢・嘔吐といった症状になるのです。
ノロウイルスには様々なタイプがあり、一つのタイプに免疫がついても他には効果がありません。ですから同じ年にノロウイルスにかかってしまうこともありますし、翌年以降も感染する可能性が続きます。
一つのタイプに対する免疫も、数年ほどしか免疫持続期間はないと報告されています。
新型ノロウイルス
人間に感染するノロウイルスは、おもにGIとGIIという2つの遺伝子群になります。
その中でも様々なタイプがあり、最近の急性胃腸炎や食中毒をおこした患者さんからよく検出されるのはGIIタイプで、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.7、GII.17 などになります。
とくにGII.4は、2006 年以降にノロウイルスによる胃腸炎患者さんの半数近くで検出されています。
そして2014年頃から、GII.17が日本や台湾、中国などのアジア圏内に出現して流行が懸念されました。GII.17はこれまで流行しておらず、新型ノロウイルスが流行するのではと2015‐2016年度で危惧されました。
実際にはそこまでの流行とはならず、例年通りGII.4が流行しました。そして2016‐2017年度はGII.2が大流行しました。2017‐2018年度はGII.4の流行となっており、例年通りとなっています。
このようにノロウイルスは、タイプを変えて大流行する可能性があります。
ノロウイルスの検査と診断
ノロウイルスを調べる検査としては、「ノロウイルス抗原検査」はあります。しかしながら、診断のためにノロウイルス抗原検査を行うことは特殊なケースの実です。
というのも、ノロウイルスと診断したからと言って、特別な治療薬があるわけでもないためです。後述しますが、感染性胃腸炎として他のウイルスと同じような治療をするためです。このため診断するために検査を行う意義がないのです。
ノロウイルスかどうかは、
- 症状の特徴(下痢・嘔吐)
- 食事の状況や周囲の状況
から推測し、診断をしていきます。
健康な方が検査をしようとすると、保険は適応することができません。保険適用がされるのは、ノロウイルスとしっかりと調べる必要があるケースのみになります。
具体的には、
- 3歳未満
- 65歳以上
- 悪性腫瘍の診断を受けている
- 臓器移植後
- 免疫抑制や抗悪性腫瘍剤、もしくは免疫抑制効果のあるお薬を服用中
このような場合に限られます。重症化のリスクがあるため、診断を確定する必要がある場合にのみ検査が行われます。
ノロウイルス診断キットは、便を採取することで行います。嘔吐物では正確に検査ができないため、肛門を綿棒でこするか、排泄便から検体をとります。それを検査液とまぜてキットにたらすと、15分ほどで結果がわかります。
自費では病院側が金額を設定しますが、混合診療はできないのでお薬や診察代も自費となってしまいます。ですから、検査するのは現実的ではありません。保険適用の場合は費用が決まっていて、
- 検査料:150点
- 判断料:144点
になります。このため合計2,940円が実費となります。これに自己負担割合になりますので、3割負担であれば882円となります。
ノロウイルスの治療
ノロウイルスの治療には、特別なことがありません。からだの免疫がノロウイルスをやっつけるのを待つしかなく、それこそ下痢や嘔吐は出してしまったほうが良いのです。
インフルエンザのように、ノロウイルスに対する抗ウイルス薬が開発されているわけでもなく、薬を使うとしても対症療法にすぎません。整腸剤を使ったら下痢の程度や期間が軽くなりますので、それくらいになります。
下痢や嘔吐はウイルスを体の外に出すためですので、吐き気止めや下痢止めは使わないことが原則です。
脱水にだけ注意して、水分をとるようにすることが大切です。食べれるなら食事もしたほうが、早くよくなります。腸液が分泌されて、ウイルスが体の外にでていきます。
ですから病院に受診するのではなく、自宅で安静にして出すものを出したほうがよくなります。会社などへの診断書などが必要な場合は、症状が落ちついてからでも医療機関は対応してくれると思います。感染を広げないためにも、自宅で安静にしてください。
医療機関に受診した方が良いのは、
- まったく水分がとれずに脱水がすすんでいく
- もともと免疫が低下する可能性の持病がある
吐いてしまっても水分がとれていれば、大丈夫です。まったく水分もとれなくて脱水がすすんでしまう場合は、医療機関で点滴をしていきます。吐き気が強い場合は、プリンペランなどの制吐剤と一緒に点滴することが多いです。
その場合も、感染対策も含めて体制が整っていないと点滴は困難です。まずは消化器内科にご相談頂くのが良いかと思います。
ノロウイルスで学校や仕事をいつまで休むべき?
吐き気の症状があるうちは、仕事や学校どころではありません。トイレから離れられなくなってしまう方も少なくありません。
次第に症状は落ち着いてき、学校や仕事にいけるようになるかもしれません。本人の体調がよくなっても、ノロウイルスは周囲へ感染を広げないようにすることを意識しなくてはいけません。
それではいつまで休めばよいのでしょうか?このことを考える際によく参考にするのが、学校保健安全法になります。学校においての感染症の対応を定めたものになりますが、ノロウイルスについては学校感染症には、明確に定められていません。つまり法的には、登校についての制約はないのです。
ですが無理をして登校・出勤してしまうと、周囲に感染を広げてしまいます。ですから、「登校自粛」「出勤自粛」という形をとっていくことが一般的です。
どこまで自粛が求められるかは、学校や会社によっても判断が異なります。食品を扱う業種などでは、より厳格に管理されているところもあります。
最低限のラインとしては、
- 嘔吐が治まっていること
- 全体的に症状が落ちついていること
になります。
下痢が少し続いてしまうことがありますが、ここは判断が難しいところです。仮に下痢が落ちついても、ウイルスの排泄自体は続いてしまいます。ですから復帰したとしても、
- 手洗いはしっかりと行うこと
が重要になります。
会社によっては、診断書の提出が求められることもあります。診断書に関しては、会社の健康管理上で必要であれば、医師に依頼していただくと記載いただけると思います。
しかしながらノロウイルスは、検査を行ってまで診断をつける病気ではありません。ですから病名は「ノロウイルス」ではなく、「感染性胃腸炎」となる可能性も高いです。
【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。
診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:ノロウイルス(冬の急性胃腸炎) 投稿日:2019-05-11
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