日本脳炎ワクチンについて
日本脳炎は感染すると脳に炎症を引き起こし、高熱やけいれん、意識障害などの重篤な症状が現れることがあります。
重症化すれば、後遺症が残ったり、最悪の場合には命を落とすリスクもあるため、ワクチン接種による予防が非常に重要です。
予防できる病気 | 日本脳炎 |
---|---|
定期 / 任意 | 定期接種 |
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン |
接種方法 | 皮下注射 |
接種スケジュール (合計4回) |
第1期初回:3歳から4歳の間に、6〜28日あけて2回接種 追加接種:2回目の接種から1年あけて1回接種 第2期:9歳〜10歳までに1回接種 |
費用 | 定期:無料 任意:約5,000円〜10,000円(医療機関により異なります) |
日本脳炎ってどんな病気?
日本脳炎ウイルスによって引き起こされる感染症です。
ウイルスに感染しても、ほとんどの人は軽症または無症状(不顕性感染)で済みますが、発症すると深刻な症状が現れます。
日本脳炎の主な症状
- 高熱
- 頭痛
- 嘔吐
- 意識障害や精神症状
- 項部硬直(首の硬さ)
- 振戦(震え)や麻痺
重症化した場合のリスク
日本脳炎は、重症化すると非常に高い死亡率を伴う病気です。
致死率は約20〜30%に達し、生存しても30〜50%の人に後遺症が残る可能性があります。
後遺症には、痙攣、麻痺、精神障害などがあります。
日本脳炎の感染経路
日本脳炎ウイルスは、豚を宿主とし、蚊を介して人間に感染します。
日本では1992年以降、年間10人以下の感染者数に抑えられていますが、依然としてリスクが存在します。
日本脳炎の予防接種について
日本脳炎は、発症すると重篤な症状や後遺症を引き起こすリスクがありますが、ワクチン接種を受けることで、非常に高い確率で予防できます。
日本脳炎ワクチンの接種のスケジュール
合計4回の接種が推奨されています。
- 第1期:3歳から4歳の間に、6〜28日あけて2回接種
- 追加接種:2回目の接種から1年あけて1回接種
- 第2期:9歳から10歳の間に1回接種
標準接種開始年齢は3歳ですが、生後6ヶ月から接種可能です。
リスクの高い地域に住んでいる場合や旅行を予定している場合は、早めにワクチン接種を受けることが推奨されます。
日本脳炎ワクチンの効果と副反応について
日本脳炎ワクチンの接種によって、発症リスクが75~95%減少することが示されています。
日本脳炎ワクチンはほとんどの人にとって安全で有効なワクチンです。
接種後の副反応として、接種部位の痛みや発熱が一時的に見られることがありますが、通常は数日で治まります。
アレルギー反応や急性散在性脳脊髄炎(ADEM)※、急性血小板減少性紫斑病※などの重い副反応が見られることもありますが、非常にまれです。
※急性散在性脳脊髄炎(ADEM):ワクチン接種後やウイルス感染後にまれに発症する脳神経系の病気で、発熱や運動障害などの症状が現れます。
※急性血小板減少性紫斑病:血液中の血小板が免疫の異常により減少し、出血しやすくなる病気です。
予防接種後の観察と注意点
ワクチン接種後30分は医療機関で過ごしましょう。
けいれんやアナフィラキシーなどの重篤な反応は通常30分以内に発生します。
吐き気、顔色の変化、呼吸困難、声の嗄れ、意識の低下などの症状に注意し観察してください。
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、ワクチン接種後1〜4週間に発症する可能性があります。
頭痛、発熱、嘔吐、意識が混濁する、目が見えにくい、手足が動きにくい、感覚が鈍いなどの症状が見られた場合は受診するようにしましょう。
副反応に不安を感じるかもしれませんが、日本脳炎そのものに感染した場合のリスクははるかに高く、ワクチンのベネフィットはリスクを大きく上回ることがわかっています。
ワクチン接種を受けて感染リスクを減らそう
日本脳炎は発症すると重篤な合併症や後遺症を引き起こす可能性があり、場合によっては命を落としてしまう病気です。
しかしワクチン接種を受けることで、そのリスクを防ぐことができます。
標準接種は3歳から始まりますが、生後6ヶ月から定期接種として受けることが可能です。
リスクの高い地域に住んでいる場合や旅行を計画している場合は、早めの接種が推奨されます。
家族の健康と安心を守るために、ぜひワクチン接種について考えてみてください。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こどものワクチン 投稿日:2024-12-16
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