トランサミン(一般名:トラネキサム酸)

トランサミン(一般名:トラネキサム酸)の効果と副作用

トランサミンとは?

トランサミンは抗プラスミン剤に分類されるお薬で、出血や炎症を抑える効果があります。
このお薬には以下の特徴があります。

  • 副作用の発生率が比較的少ない
  • 1回の服用量が少ないため飲ませやすい
  • のどの痛みのほか、鼻血など幅広い症状に使用できる

トランサミンは販売開始から長い間使用されてきたお薬で、副作用頻度が少なく小児にも使いやすいお薬です。

トランサミンの適応症

添付文書によると、適応症は以下のとおりです。
(トランサミンの添付文書参照)

  • 全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
    (白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血)
  • 局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
    肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血
  • 下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状
    湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹
  • 下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状
    扁桃炎、咽喉頭炎
  • 口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター

出血や炎症を伴う疾患に適応があり、小児では主にのどの炎症を抑えるために処方されるお薬です。

トランサミンの効果

トランサミンは、プラスミンをブロックすることで効果を発揮します。

プラスミンとは、ウイルス感染やのどの乾燥などの刺激により体内で作られ、のどの痛みや腫れを起こす物質です。
トランサミンはプラスミンの産生や増加を抑える作用があり、のどの痛みや腫れを改善する効果が期待できます。

インタビューフォームによると「作用発現時間・持続時間」に関するデータはありませんが、トランサミンの服用から2〜3時間後に血中濃度が最大になります。
服用後2時間ほどで効果を感じられることが多いでしょう。

トランサミンの用法

添付文書によると、トランサミンの用法は以下のとおりです。
(トランサミンの添付文書参照)

トランサミン散(1日量) トランサミンシロップ(1日量)
0〜1歳 75〜 200mg 1.5〜4ml
2〜3歳 150〜350mg 3〜7ml
4〜6歳 250〜650mg 5〜13ml
7〜14歳 400〜1,000mg 8〜20ml
15歳以上 750〜2,000mg 15〜40ml

通常は1日3〜4回に分けて服用しますが、保育園などで昼間に薬が飲めない場合には1日2回処方となることもあります。
昼間に飲ませられないときは、診察時に医師と相談しましょう。

飲み忘れたときは

気がついたときに1回分服用し、4時間以上の間隔をあけて次のお薬を服用しましょう。

トランサミンの剤形と特徴

小児では、主に「散剤」「シロップ」の剤形からお薬が選択されます。
それぞれ以下の特徴があります。

散剤 シロップ
見た目 白色 淡赤色の溶液
苦い オレンジ
におい 無香料 芳香(オレンジ臭)

このほか、トランサミンには錠剤やカプセルも販売されています。
トランサミン錠には250mgと500mgの2種類があり、低容量の250mgでも直径10mmと比較的大きなお薬です。
またカプセルは全長17.8mmと飲みづらい大きさのため、お子さまには主に散剤やシロップが処方されます。

トランサミン散を飲みやすくする工夫

トランサミン散は苦味のあるお薬で、そのままでは飲みづらい可能性があります。
粉薬の飲ませ方には、少量の水を加えてペースト状にする服用方法があります。

飲みづらいときは、以下の食品にお薬を混ぜましょう。
アイスクリーム、プリン、牛乳、ヨーグルト、ゼリー、りんごジュース、オレンジジュース

トランサミンシロップを飲みやすくする工夫

シロップの飲ませ方は、スポイトで服用したり、カップで服用したりする方法があります。

トランサミンシロップにはもともと甘い味がついているため、まずはそのまま服用してみましょう。
甘い味を嫌がるようなら、少量の水で薄めて服用すると飲みやすくなります。

トランサミンの主な副作用

添付文書には、以下の副作用が記載されています。
(トランサミンの添付文書を参照)

  • 主な副作用(0.1~1%未満)
    ・食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ

トランサミンの服用後は、消化器症状に注意が必要です。
副作用頻度は高くありませんが、気になるときは医師や薬剤師に相談しましょう。

また、人工透析をしている人では、重大な副作用として「けいれん」に注意が必要です。
けいれんが起きる仕組みについては記載がありませんが、人工透析をしている人は医師へ伝えましょう。

ジェネリック医薬品について

トランサミンシロップのジェネリック医薬品が販売されています。
メーカーごとにお薬の味や色が異なる場合があるため、気になる方は薬剤師に相談しましょう。

まとめ

トランサミンは、のどの痛みを抑えたり出血を止めたりするお薬です。
頻度は高くありませんが、服用後は食欲不振や吐き気の副作用が現れる可能性があります。

【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。

診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。

クリニック一覧

医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。

(医)こころみ採用HP

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

カテゴリー:小児科の薬  投稿日:2024-10-15

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

カロナール(一般名:アセトアミノフェン)

カロナール(一般名:アセトアミノフェン)の効果と副作用 カロナールとは? カロナールは、熱を下げたり痛みをおさえたりするお薬です。 カロナールには以下のような特徴があります。 子供から大人まで使用できる 胃腸への負担が少… 続きを読む カロナール(一般名:アセトアミノフェン)

カテゴリー:小児科の薬  投稿日:

ムコダイン(一般名:L-カルボシステイン)

ムコダイン(一般名:L-カルボシステイン)の効果と副作用 ムコダインとは? ムコダインは痰の排出を促すお薬で、中耳炎や副鼻腔炎の改善作用もあります。 このお薬には以下の特徴があります。 副作用の頻度が比較的少ない シロッ… 続きを読む ムコダイン(一般名:L-カルボシステイン)

カテゴリー:小児科の薬  投稿日:

人気記事

【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用

喘息の長期管理薬とは? 喘息は、気道に慢性炎症が起きて狭くなっている状態です。それが引き金となって気道が過敏になり、ちょっとしたきっかけで咳や息苦しさをくり返します。 喘息の治療は、 炎症を抑え、喘息の悪化や発作を予防す… 続きを読む 【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用

カテゴリー:喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)  投稿日:

急性扁桃炎

急性扁桃炎の症状、治療法は?何日で治るかについても医師が解説 目次 扁桃炎とは 原因と種類 症状 診断方法 治療 回復期間:何日くらいで治るのか? 予防策 まとめ 扁桃炎とは 扁桃腺は、口と喉の間に位置し、体内に侵入する… 続きを読む 急性扁桃炎

カテゴリー:喉の病気  投稿日:

SGLT2阻害薬の効果と副作用

SGLT2阻害薬とは? SGLT2(エスジーエルティー・ツー)阻害薬は糖尿病の治療ガイドラインで定められている治療薬のひとつで、膵臓ではなく腎臓に作用することで血糖値を改善する働きがあります。 SGLT2は腎臓に存在する… 続きを読む SGLT2阻害薬の効果と副作用

カテゴリー:糖尿病治療薬  投稿日: